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2017年12月2日、千葉工業大学の東京スカイツリータウン®にあるキャンパスで、ヒューマンアカデミーロボット教室、「ロボティクスプロフェッサーコース」による初の全国大会 「第1回ロボプロ全国大会」が開催されました。その様子をレポートします。
「ヒューマンアカデミー ロボット教室 ロボティクスプロフェッサーコース」
ヒューマンアカデミーでは、ロボット作りの基礎コースにあたる「アドバンスプログラミングコース」を修了した小学生、またはロボット工学に興味のある中学生を対象にしたロボット教室「ロボティクスプロフェッサーコース」を2014年から開講しています。
「ロボプロ全国大会」は、このロボット教室の最高峰「ロボティクスプロフェッサーコース」で学ぶ生徒とコース修了生の中から選ばれた選手が集い、それぞれが制作したロボットの性能を競うものです。
審査は「ロボティクスプロフェッサーコース」の開発アドバイザーとして、教材やカリキュラムを監修する審査委員長の古田貴之氏(千葉工業大学未来ロボット技術研究センター所長)ほか、奥村悠氏(千葉工業大学未来ロボット技術研究センター上席研究員)、神野佳彦氏(ヒューマンアカデミーロボット教室運営責任者)の3名で行われました。
会場は、東京スカイツリータウン®のソラマチの8階にある千葉工業大学・東京スカイツリータウン®キャンパスです。ここは、千葉工業大学の研究活動とその成果を広く伝えるためのエンターテイメントキャンパスで、一般の人が気軽に最先端技術を体験できるゾーンなどがあります。未来ロボット技術研究センターが開発したロボットの体験ゾーンもあり、子どもたちが日頃の成果を発表する大会としても、モチベーションが高まる場所でした。
「ヒューマンアカデミー 第1回ロボプロ全国大会」とは?
ライントレース部門は、ロボットに規定のコースを走行させゴールまでのスピードを競います。トーナメント形式で行われるため、トライアルレースで走行タイムを計り、本戦の組み合わせを決めます。
フリー走行部門は、2メートルの正方形のフィールド内で自作のプログラミングで自立制御させたロボットを自由走行させるレースです。ロボットの役割りや動きに対するプランニングについてのプレゼンテーションも採点基準になっています。
創作ロボット部門は、「ロボティクスプロフェッサーコース」で使用するマイコンボードとプログラミング用のソフトウエアを用いることが条件ですが、ロボット本体を構成するパーツは自由に選んで作った創作ロボットの技術力と性能を競うものです。
この3つの部門の競技に全国から寄せられたエントリー者の中から、審査を通過した15名が本戦へ挑みます。
部門名 |
出場者数 |
年齢 |
ライントレース |
8名 | 11歳~15歳 |
フリー走行 |
4名 | 13歳~16歳 |
創作ロボット部門 |
3名 | 14歳~17歳 |
※第二回ロボプロ全国大会レポート(2018年)はこちら
「ヒューマンアカデミー 第1回ロボプロ全国大会」午前の部 ライントレース部門
午前中に行われたのは、ライントレース部門のトーナメント順位を決めるタイムトライアルとフリー走行部門のレース。
ライントレースは、4色のラインをカラーセンサーで読み取りながら、自律走行させるスピード競技です。一見単純なレースに見えますが、ロボットはラインに使われている色の違いを認識しながら、正しい方向に進んだり、認識しづらいオレンジ色や、急カーブ・直角といったコース上の難所をクリアしなければなりません。
競技者のロボットは「ロボティクスプロフェッサーコース」の専用教材となる「ロボプロキット」に独自改造を加えたものです。ラインの色を読み取るセンサーの位置や急カーブでもコースアウトしないようにするための形状など、ロボットの形は様々。それぞれの個性が光っています。この個性がどのようなパワーを発揮し、レース結果につながるのかがポイントです。
選手は伊藤空くん、熊谷拓海くん、田口貴人くん、宇津凌くん、岡崎叶夢くん、長谷川巧海くん、矢部雄大くん、渡嘉敷裕真くんの8名。記念すべき第一回大会のオープニング戦で、ロボットも緊張?したのか、コースアウトするロボットが続出。
トライアルでゴールを決め、タイムの出たロボットは、伊藤くん(10秒69)、岡崎くん(17秒78)、矢部くん(23秒23)の3台だけでした。ただ、他のロボットも、調整次第で午後からの本番レースには調子が上がるかもしれません。思わぬ展開になりそうな予感が、会場を盛り上げていました。
次のフリー走行部門は、ロボットの動きに付加価値をつけた競技で、プレゼンテーションの内容も評価に含まれるものです。
この作品のベースも「ロボプロキット」で、選手は教材の持つ機能に独自性のある改造とプログラミングを加えて勝負します。川奈部和音くん「種まきロボットSEEDS POINTER」、伊藤聡太くん「絵描きスケーター」、武田和樹くん「オムニホイールロボット ドリフトグランプリ」、三樹拓弥くん「羽生ホイール」の4名が出場しました。
各選手が身近に感じる「あったらいいな」から、社会問題にまで切り込んだオリジナルロボットの実演に、古田審査委員長は熱のこもった声で「この技術は今すぐにでも、ビジネスにつながるようなスゴイ技術です!」と実況中継、マイクを離しません。
思わず改良への具体的なアドバイスが飛び出し、「試合中ですよ。研究じゃないですよ。」と他の審査委員が苦笑いする場面も。3台のロボットの熱い実演に、勝つのはどの選手か全く予想不可能です。
このフリー走行で、とにかく驚いたのは、ロボットのプランニングです。そのスキルの高さとロボット活用の視野の広さに、「子どものロボット教室が行う大会にそこまでやってくれるか?!」(古田審査委員長風)、といい意味で見ている側の期待を裏切ってくれました。
「ヒューマンアカデミー 第1回ロボプロ全国大会」午後の部 創作ロボット部門
どのロボットも制御工学やシステム工学といった分野でも十分に通用するレベル。「これ、学会の論文でも発表できるよ!」と古田審査委員長の解説はさらにヒートアップしていきました。対して競技者は意外と冷静だったりします。でも、鳥山くんのプレゼンテーションでカエルのジャンプを見ると、「マジ、すげー!」と目を見張ります。
刺激を受けたメカ少年たちの反応は実に素直で、「もう、カエルロボが優勝しかありえない」と本音をポロリ。しかし、まだ勝負の結果は分かりません。
最後の競技は、午前中にトライアルが行われたライントレースの最終決戦です。見どころは、午前中に好タイムを出した伊藤くんのロボットが安定した速さを見せるのか、コースアウトした他のロボットが休み時間の調整でどこまで調子を上げたか、です。
ライントレースに限らず、競技に使用するロボットは、かなり繊細な構造で、移動中の振動でタイヤのバランスが崩れたり、バッテリーの消耗具合で動きが鈍くなったりと、予測不可能なことが起こるのだそうです。教室ではうまく動いても、会場では「どうして?!」といったトラブルも避けられないといいます。
トーナメント形式で行われたこの最終競技は、歓喜や落胆の声が入り混じりながら進んでいきました。そして、最後に勝利を手にしたのは、トライアルで圧倒的な速さを見せた伊藤くんでした。
「ヒューマンアカデミー 第1回ロボプロ全国大会」結果発表・表彰
気になるロボットのプログラムや構造を聞いたり、お互いのロボットを交換して見せ合ったりと、試合の緊張もほぐれたのでしょう、瞳の輝きが増すメカ少年たち。
子どもたちが日頃の学習成果を発表し、お互いの交流の場を設けるという大会の目的を反映する光景で、さらなるロボットの世界へ子どもたちが飛躍する姿でもありました。
審査が終わった後は、古田審査委員長の講演です。「ちょっと変わった子どもでした」という子ども時代の話や、福島第一原発の事故現場探索に利用されたロボット「櫻二號」の開発の様子など、興味深い話に会場は引き込まれていました。
そして大会最後のプログラム、表彰式へ。各部門の優勝者、最優秀賞受賞者へと賞状、トロフィー、記念品が贈呈されました。
<結果発表>
ライントレース部門
1位 伊藤 空くん
2位 矢部 雄大くん
3位 田口 貴人くん
フリー走行部門
最優秀賞 川奈部 和音くん
創作ロボット部門
最優秀賞 鳥山 樹くん
MVP賞 ※1名の予定でしたが、今回は2名が選ばれました。
鳥山 樹くん
伊藤 空くん
「ヒューマンアカデミー 第1回ロボプロ全国大会」MVP受賞作品・総評
フリー走行部門で最優秀賞を受賞した川奈部くんの種まきロボットは、一定間隔で自動的に畑に種をまくロボットでした。
タッチセンサーを使い壁をつたいながら直角に回り込むプログラムや、教材のオムニホイールの特徴を活かしたロボットへの評価はもちろんですが、実用性をアピールしたプレゼンが評価の決め手になりました。
「これからの人手不足と少子高齢化を見据え、農業にロボットを取り入れるという産業構造の改革を目指し、現状認識のために総務省のデータまで用意したところはさすが!」と古田審査委員長のコメントです。
創作ロボット部門最優秀賞の鳥山くんのカエルロボは、モーターを使ってジャンプさせる仕組みで、これはロボット学会的にも注目される技術だということでした。鳥山くんは、さらに大会全体の最優秀者となるMVP賞も受賞しました。
このMVP賞ですが、嬉しいことに今回もう1名、ライントレース部門で優勝した伊藤くんが追加で表彰されました。「彼のロボットの正確な動きと、圧倒的な速さは素晴らしい。また、彼はもしもの時を考え、バッテリーの予備をジップロックにたくさん用意するなど、リスクに対する用意もきちんと行っていました。
そういう、ちょっとした対策がいろんなところに備わっています。これが彼のロボットの性能を安定させている要因の一つで、ロボット技術の本質です」と古田氏。「両方すごいから、賞を2つだすしかないよね」と2名選出を決定したそうです。
編集部コメント
審査委員が壇上から、子どもたちの作品を「見定める」ような(よくある)大会ではなく、子どもと同じ目線で一緒にワクワク、ドキドキすることは、子どもたちにとっても嬉しいことです。憧れの先生が自分の作ったものに共感してくれることで、「モノつくりの楽しさ」が、本当に伝わったのではないかと感じました。
舞台の設置の問題で、ロボットがうまく動かなかった競技者に、「これは設置した大人の責任だ!君は悪くない!」とフォローしながらも、大会の総評で「ロボットが活動する現場には、想定外が起こる場面も珍しくない。だから、危ないと思ったら自分で声掛けしたり、備品を用意したりすることも大事なんだよ」といった言葉をかけていたこともとても印象的でした。
未来へと向かう子どもたちの力を育む「第1回ロボプロ全国大会」を間近で見ることができて、とても興味深い一日でした。
今後、「ロボティクスプロフェッサーコース」だけでなく、ロボット教室のどのコースで学ぶ子どもたちにとっても、目標となる憧れの大会になっていくことは間違いなさそうです。
<第1回ロボプロ全国大会 開催概要>
■日 時:2017年12月2日(土) 午前11時 - 午後4時
■会 場:千葉工業大学・東京スカイツリータウン®キャンパス
東京都墨田区押上1-1-3 東京スカイツリータウン® ソラマチ8F
■部 門:
<ライントレース部門>
ロボットに規定のコース内でライン上を走行させてゴールまでのスピードを競う競技
<フリー走行部門>
200cm四方のフィールド内を、自作プログラムで自律制御させたロボットを自由走行させる競技
<創作ロボット部門>
オリジナルロボットのアイデアやデザイン、機能を競う競技
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(取材・文・撮影/松井紀美子、編集/コエテコ編集部)