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次世代の科学技術系人材をはぐくむ「SSH(スーパーサイエンスハイスクール)」

科学技術系人材の育成を目的とし、2002年から開始されたスーパーサイエンスハイスクール(SSH)。響きからなんとなく「理系に強い学校なのかな?」とは分かるものの、実際にどのようなことをしているのかは、よく知らない……という方も多いのではないでしょうか。

今回は、そんなSSHとは一体なんなのか、海外・日本での現状はどのようになっているのかについて、簡単にご紹介します。

SSHの背景となった「理科離れ」


スーパーサイエンスハイスクール(SSH)とは、未来を担う科学技術系人材を育むことをねらい、中高一貫校・高校において、理数系のハイレベルな教育を行うための取り組みです。開始されたのは2002年で、2017年度(平成29年度)には203校がSSH指定校となっています。

SSHがスタートした頃には、子どもたちの「理科離れ」が大きな問題となっていました。経済協力開発機構(OECD)や国際教育到達度評価学会(IEA)の調査から、国民の科学技術に対する関心が低いこと、「理科が好き」「将来科学を使う仕事がしたい」と回答する子どもの割合が、なんと先進国21ヶ国の中で最下位であることが明らかになったのです。

子どもの頃から理科に対する関心がないと、大人になってもなかなか関心を持つことができません。そうなると、国際的な競争力にも関わってきます。
そのため、危機感を抱いた文部科学省は「科学技術・理科大好きプラン」を打ち立て、そのうちの一つとして、SSHをスタートさせたわけです。

SSHではどのようなことをしている?


SSHには、「科学技術系人材の教育」としての役割だけでなく、「研究開発学校」としての役割も与えられています。これはつまり、「新しい学習指導要領(ルール)を作るために、まずはSSHで新しいスタイルを試してみて、効果が出たら、すべての学校に取り入れよう」という取り組みです。

そのためSSHでは、一定の条件下で、学習指導要領の範囲を超えた活動を行うことができます。「認められた範囲」「受験勉強に使える範囲」に閉じこもってしまうことなく、発展的な活動を行えることが、SSHの大きな特徴といえるでしょう。

具体的な活動としては、

・大学や研究機関等と連携した授業
・企業や実験施設などの見学
・充実したクラブ活動
・コンテスト・研究会への出場

などが挙げられます。
最近では、よりグローバルな社会に対応するため、海外への留学や英語プレゼンテーションなども活発に行われています。さまざまな側面で、子どもたちの興味・関心を引くようなカリキュラムが組まれているのです。

SSH指定校にはどのような学校がある?


SSH指定校になるには、それぞれの学校が文部科学省に応募して、審査を受ける必要があります。採択されてSSH指定校になると、科学技術振興機構(JST)からサポートを受けながら、さまざまな活動をすることになります。

指定校のうち、大多数は公立高校です。学校によっては、一部のクラスだけをSSH対象としている場合もあります。
SSH指定校の4年制大学理系学部への進学率は、全国平均と比べると男子で約2倍、女子で約3倍となっており、高い効果を感じさせられます。

地域のバランスをとるため、今ではすべての都道府県にSSH指定校が置かれていますが、とくに多いのは有名な大学に近い地域のようです。このような地域のSSH指定校は、大学との交流・連携も盛んに行なっています。

なぜいま、SSH指定校が注目されるのか


これまでの学校の授業スタイルは、先生が教科書に基づいて授業を行い、生徒はそれを聞いて覚えるだけ……という暗記・詰め込み型になりやすいことが指摘されてきました。その結果、成長した子どもたちに対して「自分でものを考えられない」「指示待ち人間」といった批判がされるようになり、大きな課題となってしまいました。

また、「テクノロジーが進歩していく中で、人間だけが持っている力は創造力だ!」という意見もあり、子どもたちがより自主的に、創造的な活動を行えるような教育のニーズが高まってきたのです。

文部科学省は、マークシート方式のセンター試験を廃止し、「思考力・判断力・表現力」を問う、新しいスタイルの大学入試に切り替えていくと発表しました。これが、2020年度の大学入試改革です。

一方、SSH指定校からは、特許出願や、アメリカの学会誌への論文掲載を果たした高校生も出てきています。
SSH指定校では、グループ学習・個人学習など、形式は学校によってさまざまですが、何かひとつのテーマに対して仮説を立て、実験を行なって考察する……という、創造的なスタイルの活動が行われているのです。

時代的にも、制度的にも、求められる教育が大きく変わる中で、自分で課題を探し、それを解決していく能力を養ってくれるSSH指定校の人気が、ますます高まっています。

まとめ


「理科離れ」をきっかけに構想され、今では200校以上が指定されるSSH。テクノロジーの進歩やグローバル化、大学入試の変化などによって、これまで以上に注目が高まっていくでしょう。

実施当初は「エリートにだけ予算を配分する制度だ」という批判もあったSSHですが、最近では、実践結果が教育全体に与える影響も大きくなってきています。これからの展開に、期待が高まっています。

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この記事を書いた人


庭田ずみ(NIWATA Zumi)

京都大学大学院にて、博士課程の院生をしながらライター業を営んでいます。ニックネームは「雨が地面に溜まったもの」を意味する「潦(にはたづみ)」から。専門は言語学、文学です。IT系とは縁遠いからこその視点を大事にしていきたいです。

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