文科省のGIGAスクール構想とは?小学校に1人1台タブレットはいつから?
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本記事では、GIGAスクール構想のねらいや導入の背景、学校教育にどんな変化があるのか、保護者として知っておきたいポイントをわかりやすく解説します。
GIGAスクール構想の概要とは?いつからタブレットが配布された?
GIGAスクール構想は2019年12月13日には閣議決定され、子ども1人に1台の端末と高速大容量の通信ネットワークを全国の小学校に整備する取り組みが始まりました。では、GIGAスクール構想により学校はソフト面、ハード面でどのように変化するのでしょうか?
ここでは、政府が補正予算案のなかに折り込んだ施策についてまとめます。
参考:小学校タブレット
ハード面ではICT環境整備を根本的に充実させる
ハード面での施策は大きく3つのポイントが上げられています。1.児童生徒1人1台コンピュータを実現するために、1台あたり4.5万円を補助し、2023年までに達成する。
2.2020年中にすべての小・中・高校・特別支援学校などで高速大容量の通信ネットワークが整備されるよう費用の1/2を補助する。
3.政府でモデル仕様書を用意し、都道府県レベルで共同調達など、より効果的・効率的な調達ができるように支援する。
一人一人が端末を持って学習できるだけではなく、ネットワークで「つながる」教育スタイル確立に大きな熱意が注がれているのがわかります。
ソフト面では教材も含めた学び環境を充実させる
GIGAスクール構想により、教材や授業の進め方にも変化が求められていきます。1.1人1台体制によって可能になるデジタルコンテンツを生かし、デジタル教科書・教材などを整備していく。
2.各教科で、どんな授業を進めるかICTを効果的に活用した学習活動のガイドラインを用意する。
3.AIドリルなどを作成し、授業のすみずみに先端技術を活用した環境を整備する。
単に形式だけに終わらない、ICTを生かした新しいコンセプトの授業のあり方が追求されています。
参考:タブレット学習
ICTを使いこなせる教師を育てる指導体制
ハード&ソフトが備わっても実際に教壇に立つ教師がICTを使いこなせなければ意味がありません。その観点から指導体制の強化も進められます。1.各地域の指導者養成研修を実施する。
2.ICT活用教育アドバイザーを任命し、全国で説明会・ワークショップを開催する。
3.企業などの外部人材を、ICT支援員として活用する。
ハード、ソフト、そして教職員とあらゆる角度から教育のICT化を進めていく、強い意欲が示されています。
GIGAスクール構想により期待される効果
教室にパソコンやタブレット端末を持ち込むGIGAスクール構想により、どんな効果が期待されているのか?ここではGIGAスクール構想導入後の教育の変化をまとめます。一斉学習から21世紀型の学習へ
これまでの学校の授業は、先生が黒板に板書して、子どもたちはそれを書き写すだけ。手を上げて発表する子だけが授業して参加して、よくわからない子どもは取り残されて「お客さん」になっていました。
ネットワークと1人1台端末の環境があれば、先生はすべての子どもの回答をその場で確認し、習熟度をチェックしながら授業の速度などを調整したり、理解できている子どもが少ない場合には重点的な知識の補充もできます。
一斉学習から、だれも取り残されない21世紀型の学習へ、GIGAスクール構想の主眼点がここにあります。
アクティブ・ラーニングの推進により、PISA型読解力を育成する
2018年に行われた国際的な学力テストPISA(Programme for International Student Assessment)で日本の子どもたちは、科学的リテラシーでは2位と健闘しましたが、数学力リテラシーでは5位、読解力では8位(1位はいずれもシンガポール)と課題を残しました。とくに深刻な読解力の向上のために、単なる知識習得の学習ではなく主体的・対話的・深い学びを実現するアクティブ・ラーニングの観点が重視されてきました。
端末1人1台体制をめざすGIGAスクール構想はまさに、アクティブ・ラーニングに最適な環境であり、国際的に遅れをとった読解力の向上が期待されています。
もちろん、プログラミング教育にも役立つ
2020年から小学校のプログラミング教育が必修化されます。そのなかで、パソコン、タブレット端末などの環境整備が遅れている事実が、保護者の不安材料の一つになってきました。
端末を使わない「アンプラグド学習」の推進などが期待されていますが、それでもやはり「プログラミング」を理解するには、端末にさわるのとさわらないのでは天と地ほどの差がありそうです。
GIGAスクール構想の実現は、プログラミング教育の効果の拡大への貢献度も期待されています。
小中高校で必修化したプログラミング教育。「そもそもプログラミング教育とは?」「なぜ必修化?」「受験や就職への影響は?」など、プログラミング教育の全貌を徹底解説!お子様のプログラミング教育におすすめなスクール情報も紹介。
2025/06/11 14:44
工夫しだいであらゆる教科に役に立つ
社会・理科
もっとも効果を発揮しそうなのが「調べ学習」です。検索サイトやWeb情報の利用によって、これまでは図書館などで資料を引き写していた作業を、カット&ペースで利用でき、スピードアップと内容充実を両立できます。また、知的財産権に関する学習も、その過程で可能になります。算数
計算問題を解いたら、リアルタイムで答え合わせができ、正しい考え方を学びなおせば「間違えたまま」でいる子どもの数を減らせます。国語
端末上で作文・読書感想文などを作成しながら、タイピングまで学べます。また、ネットワーク機能を使って、子ども同士のディスカッションにも役立てられます。図工・音楽
お絵かきソフト、簡易DTM(Desk Top Music)などにより、手先が不器用な子どもでも自由に創造できる環境を用意し、クリエーティブなマインドを育てられます。体育
50m走や走り高跳びなど、体育の時間の記録を蓄積し、自分の成長を確認できます。また、ムービーで、すぐれたアスリートのフォームを研究して、個々の能力アップにも結びつきます。工夫次第でいろいろなメリットが生まれてくるGIGAスクール構想は、まさにアイデア勝負の世界といえそうです。
GIGAスクール構想のデメリットとは?
一見するとメリットばかり.でも、使い方を間違えると、むしろ弊害が出てくると考える人もいます。ここではGIGAスクール構想のデメリットとリスクについてまとめてみます。手書きのメリットがなくなる
過去の教室では学習内容を「くり返し手書きして記憶する」方法が「手間はかかるが、確実な学習」といわれていました。授業からノートと鉛筆が失われたときに、この効果がなくならないかと心配されています。
とくに漢字学習をパソコン・タブレットは不可能ではないかと不安視する人もいます。
遊びと学習の境目があいまいになる
1人1台のパソコンやタブレット端末が使えるようになったら、子どもが勝手にゲームをインストールして休み時間にも遊びはじめるのではないかと心配する人もいます。いろんなアプリのインストールによる端末のカスタマイジングがコンピュータリテラシーを高める大きな学習効果があるものです。
でも、その一方で、遊びと学習の境目が失われる危惧もあり、その対策が検討されてしかるべきだといえます。
SNSなどネットの危険を学べるか
Instagram、Tik Tokなど多くのSNSには年齢制限があり、13歳未満のアカウント登録は禁じられています。1人1台のパソコンやタブレット端末を持つようになると、この禁を破って登録する子どもが続出するのではないかと心配する人もいます。
SNSには、さまざまな誘惑や危険も指摘されていて、保護者にとっては心配のタネはつきません。
また、家庭の方針で「中学生まではスマートフォンは持たせない」としている家の子どもにも自動的に端末が使えるようになってしまうジレンマも生まれてきそうです。
参考:ネットリテラシーとは?
カバンを投げて、端末が壊れてしまったらどうするか?
じつは、これがいちばん多くの保護者が心配しているデメリットかもしれません。小学生の子どもは、どんなに注意しても、ときどきモノを雑に扱います。
タブレット端末が入ったらランドセルを投げて、こわしてしまう子どもが「1人も出ない」とは、まず考えられないでしょう。
1台あたり数万円もする端末の修理代をどうするか、学校関係者や保護者の悲鳴が聞こえそうです。
タブレット配布では家庭での支援も大切
GIGAスクール構想で子供の教育環境は大きく変わりました。それによって、子供たちのライフスタイルや今後の生き方が変わってくることが予想されます。タブレットなどの利用を学校や子供任せにするのではなく、家庭側でも積極的に使い方を考えていく必要があるでしょう。最も大きな問題は、タブレットをどのように使うかでしょうか。タブレット端末を与えると、ゲームやインターネットばかりに興じてしまうのではないかと心配になる親御さんもいるかもしれません。しかし、利用を制限してしまうと、子供の自由な発想を奪ったり、学校の宿題をこなすのに支障が出たりするでしょう。
学校側で定められているルールもあるとは思いますが、それと合わせて、家庭内のルールもしっかりと作っておき、お子さんと合意をしておくのがおすすめです。
GIGAスクール構想が一気に加速し、皆さんのご家庭でも、学校から貸し出された端末をお子さんが持ち帰ってきていませんか? どんな機種が配布され、どのような授業や使い方をしているのか、破損した場合や保険について、他の皆さんの体験が気になりますね。今回はタブレット配布が行われた家庭を対象に、トラブル体験や感想も含めて取材しました。
2025/06/09 19:08
まとめ:変化は急。だけど、子どもは変わらない。
今回の記事ではGIGAスクール構想について紹介しました。政府はいまICT教育に大きな力を注ぎ、学校教育の進め方までも大きく変えようとしています。
そのなかで、どのように変化から乗り遅れないようにするか、保護者にとっても頭の痛いところです。
ランドセルに入れる持ち物から、授業の進め方まで大きく変わるGIGAスクール構想に向けて、両親のパソコンやタブレット端末にさわって感覚をおぼえていくのも一つの準備として役に立つかもしれません。
コンピュータリテラシー向上や正しい端末の扱い方を学ぶために、プログラミング教室やロボット教室に通わせたいと考える保護者の方は、ぜひコエテコのコラムをチェックしてみてくださいね。
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