ドローン物流の仕組みとは?配達/配送や輸送の課題も解説
日本国内でドローン物流が実現すれば、荷物をよりスピーディーに運べるようになることが期待されています。ドローン物流を実現させるために、大手企業によるさまざまな取り組みもスタートしています。
この記事では、ドローン物流実用化を目指している現状や、ドローン物流におけるメリットやデメリット、課題をご紹介します。来るドローン物流の実現に向けて、ドローン配送・輸送・配達の詳細を理解しておきましょう!
ドローン物流の社会実装の基本コンセプト
政府は「ドローン宅配」の実装を目指し、ドローンの実証実験を推進しています。ここでは、ドローン物流の社会実装の基本コンセプト3選を解説します。過疎地・離島物流
高齢化や単身世帯の増加に伴い、買い物難民は10年間で約4割増加することが予想されています。全国では、約700万人もの買い物難民がいるといわれています。山間部に限らず、ベッドタウンや大都市においても、高齢者世帯では買い物難民になってしまうケースが少なくありません。ドローン宅配が実装されることで、山間部でも短時間で荷物を宅配できる点がメリットだといえます。国内では、過疎部を中心にドローン宅配の試験が活発に行われています。配送の担い手不足を補うためにも、ドローン宅配の実装は急がれていることが現状です。
医薬品物流
2022年より、日本航空やKDDIによる医薬品をドローンで運ぶ実証実験が行われています。医薬品物流は、災害時などにもドローンによって医薬品を迅速に届けることを目的に推進されています。医薬品物流の試験は、海を越えて実施されているケースも。ドローンによる医薬品物流においては、オンライン診療を受けた患者へ医薬品を届ける実証実験やオンライン服薬指導なども行われています。離島や山間部に住んでいて病気を抱えている方が、医薬品をスムーズに受け取れる環境作りを目指しています。
参考:日本経済新聞
農作物物流
農業従事者の高齢化に伴い、収穫物の出荷や運搬作業の効率化などを目的にドローンが導入されています。農作物物流にドローンを利用することで、農業従事者の身体的負担を減らし、輸送時間を短縮するなどのメリットがあります。農作物を圃場から集積所へ運ぶ際にドローンを利用すれば、人員削減・コスト削減にもつながるでしょう。ただし、農作物を運搬するためには、大型の産業機の操縦を練習する必要があります。
参考:ドローンの利活用の促進・社会実装に向けた取組
物流業界が抱えている課題とは?
物流業界では、オンライン通販を利用する人が増えたことで多くの課題を抱えています。まずは、再配達による時間と労力のロスです。都内では35%ほどの荷物は、不在配達となり持ち帰るという問題が起こっています。不在配達による行き違いで、配達員と客間に生じるトラブルも少なくありません。また、物流量が年々増加していることにより、交通渋滞が慢性的に起こっていることも問題視されています。交通渋滞により、荷物を時間通りに配達できないなど悪循環も起こっていることが物流業界の現状です。さらに、荷物量に対して、圧倒的にドライバー数が少ないことも問題となっています。ドライバー達の高齢化により、現場からは労働力不足も叫ばれています。
CO2排出量を削減させていくことも、トラック輸送をする際には大きな課題だといえるでしょう。自転車配達を導入している企業もありますが、大型の荷物や長距離の移動には向かないことが問題点だといえます。
参考:楽天
2022年12月よりドローンの免許制・国家資格制度も開始
日本では2022年にドローン物流を実現させるために、実証実験が各地で行われています。産業用のドローンにおける市場規模も、2019年から2025年までに4.5倍ほどまで成長するといわれ、注目を集めています。ドローン市場を牽引するとされているのは、ドローン物流も含まれる「サービス分野」です。政府は「空の産業革命に向けたロードマップ2019」を発表した際に、2022年を目標にドローンを活用した荷物配送の実現を目指したいと宣言しました。具体的な方法として、技術開発や環境整備を行いながら、過疎地からサービスを導入していきます。次いで、郊外の人が密集しないエリアへ拡大し、最終的には都心部や市街地でもサービスを広げていく方針です。
しかし、ドローンが抱えている問題点として、精密機器や重量が重いものの運搬が難しい点が挙げられます。そのようなドローンの弱点を補うためにエアロネクストの「4D GRAVITY® 」の導入が注目を集めています。ハードウェアとソフトウェアの技術を駆使することによって、ドローンを正確かつ安全に目標地点へ飛ばすことを実現できると予想されています。
ドローンの物流を実施する際に、ドローンの国家資格は必須ではありません。しかし、国家資格を取得することで、これまで飛行できなかったシーンで運航できるようになります。具体的には、レベル4飛行(第三者上空)でのドローン飛行が可能になります。さらに、申請や許可の手間が省略されるなど、国家資格を取得するメリットは多くあります。
参考:AERONEXT
参考:レベル4の実現に向けた新たな制度整備等
参考:ドローンの国家資格・免許制度!費用や取り方・どれがいいのか解説
ドローン物流(配達・配送)にかかる費用
ドローン物流にかかる初期費用は、以下の通りです。- 機体、関連設備の導入に要する経費
- 事務手続きに要する経費(許認可手続き等)
- 試験飛行に要する経費(委託費、人件費、電気・燃料、通信費)
- 社会受容性を醸成するための経費(住民説明会など)
上記の費用のなかでは、特に4番目のドローン導入期に費用がかかりやすい傾向があります。ほかにも、恒久的に発生する費用としては、機体の点検費用や保険料などが含まれるランニングコストや運航経費などがあります。
実際に物流向けのドローンを導入するためには、200~400万円ほどの機体を購入する必要があります。ドローンを導入する際にまとまった費用は必要となりますが、航空機や船舶などを利用するよりも安価な価格で荷物を運べる点が魅力だといえるでしょう。
参考:ドローンを活用した荷物等配送に関するガイドライン
ドローン物流の社会実験実例
ドローン物流の内容 | 地域 |
過疎地・離島物流 |
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医薬品物流 |
|
農作物物流 |
|
参考:ドローンの利活用の促進・社会実装に向けた取組
日本や世界でスタートしているドローン物流(配送・配達)
日本では、2022年の本格的なドローン物流のスタートを目指して、各地でドローン物流が導入されるようになりました。この段落では、2021年4月時点で導入されている日本や世界のドローン物流の一部をご紹介します。世界で初めて導入されたドローン物流「そら楽」
楽天が業界の中でもいち早く導入したドローンサービスは、「そら楽」です。そら楽は第一弾プロジェクトとして、ゴルフ場へドローン技術サービスを提供していました。コントローラ不要のマルチコプター型ドローンの「天空」を導入し、完全自律飛行するドローンを実現しました。専用のショッピングアプリを利用することで、搭載されている「重量インジケーター」が自動で商品の重さを表示してくれます。「ドローンダッシュボード」からは、飛行中のドローンの状態を随時チェックすることが可能です。
参考:RakutenDrone
Amazonのドローン配送サービス
通販サービスとして大手のAmazonは、2020年に「航空運送業者」として米連邦航空局からドローン配送開始の許可を得ています。ドローンが排気ガスを出さない点や交通渋滞を引き起こさないというメリットがあることから、ドローンの実証実験に踏み出したといわれています。ドローン配送の実証実験も重ねていますが、未だ政府が規制を決めかねていることや安全性などの問題からドローンが本格的に配送に導入されるのは数年先になると予想されています。なお、Amazonが初めて試験運用としてドローンで輸送したのは、企業間の医療品でした。ドローンの実証実験を行った際に、近隣住民からは「騒音や安全性に対する不安感」で苦情が出た点については今後のドローン配送の課題となりそうです。
参考:WIRED
ドローン物流(ドローンを用いた配達)のメリットとデメリット・課題
それでは、ドローン物流が実現された場合のメリットとデメリットを理解していきましょう。私たちはドローン物流が実現されたとき、どのように活用していくべきなのでしょうか?ドローン物流(ドローンを用いた配達)のメリット
ドローン物流(ドローンを用いた配達)が実現することのメリットは、以下の通りです。- 交通渋滞を緩和することが可能
- よりスピーディーに荷物を宅配できる
- 運搬時のコストを抑えられる
- 運送業の人手不足を補える
- 過疎地や被災地へも宅配できる
- 配達員と客間でのトラブル防止
日本国内のドローンの飛行高度は、150m未満と定められています。150m未満の高度なら、直線的に荷物を運搬しやすくなります。これによって、道路を利用して配送するよりも、よりスピーディーに荷物を宅配できます。
また、東日本大震災のような荷物の運搬が困難な場面においても、ドローンの活用は期待されています。被災地では二次災害に巻き込まれる恐れもありますが、ドローンを有効活用することでそのような被災を防ぐことができるでしょう。
参考:ATCL
ドローン物流(ドローンを用いた配達)のデメリット
それでは、ドローン物流におけるデメリットを確認していきましょう。- ドローンが破損し墜落する可能性がある
- ドローンが墜落する際に人に被害を及ぼす可能性がある
- ドローンと荷物が盗難に遭う可能性がある
- 荷物の重量制限が予想される
ドローン物流のデメリットとして問題視されているのは、人に被害を及ぼす可能性が否定できない点にあります。ドローンの墜落時に、大怪我を負わせるなど重大な被害を及ぼしてしまうことを心配する人は少なくありません。家や所有物にドローンがぶつかった際に、器物損害を起こす可能性もあるでしょう。
配達員が直接荷物を宅配するのとは異なり、ドローンが荷物を途中で落下させてしまう可能性も否定できません。誤った場所に届けてしまった場合に、荷物やドローンを盗難されるなどのトラブルも起こりうるでしょう。
ドローン物流・配送の事例
ドローン物流は、現在実証実験が重ねられており、地域によっては活用が始まっている場合もあります。例えば、KDDIスマートドローン株式会社は、中山間地域にある長野県伊那市において、ケーブルテレビの画面から地元スーパーの商品をシステムを構築し、ドローンで配送する「ゆうあいマーケット」を提供しています。
その他にも、日本航空(JAL)と離島の多い奄美大島への物流実装実験が開始され、ドローンを含め、トラックや船など様々な配送手段を組み合わせた最適な輸送システムの構築を目指しています。
これまで日本のドローン産業は、スタートアップが市場の盛り上がりをけん引していました。そのような中にあって、近年モバイル通信大手企業の強みを生かして目覚ましい実績を挙げているのがKDDIスマートドローン株式会社です。 大手通信事業者だからこその役割やいま挑戦している事例について、同社代表取締役社長の博野雅文氏に伺いました。
2024/04/01 03:16
ANAホールディングスが新しく立ち上げたデジタル・デザイン・ラボでは、離島や山間部への血液検体や医療品の輸送といった実証実験を行っています。さらに、福岡県福島市西区能古島へセブン-イレブンのネットコンビニで注文した商品や薬局の処方箋医薬品をドローンで即時配送するなど、物資の届きにくい地域への安定した配送を実現するために、実証実験が重ねられています。
私たちの便利な生活を支えてくれている宅配業への負担は大きく、物流業界の人手不足は年々深刻化しています。そこで期待されているのが、ドローンによる物流改革です。航空運送事業を幅広く展開するANAホールディングスが設立したデジタル・デザイン・ラボで、ドローンプロジェクトディレクターを務める信田さんに、社会実装に向けた課題や今後の展望などについてお話をうかがいました。
2023/02/22 10:39
ドローン物流の仕組み・配送方法まとめ
多くの企業から熱い期待を寄せられるドローン物流は、2022年の本格的な導入が開始される前に乗り越えるべき壁が多くあります。今後、ドローン物流がスタートしたときに、メリットやデメリットを理解したうえで利用するかを検討したいですね。RECOMMEND
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