「コエテコドローンスクールEXPO2023(2日目)」レポート|ドローン産業発展に必要なこと、操縦士が心がけることやスクールが果たす役割とは
本セミナーは、業界団体や有識者、ドローンスクール運営者から官公庁などのプロフェッショナルにご講演いただくことで、ドローン市場を盛り上げ業界のさらなる発展を促すものです。
2日目となる21日には、一般社団法人日本UAS産業振興協議会 鈴木 真二氏、FREE BIRDドローンスクール 川上 晋氏、ドローンモンスター合同会社 金井 聡和氏、株式会社中京電気 岩附 直子氏、K.S.ドローンカレッジ 西口 英典氏、株式会社トルビズオン 増本 衛氏/中園 あかね氏の合わせて6社7名に登壇いただきました。
モデレーターは「コエテコドローンスクールEXPO2023」責任者 高橋 範恵が担当。ドローンの活用を普及するための課題やドローンスクールの特色をどのように出していくか、さらにドローンの機体を選ぶポイントまで、より具体的なテーマでトークが行われました。
- 1. (一般社団法人日本UAS産業振興協議会)ドローンの社会実装に向けた課題と展望
- 2. (FREE BIRDドローンスクール)eラーニングで学科試験の合格率アップ!教材開発秘話と、無人航空機産業の飛躍への展望
- 3. (ドローンモンスター合同会社)ドローン販売代理店が教える!目的ごとのドローン選定について
- 4. (株式会社中京電気)現役の電気技師である講師が解説!プラントにおけるドローンの活用状況と女性のドローン業界進出について
- 5. (K.S.ドローンカレッジ)異業種からドローン事業への参入!日本語学校が運営するドローンスクールの強みとは
- 6. (株式会社トルビズオン)佐賀県発祥!「街全体をトレーニング空路に変える - 新次元ドローンスクール」 活用事例から学ぶ「自動操縦」の魅力と、スクールで指導するべき「安全管理」について
- 7. まとめ|コエテコドローンスクールEXPO2023 2日目
(一般社団法人日本UAS産業振興協議会)ドローンの社会実装に向けた課題と展望

一般社団法人日本UAS産業振興協議会(JUIDA)は、ドローンの産業振興を促進するため、2014年に設立された非営利の民間団体です。今回は理事長の鈴木 真二さんより、2022年12月の改正航空法施行によりレベル4飛行(有人地帯での目視外飛行)が実現した今、本格的に世界で実装していくために必要なことや課題、民間団体に求められる役割などをお話しいただきました。
ドローンの利用分野は、空撮以外に物流、農薬散布、電波の中継や空中サンプリングなどさまざまな分野で活用が広がっています。

JUIDAはドローンの産業利用を促進するため、2014年7月に発足された一般社団法人です。ドローンの操縦技能を向上させることがドローンの普及に繋がると考え、JUIDA認定スクール制度を2015年にスタートしています。ドローン市場の成長と比例して、会員数も大幅に増加してきました。
鈴木さんは、ドローンの普及を遅らせる可能性があるリスクとして、6つの課題を挙げました。
こうしたリスクに対して、安全性をいかに確保して利用拡大するかということが、ドローンが抱えている大きな課題だと鈴木さんは指摘します。
- 落下事故、テロへの悪用
- 離着陸時の航空機とのニアミスによる空港閉鎖
- 規制の強化で自由に飛ばせない
- 物流用途には性能的に厳しい(バッテリー駆動による制約:飛行時間やペイロード)
- 上空からの撮影によるプライバシー侵害、無線使用によるセキュリティの懸念
- 騒音問題
2022年12月の改正航空法の施行によりレベル4飛行が制度化され、2023年3月には東京都奥多摩町にて、実際にドローンによる配送荷物の輸送の実証実験が行われています。
レベル4実現のために、機体の認証制度や、操縦者の国家ライセンス化、100g以上のドローンの機体登録およびリモートID装着の義務化、といったさまざまな制度が整備されました。鈴木さんは、レベル4の実現における民間の役割について強調します。
例えば機体認証は、国と民間が一緒に基準を作り、検査は民間の団体が行っています。国家操縦ライセンスは、実際に試験を実施するのは指定試験機関であり、民間の登録講習機関がその教育に携わることも決められました。ほかにも、リスク評価ガイドラインや、ドローンサービスを標準化するためのJISの原案作り、画像伝送用の周波数管理、ドローンの運行管理にも民間団体が関わっています。
鈴木さんは「航空の世界以上に、民間がさまざまな分野で役割を果たすことが必要になる」と話します。特にドローンスクールが担う人材養成に関しては、国のライセンスとともに民間ライセンスの活用によってドローンが多くの人に使われるようになることが望まれています。

講演の最後には、「ドローンの利用によって達成できる社会的利便性とリスクの両者を勘案して、どのようにドローンの社会実装をしていくのか、今後検討していく必要があると考えています」と締めくくりました。
(FREE BIRDドローンスクール)eラーニングで学科試験の合格率アップ!教材開発秘話と、無人航空機産業の飛躍への展望

オンライン教材が、国家資格の学科試験対策として大変わかりやすいと好評のFREE BIRDドローンスクール。代表の川上 晋さんからは、オンライン教材の開発秘話と、パイロットの方たちに意識してほしいこと、無人航空機産業飛躍への展望というテーマでお話しいただきました。
FREE BIRDドローンスクールのオンライン教材は、川上さん自ら撮影や編集を行っているそうです。講座内容の評判が口コミで広がり、現在は大学でドローン概論の授業を担当することになったといいます。
教材を作成する際に心掛けたのは「ただ教科書を読み上げるような講習ではなく、自身の航空知識も活かした内容の濃い講習にすること」だそうです。カリキュラムを効率よく学べるように、Eラーニングを取り入れました。
Eラーニングは「時間の制約がない」「講師の違いによる教育内容の差がない」「聞き直しや復習が可能」といったメリットがあり、受講者は移動の負担なく、自分が集中できるタイミングで学ぶことができます。
カテゴリの最後には中間テストを設け、一定の正解率になるまで次に進めないようにし、受講生の習熟度を上げる工夫をしています。

無人航空機を取り扱うためには、リスクを考えて適切な行動を選択できる行動指針が備わっている必要があります。川上さんは、安全とは「不安全要素を取り除くこと」でしか構築できないと話します。
今日と明日では気候条件も変わるので、同じ飛行計画ではうまく飛べないかもしれません。また、操縦士であるからには、安全に離着陸させる義務があります。スクールでは、こうした考え方、スキルを受講生に伝えているとのことでした。
報告されているドローンの事故のうち、多くは機体の制御不能によるものです。なぜ制御不能に陥ったのか、その理由がすぐに出てくるようになることが大切、と川上さんは話しました。

無人航空機産業の発展の土台には「安全性」が不可欠である、と川上さんは話します。安全に飛行できるからこそ需要があり、利用者の利便性の増進に繋がるからです。
2022年6月から始まった機体登録制度や同年12月に施行された改正航空法は、無人航空機における安全構築の基盤ができたといえます。
技術が進歩しいくら機体が進化しようとも、コントロールするのは人間です。川上さんは「人を育てることが私たちドローンスクールの役目であり、使命。人材育成が無人航空機産業の発展に繋がると思っています」と講演を締めくくりました。
(ドローンモンスター合同会社)ドローン販売代理店が教える!目的ごとのドローン選定について

スクールの運営だけでなくドローンの販売も行っているドローンモンスター合同会社。代表の金井 聡和さんからは、さまざまな機体を取り扱う現役パイロットだからこそ伝えられる、分野別の機体の選び方についてお話しいただきました。
農薬散布のドローンとして、金井さんは「DJI」と「TTA JAPAN」のモデルをおすすめします。
DJIはドローンの世界シェアを9割を占め、最近では小さなモデルも出てきたので日本の圃場向きにもなってきたといいます。
TTA JAPANを選んだ理由は「コストパフォーマンスの高さ」です。また、「アプリケーションを日本の総代理店が作っているので聞き取りやすい」「簡単に機体を分解できるので自分で修理ができる」点も長所だそう。
各パーツを自分で交換できるので、部品の予備があれば新しいものに付け替えてすぐに飛ばすことができます。メーカーに送って修理してもらうなど、メンテナンスに時間にかからないのは魅力です。

FPVドローンのおすすめとしては、BATAFPVのドローンを挙げました。
コロナ禍で、家の中で遊べるマイクロドローンがブームになりました。65ミリサイズのドローンが主流で、趣味で遊ばれる方も多いそうです。ドローンモンスターでは、住宅展示場の室内でPR映像を撮影する際などに活用しています。

空撮、点検のドローン選定は、メリットとデメリットをしっかり把握することが重要だと金井さんは話します。特に空撮機は何を買えばいいのか悩まれてる方が多いそうです。
DJI社のMavic 3 Proは一般的な空撮機の中では最上位機種。Mavic 3 Proより少し小さいのがDJI Air 2S。さらに小さい小型のドローンは、DJI Mini 3 Proをおすすめしているとのことでした。

金井さんは、機体選びのコツを3つ紹介しました。
1つ目のポイントは「機体の大きさ」です。
- 機体の大きさ
- 受信距離の強弱
- ズーム機能の有無
上位機種は、大きいので風に強いという特長があります。風が強くなるロケーションで使用することが多いのであれば、プロ向けである上位機種がおすすめ。グレードが高い機種はカメラの性能が良いというメリットもあります。
そこまで高い金額は出せないけれど、海辺などある程度の風があるロケーションでも耐えられるものがいい方は中型。旅行に気軽に持っていける、空飛ぶデジカメのような感覚で使いたい方には小型の機種をおすすめしているとのことでした。
2つ目のポイントは「受信距離の強弱」です。
上位機種になればなるほど、電波が強く映像転送の電波が遠いところまで届きます。小型機種は電波が弱く、映像が切れてしまうこともあるそうです。
3つ目のポイントは「ズーム機能の有無」。必要な方はチェックすべきポイントです。
「今後こういうことをしたい」という用途をしっかり決めることが大事だと、金井さんは話します。また、機種によって操作感も違うので、自分が使いやすい機体を選ぶのもポイント。ドローンモンスターでは、実際の機体で操作感を確かめてから購入していただけるそうです。
講演の最後には「今後はプログラミングも踏まえた子ども向けのドローン塾や、プロも通える空撮教室といった展開を考えている」と展望を語りました。
(株式会社中京電気)現役の電気技師である講師が解説!プラントにおけるドローンの活用状況と女性のドローン業界進出について

株式会社中京電気 ドローン事業担当 岩附 直子さんからは、スクール開校までの経緯や、暗い場所や狭い場所での危険を伴う作業において、ドローンがどのように活躍するのかについて具体的にお話しいただきました。
高圧設備や非常用発電設備などの工事を行う中京電気で、ご自身も足場を組んだ危険な作業をたくさん経験されてきた岩附さん。女性がプラント業界で活躍できる環境を作ろうと思いドローン事業を立ち上げました。
建築業は重い材料を扱うことが多く、夏は暑くて冬は寒い環境の中で働きます。体力面での負担をどうにかして減らしたいと考えていたものの、なかなかうまく打開策が見つからなかったといいます。
そのような中でコロナ禍が始まり、技術を持って現場に出入りして、しっかり生計を立てていきたいと考える女性が、何名か面接に来られたそう。しかし、体が華奢だったり小さかったり、今まであまり重いものを持ったことがなかったりで採用できないことがあったそうです。女性たちががっかりして帰っていくのを見て「女性でもプラントや建築業で、きちんと働いていける環境が作れないだろうか」と思ったことが、ドローンスクールを開校するきっかけとなりました。
しかし、スクール開校に向けてドローンスクールを受講して資格を取得したものの、実際の現場でドローンを飛行させる際に、スクールでの練習環境との違いに戸惑ってしまったという岩附さん。
「これからプラントや土木系でドローンを使っていこうと思っている方が私と同じ戸惑いがないように、より現場に近い環境で練習ができ、卒業後はしっかりドローンを活用できるスクールを作りたいと考えました」と語ります。
UASドローンスクールは「より実践に近い」ことが大きな特色です。屋外練習場は愛知県山間部の飛行場。山の合間なので天候が変わりやすく、非常に高低差があるところです。実際の測量や点検でも高低差がある場所が多く、風の吹き方も平地や街中とは違うため、実践的な練習ができる環境となっています。
山間で民家がほとんどないため、高い高度まで上げる練習も可能です。また、通常授業とは別に、ドローンには欠かせないカメラワークの授業も行っているそうです。
岩附さんが通常業務で使っている、プラント現場におすすめの機体として、スイス製の「ELIOS 2」という球体ドローンが紹介されました。
この機体は「LEDで明るく撮影しながら飛行できる」「飛行しながら点群マップを自動で作成できる」「周りがガードで囲われているため、設備に接触して損傷する可能性が低い」という特徴を持ち、プラント内での活用に適しているといいます。

この球体ドローンの活用事例として、崩落の危険もあるトンネル内での点検や、狭いボイラー内の撮影、地下ピットなど閉鎖環境の点検、暗いタンクの中の点検などが挙げられました。これらの場所でも、人が行かなくても撮影しながら点群データをまとめて帰ってきたり、暗い場所でも明るく照らしながら撮影して帰ってくることができます。
点検には費用、点検時間、日数、作業員の人数が非常にかかりますが、岩附さんは「ドローンの活用によって、足場の設置・解体費、作業員の人件費の削減、安全の担保、点検日数の短縮などのメリットがある」と説明しました。
(K.S.ドローンカレッジ)異業種からドローン事業への参入!日本語学校が運営するドローンスクールの強みとは

K.S.ドローンカレッジ 専属インストラクター 西口 英典さんからは、全くの異業種からドローンの事業を始めた経緯についてお話しいただきました。どのような準備が必要だったのか、本業をどのように生かしたのか、国からはどのような補助を受けられたのか、など具体的な内容が満載です。
K.S.ドローンカレッジを運営する株式会社国書刊行会は、ロシア文学などの翻訳から始まり、現在は、歴史・仏教などの学術書、美術・映画をはじめとする芸術書など幅広いジャンルを扱う出版社で、今年で50周年を迎えました。また、学生定員700名を超える大型の日本語学校「国書日本語学校」も運営しています。
ドローンスクールを開校することになったきっかけは、新型コロナウイルス感染症の流行だったそうです。留学生の入国制限があり、コロナ禍が始まって2年間はほとんどの学生が日本に来ませんでした。
2年経ってもまだまだ先の見通しが立たないことから、新しい事業を始めることに。いろいろと検討した結果、ドローンスクールという選択肢が浮上し、「今後の将来性がある」「日本語学校の教育ノウハウを活かせる」「出版会社が持つ人脈を活かせる」「所有している施設や土地を最大限に活かせる」ことから、一歩を踏み出すことにしたと言います。
日本語学校の学生数が減ったため余っていた教室の一部を室内飛行場にし、日光に所有していた土地も屋外飛行場に利用しながら、K.S.ドローンカレッジを開校しました。
スクールを始める際には、経済産業省の「事業再構築補助金」を利用したそうです。申請条件は「中小企業であること」「事業は新規性をもつもの」「事業計画期間を設定、終了時に現時点の売り上げ高の10%以上の売上を見込まれる計画であること」の3つ。K.S.ドローンカレッジは期間を5年間と設定し、5年後には5000万円の売り上げを見込む計画で進めているとのことでした。
申請が許可されると、新規事業の経費(認められている部分)の3分の2が返金されます。しかし「計画書に載っていない」ことを理由に却下されてしまった経費もあるそうで、「これから新規で申請しようと考えている方は、経費になりそうなものはすべて計画書に記載しておくのがおすすめ」と西口さんは話します。

2022年8月に開校し約1年スクールを運営してみて、受講生の特徴が見えてきたと西口さんは話します。
- 目的は人それぞれ
- 指導方法も人それぞれ
- 趣味を極める人たちが多い
- 諦めない根気強さを持っている
趣味として受講する方、転職またはお小遣い稼ぎ、キャリアアップ、本業+ドローンを使うことによる新規顧客の獲得など、受講生の目的はさまざまだそうです。一人ひとり性格が違うので、適した指導方法も違います。
そして趣味を極める方が多く、受講生はみんな根気強さを持っている点も特徴だと感じているとのことでした。
また、日本語学校の学生と比べてみると、「モチベーションが高い人が多い」「イニシエーターである」点が共通していると西口さんは話します。言語・文化の違いはあるけれども、留学生とドローン受講者はほぼ同じだという印象があるそうです。
K.S.ドローンカレッジの強みとしては、以下4つの点を挙げました。
- 日光の屋外飛行場
- 7か国語での対応が可能
- 満足度の高さ
- 常に全力サポート
最後に西口さんは、自分にあったドローンスクール選びの重要性について次のように述べました。「ドローンスクールに通って資格を取りたいと思っている方は、いろんなスクールを比較して、自分に合いそうなところを見つけたら、ぜひ説明会に行きドローンを体験してください。自分に合っているかどうかを確認し、あなたの夢の実現を叶えるスクールがどうか判断してから入校されるといいと思います」
(株式会社トルビズオン)佐賀県発祥!「街全体をトレーニング空路に変える - 新次元ドローンスクール」 活用事例から学ぶ「自動操縦」の魅力と、スクールで指導するべき「安全管理」について

株式会社トルビズオンの増本 衛さん、中園 あかねさんからは、自動操縦に特化したスクールならではのユニークなカリキュラム内容、実際の街中で用途別のコースを展開するコツ、今後の展望についてお話しいただきました。
株式会社トルビズオンは、「世界中の空を利用可能にする」という目標を掲げ、自治体や地域の住民と連携しながら、ドローンを安心安全に飛行できるための空の道を整備する事業「sora:share」を展開しています。
このノウハウを生かしてトレーニング空路を町中に設定。空路を活用して、地域の課題解決に繋がる実践的な技能を身に付けることが可能なドローンスクールの運営も行っています。
現場で遭遇するさまざまなリスク、操縦士が実際に必要とするリアルなスキルは、現場で先輩から見よう見まねで学ぶケースが多いのではないかと思います。体系的に学ぶ機会がない現状は、業界全体として大きな課題であると増本さんは指摘します。
その解決策が、街全体をドローンのトレーニングコースに変える取り組みです。佐賀県多久市の事例では、地域全体を巻き込んで、訓練用の空路に自動操縦を前提とした長距離目視外のコースを設定しています。

中島さんからは、従来型スクールとソラシェア型スクールの違いについて説明がありました。ソラシェア型スクールでは、現場で遭遇するさまざまなリスク、例えば電波障害、強風への対応、フェールセーフの動作、送電線など航路上の障害物に対する高低差の調整など、操縦士に必要な実践的なスキルを学ぶことができます。
続いて増本さんは、ソラシェアドローンスクールが提供する災害調査コースの内容について紹介しました。前半の座学パートでは、防災の基礎知識、災害時の特例、災害現場での空撮方法、自動操縦、リスクアセスメントなどについて詳しく学びます。そして後半の実地パートでは、河川や過去の土砂崩れ現場などに行き、実際の飛行、撮影まで一気通貫で体験します。

災害調査コースは、全国各地で実現可能なプログラムだと中園さんは言います。しかし、自治体や地権者との調整、事前リスクの調査などの方法がわからない場合や、やり方がわかっていたとしても人材不足によりできないケースが多いのが現状。
そういった煩雑な業務を代行するのが、同社が提供するSロードのサービスです。Sロードを利用して、街中にトレーニング空路を設置したドローンスクールの例も紹介されました。
最後に増本さんは、ドローン事業を展開している事業者や、災害調査などに興味のある自治体、空の道を事業として取り組みたい企業などに向けてパートナーシップを呼びかけ、講演を締めくくりました。
まとめ|コエテコドローンスクールEXPO2023 2日目
「コエテコドローンスクールEXPO2023」2日目となる7月21日は、6社7名の方々にご登壇いただきました。ドローン活用を普及するための現在の課題や、ドローンスクール立ち上げ時の悩み、特色の打ち出し方、さらにドローンの機体を選ぶポイントまで、多岐にわたってお話いただきました。本編終了後には「コエテコドローンスクールEXPO2023」責任者 髙橋と、AONEドローンスクール埼玉校 代表 谷 勝彦さんで、ドローン業界への展望に関するアフタートークセッションも開催。どのような方が国家資格取得を目指して受講されているのか、また業界への今後の期待などについての話がありました。
谷さんは、コロナ禍で経営していたパチンコ店が閉店したことで、「未来を感じる仕事がしたい」とドローンスクール開校を決意。2023年には国家資格の登録講習機関となり、最近は受講生も増えてきたと言います。中でも、本業は建築業やカメラマンをしている方がドローンを絡めた事業で開業しようとするケースが増えていると感じているそうです。「国家資格を持っているだけですぐに仕事につながるわけではなく、ドローンと組み合わせられる得意分野を持っていることや、準備をして少しずつできるところから実績を積んでいく意識が必要」とのことでした。
登壇いただいた方々の講演をお聞きすると、ドローン業界の発展のためにまだまだやるべきことはたくさんあることがわかりました。また、各ドローンスクールからは、持っている強みを活かしてどうやって受講生を集めるか、より実践に近いカリキュラムにするにはどうすればいいかなど、具体的なノウハウを多数紹介いただきました。ドローンの産業活用が進む今、本セミナーがドローン業界の発展に少しでも貢献できれば幸いです。
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