株式会社センソクコンサルタント(宮城県)の石館 雄司さんと高橋 眞二さんは、2023年11月に「SKY BIRD 東日本ドローン航行技術教習校」の国家ライセンスコースを卒業しました。現在も測量設計コンサルタントとして、測量業務などでドローンを活用しています。
今回はそんなお二人に、国家ライセンス取得の経緯や受講の感想、スクール選びのポイントなどをお聞きしました。
資格取得の経緯とスクール選び
ーーお二人のご経歴やドローンとの出会いを教えてください。石館さん:
私は高校卒業後にセンソクコンサルタントに入社し、地図作成や測量の仕事にずっと携わってきました。ドローンを始めたのは10年ほど前で、まだ業界ではドローンの活用がそれほど一般的ではなかった時期です。
以前は、飛行機から撮影した航空写真をもとに地図を作ったり、その技術を用いて測量をしたりする業務も行っていました。また、上からの鳥瞰(ちょうかん)写真が必要な場面があれば、釣り竿の先にカメラをくくり付けたり、高い所に登って上から撮影したりもしましたね。
そんな時に、ラジコンヘリにカメラを付けて撮影する方法があるというのを社長がどこかから聞いてきて、「ラジコンで写真が撮れるなら、こんな危険なことをしなくても良いんじゃないか」と。それでとりあえず調べてやってみようということになりました。当時はどこで買えば良いのか、誰に聞けば良いのかも全く分からない手探りの状態でした。
現在、会社にはドローン専門の部署はなく、仕事に応じてチームを作っています。私もドローンの専任業務ではありませんが、民間の操縦資格が出始めた初期に取得しているなど操縦経験も長いので、パイロットも務めています。
高橋さん:
私は測量の仕事を始めて25年ほどになります。センソクコンサルタントには5年ほど前に入社し、測量の仕事と合わせておもにドローンのパイロット業務にあたっています。前職はドローン関連企業、その前はほかの測量会社に勤めていました。
私が趣味でドローンを始めたのは、DJI社の製品が世の中に出始めた頃です。当時は法整備も整っていない状況でしたが、徐々に測量業界でもドローンを活用しようという流れになっていきました。しかし、以前働いていた測量会社ではあまり積極的にドローンを取り入れようという雰囲気がなかったのです。
当時はドローンを取り入れる会社とそうでない会社が大きく分かれていて、私はもっとドローンを活用する方向性の会社で働きたいと思ったので、転職して今に至ります。
ーー今回、国家ライセンスを取得することになった経緯を教えてください。
石館さん:
もともと、民間資格の『操縦技能証明証』と『安全運行管理者証明証』に加えて、UAVの資格も持っていました。資格を持っていなくても航空局の許可さえあればドローンを使って測量の仕事ができましたが、持っていればより有利だと考えていたからです。
国家ライセンス制度が始まったあとも、現時点では国家ライセンスを持っていなければドローンを使えないという話にはなっていません。しかし、万が一そうなった場合に、今後もドローンを業務に活用していく会社として、そして業界で早めにドローン測量を始めた会社として、操縦者がいなくてドローンを飛ばせないというわけにはいきません。
国家ライセンスも取れるうちに早めに取っておこうという会社の方針で、私と高橋、もう2人の計4人で国家ライセンスコースを受講しました。
ーー国家ライセンス取得にあたり、SKY BIRD 東日本ドローン航行技術教習校を選んだ理由はありますか。
石館さん:
最初はどのスクールを選べば良いのかよくわかりませんでした。また、民間資格の有無による違いや、1等と2等の違いなどもわからない状態でした。スクールを調べているなかで、会社の近くにあるSKY BIRDさんを知り、試しにお話を聞かせてもらいました。その時に、わからない点や入校の手続きなどをとても丁寧に説明していただき、好印象だったのが決め手の一つです。
高橋さん:
今回私は1等ライセンスのコースを受けたのですが、そもそも1等ライセンスというレベルの資格を取得できるスクールが限られていました。SKY BIRDさんでは1等ライセンスを取得できるという点もスクール選びのポイントでしたね。
ハイレベルな講師による手厚い指導
ーー国家ライセンスコースを受講する上で、大変だったことを教えてください。石館さん:
法律関係や機体の構造、安全管理などは日ごろの業務でも気を配っています。しかし、いざスクールで学ぶとなるとより深掘りした部分まで覚える必要があり、ついていけるか不安でした。
また、仕事でも操縦はしていますが、測量分野では手動操縦よりも自動飛行がメインで、事前に飛行計画をプログラミングしてその通りに飛ばすことがほとんどです。スクールでは手動で操縦することが多くなるので、その点も心配でした。
高橋さん:
ドローンに備わっているセンサーを使わずに操縦する練習があったのですが、実際にやってみると思った以上に難しかったです。しかし、実際にその操縦スキルを持つ講師の方から細かい操作方法や感覚的なことを教わることができてありがたかったですね。それがなかったら合格は難しかったかもしれません。
ーー特に印象に残った授業やトレーニングはありますか。
石館さん:
私の場合は、2等ライセンスコースの試験後に追加で目視外の試験を受けるのですが、その練習ですね。機体を見ずに手元のモニターだけで機体を制御して作業する場面など自分の中でハードルがあったのですが、講師の方が休憩時間にも練習に付き合ってくれたり、細かいテクニックを教えてくれたり、練習時間を長く取って慎重に進めさせてもらったりと、手厚い指導が非常に印象深いです。
高橋さん:
指導の丁寧さに加えて、講師のレベルの高さが印象に残っています。講師のみなさんはレースドローンもやっているんですよ。一般的な空撮や測量といったドローンの操作以外に、一段階レベルが高いスキルを持っています。休憩時間に技術を見せてもらったのですが、衝撃的でしたね。
石館さん:
講師の方々と休憩中に話していると、みなさん本当にドローンが好きなんだなということが伝わってきます。国家資格のことだけではなく幅広いお話を聞かせてもらい、ドローンについて深く知る機会にもなりました。
ーー練習場の設備等はいかがでしたか。実際に利用してみた感想を教えてください。
石館さん:
設備もとても整っていましたね。練習場は室内から屋外まで何か所か用意されていて、天候や状況に応じてフィールドを選択できたのはよかったです。飛行場もネットなどがしっかり整備されていて、快適かつ安全に練習できました。
ーー国家ライセンスやスクールでの学びが業務で役に立っている場面はありますか。
高橋さん:
国家資格を持っていないと仕事ができないわけではないので業務内容に大きな変化はありませんが、やはり1等ライセンスを持っていると話題になりますね。また、スクールの中でドローン活用の実用面の話を教えていただく機会があって、そういったお話がとても役立っています。
石館さん:
会社では、ドローンの運用や管理も担っています。スクールでは飛行前の安全点検などの安全管理面についても徹底的に教えてもらいました。
会社でも安全管理は心がけていましたが、より安全意識が高まり、社内の点検管理表を改善したり機体の保管方法を見直したりと、社内のドローン運用に変化がありましたね。あとは、仕事における許可申請や注意点などについて迷ったときに、卒業後もスクールに相談して助けてもらっています。
ドローンの操縦資格が付加価値に
ーー今後の目標や展望について教えてください。石館さん:
社内には民間資格取得者が7人いるのですが、現在はそのうち4人が国家ライセンスのスクールを卒業しました。今後は残り3人にも取得させ、さらに新入社員にも資格を取らせていきたいと考えています。
これからの測量分野においては、DXやi-Constructionといった、3次元化の測量技術がメインになっていきます。これまでは2次元で測量していたものを、ドローンやレーザーなどの技術を使って3次元で測量していくのが今後のトレンドです。その重要なツールであるドローンにどれだけ対応できるかが会社の価値となるでしょう。
そのため、ドローンのパイロットになり得る人材を積極的に育成する必要があると考えています。会社としても引き続き、宮城県内の中小企業では名前が知られるような立ち位置でいたいですね。
高橋さん:
民間資格は所有者のレベルにばらつきがあると思います。それが国家ライセンスに統一されたことで、一定の技術レベルが客観的に証明されることになりました。国家ライセンスを社員が取得することで、会社の信用にもつながるのではないでしょうか。
ーードローンの活用や資格について興味を持っている読者に向けて、メッセージをお願いします。
石館さん:
スクールの質は、施設がきれいとか料金が安いとかではなく、いかに技術を持った講師がいるかが重要です。スクール選びに迷ったらまずはどこかに行って話を聞き、実際の雰囲気や講師の雰囲気を知ることをおすすめします。
採用する側の立場として話すと、これからの土木関係や農業関係ではドローンの操縦資格が自動車の免許と同じように、採用するかどうかの1つの要素になり得る時代が来ると思います。興味があるのなら資格を取っておいて損はないのではないでしょうか。
高橋さん:
スクールを選ぶ際には、講師の人に実際に会って話をしたり、実際に操縦してもらったりするのが一番だと思います。実は講師が試験の内容を達成できないスクールはいくらでもありますから。ドローンの国家ライセンスは人材としての付加価値になると思うので、ぜひ挑戦してほしいですね。
石館さん:
現場での本当のドローン活用について、若い世代にはまだあまり知られていないのが現状ではないでしょうか。ドローンがどのように活用されていて、どのような素晴らしい性能を持っているかということをもっと若い世代に知ってほしいですね。ドローンへの興味が入口となって、私たちの業界に来てくれる人がどんどん増えてくれるとうれしいです。