本記事では、フリーランスエンジニアがきついといわれる理由や不安要素についてまとめました。「きつい」を解消するためのコツもご紹介しているので、あわせてチェックしてみてください。
フリーランスエンジニアが「きつい」といわれる7つの理由
フリーランスエンジニアが「きつい」といわれる理由のほとんどは、「企業や団体に所属していないこと」に起因します。フリーランスエンジニアの働き方について見ていきましょう。収入が安定しない
雇用契約で働かないフリーランスエンジニアには、会社員エンジニアのような固定給や賞与はありません。毎月の収入は案件単価や獲得量によって変動するため、安定的な収入を得るのが難しくなります。「案件が途切れたら収入がなくなる」「体調を崩したら収入がなくなる」……、たとえ100万以上稼いだ月があったとしても、翌月に収入がなくなる可能性はゼロではありません。常に収入の不安を抱えて働くことについて、「きつい」と感じるフリーランスエンジニアは多いようです。
会社員よりも社会的な信用が低い
収入の不安定さにより、フリーランスエンジニアは会社員エンジニアよりも社会的な信用を得にくい傾向があります。社会生活で不便を感じた場合、「フリーランスエンジニアはきつい」と感じることがあるかもしれません。例えば住宅ローンを借りたいとき、フリーランスエンジニアとして申請すると審査が厳しくなる恐れがあります。このほか賃貸物件を借りたいときも、フリーランスエンジニアという肩書きが不利になるかもしれません。
本業に集中できない
日々の帳簿付けや毎月の請求業務の遂行・適切な利益計上は、フリーランスとして働く上で必須です。年度末には確定申告もあり、税についての知識も深めておかなければなりません。事務作業に慣れていない人・苦手な人は、「本業以外の業務に手間と時間を取られてつらい」と感じることがあります。
営業スキルが必要
フリーランスエンジニアとして案件を獲得するためには、営業活動が必要です。営業未経験でフリーランスエンジニアになった人は、営業活動の難易度の高さに苦しむことがあります。一口に「営業」といっても、ただ自分を売り込むだけではうまくいきません。質の高い営業活動を実践するには、市場分析やクライアントニーズの明確化・自己分析が必須です。
提案に説得力を持たせるためにはプレゼンスキルも求められるため、本業とは関係のないスキルもブラッシュアップしていく必要があります。
ライバルが多い
厚生労働省の職業情報提供サイト「job tag」によると、自営、フリーランスで働くシステムエンジニアは全体の35%を占めることが分かりました。働き方の多様化とともにフリーランスエンジニアを選択する人は増えており、高単価・好条件の案件には応募が集中します。思い通りの働き方を実現できないことについて「きつい」というフリーランスエンジニアは少なくありません。
IT業界は慢性的な人手不足といわれる一方で、スキル・実績がない人には厳しい業界です。スキル不足・実績不足のエンジニアは低単価・悪条件の案件しか獲得できず、厳しい生活を強いられることとなります。
参考:システムエンジニア(Webサイト開発) - 職業詳細 | job tag(職業情報提供サイト(日本版O-NET))
孤独を感じやすい
客先常駐案件でないかぎり、フリーランスエンジニアは自宅にこもって働けます。1人で黙々と働いていれば、誰とも会話せずに1日が終わることも珍しくありません。1人の気楽さより孤独が勝ったとき、「きつい」と感じる人もいます。とりわけ自分から表に出て行くタイプではない人は、縦横の人脈が広がりにくい傾向です。悩みを相談したり愚痴を言い合ったりできる人がおらず、孤独がますます深まっていきます。
セルフブラックになりがち
フリーランスエンジニアは、作業時間やスケジュールを自分自身で決められます。セルフマネジメントが苦手な人の中には、案件を多く引き受け過ぎたり、作業のペース配分がへただったりする人が少なくありません。「朝から晩まで仕事」「休みを取らず仕事」などで疲弊しやすく、「フリーランスエンジニアはブラック過ぎてつらい」と感じることもあるようです。
フリーランスエンジニアがセルフブラックになりやすい原因は「収入の不安があるため」「クライアントの無理な要求を断れないため」などがあります。労働環境をセルフブラック化させないためにも、適切なスケジュール管理・案件管理は必須です。
「きつい」といわれるフリーランスエンジニアの魅力
ここでは、「きつい」といわれるフリーランスエンジニアの魅力についても見ていきましょう。ライフステージの変化に合わせて働き方が選べる
フリーランスエンジニアの魅力の1つ目として、ライフステージの変化に合わせて柔軟に働き方を選べることが挙げられます。常駐勤務、在宅勤務、一部リモート勤務など、多様な働き方を選択できることから、自分のライフスタイルや家庭の状況に合わせて最適な働き方を見つけることができるでしょう。たとえば子育て中の方や介護をしている方は、自宅で働くことで家庭との両立がしやすくなります。またフリーランスは仕事の量や内容を自分でコントロールできるため、ライフステージに応じて仕事に力を入れる時期とセーブする時期を調整することもできます。さらに、自分の興味やスキルに合った仕事を選び続けることができ、キャリアの幅を広げることも可能です。
会社員時代よりも収入がアップする可能性が高い
フリーランスエンジニアとして働くことは、「きつい」といわれる一方で、高収入を得る大きなチャンスでもあります。特にスキルの高いエンジニアであれば、年齢に関わらずその技術力が高く評価されるため、会社員時代よりも収入がアップする可能性が高くなるでしょう。プロジェクトごとの報酬が高く設定されることが多いため、自分の実力次第では収入を大幅に増やすことが可能です。実績を積み重ねることで、さらなる高収入を目指せる点も、フリーランスエンジニアの大きな魅力と言えます。
好きな仕事を選べる
フリーランスエンジニアの大きな魅力の一つは、好きな仕事を選べることです。スキルや実績があるエンジニアであれば、自分の興味や関心に合ったプロジェクトを積極的に選ぶことが可能になります。これにより、モチベーションを高く保ちながら仕事に取り組むことができるようになり、より高い成果を上げられるようになるでしょう。好きな仕事を選ぶことで、自分のキャリアを自らの意思と努力によってデザインできる自由度が高まることから、充実感も得やすくなります。
フリーランスエンジニアになりたい人のよくある不安
フリーランスという働き方に不安を覚える人は少なくありません。フリーランスエンジニアになりたい人が気にする、「きつい」以外の不安要素をご紹介します。収入はどのくらい?
厚生労働省のjob tagによると、SEの平均年収は550.2万円です。これは会社員エンジニアを含めた金額ですが、1つの目安と考えてよいでしょう。ただしフリーランスエンジニアの年収は、専門分野やスキル・実績によって大きく異なります。スキルや実績のある人は、平均を大幅に超えることも可能です。一方でスキルや実績がないままにフリーランスとなった人は、年収が大幅に下がる可能性もあります。
参考:システムエンジニア(Webサイト開発) - 職業詳細 | job tag(職業情報提供サイト(日本版O-NET))
フリーランスエンジニアの平均年収は?年収をアップさせる方法についても解説
いま会社員エンジニアとして働いている人のなかには、フリーランスとして独立してさらに高い年収を狙いたいと考えている人もいることでしょう。この記事では、フリーランスエンジニアの平均年収についてご紹介するとともに、フリーランスエンジニアとして年収をアップさせる方法について解説します。これからフリーランスエンジニアを目指す正社員エンジニアの人や、フリーランスエンジニアとしてさらに年収アップを狙いたい...
この記事をcoeteco.jp で読む >将来AIに仕事を奪われる?
ソースコードの作成や文章の作成では、すでにAIによる代替が始まっています。とはいえエンジニアの業務を全てAIが取って代わるとは考えにくく、エンジニアの将来性について心配する声は少ないのが現状です。ただしAIで代替できる程度のソースコードしか書けない人・新しい情報のキャッチアップができない人・下流工程しかできない人は、やがて淘汰されていく可能性があります。
フリーランスエンジニアとして長く活動していくのであれば、スキルの研鑽と実績の積み上げ、業務の幅を広げることは必須です。
未経験でもフリーランスエンジニアとして働ける?
未経験でも、フリーランスエンジニアとして働けます。ただし案件獲得の難易度は高く、エンジニア1本で生計を立てるのは難しいかもしれません。未経験からフリーランスエンジニアとして働くのであれば、コーディングスキルを磨くことは必須です。ポートフォリオには実際に手掛けた案件をまとめ、スキルと知識があることをアピールしましょう。
体調不良による収入低下はどうする?
フリーランスエンジニアとして働く上で、体調不良による収入低下は大きな不安要素です。大多数のフリーランスは国民健康保険に加入していますが、国民健康保険では病床手当を受給できません。そのため、病気や怪我で仕事ができなくなった場合、収入が途絶えるリスクがあります。このようなリスクに備えるためには、就業不能保険や所得保障保険に加入するのがおすすめです。就業不能保険は、病気や怪我で働けなくなった場合に、一定期間収入を補償してくれる保険です。一方、所得保障保険は、収入の一部を保障することで、生活費の一部をカバーしてくれます。これらの保険に加入することで、万が一の時にも安心して療養に専念することができ、経済的な不安を軽減することができます。
このほかにも、定期的な健康チェックや生活習慣の改善を心がけることも大切です。フリーランスとして働く上では、健康管理が直接的に収入に影響するため、日常的に健康を維持するよう努力しましょう。具体的には、バランスの取れた食事や適度な運動、十分な休息を心がけ、体調管理を徹底することなどが挙げられます。
フリーランスエンジニアに向いていない人
ここでは、フリーランスエンジニアに向いていない人の特徴について詳しく見ていきましょう。コミュニケーション能力が低い
コミュニケーション能力が低い人は、フリーランスエンジニアに向いていません。クライアントの意図をうまく汲み取れなかったり、自分の意見や状況を適切に伝えられなかったりすると、誤解やミスコミュニケーションが発生しやすくなり、納期の遅延や品質の低下といったトラブルに発展する可能性があるためです。また、コミュニケーション能力が低いことで、クライアントとの交渉において適切な契約条件を引き出せなかったり、トラブルが発生した際に円滑に解決できなかったりするリスクも考えられます。
フリーランスは自分自身が窓口となってクライアントと直接やり取りを行う必要があるため、プロジェクトの要件を正確に理解し、クライアントの期待に応えるための円滑なコミュニケーション能力が求められます。
セルフマネジメントが下手
セルフマネジメントが下手な人も、フリーランスエンジニアには向いていません。フリーランスエンジニアが自己管理できなければ、納期までに仕事を終えられず、クライアントとの信頼関係が損なわれる可能性があるためです。さらに、無理なスケジュール管理によって体調を崩しやすくなり、仕事に支障をきたすリスクもあります。フリーランスは安定した収入が得にくいため、金銭面での管理も重要です。セルフマネジメントが下手な人は、収入と支出のバランスが崩れやすく、結果的に金銭面で苦しい思いをする可能性もあるでしょう。
「きつい」を回避!フリーランスエンジニアとして成功するコツ
フリーランスエンジニアは、きついばかりではありません。仕事が回れば、理想のワークライフバランスを実現できます。フリーランスエンジニアを目指す人が知っておきたい、成功のコツをご紹介します。副業から始める
フリーランスエンジニアとして独立する前に、副業案件を手掛けましょう。フリーランスの働き方を肌で理解することで、独立後の活動もスムーズになります。また副業を始めれば、フリーランスエンジニアとして実績を積み上げることが可能です。未経験でフリーランスとなるよりも、スムーズにスタートを切りやすくなります。
独立前に貯蓄をしておく
フリーランスエンジニアとして成功するためには、独立前に貯蓄をしておくことが大切です。フリーランスは収入が不安定になりがちで、急に仕事が途絶えることもあります。こうしたリスクに備えるために、生活費の数ヶ月分以上の貯蓄を用意しておくことを心がけましょう。貯蓄があれば、収入が減少した際にも生活を維持しながら案件を探せるだけでなく、急な出費や健康問題にも対応できるため、精神的な余裕を持つことができます。
人脈の繋がりを作っておく
フリーランスで働く人にとって、意外と「ヨコの繋がり」も大切です。個人や企業を問わずエンジニアの力を求めている人は多いので、さまざまな場に赴き人脈を作っておくことで、仕事をもらえる可能性があるでしょう。人脈を広げたければ、フリーランスが集まる交流会や勉強会、セミナーなどに参加してみるのがおすすめです。フリーランスは孤独になりがちですが、仲間を作ることで不安の解消などにも役立ちます。そのほかにも、SNSなどを通じてコミュニケーションすることで人脈が広がることもあります。
プログラミングスクールや転職エージェントを活用する
スキルや実績が不足していると感じる人は、プログラミングスクールやリスキリング付きの転職エージェントなどを利用するのがおすすめです。プログラミングスクールやリスキリング講習で学べば、現場に必要なスキルが身に付きます。講義で手掛けた作品をポートフォリオに掲載できるケースもあり、「ゼロから1」を生み出すのが容易です
ただし転職支援・リスキリング支援には年齢制限が設けられているケースが多々あります。転職支援付きのサービスを活用する場合は、早めに行動してください。
フリーランスエンジニアになってきつい思いをしないためにはスキルと実績を積むことが大切
フリーランスエンジニアがきついといわれるのは、収入が不安定なこと・全ての業務を1人で行わなければならないことなどが理由です。フリーランスエンジニアを目指す人は、フリーランスだからこそのマイナス面についてもきちんと理解しておきましょう。一方で、スキルや実績のある人はフリーランスエンジニアとして自由な働き方を実現できます。会社員エンジニアよりも年収が上がる可能性もあり、「きつい」ばかりではありません。
フリーランスエンジニアとして理想のワークスタイルを実現したい人は、まずエンジニアとしてのスキルを磨き、実績を積み上げるのが近道です。