※ 「コエテコキャリア byGMO」は、厚生労働大臣から有料職業紹介事業(許可番号13-ユ-316281)の許可を受けたGMOメディア株式会社が運営する、就職・転職情報サイトおよびフリーランス情報比較サイトです。
今回は、管理部門特化型の転職エージェント「MS-Japan」で、キャリアアドバイザーチームのマネージャーを務める工藤修士氏にインタビュー。管理部門の転職市場の動向から、市場価値を高めるコツ、キャリアプランの描き方まで、現場の最前線からリアルな声をお届けします。

管理部門の転職市場は「売り手市場」が続く
―まず、工藤さんのご経歴を教えてください。大学卒業後の2014年にMS-Japanに入社し、今年で11年目になります。入社当初は法人担当として企業の求人対応を担当していましたが、入社から1年後に横浜支社の立ち上げメンバーに。約4年間、法人対応と求職者の面談の両方を経験しました。その後本社に戻り、企業側の営業マネージャーを務めました。現在はキャリアアドバイザーチームのマネージャーとして、求職者の方々のキャリア支援に携わっています。
―MS-Japanに入社したきっかけは何でしょうか。学生時代から、キャリアアドバイザーを目指していたのですか?
いえ、実は私もエージェントサービスの利用経験者で、そこでMS-Japanを知って入社しました。
私は学生時代に留学をしていたのですが、その分、就職活動の開始が遅くなってしまったのです。そのため新卒学生向けの就職エージェントを利用したのですが、そこでMS-Japanを紹介されました。人材業界に興味があったことと、経営者やCFOなど企業の重要なポジションの方々と会える機会が多い点に魅力を感じて入社を決めました。
―MS-Japanで長く活躍されているのですね!そんな工藤さんから見た、管理部門の転職市場の現状について教えてください。
基本的に経理・人事・法務の3職種は人手不足で、求人倍率はいずれも1倍以上 。いわゆる「売り手市場」の状態になっています。
経理は企業規模や業種を問わず必要とされる仕事であるため、求人数も右肩上がり。未経験者を対象とした求人も少しずつ増えていますが、やはり経験者へのニーズが圧倒的に強いです。
人事では、ITスキルや労務面の知識にアンテナを張っている人材の需要が非常に高まっています。近年のIT化やシステム導入、労働法規の変更などの影響もありそうです。
法務は経理や人事と比較すると、より「売り手市場」の傾向が強いですね。昨今、自社のコンプライアンスやガバナンス強化に取り組む企業が増えてきているためでしょう。上場企業やIPO準備企業での求人数が特に多くなっています。
―どの職種も人材不足なのですね!その影響は、年収や待遇面にも出ているのでしょうか?
はい。まず、どの職種も「決定年収」は上がり続けています。決定年収とは、企業が採用者に提示する年収のことです。弊社が集計した直近3年間での20~40代の決定年収は、以下の通りです。企業側も競争力の高い即戦力を採用するために、積極的に決定年収を上げていると考えられます。

―確かに、決定年収は上がり続けていますね!働き方についてはいかがでしょうか。やはり、出社前提の求人が多いですか?
いえ、最近は経理・人事・法務にもリモートワークを認める企業が増加しています。たとえば弊社の求人で言うと、リモートワーク可としている求人の割合* は、以下の通りでした。
- 経理:約52%
- 人事:約54%
- 法務:約68%
―管理部門は出社が求められることの多い職種だと思っていましたが、変わってきていますね。
そうですね。特に大手企業やベンチャー企業の求人では柔軟な働き方ができるようになってきています。職種によっては「有事の際に出社できるようにしてほしい」という理由で、フルリモートワークではなく出社と在宅勤務のハイブリッド形態を取り入れている企業もありますが、時代の変化と共に少しずつ変わってきています。
変化で言うともう1つ、求職者の転職回数への許容度も以前より高まっていますね。これまでは求職者の転職回数が多すぎると不安視されて、選考で見送られることもありました。ところが近年は、1社あたりの勤続年数が長くなくても採用されるケースもありますね。おそらく、人手不足が加速しているからでしょう。
―近年はAIを始めとした新たなテクノロジーも登場していますが、管理部門の転職市場に影響は出ていないのでしょうか?
AIやRPAによって、経理の仕訳入力や給与計算、人事のデータ管理など定型業務は自動化が進行しています。その結果、単純作業メインのポジションの求人はやや減少傾向にあります。
一方で、管理部門においてもITリテラシーの高い人材や、DX推進経験者など、テクノロジーに強い人材の需要は少しずつ増えています。例えば、
- 経理 × クラウド会計(freee、マネーフォワードクラウド会計等)
- 人事 × HR Techツール(SmartHR、カオナビ等)
- 法務 × 電子契約システム(DocuSign、クラウドサイン等)
といったように、+αのITスキルやツール導入経験を持つ方は、企業からの注目度も高まっています。
業務効率化やDXが進む中で、単なる実務経験だけでなく、「業務改善・システム導入を主体的にリードした経験」が評価される傾向にあります。
管理部門のキャリアプランの描き方
―管理部門に就いている方がキャリアプランを描く際、どのような点を意識すると良いでしょうか?以下の4つのステップで考えてみてください。
1.キャリアの方向性を決める
2.必要なスキルや資格を把握する
3.どんな企業で経験を積むか考える
4.今後求められるスキルを見据えて自分の強みを伸ばす
参考として、経理の方を例に解説します。
1.キャリアの方向性を決める
まず、キャリアの方向性を決めましょう。例えば経理と一口に言っても、企業経理、税務、財務、管理会計、内部統制など多くの道があります。そして、その道を歩んで目指したいゴールも、以下のようにさまざまです。
- 企業の経理部門でスペシャリストを目指す
- 将来的にCFO(最高財務責任者)や管理部長など経営に近いポジションを目指す
- 海外展開をしている企業で、グローバルに活躍する経理担当者になる
- 税理士や公認会計士の資格を取って専門職として独立する
人によって思い描くゴールは異なるので、まずは自分がどの方向に進みたいのかを考えることが大切です。
2.必要なスキルや資格を把握する
次に、決めた方向性に進むために必要なスキルや資格を把握しましょう。先ほど挙げた例で言うと、CFOや管理部長を目指すのであれば、管理会計や財務分析の経験、経営判断に関わる知識・経験を身につけることが非常に重要です。グローバルに活躍したいなら、英語スキルの習得と英語使用環境のある企業での経験は欠かせません。
こうしたことを把握すれば、自分がどういうスキルアップをすべきなのかも見えてきます。
3.どういった企業で経験を積むか考える
自分に必要なスキルや資格が分かったら、次はそのスキルや資格の取得のためにどういった企業で経験を積むか考えてみてください。まずは幅広くさまざまな業務を経験したいなら、スタートアップ企業の経理を目指すのも一つの手です。特定の業務の専門性を高めたいなら、「税務部門」「決算部門」など、細かく部門が分かれている大企業に入るのが良いでしょう。
4.今後求められるスキルを見据えて自分の強みを伸ばす
加えて、これから求められそうなスキルを考えながら、自分の強みを伸ばしていくことも重要です。先ほどお伝えしたように管理部門の転職市場ではまだ人手が求められてはいるものの、AIやシステムの発展によって業務のあり方は少しずつ変化しています。経理であれば単純な仕訳業務だけでなく、それを踏まえたデータ分析のスキルや戦略的な提案の能力もより求められるようになるでしょう。
変化の激しい時代だからこそ、自分の強みを見極めて将来性のあるスキルを積極的に磨いていくことが、長期的なキャリア形成において重要です。
キャリアプランが描けない場合の対策
―最初に考えるべき自分のキャリアの方向性が思い付かない方もいると思います。その場合、方向性を探る方法はありますか?どうしても思い付かない場合は、「将来の選択肢を広げること」をキャリアの方向性にしても大丈夫です。管理部門の方が目指せるゴールは、年齢によっても変わってくるためです。
正直なところ、20代の方と経験豊富な40代の方とでは応募できる企業や求人の内容も変わってきます。たとえば20代の方で「企業の経理部門でスペシャリストを目指す」というキャリアプランがあったとしても、経理の経験が少なければ、思い描いた通りに経理としてステップアップできるとは限りません。
ですから長い目で見て、「30歳になったときにどこにでも転職できるように、まずは他社でも通用する経験を積む」という方向性も良いでしょう。ゴールに到達するためのキャリアパスは、いくつもありますからね。
転職エージェントの選び方と転職活動の失敗を防ぐ方法
―管理部門の方で、転職エージェントの利用を検討する方も多いと思います。利用するエージェントを選ぶポイントは?大きく3つです。まず、管理部門の専門知識がある転職エージェントを選ぶことを強くおすすめします。専門知識があれば、皆さんが描くキャリアのゴールまでの道のりを明確に教えてもらえるからです。
求職者の内定獲得数を示す「決定実績」も多ければ多いほど良いです。過去の成功事例や、企業ごとの選考基準に関する情報が蓄積されているはずですから。その分、転職時のミスマッチも軽減できるでしょう。
それから、求職者ファーストで対応してくれるかも確認しましょう。転職エージェントの中にはとにかく自社の成果重視で、求職者の意思よりも転職を決定させることだけに注力しているところも見受けられます。
ただし、求職者目線で親身に相談に乗ってくれるかどうかは事前に分かりづらいものです。まずは気になるエージェントに登録して面談し、感触を確かめてみてください。
―管理部門の方の転職活動で失敗しやすいことは何でしょうか?
よくあるのは本来の目的を忘れて転職した結果、かえってキャリアダウンしてしまうことですね。
冒頭でもお話したように、経理・人事・法務の決定年収は上がり続けています。ですからスキルアップするために転職活動を始めたにもかかわらず、企業から提示された高額な年収に惹かれて転職先を決めてしまう方も多いのが実情です。そして、いざ入社してみると希望していたスキルが積めず、キャリアダウンを実感して再度転職活動をする……というケースも珍しくありません。
―確かに高額な年収には惹かれますが、それで描くキャリアプランと離れてしまうのはもったいないですね。
そうですね。実際、この業界の転職市場では現職よりも200万円ほど高い年収でオファーされることもあります。
ただ、目先のお金だけで判断してしまうと、上記のような失敗に陥りやすくなります。特に管理部門は、スキルと経験を獲得していけば市場価値が上がり、それに比例して年収も上がっていく職種です。「何のための転職か」を意識して、自分の将来のキャリア像と入社後のキャリアを面接時に確認することが重要です。
管理部門の転職に特化!「MS-Japan」の強みと特徴

―MS-Japanは、管理部門に特化した転職エージェントですね。立ち上げられた背景は、どのようなものだったのでしょうか。
MS-Japanは1990年に創業した転職エージェントです。元々は会計事務所向けに求人雑誌を中心とした採用支援を行っていましたが、そこから一般企業の管理部門にも対象を広げ、採用支援サービスの種類も人材紹介や求人メディア、スカウトサイトまで増やしていきました。
当時は営業やエンジニアの職種と比べて、管理部門の採用市場はニッチだったようです。企業側も専門的な採用ノウハウを持っていないケースが多かったため、管理部門に特化した転職支援の需要が高まると考え、専門エージェントとしてサービスを展開しました。
―MS-Japanの強みや他社との差別化ポイントを教えてください。
大きく3つあります。まず、業界最大級の求人数です。当社では、約20,000件の求人を取り扱っており、その内10,000件以上が非公開求人として、企業様から人材紹介として依頼を受けている求人です。古くからお付き合いのある企業も多く、他社エージェントよりも先に声をかけていただいたり、他社に依頼していない求人をお任せいただいたりするケースもあります。「管理部門の求人を出すならMS-Japanに」と考えてくださっている企業の方も多いです。
2つ目は、専門性の高さです。管理部門専門エージェントとして35年以上の経験を活かし、経理・人事・法務の転職に精通したキャリアアドバイザーがサポートします。すぐに転職したい方だけでなく、中長期的に転職を考えている方や情報収集だけしたい方も歓迎しています。

3つ目は、リピート率の高さです。以前MS-Japanを利用して転職した方が再度転職を考え始めて、利用を再開するという事はよくあります。口コミや紹介で登録いただくケースも多いですね。大手の転職エージェントさんとは違ってテレビCMなどの大々的な広告はしていませんが、多くの方にご利用いただいています。
―リピーターが多いとは驚きました!やはり、MS-Japanのサービス内容に満足されている方が多いのでしょうか。
そうですね。面談後の求職者アンケートでは「キャリアアドバイザーに親身に対応してもらえたのが良かった」という声が最も多いです。
弊社のキャリアアドバイザーは一人ひとりの興味関心に沿ったご提案をするだけではなく、ときには「すぐには転職せず、今の会社にいた方がよい」という助言をすることもあります。誰にでも転職を勧めるのではなく、その人に寄り添ったアドバイスを心がけている点を評価いただいているのかもしれません。
―最後に、この記事を読んでいる管理部門の方へメッセージをお願いします。
ご自身のキャリアプランに迷ったら、気軽にエージェントに相談してみてください。転職は人生の大きな決断になりうるので、慎重になる方も多いと思います。ただ、慎重になりすぎて機会を逃してしまうケースもあります。
エージェントに相談することで自分が考えていたこととは違う視点が得られ、より成長できるチャンスに巡り合えることもあります。すぐに転職を考えなくても、常に自分のキャリアの棚卸を行い、自分の強みが何かを確認しておくことは大切です。年齢や経歴も、気にしすぎる必要はありません。
MS-Japanは管理部門の価値をさらに高めていけるよう皆さんと一緒に取り組んでいきたいと考えていますので、ぜひご利用ください!