熱気最高潮!「VIQRC/ V5RC Japan Cup 2025」世界とつながれるロボット大会をレポート
2025年3月20日(木)、品川インターシティホールにて「VIQRC Japan Cup 2025」と「V5RC Japan Cup 2025」のジャパンカップ2025が同時開催されました。VEXロボティクス競技会は国内でも最大級、今回はなんと世界10カ国から、300人以上の選手が参加。2大会同時開催は6年ぶりです。
ハイレベルな大会となった今回は、見どころも満載。会場のエキサイティングな様子をレポートします。
VEXロボティクスとは

自分の手でロボットを作って動かしてみたいと思ったことはありませんか?
VEXロボティクスはそんな夢を叶えるための教育ツール。アメリカ生まれのこのプログラムは、小学生から大学生まで、誰でも楽しみながらロボット作りに挑戦できます。

実際にパーツを組み立て、プログラミングをして動かすことで、エンジニアリングの基礎や問題解決の力が自然と身につくようになっているのがポイント。世界中で開催されるVEXロボティクス競技会は、作ったロボットで競い合う熱い戦いの場。日本でもさまざまな競技会やワークショップを開催してます。
今回は、そんなVEXロボティクス競技会の中でも、国内最大級のイベントをレポートします!
VIQRC Japan Cup 2025/V5RC Japan Cup 2025「ジャパンカップ2025」

VIQRC/V5RC Japan Cup 2025は、国際的なロボット競技大会です。
この大会は、STEAM教育を通じて子どもたちに国際交流の場を提供することを目的としています。
日本と海外の学校年度の違いや、進学時のチーム解散、高額な海外渡航費などの理由から、多くの日本の子どもたちが世界大会への参加を諦めがちでした。そこで「日本でも世界大会のような国際的な競技会を」という思いから生まれたのがこのジャパンカップです。
海外チームは日本との交流を楽しみに来日し、日本チームは技術やアイデア、戦略の情報交換や異文化交流を期待して参加しています。技術レベルは問わず、初心者も大歓迎のあたたかい大会です。
そして今回は、VIQRCとV5RC、2つのジャパンカップが同時開催されました。小中学生向けのVIQRC、そして中高生が対象となる、よりハイレベルなV5RCの大会が同時に行われたことで、実に盛大な大会となりました!
VIQRCとV5RCとは

VIQRC(VEXIQ ROBOTICS COMPETITION)は小学生から中学生向けの大会で、組み立てやすいプラスチック製ロボットを使い、チーム協力型の競技を行います。シンプルな設計と直感的なプログラミング環境が特徴で、STEAMの入門として最適です。
一方、V5RC(VEXV5 ROBOTICS COMPETITION)は中学生から高校生向けで、より複雑な金属製ロボットとV5システムを使用し、アライアンス対戦形式で競います。金属フレームによる高い耐久性と精密な制御が可能で、自律運転と手動操作の両方のスキルが求められます。
どちらもSTEAM教育を通じて論理的思考力や問題解決能力、チームワークを育むことが目的です。
世界中で行われているロボットプログラミング大会の中でも有数のハイレベルな大会がVEX IQ Competition/VEX Robotics Challenge。アメリカ生まれのSTEMロボット教材・VEX(ヴェックス)の競技大会です。ここでは、VEXとその競技会であるVEX IQ Competition/VEX Robotics Challengeについて紹介します。
2024/11/06 10:16
オープニングセッションは勇壮な和太鼓演奏!
迫力ある演奏に高揚感も増すばかり!
広い会場に続々と選手やチームの応援団も到着。オープニングセッションでは、和太鼓チームによる華やかで勇壮な演奏が行われました。
競技開始前の、ドライバーズミーティングも行われ、いよいよ大会がスタートです。
レフェリーから大会の大切なポイントやルールを伝えられるドライバーズミーティング。
広い会場は、VIQRCとV5RCでスペースが分かれ、それぞれのフィールドがセッティングされています。さぁ!では、会場全体が興奮と歓声に包まれたVIQRC &V5RC Japan Cup 2025の様子をお届けしましょう。
VIQRC Japan Cup 2025大会の様子を見て見よう!
VIQRCは元気でパワフル!
「Welcome!2025JAPAN CUP!」英語のアナウンスが響くと、会場から大きな拍手が湧き上がりました。競技開始前には高らかにファンファーレが鳴り、「スリー、ツー、ワン、Go!」とともに、うなりをあげてロボットがまるで生き物のように動き出します。

青いサークルがスイッチ。黄色い枠のターゲットにボールを投げて、青いスイッチを通すと高得点に。
VEXロボティクス競技会は、シーズンごとに競技テーマが設定されます。今回のVIQRCは、2台のロボットが協力して得点を競う競技です。
目標
- ボールをロボット間でパスする
- ボールをターゲットに通す
- スイッチをクリアする
- ターゲット通過:1点/個
- スイッチクリア:1点/個
- パス:スイッチクリア数に応じて1〜12点
ロボット同士でボールをパスし、成功したパスの回数と、クリアしたスイッチの数に応じて得点が加算されます。ボールをターゲットに通す時に、いかにスイッチをクリアするかが、どうやら勝負の鍵となっているようです。
パッと見た感じは、ストラックアウトのようなイメージでしたが、課題も多くて、けっこう難しそうです!

調整コーナーでは自然と交流が生まれる。

笑顔で撮影に応じてくれたインドチーム。
調整コーナーでは、各国のチームが一生懸命に練習中!
他チームのロボットを見て研究したり、身振り手振りでコミュニケーションをとりながら情報交換したりする姿がありました。
いざゲームが始まると、みんなの表情が一変。

どのフィールドでも熱戦が繰り広げられた。

時にはロボットが思ったように動かないこともある。それでもあきらめない姿が印象的だ。

トーナメントも終盤に入ってくると、参加者たちもさらにギアを上げてくる!
小学生の子たちは、わいわい賑やか!大声で仲間の名前を呼び、ロボットを指さしては早口で何やら意見をぶつけている様子。かと思えばうまくいったのか、抱き合い、飛び上がって喜ぶ姿も。
気持ちをそのまま体全体で表現するチームが多く、元気でパワフル。見ているだけで、こちらまで楽しくなります。
中学生チームは、戦略の作戦会議を熱く語っている光景があちこちで見られました。競技は一見単純なルールに思えますが、ロボットの性能とプログラム、操作と戦略も重要で、実はハイレベルな戦いなのです。
V5RCではエキサイティングな熱闘に

「V5RC」(中高生対象)は、より高度なレベルで競います。
「High Stakes」は、赤と青の2アライアンス(各2チーム)が対戦する競技です。自律走行とドライバー操作で構成されています。
得点方法
- ステークにリングを通す(1点、最上部は3点)
- モバイルゴールを特定コーナーに配置してリングの価値を変更
- 中央のラダー* に登る(高さに応じて3〜12点)
- 自律走行時の高得点で6点ボーナス
戦略的なゴール配置や、精密な自律走行プログラミングが勝利のカギとなります。

調整コーナーで「コンベアのような仕組み」を丁寧に説明してくれたのは日本のインターナショナルスクールのチーム。

このレベルになるとロボットもより多彩なギミックを持っており、慎重な調整が必要になってくる。

試合が終われば「ライバル」から「仲間」へ。だから、みんな笑顔だ!
会場で特に注目を集めたのは、各チームの判断力でした。相手の動きを読みながら次々と打つ手が変わるゲーム展開に、「I got you!」と叫ぶ子の隣で、「右だ!右、右ッ!」という声が重なります。観客からも大きな歓声が!
リングをベルトコンベアのような動きでスイスイと拾い上げていくロボットもあれば、アームでリングをすくいあげていくロボットもあり、ギミックもさまざま。相手のロボットと向き合い、押し合いになることもあって、とってもエキサイティングなのです。
試合終盤に差し掛かると会場の熱気は最高潮に。ロボットの動きに合わせて観客も背伸びしたり、前のめりになったりしながら、得点シーンを見逃すまいと必死です。ミリ単位の正確さで動くロボットと操作する選手たちに、会場からは感嘆の声があがり、応援もいっそう力が入っていましたね!

見つめる先にあるのはロボット。はりつめた真剣な表情。
チームには個性があり、独自のカラーがあります。チームごとの戦略や工夫、プログラミングのスタイルまで、それぞれが鮮やかな「色」を放っています。
静かに計算するチーム、大声で励まし合うチーム、緻密な調整に没頭するチーム、大胆な挑戦を仕掛けるチーム。それぞれが放つ「色」が競技会を彩ります。VEXロボティクスの競技会がいつも興奮の坩堝になるのは、この多様性こそが生み出す化学反応のためではないでしょうか。
画一的な型にはまったロボットやチームではなく、個性が光るからこそ、観客も思わず引き込まれる鮮やかな感動が生まれるのです。会場に響く歓声も、その色彩豊かな光景に呼応するかのように、熱く、そして多彩でした。
多彩でカラフル!国際色豊かな大会
多彩なのは個性だけではありません!今大会は、日本、中国、ベトナム、香港、オーストラリア、アメリカ、マカオ、台湾、タイ、インドと10カ国が参加。参加チーム数は64、参加選手は300名を越え、応援や観客などの来場者数は530名! これだけ国際色豊かで大規模な大会は、なかなかありません。



トルコ



小学生や中学生のうちから、日本にいながらにしてたくさんの国の仲間と出会うことができる、それもまた、VEXロボティクス競技会の特徴です。



VIQRC/ V5RC Japan Cup 2025の結果は…
VEXロボティクス競技会は、さまざまな観点から審査され、多くの賞が授与されます。その中でも、技術やチームワーク、コラボレーションなどすべての分野において高い評価を得たチームが「Excellence Award(最優秀賞)」を獲得できます。今大会の結果は以下の通りです。
VIQRC

Excellence Award (VIQRC):BCC Stark Tech タイ
Teamwork Champion Award (VIQRC):BCC Stark Tech タイ
Teamwork Champion Award (VIQRC):Ege Robotics トルコ
V5RC

Excellence Award (VRC/VEXU/VAIRC):Big Dippers 日本
Tournament Champions (VRC/VEXU/VAIRC) :Big Dippers 日本
Tournament Champions (VRC/VEXU/VAIRC):CMT 香港
その他の受賞はぜひ、公式サイトでご確認ください。
世界大会へ!はずみをつけたBig Dippers!

Big Dippers(DOHSCHOOL所属)
今大会前、2025年1月11日に都立蔵前工科高校で「2025 V5RC Japan Nationals(日本代表決定戦)」が開催されました。
この大会でExcellence Award(最優秀賞)とTournament Champions(トーナメントチャンピオン)を同時受賞し、日本代表チームとして世界大会への出場権を獲得したのが、Big Dippers(DOHSCHOOL所属)です。V5RC Japan Cup 2025でも、見事に最優秀賞を受賞!
受賞が決まった直後にインタビューをすると、開口一番、
「優勝を狙っていたので嬉しいです!」
と、声をそろえて答えてくれました。
競技会で勝つために大事なことを聞いてみました。
「熱意と冷静さ、判断力と即興力、アドリブの力も大事だと思います」
熱い思いと冷静沈着な判断、その場で決断する力、なるほど、何事であっても抜きん出ていくためには、とても重要な力ですね!最後に、世界大会への抱負についても質問してみました。
「アリーナ出場!世界一をめざします!」と力強く答えてくれました。
Big Dippersは、2025年5月6日からアメリカ・テキサス州ダラスで開催される「VEX Robotics World Championship 2025」に出場予定です。世界大会に向けて、はずみをつけた結果に、メンバーも本当に嬉しそうでした。
おめでとうございます!
世界大会への最初の一歩を踏み出そう

「世界大会って、特別な才能がある子だけが行くものでしょ?」
そう思っていませんか?いいえ、違います!VEXロボティクスの扉は、挑戦するすべての人に開かれています。
まずは無料のワークショップや体験会から始めてみませんか?初めてパーツを手に取ったとき、思い通りにロボットが動いたとき、きっと胸が高鳴るはずです。そして、同じ熱を持つ仲間と出会うと、自然と会話が弾み、アイデアが交差し、いつの間にか絆が生まれています。
世界の舞台に立つ選手たちも、みんな小さな一歩から始まったのです。大切なのは「やってみよう」という気持ちだけ。その第一歩を踏み出した人だけに見える景色、それが世界大会への道です。
大会名:VIQRC Japan Cup 2025 / V5RC Japan Cup 2025 日時:2025年3月20日(木・祝)9:00~16:00 会場:品川インターシティーホール(東京都港区) 出場チーム・国数: 【VIQRC Japan Cup 2025】44チーム トルコ、タイ、香港、アメリカ、ベトナム、インド、日本 【V5RC Japan Cup 2025】21チーム オーストラリア、カザフスタン、香港、中国、台湾、日本 合計11カ国、65チーム267人が出場予定 【大会の見どころ】 国際教育の最前線としてのロボット競技会 世界中の小中高生が、それぞれの技術力と創造力を活かし、国を超えた競争と協力を体験します。 STEM教育の実践と未来の技術革新 ロボット設計、プログラミング、戦略立案を通じて、論理的思考力、問題解決能力、チームワークを養う場となります。 6年ぶりとなる2大会同時開催 2019年以来、国内でVIQRCとV5RCの2大会が同時開催される貴重な機会。 非認知能力の成長を促す環境 困難を乗り越える粘り強さ、自己表現力、異文化理解といった非認知能力の育成を目指します。 世界大会を見据えたハイレベルな競技 V5RCの「Big Dippers」、VIQRCの「From Zero」は、日本代表として5月にアメリカ・ダラスで開催されるVEX Robotics World Championshipへの出場が決定しています。本大会では、世界大会に挑む日本代表チームの競技を間近で観戦できる貴重な機会となります。 国際的な舞台にふさわしい品川インターシティーホールで開催 日鉄興和不動産株式会社様の協賛により、国内外の参加者にとってこれ以上ない理想的な環境を提供できます。 日本文化と融合するオープニングセレモニー(9:00AM) 「SAMBAKARASU」、「坂上亨」、「小島功義」で結成された和太鼓チーム「SOUND PROJECT」による演奏が大会の開幕を盛り上げます。また、大会前日の3月19日には「SOUND PROJECT」が和太鼓体験ワークショップを開催し、世界各国から集まる子どもたちが、日本の伝統文化を体験しながら交流を深める貴重な機会となります。和太鼓のリズムが選手たちの士気を高め、異文化交流のきっかけを生み出します。
https://youtu.be/K6zn83ANUPg?si=YI73hvsFbcIznIRE >
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