実際にドローンを使った配送サービスを行っている地域があるほか、各会社が実施する配送サービスの実証実験やトライアルで、さまざまな状況の場所へ輸送を成功させています。
今回は、最新の配送サービスの特徴や選び方、さらに配送サービスの成功例を解説します。
配送サービスとは?
ドローンを利用して、自宅や必要な場所へ荷物を配送するサービスのことです。ドローンの種類によってさまざまな大きさ、重さの荷物を運ぶことができます。住宅街の上空を飛行するときなど、万が一の事故でけが人が発生するおそれのある場合には国土交通大臣の許可が必要になるなど、一部規制があります。ですので、ドローンを使って何かしらの配送や輸送を考えるときには、専門の配送サービスを利用するのが一番です。
ドローンによる配送サービスを実施している会社なら、ドローンについても専門的な知識を持っているだけでなく、許可を取るための手続きを終えている場合がほとんどです。さらに、ドローン飛行の国家資格を持っているプロがサービスを管理している場合も多いので、より安心安全に利用できます。
配送サービスでできること
通販やECサイトなど、インターネットを利用した商品購入が主流になりつつある今、物流の問題は深刻です。ただでさえ働き手の少ない現代に、さらに需要があるからといって簡単にドライバーの数が増やせるわけではありません。ドローンを使って物流を省人化することで、ドライバー不足の一助になるだけでなく、遠隔地に住んでいる人の生活が豊かになります。
ドローンなら遠隔地から指示、監視をするだけで自動的に目的地まで荷物を運び、自動車など陸路での輸送よりも速いスピードで配送が可能になります。
地方が抱える問題は、荷物を届けるのに時間がかかるだけではありません。過疎化が進み、働き手がいないなかで、その地域での店や商売がどんどん少なくなっています。地方地域では購入する場所がなく、物流困難者が発生してしまうといった大きな問題を抱えているのです。
ドローンなら必要に応じて適切なタイミングでの配送を可能にし、受け取る住人が移動する手間もほとんどなく商品や食品が手に入ることになります。
配送サービスの利用方法
ドローンによる配送サービスを利用するためには、専門の配送サービスを行っている会社を利用するのが良いでしょう。実証実験を重ねている段階の会社もありますが、実際に活用をはじめている会社や地域も少なくありません。ドローンによる配送サービスを利用したい場合には、まずはそれぞれの会社が提供しているサービスを理解し、比較してみましょう。詳細を知り、費用感を知ることも大切です。
また、ドローンによる配送サービスでは、最初に受け取り方法を知っておく必要があります。ドローンの輸送容器からどのように商品を取り外せば良いのかなど、受け渡し方法の確認も必要です。
配送サービスの選び方
どんな状態のものを運びたいか、重さや大きさはどのくらいかを明確にする必要があります。ドローンによって運べる重さや大きさの限界もありますので、適したドローンを提供してくれるサービスでなくてはなりません。ドローンには、ドローンの配送サービスを利用するための費用以外にも、それぞれ配送を注文した家庭で支払ってもらう配送料が必要になることもあります。
費用が高すぎてはドローン利用者も増えませんが、かといってドローンの運行や飛行のためには費用が必要であることも事実です。送料や、お客様が負担しなければならない金額については、配送サービスを行っている会社によっても違いますので、事前によく話を聞いた上で、納得して利用を始めるのが大切です。
おすすめの配送サービス
さまざまな会社が、日本各地でドローン配送による実証実験や実用化を進めています。今回はそのなかでも3つをご紹介します。ゆうあいマーケット(長野県伊那市)
出典:伊那市長野県伊那市では、「ゆうあいマーケット」としてドローンの配送サービスを実施しています。地域における買い物支援の担い手不足への解決策になるという考えから、ドローンを使った配送サービスをはじめました。ドローンの運用にあたってはKDDIスマートドローン株式会社が提供しています。
利用者は、テレビのリモコンや電話から商品の注文が可能です。注文された商品は、スーパーマーケットなどお店で集め、梱包します。必要に応じて、生鮮食品を運ぶこともあります。そしてドローンに積み、伊那市まで届けます。購入者の手元に届けるために、ボランティアがドローンから商品を降ろし、直接手渡しします。
商品代金はケーブルテレビの利用料金とまとめて引き落としされる仕組みで、クレジットカード払いや口座振替などの手続きは不要です。サービス利用料は定額で月額1,000円、何度も利用できますのでお得です。
日本郵便のドローン配送(日本郵便)
出典:日本郵政グループ日本郵便では、2023年に東京都西多摩郡奥多摩町でドローンによる配送のトライアルを実施しました。これは「有人地帯における目視外飛行」としてレベル4となる自律飛行を実現した形です。
最高時速36kmのスピードで配送され、事前に設定された片道4.5kmのルートを約9分かけて飛行しました。目的地である住宅に無事に到着することができ、来たルートを辿って戻ることにも成功しました。
運航ルールを守って有人地帯を飛行するトライアルも完了し、実用化が見えてきました。今後は、飛行距離を伸ばしたり、運ぶ荷物の重量を増やしていくことでより幅広い荷物の配送につなげる見通しです。
Rakuten Drone - 楽天のドローン・自動配送ロボットサービス(楽天)
出典:Rakuten Drone楽天でも、ドローン配送を実施しています。
長野県白馬村での配送では、往復約10kmと長距離である以外に、高低差1,600mの場所をドローンで運搬しました。補助員を配置しない配送オペレーションを実現し、省人化への対策もしています。また、受け取りにも補助者を配置せず、物件投下での配送となりましたが、正しい目的地に届けることができました。
高所ではガスの発生や天候によってヘリコプターの運航が難しい場合もあり、あらゆる状況下でも運航できるドローンへの期待が高まります。
また楽天ではドローン以外にもロボットデリバリーサービスもあり、より人手をかけずに物の運搬や配送ができることを目指しています。
まとめ
今回は、ドローンによる配送サービスについてお伝えしました。実際にドローンでの配送サービスを利用開始している地域もあり、実用的であることは証明されています。利用にあたっては、地域の連携やボランティアの参加も欠かせません。利用を検討する場合は、まずはドローンによる物流サービスを実施している会社に問い合わせてみてくださいね。そのうえで、どのようにドローンの配送サービスを実現できるか検討するのが良いでしょう。