2026年施行の改正行政書士法がドローンスクール・関連事業者に与える影響と実務上の対策とは|バウンダリ行政書士法人に取材
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今回お話を伺った方
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バウンダリ行政書士法人 代表行政書士
佐々木 慎太郎氏2015年に仙台で行政書士事務所を開業し、2019年にBOUNDARY GROUPを設立。2020年にバウンダリ行政書士法人に改組。ドローン法務に特化したサービスを提供し、著書やYouTubeで法規制の普及活動を行う。各種公的機関のメンバーとしても活躍。
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ドローン業界への影響は大きく、今まで代理申請を行っていたドローンスクールや販売代理店は今後見直すべきポイントが気になるところでしょう。
今回は、改正行政書士法に対応したドローンスクール申請代行で国内トップクラスの実績を誇る、「バウンダリ行政書士法人」代表の佐々木慎太郎先生にお話を伺いました。
バウンダリ行政書士法人 代表の佐々木慎太郎氏
佐々木氏は、ドローン1等操縦士(一等無人航空機操縦士)の国家ライセンスを保有し、登録講習機関や監査実施団体の運営もしているドローンのエキスパートでもあります。
法改正による影響や見直すべき実務、事業者が今すぐやるべき対策などを知りたい方は必見です。
2026年1月1日施行の改正行政書士法とは?背景や目的、リスクも

――今回の法改正で、無資格者の業務につき「名目を問わず」報酬受領が禁止されるに至った背景や業界内の課題について、どのようにお考えでしょうか。
佐々木先生:本来、依頼者の意思を整理して法的判断をして申請書を作成する行為は、大きな責任をともなう専門業務です。
しかし、行政関連の手続きのデジタル化や外注化が進む中で、行政資格を持たない事業者による申請サポート、コンサルティング、会費等の名目での実質的な申請代行が多く行われていました。
資格も責任も曖昧なまま提供されていたのが今回の法改正の背景にあると考えています。
コロナ禍で無資格者が不正に多額の給付金申請を行って問題になったのも、背景の一つとしてあるかもしれません。
無資格者が書類作成や申請を行うと、間違った申請内容が放置されるリスクがあり、結果的に依頼者が不利益を被る事態にもなり得ます。
――一方で、現場の事業者にとっては負担も大きい改正だと感じる声もあります。業界への影響についてはどのように捉えていますか。
佐々木先生:ほとんどの方が善意で申請サポートを行っていたと思っており、便利さやお客様を優先した結果だと思っています。
ドローンスクールや販売代理店などの現場の方と関わる機会が多く、苦しい現状はよく理解しているつもりです。
今回の改正を行政書士の職域や事業者のご負担という観点からさまざまなご意見があるかと思います。一方で、私としては対立するのではなく、伴走者や協力者として一緒にドローン業界をよくしていきたいと考えています。
行政書士がドローン関連事業者の敵じゃないということは、行政書士が所属する日本行政書士連合会 会長の以下の発言からも読み取れます。
行政書士法の主な改正内容に加え、会員(行政書士)に対してその自覚と責任を促す内容となっています。
今後、本会といたしましては、改正行政書士法の施行に向けて会則等の整備を図るなど、必要な措置を講じてまいります。
今後とも国民の負託に応えられるよう行政書士制度の更なる発展のために全力を尽くしてまいりますので、引き続きご指導ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。
引用:日本行政書士会連合会「会長談話」
――国や行政が今回の法改正を通じて最も実現したかった目的は何だと思われますか?
佐々木先生:依頼者の保護と行政手続きの適正化でしょうね。
改正行政書士法の中でも国民の権利や利益が明記されていました。

引用:総務省「行政書士制度」
行政書士の専門性を保つための改正だと思われがちですが、責任がともなう業務を明確にしたかったのだと考えています。

責任をともなうサービスの一例
行政書士法では「いかなる名目によるかを問わず」と明記されており、「報酬を得なければ申請サポートを行っても大丈夫」という報酬規制をすり抜けられるケースも防ぎたかったのでしょう。

引用:総務省「行政書士制度」
今回の改正では、依頼者保護の観点からは、誰が責任を持って法的判断をしたのかが明確になるメリットがあります。
例えば登録講習機関やドローン飛行許可の周辺手続きは、単なる事務代行に見えても航空法違反のリスクを含んでいるのが実情です。
許可はおりているものの、実際の飛行では許可されていない内容で飛行してしまうケースもあります。
改正前は、無資格者が書類の作成や申請を行った場合、トラブルが起きた際に責任の所在が曖昧になっていました。
また、もし違反してニュースに取り上げられたり警察のお世話になったりすると、事業に悪影響を及ぼしかねません。
しかし、今回の改正では行政書士の職責について言及されており、今までハッキリしていなかった責任の所在が明確になったと考えております。

引用:総務省「行政書士制度」
現場に与える影響|知らないうちに違反している恐れも
――実務には具体的にどのような影響があるのでしょうか?佐々木先生:どこまでサポートしてよいのかという判断と、サービス設計の見直しを迫られているでしょう。
現在申請サポートを行っている事業者が行政書士法に違反しないためには、公式サイトでの表現や申し込みの導線やサポートの内容などの見直しが必要です。
行政書士と連携したサポートを新しく提供するのも一つの手でしょう。
講習の受講と申請支援をセットで提供しているドローンスクールの場合、単なるDIPS*の操作説明なら問題ありませんが、例えば受講生からヒアリングして申請内容を一緒に作っていくことや、入力は本人が行ったとしても申請書作成を事実上受講生が行ったものではないとなると違反の恐れがあります。
この申請時の書類は、人の意思・観念の表示、可視性・可続性、永続性があるものをいい、名義人の認識可能性も必要とされています。
ドローンの販売とセットで申請サポートを行っているドローン販売の代理店の場合も同様です。
ドローンの書類作成や申請は、形式的な入力に見えても、実際には法律的な判断が必要な場面が多くあり、無資格者がサービスの一環として行っていたことが法改正により規制されました。
――現場ではどのような点に注意が必要でしょうか?
佐々木先生:最も懸念されるのは、現場の人間が違反している認識がないまま違反してしまう事態です。
「申請を手伝っただけ」「お客様が困っていたからサポートしただけ」でも違反になるかもしれません。
申請サポートを内製化されている事業者さまほど、内部の規定や業務フローを見直す必要があるでしょう。
しかし、ドローン関連事業者さまの中には「法令や制度自体を知らないで書類作成や申請のサポートをしてしまった」例も多くあり、まだ周知が足りていない状況です。
ドローンに関する法令すべてを理解している方よりも知らない方が圧倒的に多い印象ですね。
今回の行政書士法に限らずドローン関連の法律全般に言えることですが、航空法以外は航空局から現場への周知は原則行われないため、各自のキャッチアップが必須です。
ドローン関連事業者が今すぐ見直すべきポイントとやるべき対策
――コンプライアンスを遵守しつつ事業を継続・拡大するために、ドローン関連事業者が「今すぐに見直すべきポイント」を3つ挙げるとすればなんでしょうか。佐々木先生:1つ目は業務範囲の線引きです。どこからが個別具体的な判断やサポートかを明文化した方がよいでしょう。
2つ目は、料金体系と表示の見直しですね。受講料やサポート料、会費などの実質的な対価を受け取っていないか見直す必要があります。
3つ目は、専門家連携です。連携した際も、単なる行政書士の紹介で終わらず、責任の所在を明らかにして依頼者に説明できる体制が大切です。
今後は、違反にあたる内容やグレーゾーンな内容の業務は取り扱わず、スクールならスキル習得、代理店なら販売業務に留めるのか、行政書士と提携して申請サポートを行うのか決めるべきでしょう。
――行政書士と連携する場合、どのような点に注意すべきでしょうか。
佐々木先生:もし行政書士と連携する場合は、「ドローンに詳しい行政書士」に依頼するのがおすすめです。
行政に関する手続きは何万種類もあり、行政書士により得意な分野が異なるので、ドローンの知識や支援実績がある行政書士に依頼するとよいでしょう。
後悔しないためには、行政書士の見極めが必要です。
依頼予定の行政書士と実際に話してみて、やり取りの中できちんと対応してもらえそうかを確認するのも大切です。
無料相談を行っている行政書士の方が多くいらっしゃるので、知識や実力を調べるためにいろいろ質問してみるとよいでしょう。口コミを参考にしてみるのも一つの方法です。
本記事では、ドローン申請における行政書士へ依頼できる内容やメリット、選び方、費用について解説します。ドローン分野に精通した行政書士を選ぶことは、安心・安全な運用を実現する重要なポイントです。行政書士選びで失敗したくない方は、ぜひ最後までご覧ください。
https://boundary.or.jp/aboutdrone/rule/4245/ >
理想は双方負担もリスクも少ない「分業スタイル」
――法改正を機に専門家と事業者が連携するケースが増えると考えられますが、先生が考える「理想的な連携の形」を教えてください。佐々木先生:理想形は分業(協業)だと考えています。
ドローン関連事業者と行政書士は、それぞれ専門分野や強みが異なるためです。
領域を侵さず依頼者にとってわかりやすい形で協力できるのが理想です。
――具体的には、どのような連携のあり方が理想なのでしょうか。
佐々木先生:誰が何に責任を持つのかを明確にして、依頼者に説明できる形が理想的です。
悪い連携の例としては、行政書士の名前だけ借りて実際の業務は無資格者が行っているパターンですね。
改正行政書士法で業界の健全化を目指していく

――この大きな転換期を迎えたドローン業界が、さらに健全な発展を遂げるために、専門家のお立場からどのように捉えていますか。
佐々木先生:今回の改正は、業界への締め付けではなく業界の健全化のチャンスだとポジティブにとらえています。
ドローン業界は、成長産業であるがゆえに、便利さやスピード感重視で法令遵守が置き去りになりやすい傾向にあると感じています。
今回の改正は、そのズレを修正する一つの機会です。
現に、建設業や太陽光などの業界でも、同様の経緯を得て健全化が進んだ事例が多くあります。
――今後、ドローン関連事業者にはどのような取り組みが求められるとお考えでしょうか。
佐々木先生:今後ドローン関連事業者の方々に期待するのは、投機的な売上の作り方だけではなく、長く健全に運営できる設計です。
我々行政書士には、法令遵守のために白黒つけなければいけない部分はあるものの、業界の発展のための知識や努力が求められます。
スクールや販売代理店さんの場合、無償でやっていたサポートをなくすのは難しいことでしょう。値上げも値下げもなかなか厳しいと思います。
実際に、ドローンスクールや販売代理店などの現場の方からは、「正直キツイ」「できるかな」という不安の声が多く聞かれます。
現場の辛い状況を知っているからこそ、お互いの手間を最小限にして協力し合い、業界全体を発展させていきたいです。
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とはいえ、法律や手続きの専門家ではない立場での情報収集やキャッチアップは正直難しいでしょう。
専門家の力を借りたいと考えているのであれば、ドローンに精通している行政書士法人を頼るのも一つの手です。