本記事では、ドローンを使った捜索・救助サービスの概要や導入効果を詳しくまとめました。捜索・救助サービスの選び方やおすすめのサービスもご紹介しているので、詳細をチェックしてみてください。
捜索・救助サービスとは?
捜索・救助サービスは、事故や災害によって遭難・被災した人の捜索・救助を支援するサービスです。遭難者や被災者の早期発見・迅速な人命救助を目的としており、陸海空のさまざまな事故・災害に対応します。近年は、遭難者や被災者の捜索・救助にドローンを投入するサービスが増えてきました。機動性と柔軟性を併せ持つドローンは、広範囲の捜索・高精度な調査が可能です。無人航空機であるため二次災害のリスクもなく、捜索・救助支援には最適なツールといえるでしょう。
災害の多い日本では、消防庁や警察、自治体などで捜索・救助にドローンを活用するケースが増えています。中でも消防庁は全国の本部にハイスペックドローンの配備を進めており、捜索・救助現場へのドローン投入に積極的です。
2021年には、全国288の消防本部が災害現場でドローンによる捜索や情報収集をおこないました。
参考:無人航空機の災害時に おける活用状況等調査 について|総務省消防庁
捜索・救助サービスでできること
捜索・救助サービスにもよりますが、捜索・救助サービスでは以下のことに対応できます。- 遭難現場や被災地にドローンのスペシャリストを派遣
- レスキュー用ドローンによる現地での遭難者や被災者の捜索
- ドローンによる救援物資の輸送
- ドローンによる現場周辺のデータ収集
- 分析レポートの提出 など
遭難現場や被災地の捜索・救助活動に投入されるのは、赤外線カメラやサーマルカメラなどを搭載したレスキュー用ドローンです。夜間や視界不良の環境でも安定した捜索・救助支援をおこないやすく、遭難者や被災者の早期発見・救助を実現できます。
また拡声スピーカーを搭載したドローンなら、現場での呼びかけが可能です。自力で移動できる人については、ドローンからの音声で安全地帯まで誘導します。
このほかドローンは支援物資を輸送したり、現場周辺のデータを収集・分析したりなども可能です。現場にドローンを投入することにより、人命救助や状況把握の迅速化・高精度化を期待できます。
捜索・救助サービスの導入効果
本来ドローンの飛行は航空法の制限を受けますが、災害時の捜索・救助活動については申請や許可を必要としません。ドローンによる迅速な捜索・救助支援により、以下の効果を期待できます。- より広範囲にわたる捜索
- 二次災害のリスク低減
- 捜索・救助活動の短時間化
無人で運行するドローンは災害ヘリコプターよりも小型かつ機動力が高く、狭い場所・複雑な地形の捜索も可能です。高性能カメラによって暗所・視界不良の場所にも対応でき、安全・広範囲・高精度な捜索が実現します。
またドローンは離着陸に広い場所を必要としない上、運航までの時間もかかりません。依頼を受ければすぐに捜索・救助活動に従事できるため、緊急性の高い捜索・救助活動にも最適です。
捜索・救助サービスの選び方
ドローンによる捜索・救助サービスを選ぶとき、チェックしたいポイントは以下のとおりです。- 捜索・救助に対応できる範囲や方法
- 民間救助機関との連携可否
- 費用
一口に捜索・救助サービスといっても、対応できる範囲や捜索・救助方法は異なります。サービスを選択するときは「長距離・長時間の飛行に対応できるか」「地形や場所にマッチした捜索が可能か」「ドローンの台数・パイロットや捜査員の数は十分か」などの詳細を確認してください。
また「捜索」のみのサービスは、法律的に救助をおこなうことが認められていません。救助まで依頼したい場合は、民間救助機関と連携しているかどうかの確認が必須です。
なお費用については、遭難・災害の規模や場所、ドローンの台数・派遣されるスタッフ数などによって異なります。一概にはいえませんが、山岳救助の場合、スタッフ1人あたりの日当は3~5万円、さらにドローンの運航費用として1時間あたり数万円~20万円程度かかります。
このほか捜索・救助にかかる費用は実費で請求されるため、十分な予算を確保しておくことが必須です。
おすすめの捜索・救助サービス
捜索・救助サービスを提供する企業・団体はさまざまありますが、それぞれ専門分野や対応できる業務は異なります。「どのような捜索・救助サービスが必要か」を明確化した上で、ニーズにマッチするサービスを選択することが必須ですここからは、おすすめの捜索・救助サービスを3つご紹介します。気になるサービスについては、公式HPから詳細を確認してください。
ココヘリ(AUTHENTIC JAPAN株式会社)
出典:ココヘリ山岳遭難を対象とした、会員制の捜索救助サービスです。会員には位置情報をピンポイントで測定できる発信機型会員証(ビーコン)が貸与され、遭難時には信号を頼りに捜索・救助がおこなわれます。ビーコンの受信装置は全国38都道府県の警察と消防が導入・運用しており、警察や消防と連携した捜索・救助が可能です。
サービスは全国対応可能な上、緊急コールは24時間365日受け付けています。民間の救助機関との連携もあり、受付から捜索・救助までは非常にスムーズです。救助では主にヘリコプターが使われますが、適宜ドローンも投入されます。
NIGHT HAWKS(一般社団法人Japan Innovation Challenge)
夜間をメインに活動する、ドローンによる捜索支援サービスです。自治体からの支援要請には24時間対応しており、いつ・どのようなときでも素早いサービスを提供します。2022年5月時点の主な活動拠点は、北海道・東北・関東甲信越です。
捜索に必要なドローンやカメラ・各種機材・ソフトウェアなどは「NIGHT HAWKS標準システム」として各拠点に常備されます。運用・訓練、定期的な保守・点検はNIGHT HAWKSによっておこなわれるため、依頼者側の負担はありません。
救助ドローンによる捜索・調査・災害対応(バックカントリー穂高)
山岳遭難捜索・救助活動をおこなう民間山岳救助組織です。主な活動範囲は長野県安曇野から・関東・甲信越・東海・中部・北陸・近畿・東北ですが、自動車または船舶で移動できる場所であれば、日本全国対応できます。
捜索・救助活動で投入されるのは、赤外線サーモカメラを搭載したレスキュー用ドローンです。暗所や見通しの悪い場所での捜索も問題なく、1日約300分稼働できます。
また万が一遭難者や被災者を発見した場合は、拡声スピーカーによる呼びかけも可能。自分で移動できる人については、ドローンが安全な場所まで誘導します。
まとめ
ドローンを利用した捜索・救助サービスは、広範囲かつ素早い捜索・救助活動の実現に有効です。特に救助ヘリコプターが入れない山岳地帯や森林、二次災害リスクが高い場所などでは、ドローンの機動力が最大限の効果を発揮します。ドローンによる捜索・救助サービスはより充実していくと見られますが、対応可能なエリアや業務はさまざまです。サービスを選択するときは、どの地域や分野に対応しているか・どのような捜索支援が可能なのか・救助まで依頼できるのかなど、必ず詳細を確認してください。