災害時にも人が地上から立ち入ることのできない場所や地域の調査に使用できるほか、そのうえで必要な医療機器や医薬品をドローンで運送することが可能です。さらにウイルスや汚染物質から人命を守ることにも繋がります。
最新の医療機器サービスの特徴や選び方、おすすめのサービスを解説します。
医療機器サービスとは?
医療機器や、医薬品が必要な地域に、ドローンに物資を乗せて届けるサービスのことです。医療機器や医薬品が必要なタイミングで、迅速に人の手に届くようにするためには、運送や配送の問題も大きく関わってきます。そこで活躍するのがドローンです。もちろん都市部であれば、自動車などをつかった既存の輸送手段も多く普及していますが、渋滞や事故による遅延や、輸送業界での高齢化、人材不足など問題がないわけではありません。さらに、自動車による輸送が日常的に行えないような地域では、なおさら輸送にかかる時間は長くなります。
ドローンでの物流であれば、こうした問題の解決にもつながる可能性があり、必要な時に、必要な人の手にすぐに届けることができます。とくに医薬品や医療機器は、荷物の大きさもコンパクトな場合が多く、さらに軽量なものが多いので、一度に輸送できる量や重さに制限があるドローン輸送にも適しています。
現在、実証実験を重ねているドローン会社も多く、広く一般的な実用化に向けて前進しています。
医療機器サービスでできること
医療機器や医薬品をドローンをつかった運送にすることで、緊急時にも迅速に、また安全に必要な物資を輸送できます。とくに、自動車などでは簡単に行くことのできない遠隔地へ配送することが可能です。ドローンは、事前に特定のルートを指定し、そのうえで障害物を回避して飛行するようプログラムが可能ですので、医療機器や医薬品の安全性も保たれます。
また、医療機器サービスはコスト削減や効率向上にもつながります。陸路による輸送手段の担い手が高齢化、働き手が減っている現状と、陸路では長時間の輸送になるような地方などへもドローンを使用するのは効率的です。
医療機器サービスの利用場面
自動車など従来の配送方法では大幅に時間がかかってしまうような地域への配送に、ドローンを利用することがあります。医療機器や医薬品が必要になる場面では、緊急を要する時もあります。より迅速かつ安全に、品質を保った状態で輸送を行うというニーズにドローンが応えます。また、コストを削減しながら素早い輸送を実現したい時にも、医療機器サービスは役立ちます。ドローンを使った医療機器サービスは必要な人員と燃料が少ない分、費用対効果が優れていてコストを削減しやすいです。
医療機器サービスの選び方
医療機器サービスでは、必要なタイミングに必要な場所に医療機器や医薬品を届けることが大前提となります。それを踏まえて、以下のようなポイントに気をつけましょう。- 医療機器や医薬品を届けたいエリアに対応しているか
- サービスの内容が、医療機器や医薬品の輸送に合っているか
- 使用されるドローンの性能
- 料金や利用可能な時間帯
緊急を要する場合に、ドローンでの輸送を考えるなら、24時間対応可能でなければなりません。夜間のドローン利用は視野が悪くなり事故につながりやすいうえ、飛行する際には国土交通大臣の許可が必要です。
一方で、定期的に医療機器や医薬品を輸送する手段で考えているのであれば、決まった曜日、日程に稼働できるかも確認しましょう。
おすすめの医療機器サービス
ここからは、医療機器サービスを実施している会社をお伝えします。それぞれに実施内容やドローンの種類も違いますので、より合った会社やサービスを見つけるのが大切です。森山環境科学研究所の無人航空機型病原微粒子捕集装置
出典:森山環境科学研究所愛知県名古屋市に会社を構える森山環境科学研究所は、食品やスーパーマーケットのほか、ビル、ホテル、旅館などの衛生管理をサポートする会社です。
食品安全管理にはじまり、害虫・害獣対策や水質検査、建物衛生管理などを行っていますが、そのなかのひとつにドローン事業があります。
そのひとつとして、守山環境科学研究所は、無人航空機型病原微粒子捕集装置を扱っています。このドローンが開発されたことで、空間で未知の病原粒子を捕集することが可能になりました。対象は細菌やカビだけでなく、ウイルスもです。
これは、災害時の避難場所の医療支援につながるほか、大型客船、院内感染など粒子の捕集が大変になる大規模な空間でも、ドローンが移動しながら捕集します。
株式会社ミラテクドローンの抗菌・抗ウイルス剤散布サービス
出典:株式会社ミラテクドローン株式会社ミラテクドローンでは、ドローン事業を中心に、運搬サービスやドローンスクールの実施などを行っています。
そのなかでも、ドローンによる抗菌、抗ウイルスコーティングサービスは、感染症の感染拡大を防止することに役立ちます。新型コロナウイルス流行などを経て、感染対策のひとつとしてサービスがスタートしました。
接触による感染拡大を防ぐため、大規模なスタジアムやコンサート会場など、ドローンで抗菌、抗ウイルスのコーティングができると清掃員による消毒作業などの手間や時間の軽減につながります。感染の危険性がある空間で稼働する清掃員を減らすこともできます。
KDDIスマートドローンの物流サービス
出典:KDDIスマートドローンKDDIスマートドローンでは、すべての地域のすべての人に必要な物資を届けるべく、ドローンによる物流サービスを実施しています。
モバイル通信を利用して、機体を制御する運行管理システムを導入しており、遠隔飛行で、自動配送も実現します。また、目視外補助者なしの飛行にも対応しているため、商用での提供もあります。
物流サービスの活用事例のひとつに、医薬品配送があります。2020年8月から伊那市では、山間部に住む市民へ毎日ドローンでの物流サービス運行を実施しました。この物流サービスは、公民館へ配送用ドローンが配達。市民は近くの公民館へ出向くだけで商品や物資が手に入るようになりました。
まとめ
ドローンを使った医療機器サービスは、必要な医療機器や医薬品を、必要な時にすぐに輸送することができる大きなメリットのある物流サービスです。地方に住む住民や、災害時の緊急な要望にも答えることができ、スピーディーかつ安全に人の手に医療を届けることができます。
ドローンの導入を検討する場合は、まずは医療機器の輸送を実施している、ドローンの物流サービス会社へ問い合わせてみてください。