気象観測サービスの比較3選。特徴や料金は？｜コエテコドローンナビ

ドローン気象観測サービスとは？

ドローン気象観測サービスは、ドローンに風向風速機や温度計、湿度計など様々な気象計測器具を搭載することで、気象予測や気候変動の研究のための高精度な気象データを収集するサービスです。

建物の近くでの気象観測はもちろんのこと、風速が強い海の近くなど過酷な環境の測定も可能なため、これまでの気象観測手法であった気球や航空機による測定では難しい地域の気象データの収集にも活用されています。

また、海外ではドローン気象測定サービスを使い、基本的な気象データを測定するにとどまらず嵐やハリケーンの追跡や予測など幅広い用途で使用されており、気象災害のリスク管理に大きく貢献しています。

ドローン気象観測サービスでできること

ドローン気象観測サービスでは、風向風速計、温度・湿度計、気圧計など、気象庁検定を取得した計測器具を用いて高精度な上空の気象データの収集ができます。

収集したデータはリアルタイムでモニタリング・記録が行われ、これらのデータをもとに様々な研究が行われています。

主な用途としては、風力発電施設の風況調査や発電所の大気拡散状況の把握、天気予報の基礎データ収集、ビル周辺の風環境の変化の把握などがメインですが、ロケット打ち上げ時の事前調査のためといったユニークな使われ方もしています。

ドローン気象観測サービスの予算の目安

高度な気象計測器具を搭載している気象観測用のドローンの開発は日々進んでいるものの、実際にこれらのドローンを購入しようとすると価格は数百万円から数千万円と非常に高価で一般的に入手しやすいものではありません。

海外市場に目を向けると、ドローン気象観測サービスの相場は1時間あたり平均約150ドル（約21,000円、1ドル=140円換算）とされていますが、この相場はドローンを使用する目的や作業内容、使用する機材の種類によって大きく異なります。

例えば、より高性能な気象観測機能や長時間飛行を行いたい場合はドローン自体のスペックも上がるため費用が上がったりと、サービスによって金額の幅も異なるため、事前に予算を立てておく必要がありそうです。

現在は安価で取り扱いが安易な汎用ドローンの研究も進んでいるため、将来的にはより手頃な価格でのドローン気象観測サービスの普及も期待できます。

ドローン気象観測サービスの選び方

ドローン気象観測サービスにおける選び方として重要なポイントは、ドローンに搭載される気象計測器具の種類、データの正確性、コストパフォーマンスです。

また、自身が求めるデータを収集するために特定の気象条件や地域特性に適したカスタマイズが可能かどうかも重要です。

例えば、標高の高い山岳地帯や強い海の近くなどで観測を行う場合は強風や高低差の激しい温度、塩分、突然の天候変化などに耐えることが出来るように防水性や防寒性など、耐候性を備えたドローンを提供してもらえるかは確認しておきたいポイントです。

ドローン気象観測サービスのメリット

従来は気象観測機をゴム気球で吊るして上空に飛ばす「ゾンデ観測法」により気象観測を行なっていましたが、ドローンで気象観測を行うことにより以下のメリットが挙げられます。

データの精度向上

ゾンデ観測法では1日2回、世界各地で決まった時刻に測定を行なっているためリアルタイム性には欠けていましたが、ドローン気象観測サービスでは高頻度且つ高精度の気象データを正確に測定することができます。

再利用可能性

ゾンデ観測法では気象観測機やゴム気球が使い捨てになることが多いのですが、ドローン気象観測サービスでは何度もドローンを使用することができます。
これにより、高頻度の観測が低コストで実施できるようになるためコスト効率も良いです。

観測地点の柔軟性

ゾンデ観測法では決まった場所の観測しか出来ませんでしたが、ドローン気象観測サービスは観測地点を問わないためアクセスが難しいと言われている地域や標高でのデータ収集が可能です。

出典：気象庁

主なドローン気象観測サービス

ここからは、主なドローン気象観測サービスをご紹介します。

ドローン搭載型風速風速計（フィールドプロ）

出典：​株式会社フィールドプロ​​​

フィールドプロのドローン搭載型風速風速計は、ドローンに気象観測機器を搭載し、任意の高度でホバリングすることで正確な風向と風速のデータを収集できます。これにより、災害地域での上空からの観測や人が立ち入れない場所での保守点検など、様々な用途に対応可能な気象観測サービスを提供しています。

Agri House Manager（オプティム）

出典：​株式会社オプティム​​​

オプティムはビニールハウス内での農業を効率化するためのサービスを提供しており、ハウス内に設置されたセンサーを通じて気象観測を行い作物の収量予測、収穫期の予測、病害虫リスクの診断を行っています。また、ハウス内を走行しているドローンから撮影し収集されたデータを基にディープラーニングで分析を行うことで病害虫の特徴を学習し、効率的な病害虫検知を可能にしました。

上空気象観測（タイプエス）

出典：有限会社タイプエス

タイプエスは、ドローンを使用した気象観測、流量観測、レスキュー、測量、空撮など用途に応じたサービスを提供しています。また、上空気象観測システムや流量観測システムなど、用途や機材に合わせて設計、開発、作成を行う製品開発サービスも提供しています。

まとめ

日本では2022年12月5日から、有人地帯において人の目がない中でもドローン飛行が可能となる「レベル4」飛行が可能になりました。

これにより、市街地や山間部、離島への医薬品や食料品の配送、災害時の救助活動、被害状況の確認、建設現場の測量など、多岐にわたる用途でのドローンの活用が期待されています。

将来的にはますますドローンが活躍することになり、テレビやアプリで配信される気象情報は全てドローンのリアルタイム情報になるかもしれませんね。