大分県、大雨での災害現場にてドローンによる緊急被災状況調査及び救援物資配送を実施

大分県、大雨での災害現場にてドローンによる緊急被災状況調査及び救援物資配送を実施
大分県は6月30日に起きた大雨での災害現場にて、ドローンを活用しました。
「災害時のドローンによる緊急被災状況調査に関する協定(令和5年3月9日締結)」 に基づいて、ドローンを使って緊急避難状況調査と救援物資配送を実施しました。

県内でのドローンによる救援物資配送は初めての事例となりました。

ドローンを使って緊急避難状況調査と救援物資配送を実施 

2023年6月30日からの大雨により、大分県由布市湯布院町川西地区では大規模な地すべりが起き、孤立世帯が発生しました。

このため、7月1日に、大分県と大分県ドローン協議会の間で締結した「災害時のドローンによる緊急被災状況調査に関する協定(令和5年3月9日締結)」に基づき、有限会社佐藤鉄工による緊急被災状況調査を実施しました。
また、県内ドローンメーカーであるciRobotics株式会社の機体を用いて、県内ドローン運航事業者である株式会社ノーベルが運航を行い、孤立世帯への救援物資配送を行った。

なお、本協定に基づく、緊急被災状況調査は初めての事例です。
また、県内の実災害でのドローンによる救援物資配送についても初めての事例となるとともに、県内事業者のみで救援物資配送を行ったのは全国初であり、発災直後に対応した事例も全国初となります。

緊急被災状況調査の効果

雨で防災ヘリが出動できない中、ドローンによる緊急被災状況調査の映像は、由布市、由布市消防本部、大分県警察本部をはじめ、関係機関に共有しました。

その後の災害対策の検討に活用されるとともに、マスコミ各社に提供することで被害の甚大さを県民に共有し、早期避難等の働きかけを行いました。
さらに、目視では確認できない裏側の地すべりの発見にも繋がりました。
地すべり画像

災害現場全容


地すべり画像2

地すべり全容


地すべり画像3

2つ目の地すべり

孤立世帯への救援物資配送の効果

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 災害時に、通信状況が悪くて携帯電話が通じにくい中、ドローンで無線電話、衛星電話及び食料品を配送しました。
さらに、斜面や草木が生い茂る道を開拓しながら消防本部が約2時間をかけて孤立地域へたどり着くところ、ドローンでは3分で救援物資の配送を行いました。 
救援物資

救援物資(約5㎏)


救援物資配送

ドローンによる救援物資配送


被災者との連絡

物資配送後に被災者と無線電話で会話する様子

 大分県のこれまでの取組

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大分県では平成29年度にドローン産業振興事業を立ち上げ、産学官連携による大分県ドローン協議会を設立しました。
そこから、研究開発や人材育成に取り組むとともに、地域課題の解決に向けたドローン物流事業の実証実験に取り組んできました。

緊急被災状況調査について

災害時のドローンによる調査は、被害状況の早期把握や救助活動の迅速化など、より効果的な災害対応につながることが期待されます。
しかし、どういった指示系統のもと、誰が撮影し、映像をどう関係者で共有するかが課題でした。

このため、令和4年度に大分県と大分県ドローン協議会会員が連携し、実災害でのドローンによる調査の実証を県内4か所で実施しました。

この結果、災害時のドローン調査による課題を克服。
2023年3月9日に大分県と大分県ドローン協議会の間で「災害時におけるドローンによる緊急被災状況調査に関する協定」を締結しました。

救援物資配送について

2020年7月豪雨では、国道の寸断などにより孤立地域が発生しました。
また、携帯電話も不通になるなど連絡手段の確保等が課題となりました。

このため、大分県では県内事業者等と連携し、孤立地域の連絡手段の確保と早期救援を目的に実際に孤立地域となった日田市中津江村平野地区等をフィールドとして、衛星電話等の救援物資配送の実証を行ってきました。

ライターコメント

今回の大分県でのドローン活用は、今後の災害現場での活用にあたって貴重な事例となりました。

消防本部が2時間かかるところを3分で物資を届けられるのは驚きですね。
物資が確実に早く届くのはもちろん、その分消防本部のリソースが空くのでより多くの人が助けられそうです。

令和2年の豪雨を基に実証実験が行われてきたからこそ、今回のドローン活用につながったのですね。
他の地域での災害でもドローンが活用できるようになることを願います。
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