特にやりがいや成長を求めて転職を考える人の場合、勢いのあるスタートアップ企業に憧れを抱く人も多いのではないでしょうか。
中でも昔ながらの企業に所属し、年功序列制度下での閉そく感ややりがいのなさを感じている人にとっては魅力的に映るでしょう。
しかし、成長段階にあるスタートアップ企業への転職は、その特性を理解しておかないと後悔する可能性もあります。
今回は、スタートアップ企業への転職について、メリットとデメリットを詳しく解説します。
スタートアップ企業の定義とは?
『スタートアップ企業』の定義に明確なものはありませんが、“新たなビジネスモデルに挑戦しながら急成長を遂げている企業”を指すことが多いようです。小規模から中規模の企業が中心であり、時には法人ではないケースもあります。
スタートアップ企業と似た言葉に「ベンチャー企業」があります。ベンチャー企業という言葉は、幅広い意味合いで使用される場合が多く、創業年数が短く社員数が少ない企業をひっくるめてベンチャー企業ということもあります。
スタートアップ企業はベンチャー企業の中でも特に新しいビジネスモデルを展開し、スピード感のある成長を体現する企業を指すようです。
スタートアップ企業が多い業種・分野
特許庁が2021(令和3)年度に行った調査によると、業種・分野別にみたスタートアップの現況は以下のとおりです。出典:Ⅲ.我が国におけるスタートアップをとりまく現状と課題|特許庁
スタートアップが最も多いのは、情報通信関連事業、次いでビジネスサービス・消費者サービスとなっています。
情報通信関連事業とは、ネットワーキング・コンピューター・ハードウェア・IT サービス業などです。一方ビジネスサービスはエンジニアリングサービス・広告・リース・コンサルティングサービス、消費者サービスはe コマース・インターネット経由の情報提供・各種小売業などが該当します。
業種を見れば分かるとおり、スタートアップが多いのはITビジネス分野です。ITビジネスは今後も継続的な市場拡大が期待できる上、起業のために多くの備品・設備を用意する必要がありません。
アイデアや発想力で勝負できる&低コストで起業できるという点が、「資金力はないが、新しい物を生み出したい」というスタートアップと親和性が高いと考えられます。
スタートアップ企業に転職するメリット・魅力
その成長スピードやビジネスモデルの斬新さが強みのスタートアップ企業は、従来の企業とは違った魅力があり、転職先として検討している人も多いでしょう。ここでは、スタートアップ企業に転職するメリットと魅力をお伝えします。
若いうちから責任の在るポジションに就ける
スタートアップ企業には、従来の企業のような年功序列を肯定する考え方やしがらみが少ない点が特徴です。基本的に実力主義を掲げている企業が多く、成果次第でどんどん責任ある仕事やポジションを任せてもらうことができるでしょう。
若いうちから責任のあるポジションに挑戦したい人、実力で評価されたい人にはおすすめです。
スピード感のある仕事を経験できる
スタートアップ企業は小規模であることが多いため、経営や営業戦略についての意思決定のスピードが速いという特色が強く現れる傾向にあります。このスピード感が企業の成長のカギにもなっており、自分が創出した成果が企業の成長に結びつく実感を得られやすい点が魅力とも言えるでしょう。
年次・年齢問わず裁量権がある
大企業などでは、業務が細分化・組織化されており、若い世代に大きな裁量を与えにくい特徴があります。その点スタートアップ企業では、年次や年齢問わず実力次第で大きな裁量が与えられ、自身の責任下のもと業務を進めることができます。
主体性を持って仕事をしたいという人は、1つひとつの業務にやりがいを持ちながら取り組むことができるでしょう。
経営者との距離が近い
経営者との距離が近い点もスタートアップ企業の魅力と言えるでしょう。スタートアップ企業は小規模で社員数が少ないため、経営者や上層部と直接話をしたり意見を発言できる機会も多く得られます。
経営者との距離が近いことで、経営陣の考え方や意思決定に至る経緯、会社の運営などに関する全てを肌で感じることができる点は、従来の企業との大きな違いでもあります。
将来的に企業や独立を考えている人にとっては貴重な経験になるでしょう。
スタートアップ転職は後悔する?やめとけと言われる理由
ここまでスタートアップ企業で働くメリットを見てきました。しかし、スタートアップ企業だからこそ注意しなければいけない点もあります。
本項目では、スタートアップ企業に転職するデメリットやリスクについてお伝えします。
仕事に忙殺される可能性がある
社員1人ひとりの裁量が大きいスタートアップ企業は、個々の業務リュームも大きくなりがち。ハードワークになる可能性が高い環境でもあります。
また常に人材不足であることも多く、おのずと従業員に負荷がかかり仕事に忙殺されてしまうことも。
ワークライフバランスを大切にしたいと考える人には、おすすめできないでしょう。
事業が安定していない
ベンチャー企業全体で見ると、創業1年後の生存率は40%とも言われています。これはスタートアップ企業にも当てはまり、むしろ急成長を目指すからこそ競争力が激しく生き残りが難しいという現実があります。
もし転職先のスタートアップ企業が事業に失敗し廃業になってしまった場合、また転職活動を余儀なくされる懸念があることも理解しておきましょう。
年収が下がる可能性がある
スタートアップ企業はまだ成長段階であり、収益が安定してない企業も珍しくありません。企業によっては、収益の変動が社員の給与額に影響することもあります。特に大企業からスタートアップ企業への転職の場合、一時的に年収が下がる可能性も考えらえるでしょう。
その代わり、事業が軌道に乗り収益が大きくなった際には、大幅な年収アップが期待できます。
その企業の事業内容やビジョンに共感でき、会社の成長のために働きたいという人には苦ではないかもしれません。
しかし安定性を求める人や確実に年収アップを叶えたい人には向いていないでしょう。
環境の変化が激しい
スタートアップ企業は環境フットワークが軽い分、環境の変化が激しいという特徴があります。人によっては、環境の変化に戸惑うかもしれません。
環境の変化にストレスを感じる人や、1つの物事にコツコツ取り組みたい人にはミスマッチに感じられてしまうかもしれません。
スタートアップ企業の転職に失敗しないための注意点
スタートアップ企業への転職を成功させるには、適切な準備と心構えが必要です。応募企業で内定を勝ち取るためのポイントをご紹介します。転職の目的を明確にする
転職の目的を明確にすることは、転職活動の軸を作ることと同義です。転職のミスマッチを防ぐためにも、転職によって実現したいこと・かなえたいキャリアを明確化しましょう。スタートアップへの転職の目的を決めるときにすべきことは、以下のとおりです。
- 現状分析・自己分析を徹底する
- 将来のビジョンをイメージする
- 転職で求める条件を明確化する
- 優先順位を決める
まずは現在の仕事内容、人間関係、給与、働き方を分析します。仕事面の不満や不安、自分の性格や強み・アピールできる実績についても棚卸しを行ってください。
現状分析・自己分析の次は、現状を踏まえた上で自分にとっての理想のキャリア・働き方をイメージします。「将来就きたいポジション」「手掛けたい仕事」「理想とする働き方」まで詳しく挙げると、具体的なビジョンを描きやすくなるはずです。
将来のビジョンをイメージできたら、それを実現するために必要な条件を挙げます。例えば「希望のキャリアパスを実現できるルートがあること」「希望の年収・待遇を得られること」「将来に役立つスキル・実績が身に付くこと」などが考えられます。
目標や理想のビジョンが複数ある場合は、優先順位付けが必要です。あれもこれもと欲張ると、いつまでたっても理想の転職先に出会えません。妥協できるポイント・できないポイントを明確にしておけば、応募先を絞りやすくなります。
自分の性格や条件に合った求人を探す
スタートアップは設立から日が浅い上、少人数経営であることがほとんどです。企業によって社風や文化・働き方は大きく異なり、肌に合う・合わないが顕著に出やすい傾向があります。スタートアップの求人に応募する場合は、自分の性格や希望条件にマッチしているかを精査しましょう。また少人数経営であるスタートアップの求人は、応募者に求めるスキルセットや実績が明確かつ厳格になりがちです。スタートアップが求めるスキル・実績が不足している場合、書類審査の通過さえ難しいかもしれません。採用条件については、必ず詳細を確認しましょう。
参考:求人サイトおすすめ
面接対策を徹底する
スタートアップは企業規模が小さいぶん、企業や職務とのマッチ度が重視されます。面接では企業理念・ビジョンへの理解度からアピールできる実績の有無まで細かく問われるケースが多く、面接の内容が採用の成否を決定することが少なくありません。面接を成功させるためには、徹底した企業研究と自己分析が必須です。面接では「その企業のどこに共感を覚えたか」「どのように企業利益に貢献できるか」をアピールできるようにしておきましょう。ただスキルや実績を連ねるだけでは、採用を勝ち取るのは難しくなります。
転職エージェントを活用する
転職エージェントとは、専任のキャリアアドバイザーがユーザーの転職活動をサポートする転職支援サービスです。サービスに登録することで、ユーザーは非公開求人の紹介を受けられます。一般の求人サイトではリーチできないスタートアップとつながれるのは、転職活動における大きなメリットです。スタートアップへの転職は情報が少なく、活動に難航するケースが少なくありません。転職活動をスピーディーかつ効率的に行いたい人は、ひとまず登録だけでも済ませておいてはいかがでしょうか。
スタートアップの転職におすすめの転職エージェント
スタートアップへの転職は、おすすめ転職エージェントを利用するのが近道です。ここからは、スタートアップへの紹介を受けられるおすすめの転職エージェントをご紹介します。マイナビAGENT
マイナビAGENTは、株式会社マイナビが運営するエージェントサービスです。
業界大手マイナビグループがバックに構えているだけあり、豊富な求人数が魅力。中でも中小企業の取り扱いが多いため、スタートアップ企業への転職を考えている人にとっても理想とする働き方・キャリアを実現できる求人が見つかるでしょう。
また、非公開求人も多数取り扱っているとのこと。
スタートアップ企業の管理職・役員クラスの求人など、公に公開されていない求人紹介を受けられる可能性も期待できます。
さらにマイナビAGENTは、求職者に寄り添った支援に定評があります。
マイナビAGENTであれば、思い描く転職を実現できるのではないでしょうか。
参考:マイナビエージェントの評判
年代:20代男性 職業:会社員(正社員) 業界:IT・メディア 職種:エンジニア・プログラマー 実務経験:1~3年
サービス利用証明済み- 経験者(実務経験あり)におすすめ
- 第二新卒におすすめ
満足度としてはかなり良かったという評価です。求人だったり他にもたくさんのことを手伝ってくださったりしてくれて安心して転職活動を行うことができたのでこの評価です。 ...続きを読む
投稿日:2024/06/24(月) 15:16
年代:30代男性 職業:パート・アルバイト 業界:IT・メディア 職種:デザイナー 実務経験:1~3年
サービス利用証明済み- 未経験におすすめ
スタッフの応対が良く、内容も高案件ばかりだったので、利用して損はないキャリアサービスだと感じた。 ...続きを読む
就職以降も今後のステップアップに繋がるものだと感じた。
投稿日:2024/07/03(水) 11:14
NewMA
案件紹介はもちろん、書類の添削や面接対策も実施。M&A業界経験者にしか提供できない、質の高さや圧倒的コミット力が強みです。M&Aに特化した転職対策を行えば、効率よく内定率をアップさせられるでしょう。内定後の条件交渉や入社後のフォローなどのサービスもあり、幅広くサポートしてもらえるのも魅力です。
dodaエージェントサービス
dodaエージェントサービスは、大手総合人材サービス「パソナグループ」が運営する転職エージェントです。保有案件数は約10万件以上あり、条件やスキルにマッチした求人の紹介を受けられます。Dodaエージェントサービスに登録すると、プロのキャリアアドバイザーによるキャリアカウンセリングからスタートする決まりです。カウンセリングではキャリアの棚卸しから転職計画の設計まで行われ、転職活動の目的や流れを明確化できます。
スタートアップ求人への応募後は、書類作成から面接対策までキャリアアドバイザーの支援を受けられます。内定獲得後も入社日調整や円満退職のためのアドバイスがあり、転職のあらゆるフェーズでプロのサポートを受けられるのが魅力です。
キープレイヤーズ
キープレイヤーズは、スタートアップ・ベンチャー専門の転職エージェントです。会社代表者は55社以上の社外役員・アドバイザー・エンジェル投資の実績があり、経営者視点の転職サポートを受けられます。キープレイヤーズが重視しているのは、「中長期的な視点でキャリアを描くこと」です。転職を最終ゴールとせず、その先のキャリアを実現するための転職を推奨しています。転職エージェントに登録したユーザーは、スタートアップに就職するメリットはもちろん、デメリットについても客観的な提案を受けることが可能です。
注意したいのは、キープレイヤーズで扱う求人は比較的ハイレベルである点です。スタートアップを成長させるための即戦力となれない人は、紹介を受けるのが難しいかもしれません。
スタートアップ企業への転職まとめ
小規模でありながら成長著しくあらゆる可能性が期待できるスタートアップ企業は、近年転職先として注目されつつあります。従来の企業にはない魅力を持ち合わせている反面、まだ事業が軌道に乗っていないなど将来性が見通せないことも。
また、スタートアップ企業ならではの仕事の進め方や職場環境は、合う人と合わない人がはっきり分かれるでしょう。
まずは、今回ご紹介したデメリット・リスクをしっかり理解した上で、自分に合っているのか考えてみましょう。
そして気になる企業があれば、社風・風土はもちろん経営者の考えやビジョン、事業の将来性なども慎重に調べた上で応募することをおすすめします。
はじめての転職など1人で動くのに不安がある人は、ぜひ転職エージェントなどを活用し、思い描く理想の転職を叶えましょう。