(取材)IT企業の専門家に聞く|テクニカルカスタマーサービスってどんな仕事?営業やサービス業からの転職者も多数!

(取材)IT企業の専門家に聞く|テクニカルカスタマーサービスってどんな仕事?営業やサービス業からの転職者も多数!

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コロナ禍で勤めている会社の経営に影響が出たことで、異業種転職を考える方が増えています。なかには、これまでの働き方を改めて見直し、フレキシブルな働き方を求めてIT企業を選択肢に入れる方も少なくありません。

そうなると、気になってくるのが……
  • 異業種からチャレンジできるIT業界の職種はあるのか?
  • 未経験からの転職で待遇面の期待はできる?
  • スタートアップやベンチャー企業で活躍する人の特徴とは?
といった点。転職希望者が増えているなかで、異業種からのキャリアチェンジは成功できるのでしょうか?

今回は大手印刷会社からエンタメ系ベンチャー企業、IT企業へ転職し、現在は技術系のカスタマーサービスとして働かれているAさんに、普段のお仕事や異業種からのチャレンジについて本音でくわしく伺いました。

インタビューに協力してくださったAさん

お客様が快適にサービスを利用するための窓口担当 

ーAさんは現在、どのようなお仕事をされているのでしょうか?

私は現在、クラウドサービスを提供している会社で技術系カスタマーサービスとして働いています。具体的には、自社のクラウドサービスをすでに使っていたただいているお客様からのさまざまな請求や契約、一部技術関連のお問い合わせにカスタマーサポートとして対応していく仕事です。

もう少し詳しく説明しますと、例えば発生しているサービス利用料に関して、「今回、なぜこういう請求になっているのか」と問い合わせがあれば、実際にお客様のご利用状況を見ながら「こういう理由からこうなっています」とお客様の質問に対して1つひとつお答えしていきます。

また、技術的なお問い合わせに関しては、必要に応じて海外の技術関連チームと連携し、お客様にご案内していく窓口の役割をしています。

ーちなみに、カスタマーサクセスという言葉も耳にすることが増えてきました。その違いについても教えてください。

端的にいえばカスタマーサクセスは営業で、カスタマーサービスはあくまでサポートです。そのため、我々の対応でお客様がサービスを購入・解約すること自体に責任は持っていません。

ーなるほど。先ほど、技術的な問い合わせに関しては海外のチームと連携するとおっしゃっていましたが、テクニカルカスタマーサービスとしては、技術的な専門知識はどこまで求められているのでしょうか。

基本的には、プロダクトに責任をもっている部署から公式の回答を引き出してお客様にお伝えするのが役割なので、多少知識は必要になりますね。知識面に関しては、最低限「これはこういう概念のものなんだ」と勉強するのはもちろんのこと、認定の資格試験などを受けるケースもあります。

ーやはり、働く上で自己研鑽が必要になってくるのですね。それでは、キャリアパスについて伺いたいのですが、たとえばIT業界未経験の方でも、Aさんのようなポジションへ転職できるのでしょうか。また、この仕事の魅力は?

同僚には、近い職種や業種から転職される方はもちろん多いですが、飲食店や宿泊などのサービス業を経験した方など、異業種から転職した方も多い印象です。私自身は学生時代からインターネットサービスがずっと身近にあり、頻繁に活用している方なので、性に合っているところはあったんじゃないかなと思います。

クラウドサービスは大きなインフラであると同時に、サービス自体もどんどんアップデートされていき、新しいサービスが開発されていきます。そのなかで仕事ができるということは、自分自身をフレッシュに保つのにいい環境だなと思っていますし、この仕事の一番の魅力だと感じています。

私自身はこれまでいろいろな仕事の肩書や立場で働いてきましたが、やっぱりお客様や協力するパートナーさんと対面しながらいろいろやっていくという、企業の窓口のような仕事はずっとやっていきたいなという気持ちがあります。それらの経験と、いわゆる産業のフロントラインにあるものとかけあわせながら仕事ができているというエキサイティングさがあるかなと常々感じています。

自分を鍛えるために一部上場企業→ベンチャー、IT企業と異業種転職

ー次に、Aさんのこれまでのキャリアについて教えていただいてもよろしいでしょうか?

私は大学卒業後に、一部上場企業の印刷会社に入社し、主にプロモーションやマーケティングの仕事を担当していました。その後は、経営企画本部にてプロジェクト推進のアシスタント的な仕事もやっています。

30歳手前で以前から興味のあったエンタメ系のベンチャー企業に転職し、会社がもっているコンテンツを使ってプロモーションやブランディングをしたり、案件のマネジメントを担当。海外へ進出する際の事業のお手伝いもやらせていただきました。

ー1社目と2社目では、会社の規模感や仕事内容もまったく異なりますね。

そうですね。最初の会社が東証一部上場企業ということもあって、福利厚生面でも、すごく働きやすかったと思います。いち労働者としてちゃんと保護されている感覚があり、恵まれた環境だったんだなと痛感しました。

2社目のベンチャー企業では、やっぱり自分自身で実際に手を動かして、動き回る幅が大きかったので、裁量も増える分、やらなきゃいけない範囲もすごく増えました。ただ、そこはあえて「身につけたい」と考えていた部分だったため、自分を鍛えるいいタイミングだったんじゃないかなと思っています。

そこから転職したのはなぜかというと、その当時に担当した仕事の都合で、いろいろな転職サービスを使ってみる機会がありまして。そこで登録した転職サービス経由で実際に採用担当者からスカウトが来るという経験をしました。その会社がとても伸びてきている、いわゆる「イケてるITベンチャー企業」という会社だったので、貴重な機会だなと。面接もトントン拍子進んだこともあり、転職を決意しました。

ーその時点では、IT業界未経験だったと思いますが、何か苦労されたことはありますか?

もちろん、いろいろと大変なことはありました。特に、エンジニアリングに近いところにいる方々が中心のチームにいるときは、今までに接したことがないタイプの人が多かったですね。そういった意味では、共通言語や、トンマナとかエチケットみたいな部分をつかむのがすごく大変だったなという記憶があります。

ただ、自分の世代からしてIT業界の経験がないのはもったいないというか。IT業界をちゃんと知っていることで、これから先のキャリアもどんどん膨らませていける可能性が高くなるんじゃないかなと思っていたので、進んで努力をするようにしました。

ーそこから現在の会社に転職されたのは、何かきっかけがあったんでしょうか。

エージェントさんからたまたまお話をいただいたのがきっかけです。いわゆる外資のサービスというのが自分としてはキーワード的にも大きくて。今まで自分自身が持っていなかったタイプのキャリアといいますか、前職よりも技術寄りな経験が積めそうだというポイントもあったので、新たなスキルを伸ばせると思い、踏みこみました。

IT企業への転職は自分の可能性を広げる機会になる

ー転職のタイミングには、新型コロナウイルス感染拡大の影響もあったのでしょうか。

ええ。前職は広告業界がクライアントだったため、まさにその影響を受けました。コロナで消費が落ち込むと、広告主=世の中の企業さまは、真っ先に販売促進費や広告費を削っていくんです。つまり、広告って、一番初めにあおりを受ける業界なんですよね。

予定していた大きなキャンペーンがなくなったり、予定していた仕事が飛んでしまったりということもたくさんありまして。それも日本だけではなく、グローバルでそういう流れだったので、正直なところ毎日が不安でした。そんなときに、たまたま現職からのスカウトを受けまして、これもまたご縁かなと転職することにしました。

ーAさんのようにコロナ禍の影響を受けて、異業種からIT企業に転職を希望する人が増えています。未経験からIT企業への転職はおすすめできますか?

経験/未経験というよりも、まずは何を目的とするかだと思います。

IT業界は変化が大きく、その変化をもってして世の中の産業を推し進めるエンジンにもなっているため、概してエキサイティングな仕事ができます。自分自身をフレッシュに保つことができ、進化し続けられるのも嬉しいですね。待遇面でいっても、お給料は相場よりも高い場合が多いですし、自分自身も転職で年収が上がりました。そういった部分でも、転職をして非常に良かったです。

あとは、働き方に関してもフレキシブルな企業が多いため、自分自身がどういったワークライフバランスでやっていきたいのか、いろいろなポジションを選びやすいメリットもあると思います。自分の可能性を広げやすい業界なので、これまでのご自身の経験をどう生かすか?をいろいろな手段で見極めたうえでトライしていくことは、決してマイナスにはならないのではないでしょうか。

ー例えば、Aさんのようなポジションへ転職するには、異業種におけるどういったスキルが有利に働くでしょうか。

私自身の経験をお話しすると、これまで比較的クライアントワークの仕事をしてきたことが現職の業務にも結びついているように思います。

例えば、クライアントさんに対して、ただ言われたものを提供して終了ではなく、提供したサービスをどう活用すればいいのか、きちんとご自身で会得していただくための機会や情報をご提供することを意識的にやっていました。こうした工夫が、現在にも結びついている気がしますね。

そう考えると、「クライアントさんと対面しながら仕事をする」スキルが有利に働きやすいと思いますので、元・営業職や元・カスタマーサービス職の方だと、カスタマーサービスのようなポジションへ転職しやすいかと思います。

ーベンチャーやスタートアップで活躍するカスタマーサービス職の特徴を教えてください。

活躍している方を見ていると、何よりも「仕組みを作れる人」が強いなと感じます。業務の重要なポイントだったり、ボトルネックになっていたりする部分をちゃんとつかんでPDCAが回せる人、ソリューションを提示することができる人が評価される傾向にあります。

こう話してみて思いましたが、IT業界といえど、「活躍できる人」の特徴はある程度共通しているのかもしれませんね。我こそはと思う方は、ぜひチャレンジしてみていただければと思います!

—ありがとうございました!

企業の顔としてお客様に最適解を届ける。それが技術系カスタマーサービスの仕事!

企業や個人のお客様に対して、自社サービスに関する問い合わせ窓口となり、時には技術的な質問にも答える技術系カスタマーサービス職。企業の顔としてお客様の声を一番に聞き取り、関連部署との橋渡し的な役割も担う重要なポジションです。

お客様の疑問や質問に対して、適切な解決策やサポートを提供するという点で考えると、営業職やサービス業などさまざまな職種の経験が生かせると思いました。IT企業は未経験だから……と尻込みするのではなく、これまでの経験がどうやったら企業に貢献できるのか自己分析をすると異業種転職にも可能性が見えてきそうです。Aさん、貴重なお話をありがとうございました!

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