(専門家が解説)航空法改正、ドローンは登録必須に!注意したいポイントを専門家が解説

6月の航空法改正により、ドローンにまつわる制度が大きく変わりました。

機体の登録が義務付けられ、適切な手続きを怠れば罰則を受けることも。そこで制度の変更点や、すでにドローンを持っている人やこれから購入したいと考えている人が注意すべきポイントについて、バウンダリ行政書士法人代表の佐々木慎太郎氏に解説していただきました。  
 

バウンダリ行政書士法人代表 佐々木 慎太郎氏  
個人から上場企業まで幅広く対応する、ドローンのプロフェッショナル。ドローンスクール (管理団体・講習団体)の顧問や行政書士を対象とした研修会講師、業界初の申請事例など実績多数。著書に『ドローン飛行許可の取得・維持管理の基礎がよくわかる本』(セルバ出版)。

航空法が改正。ドローンは登録が必須に  

佐々木氏:

はじめに、ドローンを飛ばすために必要なフローについてご説明します。  
 
機体を購入後、まず必要となるのが機体登録の申請です。申請が承認されると機体ごとに登録記号が発行されるので、購入したドローンに登録記号を表示します。この次に、法律に従って飛行許可申請が必要になる場合には申請を出し、許可されれば飛ばす前に飛行計画の登録をします。6月の航空法改正により、ドローンを飛ばすためにはこれらをすべて行わなければならなくなりました。
 

(出典:国土交通省ホームページ ) 

 
大体、車を運転するのに必要な流れと同じになったと考えてください。車を買うとまず登録して、車ごとに交付されたナンバープレートを車に取り付けますよね。そして道交法で定められた道を走る。「規制が厳しくなった」と考えるよりは、「より安全に飛ばすための措置がようやく取られた」というイメージです。
 
では、実際に一つずつ見ていきましょう。

機体登録義務化の背景

 義務化の狙いは下記の3点です。  
 ・登録されていないと機体所有者が特定できず、安全上必要な措置がとれない  
・墜落事故発生時など、その飛行が不適切な事案であるときに、無人航空機の所有者を把握することが重要  
・無人航空機の利活用拡大における「安全・安心の確保」のため  
たとえばドローンが墜落したとき、実は所有者が逃げてしまうケースも多いんです。そうなると、警察でも所有者を見つけるのに時間がかかってしまいます。その点、機体を登録していると、機体情報や連絡先をすぐに把握できます。制度の改正により、「誰の機体かわからない」ような事態は発生しなくなるはずです。  
所有者や機体情報を確認できれば、事故が起きた際に安全上必要な措置がどのように取られていたのかを所有者に確認することができます。また、今後ドローンが活用されていくためには、空を飛んでいるドローンが誰のものかがすぐにわかる仕組みは安全・安心の確保の観点からも必要ですよね。  
 
なお、登録せずに飛ばしてしまうと、その瞬間に書類送検される可能性があります。具体的には、50万円以下の罰金もしくは1年以下の懲役が科される可能性もあり、神奈川県では8月に全国初となる書類送検事例も出ています。  
 
全国初の書類送検事例
 
登録に際しては、「安全上問題のある機体の登録拒否ができる」ことになっていますが、現状では写真での審査のみのため、実際に登録が拒否された事例はほとんどありません。唯一、機体にトゲトゲしたもの(突起物)を付けて不適切だと判断された例はありますが、これは非常に珍しいですね(笑)。

12月には新たに「型式認証・機体認証制度」が始まります。自動車でいうところの「車検」のような制度です。安全にドローンを飛ばせるようになる今後の法整備に期待ですね。

(提供:バウンダリ行政書士法人)

「100g」でも無人航空機に認定

これまで、200g以上の機体が「無人航空機」として定義されていましたが、今回新たに「100g以上」に基準が変更となりました
 
この一番の原因はドローンの性能の向上です。

もともとの「200g」という数字は、制定当時の機体の性能を踏まえ、「200gより軽ければ機能もそこまで高くなく、落下しても人や建物に甚大な被害を与えることはないだろう」との判断によるものでした。
 
ところが、最近では150g程度の機体でも時速100kmまで出せるなど、非常に軽くて高性能のものが出てきたため、規制の基準を上げる必要が出てきたんです。  

機体ごとに登録記号を貼り付け!改造時には要注意

ドローンを購入すると、まずは国土交通省が運営する「ドローン登録システム」に機体を登録する必要があります。これはオンラインでも書面でも可能です。登録すると審査が行われ、受理されると「JU」から始まる登録記号が通知されるので、その記号を機体に表示します。  
 
車だとナンバープレートが交付されますが、ドローンにそういったものはないので、自分でシールやステッカーなどを作成して貼り付けるケースが多いですね。マジックで書いても大丈夫です。記号は自動的に決まってしまうので、希望の記号を使うことはできません。  

レンタルや他人から譲り受けた場合はどうなる?  

機体をレンタルした場合には、実際に機体を所有している事業者が登録を行うため、登録に関しては、原則借りた側は何もしなくて大丈夫です。
 
ただし、飛行許可申請時には実際に飛ばす人の名前を記載して申請する必要があります。 たとえば、A事業者の機体をBさんが借り、BさんとCさんが実際に飛行させる場合、飛行許可申請を出すのは誰でもいいのですが、申請書類の中にある「飛行させる者」の欄にBさんとCさんの名前を書いておかなければ駄目、ということです。

飛行許可申請書(佐々木氏提供)

 
逆に言えば、その欄に名前がない人はドローンを飛ばすことができません。仲間のDさんが、「自分もドローンを飛ばすことができるから、やらせて」は認められないんですね。
 
ドローンを友達からもらった場合には、登録の譲渡の手続きが必になります。これもオンラインで申請可能です。  

二つの「改造」。再申請が必要な場合も  

購入したドローンに別のカメラやアプリを付けたり、軽量化のために部品を取ってしまったりと「手を加えたい」と考える人もいるかもしれませんが、これは注意が必要です。手を加えた結果、全く別の機体として扱われるケースがよくあるからです。  
 
ドローンの世界では、①登録するとき②飛行許可申請を出すとき「改造」の定義が異なります。

①登録時の改造では、重量(機体本体+バッテリーの合計)の+10%までは、カメラを取り外すなどその重量より軽くなる行為については自由に認められています。重量(機体本体+バッテリーの合計)の+10%より重くなるときに「改造」とみなされます。
 
一方、②飛行許可申請時には何かを付け足すことに加え、何かを取り外しても改造に当たるケースがあります。国交省は2022年9月現在、96種類のドローンについてその安全性を認定しており、製造者や機体の名称、最大離陸総重量、飛行形態の区分をホームページで公開しています。これはドローンをメーカーから買ったときの状態です。
   
つまり、既製品をそのまま使う分には問題ないのですが、ここに手を加えてしまうと、もとの製品より重くても軽くても「国交省に認められていない状態」として「改造」とみなされます。他にも改造とみなされるパターンはいくつかあるのですが、一番多いのが上記のケースです。
 
補足すると、国交省で認められた状態を保つならば、手を加えても改造にはなりません。たとえば、機体の中にはカメラを純正の別パーツに付け替えられるものもありますが、メーカーが「このカメラであれば付け替え可能」と指定したものであれば問題なし。ただし、互換性があるからといってメーカーが認めていないカメラを付けた場合にはやっぱり改造になってしまいます。
 
これはアプリも同様です。ドローンを操作するアプリも各メーカーが指定しています。民間のソフトウェア開発会社がいろいろと便利なアプリを出していますが、そのアプリを使うと改造になってしまうんです。
   
改造してしまっても使えないわけではありませんが、登録時の手続きが煩雑になります。飛行許可申請の場合、既製品で申請する分にはすでに機体情報を国交省が把握しているので、申請手続きが簡単なんですね。しかし改造をしてしまうと、自分でその機体の重量や時速など、詳細な情報を入力しなくてはなりませんので注意しましょう。
 

(提供:バウンダリ行政書士法人)

リモートID機能とは?

リモートID機能も義務化されました。これは遠隔からでも機体情報を確認できる機能で、1秒間に1回以上、情報を発信することが求められます。機体に内蔵されているものもありますね。  
 
もしすでに持っている機体にリモートID機能が内臓されておらず、新たにリモートID発信機を搭載したいと思うなら外付け型のものもありますが、飛行許可申請のときに改造とみなされて新たな申請作業が必要になる可能性がありますし、リモートIDとドローンを紐付けるアプリの作業も必要になります。また、外付けのものは価格も高額です。なので、どうしても内蔵型が多くなっているのです。

ドローンは勝手に飛ばしちゃダメ?飛行許可申請が必要なケースとは  

次に、ドローンを飛ばすに必要な「飛行許可申請」についてです。この申請が必要となるのは、「飛行場所」で四つ「飛行方法」で六つのパターンが定められています。
 飛行場所  
1.空港等の上空  
2.150m以上の高さの空域  
3.人口集中地区の上空  
4.緊急用務区域 (災害時の捜索・救助など緊急的な用務を行うエリア)
※1~3は国土交通省から許可を受ければ飛行可能
※4は原則許可されない
飛行方法  
1.夜間飛行  
2.目視外飛行  
3.人や建物から30m未満の飛行  
4.イベント上空飛行  
5.危険物輸送  
6.物件投下
※1~6は国土交通省から許可を受ければ飛行可能   
行政書士としていろいろな相談を受けていると、街中や夜に飛ばしてはいけないことを知らない人が結構な数でいらっしゃることに気づきます。

これらの場所や方法でドローンを飛行させたい場合には、国交省へ飛行申請を行い、許可を得ることが必要になります。なので、ドローンを飛ばしたいと思ったときは、まず飛ばしたい場所が許可を必要とする場所なのかを調べなければならないというわけです。
 
許可と承認が必要ない場合には、航空法上では申請の必要がありませんが、神社や文化財など、ほかの法令や所有者・管理者側で駄目だと定められているケースもあります。車だって、道交法に書かれていないからといって文化財はもちろん、民家や他人の私有地を走行してはだめですよね。それと同じです。  
 
飛行許可申請には、メーカーの名前やドローンの名前、登録記号が必要となります。したがって、そもそも機体の登録がされていないと、許可申請もできません。  

(提供:バウンダリ行政書士法人)

事故防止のために飛行計画の登録を 

飛行許可申請が必要な場所では、申請が許可されてもそれとは別に飛行計画を登録する必要があります。これは、「いつ、どこで、どれくらいの高さで、どのようなドローンを飛ばすのか」を定めたもので、インターネット上で登録する形になります。  
 
そもそも申請が不要な場合には、計画の登録は必須ではありません。ただし、事故防止という飛行計画の目的を考えると、いずれにせよ計画を登録しておいた方が事故が起こる可能性が低くはなります。  
 
本来、飛行機は150m以上の上空を飛んでいるのでドローンと衝突することはありませんが、ドクターヘリや報道ヘリといった緊急度の高いヘリコプターは150m以下の空域を飛行することがあり、衝突の危険性があります。そういった場合にドローンの飛行計画が出ていると、国交省から飛行計画を登録したメールアドレスに対して「ドローンをすぐに降ろしてください」との趣旨の通知を送れるようになっています。  
 
なお、いまは飛行申請後の計画の登録は義務とされているものの、法的な罰則はありません。ただし、今年12月には制度が改正され、登録していないと罰則を科されるようになります。  

ミスやトラブルを防ぐために  

注意すべき点は、申請内容を理解しないまま登録や許可申請を行なってしまうことです。現時点では、申請時にミスやトラブルが起こったケースはあまり聞きません。申請が終わった後も、申請内容を遵守してドローンを飛ばさなければいけません。制度をよく理解しておらず、思わぬところでトラブルになるケースはありますし、今後さらに増えていくと思います。  
 
特に増えるだろうと考えられるのが、修理後のトラブルですね。ドローンが壊れて修理に出すとなったとき、実は修理に出したものとは別の機体になって返ってくることがよくあるんです。別の機体というのは、見た目は全く同じですが、メーカーが決めた製造番号等が変わっている機体のことです。修理するときに、フレームや時には本体ごと変えてしまった方が結果的に修理代金が安くなるケースがあるからです。 ユーザーにとっても安く済む方がいいですからね。
 
市販されているドローンには機体ごとに製造番号が付けられており、その番号を登録時に入力する必要があります。すなわち、機体が変われば登録も変更しなくてはならないのですが、機体が変わったことをユーザーに知らせない販売店もいらっしゃいます。そのため、番号が変わったことを認識しないまま外で使用していたユーザーが突然捕まってしまった……というケースはきっと出てくるでしょう。  

バウンダリ行政書士法人なら、ドローンに関するあらゆる相談を受付中!  

個人が既製品をそのまま趣味で使う分には、機体の登録を自分で進めることは問題ないかと思います。手数料も自分でやった方が安く、審査も代理人を通すと時間がかかりますからね。
 
機体登録の手続きで弊事務所をご利用いただくのは、手続きを完全にアウトソーシングする方針の企業、100機以上のドローンを保有していて社内で管理するのが難しいような企業であったり、インターネットになじみがなかったりする個人事業主の方が大半を占めます。  
 
ただドローンに関する諸法律・制度は変更点が多く、そのスピードも速いのも事実です。実際、「情報のアップデートも含めて相談したい」「最新の情報で手続きを維持したい」と来られる方も非常に増えています。また、「機体の登録はできても飛行許可申請や飛行計画の作成が面倒だ」と仰る方もいます。  
 
われわれのような専門家を頼っていただくことで、安心してドローンを使用できますし、何かあったときのリスク回避にもなります。申請から法務、スクールまで多様な事業を展開していますが、SNSを使った月額1万円のチャット質問サービスなど、気軽に利用できるサービスもあります。何か心配事がありましたら、ぜひ弊事務所にご連絡ください。
 
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(提供:バウンダリ行政書士法人)

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