(取材)無線従事者養成センター代表 中村治幸さん|電波と無線、知っていますか?ドローン操縦者必見の知識を伝授

ドローンを仕事に活かすなら 無線の資格取得がおすすめ!
ドローンを業務で利用する場合、無線技士の免許が必要になる場合があるのをご存じですか?また、趣味でドローンを飛ばす場合にも、一定以上の電波を超え、無線局の開局が必要な場合には「アマチュア無線免許」が必要です。

「空の産業革命」としてドローンへの期待が高まる現在、第三級陸上特殊無線技士やアマチュア無線技士へのニーズも高まっています。

中村治幸さんは、総務省で長年電波行政に従事し、退官後に無線技士資格取得をサポートするスクール、一般社団法人無線従事者養成センターを立ち上げました。


ドローンパイロットの国家ライセンス制度の創設や機体登録制度の変更など、現在ドローンに関する制度が急速に整備されています。しかし、ドローンの制度変更は知っていても、ドローンと無線資格の関係を知らない方も多いかもしれません。

今回は、無線技士として長年電波行政に携わってきた中村さんに、ドローンと無線の関係や、無線技士資格についてうかがいました。

無線従事者養成センター代表 中村治幸さん


周波数の交通整備「電波行政」の仕事

__中村さんは総務省で電波に関わる業務に携わっていたそうですね。

はい。総務省での仕事は主に「電波行政」が中心でした。なかでも私が従事していたのは、移動通信や航空無線関係です。消防や防災、鉄道などの周波数の割り当てをしたり、技術基準を作ったりしました。

__「電波行政」とは耳慣れない言葉ですが、具体的にはどのようなお仕事なのでしょうか?

道路の交通整理を想像していただくとわかりやすいでしょう。世の中の道路には、交通事故を防ぐためにさまざまなルールが設けられています。自転車専用レーンがあったり、追越車線があったりと、目的に応じた車線があるのもその一環です。

これと同じことが、電波においても行われています。電波にも「混信」という、いわば交通事故のようなトラブルが起こり得るんです。それを防ぐための交通整理にあたるのが電波行政で、私は、電波が混信しないよう「周波数割当て」や「無線設備の技術基準の策定」などを担当していました。ちなみに、ドローン無線の「技術基準」を作成したのは私の元同僚です。

なお、「技術基準」には2種類あります。一つは国の基準で、総務省で私が作成を担当していたものです。強制規格と言われています。一方、これをベースに民間の各分野の専門の方が無線機を作るための任意規格を作っています。電波は本当に混信しやすいので、交通整理が非常に大事なんです。

意外と知らない、ドローンと無線の深い関係

__電波の専門家だった中村さんが、無線従事者養成センターを立ち上げた背景にはどのような課題意識があったのでしょうか?

直接的なきっかけは、総務省を退官したことです。じつは私は、公務員試験を受けて総務省に入ったわけではなく、無線従事者という専門資格で入省して、専従者として電波行政を担当してきた立場でした。つまり、もともとのバックグラウンドが技術者だったので、退官後にどう社会貢献しようかと考えたときにも、ずっと携わってきた無線に関わる仕事しか思い浮かばなかったんです。無線従事者の養成をしようと思い至ったのは、そんな経緯からでした。

ちなみに、以前は「無線従事者」という資格を取ると、無線関係の仕事に、専門職として就くことができました。
たとえば昔は、外航船などには通信専門の船員、いわゆる通信士が乗船していましたが、現在は、航海士等が通信業務を行っているようです。しかしながら、一方で電波利用のすそ野は確実に広がっており、そのもっとも顕著なものがドローンによる電波利用です。市場も急拡大しているようです。このため第三級、第二級陸上特殊無線技士アマチュア無線の資格を取られている方が増えてきているようです。

__ドローンと無線免許にはどのような関係があるのでしょうか?

無線通信で電波を出す場合には、基本は無線従事者の免許と無線局の開局が必要です。ドローンの操作は無線通信を使いますので、場合によってはこれらの対応が必要になります。ただし、電波が微弱な場合(10mW以下)はいずれも不要ですので、趣味用途のドローンであればそれほど気にされる必要はないかもしれません。

一方、169MHz帯を利用する場合や2.4GHz、5.7GHz帯のうち電力の高いものを利用する場合は、第三級陸上特殊無線技士の資格を取得しなければなりません。
そして、ドローンの無線免許取得後には、無線局の開局申請もしなければなりません。車にたとえると、運転免許の取得後におこなう車検登録のようなものと捉えていただくとわかりやすいでしょう。

また、趣味でドローンを飛ばす場合でも、一定以上の電波を出す無線操作を行うなら「アマチュア無線技士」資格が必要です。アマチュア無線技士は出力W数・周波数によって第一級から第四級に分かれています。

ただし、アマチュア無線技士資格はあくまで趣味利用に留まり、業務では使えません。つまり、「ドローンの資格をとって、仕事に使いたい」という場合は、第三級特殊無線技士の資格取得が望ましい、ということになります。

国家試験のポイントを学び、経験者からアドバイスも受けられる


__ドローンの業務活用と無線の資格に密接な関係があるとは知りませんでした。スクールを開校したのは、こうしたニーズ増大を見込んでのことですか。

もちろん需要を見越した面もありますが、国家試験対策のためという理由もあります。じつは、無線の国家試験はかなり難しいんです。たとえば、第一級陸上特殊無線機の資格は、独学で勉強しても6~7割は不合格になります。国家試験は比較的真面目に勉強してから臨む方が多いのですが、それでも6〜7割が落ちてしまうというのは、かなりの難易度ですよね。

そこで、当スクールで試験のノウハウを提供すれば、うまくニーズに応えられるのではと思ったのです。たとえば大型バイクの免許は、わざわざ教習所に通わなくても一発試験で取得するルートもあります。しかし実際には、ほとんどの方が「現実的でない」と感じ、教習所に通いますよね。これと同じ発想です。

当スクールには実際にJALの無線担当者や元海上保安庁の職員など、長く無線に触れてきた講師が揃っています。必要な知識を分かりやすくお伝えするのはもちろん、実務のイメージも併せて伝えることで、独学よりもはるかに合格しやすくなるはずです。

「合格するまでは料金不要!」無線従事者養成センターで学ぼう

___改めて、無線従事者養成センターの魅力をご紹介ください。

一部繰り返しになりますが、当センターでは実務で無線に触れてきた各分野のプロフェッショナルが講師を務めるため、知識だけではなく、生の経験を学べます。たとえば、「教科書ではこのように説明されているけれど、実際はこのような部分にも注意しなければならない」など、運用のコツも学べるのが大きなメリットです。

また、当スクールではオリジナルの教科書を使用いたします。総務省推奨の教科書もありますが、出来るだけ分かり易く受講者の視覚に訴えるため、図表や絵を多く取り入れた当センター独自の教科書を作成しています(海上資格は現在作成中)。コストダウンにも貢献しています。


__合格に向けて一直線にサポートしてくれるのですね。

その通りです。無線技師は合格が難しい国家資格ですから、当スクールで学んだとしても、残念ながら不合格になってしまう可能性がゼロではありません。そこで当スクールでは、不合格だった場合は追加料金不要で再チャレンジできる仕組みにしております。小規模スクールの利点を活かし、補習等にも可能な範囲で対応いたしますので、どのようなことでもご相談ください。

最近ではアマチュア無線の資格取得希望者も増えています。その中には保護者と一緒に取得を目指すお子さまもいらっしゃいますので、アマチュア無線に関しても、図解や絵をふんだんに盛り込んだ自作の教科書を作成しております。それだけでなく、主要箇所にはルビも振ってありますので、小学生のお子さまなどもぜひチャレンジしてみてください。

今後はドローンの急速な普及によって、プロ・アマともに無線技士資格の需要が増えていくでしょう。当センターでは、9月には新大阪事務所を開設予定のほか、お忙しい方に向けたリモート授業や夜間教育も検討しています。

ドローンの活用や無線を使った資格に興味のある方は、ぜひ受講をご検討ください。みなさんの合格に向けて、全力でサポートいたします!



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