(取材)SORABOTドローンセミナー受講者インタビュー|国家資格取得後、ドローン運用で困ったことは?

SORABOTドローンセミナー受講者インタビュー|国家資格取得後、ドローン運用で困ったことは?
ドローン国家ライセンスを取得した人のなかには、「どのように仕事でドローンを活用すればいいのか」「どうすれば仕事にできるのか」と悩む人が少なくありません。

このようなドローン事業化に関するミスマッチを解消すべく、合同会社SORABOTが新たに運用を開始したのが、コミュニティ「SORABOT HUB(ソラハブ)」です。

今回は、SORABOT HUBで開催されたセミナーを実際に受講した寺内庸泰さん、尾形真彦さん、金子侑介さんのお三方に加え、SORABOT代表・奥村英樹さんにインタビュー。実際のドローン運用で困ったこと、セミナーを受講して業務に役立ったことなどについてお話を伺いました。

合同会社SORABOT代表 奥村英樹氏

合同会社SORABOTとは?

合同会社SORABOT(以下SORABOT)は、自動充電型ドローンポート「DroneNest」の提供を基幹事業とし、ドローン関連業務のサポート、ドローンの事業活用と普及などのセミナー運営を行う、いま注目の会社です。

人件費や移動コストの負担の問題から、ドローン活用を新たに検討している個人や企業、ドローン運用の社内教育や引き継ぎについて相談したい企業、受講生やメンバーに実践的なノウハウを提供したいと考えるドローンコミュニティ・スクールなどに対して、ドローンビジネスの悩みに全て応える「ドローンアドバイザー」として幅広いサポートを提供しています。

そんなSORABOTが新たに運営を開始したのが、ドローンの事業者同士の連携が密にとれるコミュニティ「SORABOT HUB(ソラハブ)」です。


SORABOT HUBでは、ドローン事業者との対談イベントや参加者同士の交流が密にとれるイベントを毎月実施し、単に情報を得るだけでなく、自ら情報発信をするような仕組みづくりを行います。

コミュニティの発足に先駆け、4月22日、4月25日には、コミュニティ・スクールを体感できるプレイベントも実施されました。

参考:ドローンの事業者とつながり学べるコミュニティ SORABOT HUB(ソラハブ) 開始|PRTIMES

ではいよいよ、セミナー参加者のみなさんにお話を伺ってみましょう!

セミナー参加者3名+代表奥村さんにインタビュー

―お集まりいただいたのは、3月9日に行われたセミナー* にご参加のみなさんです。まずはお一方ずつ、自己紹介をお願いいたします。
* 【3月9日 ドローンの開発現場の最前線、産業利用の体験会】あなたの知らないドローンの世界

寺内:
僕は歯科医師を本業としています。今61歳なのですが、セカンドステージを考え始める時期になり、何か打ち込めることを探していました。そんななか、2年ほど前に友人の勧めでドローンを始めてみると、すっかりハマってしまいました。もともと、車の運転や操縦をするのが好きなんです。

その後はあちこちを空撮して遊んでいたんですが、国家資格ができたものですから、副業にするなら国家資格があった方が有利だと思い、埼玉にあるAONEドローンスクールさんに入校しました。一等無人航空機操縦士を取り、今はそのまま居残る形で、ドローンスクールのお手伝いをしています。

尾形:
私は昨年の6月に、ドローンを活用したサービスを提供する会社を立ち上げました。メインの業務としては、ドローンを活用した外壁の調査、太陽光パネルの調査、工事現場の撮影であったり、測量、企業様向けのドローン活用のコンサルティングなどをしております。

まったくの異業種からの創業で、以前はOA機器、コピー機や防犯カメラの販売、保守といった仕事をしておりました。メガソーラーの太陽光パネルがあるところで防犯カメラを設置したときに、ドローンで点検する様子を拝見し、「これはすごく面白い、自分もやりたい!」と事業を始めて、今に至ります。

金子:
僕はフリーランスで、不動産と運送とドローンを手がける形です。ドローンを始めたきっかけは、車を追い撮りしているFPVの映像を見たことです。カッコいいと思い、そのままのめり込んでいきました。

FPVももちろん楽しかったのですが、それ以外のドローンも楽しそうで。ドローンを使ってもっと何かしたいと思って、いろいろなところに顔を出し、コミュニティにも入り、スクールに入り……とやっているうちに、ドローン漬けになってしまいました。そして、6月からドローンの企業に就職することが決まりました。

奥村:
今日、インタビューに参加されているお三方は、今からドローンビジネスを始めようとされている方ですが、セミナーにはすでにドローンビジネスを展開されている方も参加されています。これから本格的に学びたい方、すでに経験があった上でさらに学びたい方、もしくはこれから学ぶ方との交流がしたい方。さまざまな皆さんがセミナーには集います。


―セミナーを受講するにあたり、どのような情報を期待していましたか?

尾形:
私は異業種からのスタートだったので、ドローンを活用した現場経験が圧倒的に少ないことを危惧していました。営業上必要だと考えて国家資格を取りましたが、実運用であったり、ドローンを自動航行で飛ばすソフトのレクチャーだったり、そういったことを実践的に学びたいと思っていました。

寺内:
僕はほとんど素人に近いので、何も分からない状態でした。しかし、これからインストラクターとしてやっていくにあたり、いろいろな受講生からの質問に「分かりません」と返すようではいけない、少しでも広く浅く知識があった方がプラスになると考えました。それで奥村さんのようなスペシャリストの方々が集まっているセミナーで話を聞こうと思ったんです。

金子:
僕はFPVから入ったので、飛ばす技術を中心に身に付けてきました。しかし、いざ「飛ばそう」と考えてみると、飛行許可の申請も出したことがなければ機体登録も初めてで、分からないことが非常に多かったんです。ですから、セミナーやオフラインのイベントでは、こうした実運用に関する知識が身につけばいいなと思って参加していますね。

実運用のコツ、ドローン市場の展開…仕事に活かせる内容が満載


―先日のセミナーでは、かなり実践に即した内容が語られたと伺いました。

尾形:
そうですね。3月のセミナーでは、LTE(モバイル通信)を乗せたドローン活用のデモをしていただきました。ちょうど先日、ドローン会社と通信会社が業務提携をしたというニュースがあったんですが、そこではまさに奥村さんがおっしゃっているそのままのことを言っていて。時代の先取りをしている感じで、とても勉強になっています。

寺内:
まだ本当に駆け出しなので、ドローンの最先端を行っている奥村さんのお話を伺って、わからないなりに勉強させていただいています。今ドローン界がどうなっていて、今後こういうふうに進んでいくんだという方向性をつかめるセミナーだと感じています。

金子:
僕は奥村さんのお仕事のお手伝いで、もう半年くらい関わらせていただいています。奥村さんが携わっているポート(自動充電型ドローンポートDroneNest)は、ドローンを飛ばすのが当たり前になった社会で、さらに省力化・省人化を進めるための手立てなんです。そうした一歩先、二歩先の話を生で聞けるので、大変勉強になります。

自動充電型ドローンポートDroneNest


奥村:
皆さんからそういったお話をいただけるのはすごくありがたいですね。セミナーの開催目的として、みんなでドローン業界を盛り上げたいという思いがあるので、その熱量が伝わっていて嬉しいです。

初心者からドローンを始めた方の中には、現場経験が少ない方も珍しくありません。現場での立ち回りや注意点は、スクールだけではなかなか知ることができません。このセミナーが、現場での活用や今後の展開について知っていただくきっかけになればと思います。

―実際のところ、ドローンをビジネスにするうえで、難しさや不安はありますか?

尾形:
たとえば行政書士の資格を取ったからといって、すぐに仕事がやってくるわけではないですよね。それと同じで、ドローンもやはり、仕事につなげるための営業は必要だと思っています。ただ私はもともと営業上がりなので、売るものが変わっただけという感覚で捉えており、そこまで不安はありません。

金子:
僕はフリーランスだったので、仕事を取ってくる流れはそれなりに分かっています。そのうえで、ドローン市場に期待しかないからこそ、就職という道を選びました。

というのも、実際にドローンを運用するには、各領域の知識が必要になるためです。測量だったり農業だったり、分野によって覚えることがまったく違うので。就職先ではこのあたりの知識を補完して、実際の仕事につなげていきたいですね。

寺内:
僕はインストラクター志望なので、尾形さんや金子さんのようにドローンを使った現場は経験しないかもしれません。

ですが、これから資格を取りたいと考える方をアシストするためにも、新しい情報は常に入手しておきたいものです。「ドローンの世界は今こうなっていますよ」と、前向きに頑張れるような知識を伝えていきたいですね。

奥村:
「ドローンビジネスは簡単です!」と言いたいところですが(笑)、どんなビジネスでも新しく仕事を始めるのは大変です。

大切なのは、お客様は「ドローン」を求めているわけではないことです。何らかの目的があって、ツールとして何が必要か?と考えたときに、ドローンが選ばれるというのが理想の流れなんです。

この本質を理解されている方は、ドローンであろうが他の商材であろうが、上手にお客様の課題を解決し、ビジネスに繋げられています。お客様が何に困られているのか、言い換えれば、どこにどんな仕事があるのかを見つけることが一番大切で、一番難しいことなのです。


金子:
奥村さんは日本で初めてレベル3飛行を経験された方なので、言葉の重みが違うんですよね。レベル3飛行がどれくらい大変だったのかを生の言葉として聞けたのはとても刺激的でした。

奥村:
当時はレベル3飛行はまったくの未知で、法律を定める国土交通省としても、何をどこまで許容すればいいのか分からない状況でしたからね。私自身はドローンメーカーの立場で、実際に事業をされる日本郵便さんをサポートさせていただきましたが、どこから手をつければ良いのかわからないところから始まり、確実に事業が実施できる運用とルールをそれぞれ作っていく作業がやはり大変でした。

レベル3飛行は補助者を置かない運用ですから、人が見ていないときにドローンが落ちても問題ないか、エリア全体を確認しなければいけません。端から端まで全部チェックしたうえで、トラブルがあった際にはドローンをどんなところに降ろせばいいのか、そういったことをみんなで考えながら判断しました。……というふうに、セミナーではこうした生の話もお伝えしているので、ドローンを実際に活用する際のイメージも湧きやすいと思いますよ。

コミュニティ「SORABOT HUB」の設立

―そんなSORABOTさんでは、新たなコミュニティ「SORABOT HUB」も運営を開始されたそうですね。

奥村:
はい。(2024年)5月1日からコミュニティを正式に立ち上げました。まさしく今お三方にもお話しいただいたとおり、実際に仕事をしている人の生の声を聞ける機会をつくりたいという動機からです。

ドローンにおいては、現場に参加させてもらうことで、自分の経験を積む環境がないという話もよく伺います。情報をオンラインでやり取りする機会が増えてきている中で、コミュニティのように「現場のリアル」を知るところがあれば、ドローンの資格を活かせる人が増えるのではないかと考えました。

個人的な思いとしては、仕事は結局、人と人とのコミュニケーションから生まれると考えているのもあります。ドローンの運用はときにリスクも伴います。ともに働くのであれば、信頼できる仲間が欲しいですよね。

そこで、コミュニティの中でコミュニケーションを取りながら、お互いに仕事をお願いできるような人間関係が作れれば理想的だなと。講師と生徒、という環境ではなくて、お互いに発信しながら信頼できる仲間を増やし、一緒に仕事を作っていくような動きが生まれたら嬉しいです。

さらに言えば、コミュニティを通じて大きな会社に所属したり、大手企業とともに仕事をしたりするチャンスにつなげられればと考えています。個人でできることと、企業と組んでできることには違いがあるので、副業の方や個人事業主でも、大手の企業から仕事を受けられるルートを作りたいですね。

―ドローンの社会実装に向けて、パイロットと企業をつなぐ動きは大切ですよね。

奥村:
そうです。個人でドローンを運用していると、どうしても受注できる内容が限られますし、継続も難しいです。大手企業とタッグを組めば、大きなプラントの点検業務や大規模な工事現場に入れたりと、さまざまな現場の経験ができるはずです。

また、個人個人がバラバラに営業活動をしていると、小さな仕事の取り合いになり、価格が下がってしまうことも考えられます。その点、大きな企業のサポート業務は、あまり単価の競争になりません。適正な報酬を得られる環境をつくることで、ドローン業界全体がもっとシンプルにスマートに盛り上がっていくと考えています。

―なるほど。コミュニティとしては、どのような形式でのご提供を予定されていますか?

奥村:
提供形式としては、Slack(ビジネスチャットツール)によるオンラインサロンです。大きなコンテンツは2つあります。

1つは、毎月1回行う、ドローン事業者との対談です。ドローン事業者の仕事内容を知ってもらい、どんなパイロットが求められているのかを考えるきっかけにしてもらいます。

実際に4月には、スクールや監査団体として活動されている株式会社スカイピークの社長と対談を行い、ドローン業界で求められる人材像について意見を交わしました。今月は、ドローン専門誌『ドローンジャーナル』の編集長と対談を行う予定です。業界を横断的に見ていらっしゃるのと、4月にアメリカで開催された展示会のメディアスポンサーもされていたので、日本と海外の市場の違いについて話す予定です。

もう1つは、参加者同士の交流を促すようなイベントです。これも月に1回程度、Zoom(オンライン会議ツール)を通じた懇親会を開く予定です。よく異業種交流会などでは「車座」といって、4~5人がテーブルを囲み、自己紹介をし合う活動が行われますが、これと同じような活動をオンラインでできたらいいなと考えています。



―今後のコミュニティについて、展望を教えてください。

奥村:
ドローン好きな皆さんが集まるこのコミュニティは、仕事としてドローンを活用する人を増やし、参加してよかったと思ってもらえる環境を目指しています。参加者の皆さんにも、コミュニティにただ属すだけでなく、積極的に関与してもらえたら嬉しいですね。

先ほども少し語ったとおり、いずれはコミュニティをきっかけにして、ドローン業界で人材が不足している部分へパイロットを輩出できるような動きを作っていきたいです。これには時間が必要ですが、まずは一緒にコミュニティを盛り上げていきましょう。



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