(取材)中部電力パワーグリッド・センシンロボティクス|ドローンによる自動点検技術を共同開発。業務効率化・安全性向上を実現

(取材)中部電力パワーグリッド・センシンロボティクス|ドローンによる自動点検技術を共同開発。業務効率化・安全性向上を実現
点検や農業などさまざまな場面での利活用が進むドローン。株式会社センシンロボティクス中部電力パワーグリッド株式会社は、ドローンを使った送電設備自動点検技術の共同開発に取り組んでいます。

今回は、実際に現場で自動点検の様子を見せてもらい、業務の効率化や安全性の向上にドローンがどのように貢献しているのかをお聞きしました。

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ドローンによる自動点検技術を共同開発。2021年から実運用スタート

これまでの送電設備点検では人間が鉄塔に登る必要があり、作業における負担の大きさが課題となっていました。そこで、ドローンを活用して点検の効率化・安全化を図ろうと、2020年から両社の共同研究がスタート。2021年から現場での運用が始まっています。


開発されたアプリケーション「POWER GRID Check」は、ドローンが設備との安全な距離を保ったうえで、自動で飛行ルートや撮影アクションを作成しデータを取得。特別なスキルを必要とせずに作業時間や人数を削減し、作業員の安全性を確保できます。センシンロボティクスの業務自動化プラットフォーム「SENSYN CORE」と、中部電力パワーグリッドの送電設備点検ノウハウを基にした自動点検技術を組み合わせることで、鉄塔と送電線の一括点検が可能となりました。

取得したデータはクラウド上で一元管理され、画像の仕分けなど利便性の高い機能も備わっています。運用開始後も、送電線の自動追跡撮影機能や大型送電設備への対応といったアップデートを重ねており、さらなる省力化を追求しています。


ドローンによる新しい技術を取り入れたことで、現場の業務はどのように変わったのでしょうか。実際に点検の様子を見学し、現場の声を聴かせてもらいました。

ドローンによる自動点検の様子を見学!

現場で実際に、自動点検の流れを見学させていだきました。

まずは『POWER GRID Check』に送電設備情報と座標情報を入力し、自動航行ルートを生成。点検飛行ルートをドローンに送信します。そして、送電設備(鉄塔・電線)に合わせて自動航行。ドローンが自動で鉄塔のまわりを飛行し、送電設備をいろいろな角度から撮影していきます。20分ほどかけて撮影を終えて、ドローンは着陸しました。


自動点検技術の強みは、自動航行によって均質な点検データの取得が可能になること。飛行禁止エリアのルートも自動生成され、安全に飛行できます。また特別なセンサーを搭載していないため外付けのハードウェアが不要で、メーカーや機種にかかわらず市販のドローンで柔軟に運用できるのも特徴です。

従来は1日2本の撮影を5人1組で行っていましたが、作業員は2人程度に減り、1日あたり5、6本ほど確認できるようになったそう。自動化によって作業効率は大きく向上しました。

ドローン導入への現場の声|自動化で効率化を実現。他社へのサービス展開も

中部電力パワーグリッド株式会社
エンジニアリングセンター 技術開発グループ
主任 丸目裕樹

丸目裕樹氏


「これまでは、地上から双眼鏡を使ったり、高さ100メートルほどの鉄塔に人が登ったり、ヘリコプター搭載のカメラを通したりして設備の状態を確認していました。また、送電線の電気事故などが起きた場合は、パイロットが手動でドローンを操縦し、径間長が数百メートルもある電線を点検していました。

人が鉄塔から落ちてしまう、電線で感電してしまうなどの災害リスクに加えて、作業員の高齢化や人手不足も深刻です。また、手動でドローンを操縦する作業員の負担が大きいだけでなく、技量に依存してしまうためピントや画角のずれといったミスや品質の不均一なども問題でした。

これらの課題を解決するために始まったのが、安全で高品質、スキルレスな自動点検飛行技術の開発です。この技術は、設備の座標と形状からルートを自動的に計算処理し、飛行・撮影するソフトウェアです。外付けのハードウェアが不要なため、短期間かつ経済的な開発を実現できました。

センシンロボティクスさんのドローン自動飛行技術とプラットフォーム「SENSYN CORE」によって、データを取ってから利活用するところまでが全てできる点も大きなメリットです。私たちは研究開発パートナーとして、設備の点検に必要な要件や知見を提供し、一緒に試行錯誤しながら開発しています。いまもほぼ毎週現場に来られて、現場運用や研究開発で出た課題に即座に応えていただいたりと、臨機応変な対応に助かっていますね。

実際に自動点検を運用したことで、生産性の向上や労働環境の改善に役立っています。例えば、これまでは5人で240分かけて行なっていた作業が、2人で40分で仕上がるのです。かなりの効率化になっているのを感じています」

中部電力パワーグリッド株式会社
エンジニアリングセンター コンサルティンググループ
シニアエンジニア 前田篤氏

前田篤氏


「共同開発した自動点検技術は、昨年から沖縄電力さんでも導入され、当社で運用するだけでなく多くの方に採用していただいております。
また、当社ではこの技術に設備点検/ノウハウを掛け合わせたお客さまへのサービス提供をしており、静岡県の日本平ロープウェイさんをはじめとして、設備点検サービスの受注・ご相談を頂いております。
送電設備で確立した技術ですが、類似した高所設備などにサービスの裾野を広げていき、この素晴らしい技術をたくさんの方に活用していただければと思います」

技術をうまく取り入れ、業務の新しい形を作り上げていきたい

株式会社センシンロボティクス
エンタープライズ事業
ソリューショングループマネージャー 益田 尚弥氏


実際のフライト時には長袖作業着にてオペレーションしております。


「さまざまな社会問題を解決することに意義があると思うので、すこしでも業務が楽になるよう貢献していきたいです。今回の開発にあたっては、やはりきちんと電力業界のことを理解しないと、電力会社に満足に使ってもらえるものは作れません。そこが一番苦労した部分であり、頑張った部分ですね。

これまでの業務をそのまま置き換えることは難しいので、これまでの当たり前を覆して新しいものを作り、それまでのものと新しいものをうまく噛み合わせて、業務の新しい形を作り上げるというのが自分たちの使命です。そうして社会のDX化に貢献できればと思います」

丸目
「今後も引き続きセンシンロボティクスさんと協力し合いながら技術を確立し、電力業界の業務の高度化・効率化を進めてよりよい社会を作れるよう頑張っていきたいです

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