ドローン操縦者が必ず理解しておきたい6つの規制|2022年の法改正でどう変わった?

ドローン操縦者が必ず理解しておきたい6つの規制|2022年の法改正でどう変わった?
工事現場・農業・空撮など…今やさまざまな現場で活用されている「ドローン」。レンタルサービスなどが充実したことで個人でも比較的扱いやすくなってきましたが、飛行させるにあたって「規制・法令」はよく確認しておきたいところ。

この記事では、ドローン操縦者なら必ず把握しておきたい法規制を計6つご紹介します。意図せず法律違反を犯し、高い罰金を請求されるなんてことのないよう、ぜひ事前にチェックしてみてください。

ドローンを操縦するうえで必ず押さえたい法規制6選

ドローンは一歩間違えば大事故にもつながりかねない機器であるため、多くの法律や条例によって規制されています。購入・レンタルすることは簡単でも、好き勝手飛ばしていい訳ではないということは十分理解しておくべきでしょう。ここでは、数あるドローン関係法令の中でも特に重要なものを6つまとめました。

  • 航空法
  • 小型無人機飛行禁止法
  • 道路交通法
  • 電波法
  • 民法
  • 都道府県・市区町村が定める独自の条例

航空法

ドローンを操縦するうえでまず欠かせないのが、航空機の安全な飛行を担保するために種々の規制を定めた法律「航空法」です。ドローンの飛行によって航空機の運航が妨げられたり、落下して人に危害を及ぼしたりしてしまう可能性もゼロではないため、飛行できるエリアが細かく定められています
【ドローン飛行させてはいけないエリア】
  • 150m以上の上空
  • 人口集中地区の上空
  • 空港等の周辺
  • 緊急用務空域
参考:国土交通省|無人航空機の飛行禁止空域と飛行の方法
なお万が一の事故をなくすために、飛行場所にかかわらず以下のような「飛行方法に関するルール」も遵守しなければなりません。

  • アルコール又は薬物等の影響下で飛行させないこと
  • 飛行前確認を行うこと
  • 航空機又は他の無人航空機との衝突を予防するよう飛行させること
  • 他人に迷惑を及ぼすような方法で飛行させないこと

そのほかにも、飛行させるエリアによっては事前の承認が求められたり、機体重量100g以上の場合は国土交通省の「無人航空機登録原簿」に登録する必要があったりと、その規制は多種多様。意図せず規制違反を犯してしまう危険性が非常に高いので、国土交通省公式サイト「航空安全|無人航空機(ドローン・ラジコン機等)の飛行ルール」のページに一通り目を通しておくことをおすすめします。

小型無人機等飛行禁止法

小型無人機等飛行禁止法」は警察庁が定める法令です。国の重要施設の上空もしくはその周囲300mのエリアでのドローン飛行を規制するもので、前者は「レッドゾーン」、後者は「イエローゾーン」として、それぞれ規制の度合いが分けられています。

本法令が定める「国の重要施設」の具体的な例は以下の通り。

  • 国会議事堂
  • 内閣総理大臣官邸
  • 最高裁判所
  • 皇居
  • 危機管理行政機関の庁舎
  • 政党事務所
  • 外国公館
  • 防衛関係施設
  • 空港
  • 原子力発電所 etc…

対象施設の管理者に同意を得ている場合等、例外として規定が適用されないケースもあります。しかし、その例外においても「都道府県公安委員会等への事前の通報」は必須となっていますので、重要施設上空またはその周辺でドローンを飛行させるときには、関係各所への連絡を忘れないようにしましょう。

万が一違反してしまうと、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金を科されてしまいます。警察庁公式サイト「小型無人機等飛行禁止法関係」も併せて確認しておくと安心です。

道路交通法

道路交通法」もまた、ドローン飛行に影響のある法律です。道路上での安全を確保するために制定されているものですが、この中でドローンを飛ばす際にも遵守すべき規則は「第76条」。
  • 何人も、信号機若しくは道路標識等又はこれらに類似する工作物若しくは物件をみだりに設置してはならない。
  • 何人も、信号機又は道路標識等の効用を妨げるような工作物又は物件を設置してはならない。
  • 何人も、交通の妨害となるような方法で物件をみだりに道路に置いてはならない。
参考:警察庁|道路使用許可の概要、申請手続等
ドローンを離発着させる際の準備作業で道路を占領してしまうと、道路交通法に反してしまうことになります。道路上でドローンを準備・飛行させる場合には、あらかじめその道路を管轄する警察署長に許可を取る必要があることを覚えておきましょう。

なお当然ながら、車や人に接触してしまうほど低空を飛行させる行為は、危険なことはもちろん交通障害を引き起こすことにもつながりかねません。離発着を道路で行わなかったからと言って、道路上で好きなように飛行させていいわけではないことは、十分理解しておきたいところです。

電波法

ドローンは無線を用いて飛行する機器であるため、周囲の電波に干渉して電波障害を引き起こしてしまう危険性も孕んでいます。このような観点から「電波法」に関しても意識しておかなければいけないでしょう。

一般的にドローンが利用できる周波数帯は「2.4GHz帯」と「5.7〜5.8GHz帯」の2つですが、このうち5.7〜5.8GHz帯のドローンを利用する場合には注意しなければいけません。私的にドローンを飛ばす場合には「アマチュア無線免許」、業務での利用には「陸上特殊無線技士」といった資格が必要になり、これらの資格を持っていない状態で5.7〜5.8GHz帯ドローンを飛ばしてしまうと電波法に抵触してしまいます。

レーシングドローンなどの競技用機器になると、5.7〜5.8GHz帯を利用している場合が多いようです。お手持ちのドローンに当てはまりそうな場合には、電波法に反しないよう資格の必要性を確認しましょう。

参考:総務省電波利用ホームページ|ドローン等に用いられる無線設備について

民法

私人間の権利・義務の関係性をまとめた法律「民法」においても、ドローン操作に関連する規則が存在します。私有地上空でドローンを無許可で飛行させてしまった場合、土地所有権を侵害したとして、民法により罰せられてしまうことがあるのです。

私有地というと地に面している部分だけを考えてしまいがちですが、その所有権は上空にも及んでいます。他人の敷地内に勝手に侵入することは、当然ながらマナー違反。どうしてもその土地でドローンを飛行させたい場合には、土地の所有者や利用者に相談のうえしっかりと許可をとり、お互いに気持ちよく利用できるようにしましょう

また、ドローンによる撮影が絡む場合には、他人のプライバシー侵害にならないように注意することも重要です。

都道府県・市区町村が定める独自の条例

都道府県や市区町村によっては、独自の条例を設けてドローン飛行を規制する場合もあります。例えば東京都では「都立公園条例」「都立海上公園条例」によって、計81ヶ所の都立公園でのドローン使用が禁止されているとのこと。
Q.公園内でドローンやラジコンを飛ばしたい。
A.公園利用者の安全に配慮する必要があることから、公園におけるドローンの飛行は禁止しております。ラジコンについても、同様に飛行を禁止しております。
引用:東京都建設局|都立公園Q&A
これらの条例は地方自治体の特性や地域性に応じて定められているため、各地によって内容が異なります。そのため、初めての土地でドローンを飛ばす場合には、独自の条例を事前に調べ、十分把握してから飛行させるようにしてください。

2022年の法改正でドローン規制はどう変わったのか

ドローンの普及が進み、利用される機会が増えてきたことを受け、2022年よりドローンの規制がさらに厳格化されました。具体的には以下の3点。

  • 重量100g以上のドローンの機体登録が義務化
    (2022年6月|国土交通省)
  • 規制対象のドローンが200g→100gに変更
    (2022年6月|航空法)
  • ドローンの国家資格(操縦ライセンス)制度開始
    (2022年12月|国土交通省)

これまで200g以下の小型ドローンであれば航空法が適用されなかったため、その他法律の縛りはあれど比較的自由に飛行させることが可能でした。2022年6月以降は規制対象が100gまで引き下げられてしまったのに加え、所有者の情報や機体の詳細などを事前に国土交通省へ登録する作業まで追加。安全に飛行させるうえでは致し方ないとはいえ、以前までのように気軽に飛ばせるものではなくなっています

そのほか、2022年12月からは国家資格制度が始まったことで、有人地帯(第三者上空)での補助者なし目視外飛行を指す「レベル4飛行」が解禁されました。国家資格を有している人限定とはなるものの、より実用的な飛行が可能になったことで、今後のドローン活用はますます進んでいくと考えられるでしょう。

規制に反せずドローンを飛ばすための準備・手順

ここでは、意図せず規制違反を犯してしまうことのないよう、ドローンを飛ばし始める前にしておきたい準備とその手順をご紹介します。初めてドローンを利用するときは特に「法律に反してしまったらどうしよう…」と不安になるかと思いますので、ここで大まかな流れを把握しておきましょう。

  • 国土交通省に機体を登録する
  • 自分の飛行資格を確認する
  • 飛ばしていいエリアを確認する

国土交通省に機体を登録する

2022年6月移行、100g以上のドローンはすべて、国土交通省への機体登録が必要となっています。登録されていないドローンを飛行させてしまった場合「1年以下の懲役または50万円以下の罰金」といった決して軽くない罰則が科されてしまうので、確実に対応しましょう。

登録作業は、国土交通省から公開されている「無人航空機登録ポータルサイト」より、オンラインまたは書類郵送により行なうことができます。なお登録には手数料が必要で、オンライン手続きの方が安く抑えられるので積極的に活用しましょう。登録後に発行される、自分の機体を示す「登録記号」をドローン本体に鮮明に表示すれば、無事登録は完了です。

自分の飛行資格を確認する

ドローンの飛行は、危険度別に以下の4レベルに分けられています。

  • レベル1飛行
    目視内・操縦飛行
  • レベル2飛行
    目視内飛行(操縦無し)
  • レベル3飛行
    無人地帯での目視外飛行(補助者の配置なし)
  • レベル4飛行
    有人地帯(第三者上空)での目視外飛行(補助者の配置なし)

このうち、レベル1〜3の飛行方法であれば、国土交通省への申請を行なうことで無資格でもドローンを飛ばすことが可能です。ただしレベル4飛行は危険度が高いため、国家資格である「無人航空機操縦士」、その中でもより上位の「一等無人航空機操縦士」が必須となっています。

自分はどのレベルの飛行資格があるのか、あらかじめ確認しておきましょう。

飛ばしていいエリアを確認する

最終的には、飛行させてもいいエリアの確認が必須です。いくら機体登録が済んだドローン・資格を有した優秀な操縦者であっても、ドローンの飛行が禁止されているエリアで無許可飛行を行なってしまえば、法に基づいて罰せられることになってしまいます。

飛行エリアの規制は「航空法」を始め、小型無人機等飛行禁止法道路交通法、さらには地方自治体の条例等にも細かく定められています。各公式サイトをよく確認することはもちろん、有識者やその土地の所有者に聞いてみる等して、意図しない法律違反を未然に防ぎましょう。

まとめ

当記事では、ドローンを飛行させるなら必ず押さえておきたい6つの法律・規制を解説したうえで、2022年の法改正で変わったことやドローン飛行前の準備・手順についてまで、詳細に解説してきました。

これまででは考えられなかった画角からの撮影が可能になったり、農作業や測量といった業務が大幅に効率化したりと、ドローンは私たちの生活にさらなる豊かさをもたらしてくれる便利な機器です。その反面、人や建物・電波などにまで危害を及ぼす危険性を孕んでいることを十分理解し、関係する法令や規則は必ず遵守する必要があります

航空法をはじめとする今回紹介した6つの規則は、ドローン操縦者であれば最低限把握しておきたい内容です。違反してしまった場合の罰則も軽くないので、事前に入念な調査を行い、ルール・マナーを十分守ったうえでドローンを活用するようにしましょう。
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