ドローン操縦士の年収はいくら?仕事内容も解説
既にドローンを操縦できる人の中には「ドローンの操縦スキルってお金になるの?」「ドローン操縦士の仕事が気になる」という方もいますよね。「ビジネスに役立てるためにドローン操縦士になりたい」と考える人も増えているようです。
そこで今回は、ドローン操縦士の仕事内容や年収、資格の必要性について解説します。ドローン操縦士の将来性が気になっている方は、ぜひ最後までご覧ください。
ドローン操縦士の仕事内容
ドローン操縦士(ドローンパイロット)の仕事内容は、各現場の目的に合わせてドローンを操縦すること。一口にドローンと言ってもドローンの活用場所は多岐にわたり、さらに用途に応じて特徴や大きさなどが異なるドローンを適切に扱う必要があります。ドローンの操縦方法を把握しておくのはもちろん、ドローンに関連する法律や条例、天候にまつわる知識も必要でしょう。ドローン操縦士の免許を持ったら活躍できる仕事
ドローン操縦士が活躍する場面はさまざま。代表的な分野で言うと、農業や物流、土木建設、空撮、点検、防犯といったシーンが挙げられます。それぞれの分野においてのドローン使用例は以下のとおりです。
活用分野 | 使用例 |
農業 |
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物流 |
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土木建設 |
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空撮 |
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点検 |
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防犯 |
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上記の他にも、競技用ドローンを用いてドローンレースに参加したり水中ドローンで海底調査を行うこともあります。最近では広告媒体の一つとして行われるドローンショーに特化したドローン操縦士も増えているでしょう。
それぞれ全く異なる分野のため、ドローン操縦士が活動する現場によっては仕事内容や平均年収が大きく異なります。
空撮業務
最近では、ドローン撮影された映像を見かけることも多くなりました。ドローンの空撮業務を必要とされる現場は、主に次の通り。
- 映画
- テレビドラマ・バラエティー
- 観光プロモーションビデオ
- イベント
- スポーツ祭典
- ブライダルシーン
- 災害活用 など
クレーンなどを用いた従来の撮影方法だと、撮影が難しいアングルや撮影に限界が生じるロケーションもありました。
その点ドローンであれば、これまでよりも柔軟に空撮を実現できるようになったこともあり、多くの現場でドローン撮影が行われています。
土地測量や地図作成の仕事
地図を生成する際に土地測量は欠かせませんが、従来の2人1組で行う測量機器を使用した測量は手間も時間もかかります。そこで最近では、ドローンを用いた土地測量に切り替える現場も増えつつあります。ドローンを土地測量に用いる利点は、次の通り。
- 3Dモデルを簡単に作成できる
- 測量できる範囲に制約がない
- 時間・コストの削減
利便性やメリットに期待して、ドローンを用いた測量も増えてくるでしょう。
農地をモニタリング
最近では、農業にドローンを用いる事例も増えてきました。農業にドローンを用いる例として、大きく「農薬や肥料などの薬剤散布」「種まき」「圃場のモニタリング」などが挙げられます。
カメラを搭載したドローンを飛ばし、圃場全体を撮影すれば、エリアや作物ごとの育成状況や病気の兆候を確認できます。これまでは人が歩き回り目視で確認していたことも、ドローンを飛ばすだけで簡単かつ確実に確認できるようになりました。
さらに搭載カメラによっては、地温や肥料の状態の確認もできます。
被災地の状況把握や救助活動のサポート
近年はドローンを活用した災害状況把握のシステム構築が急速に進んでいます。すでに全国の消防本部の約6割が導入しており、今後の更なる普及にも期待が寄せられています。被災地の状況把握にドローンを活用することで、これまで以上に迅速かつ的確に被災状況を把握できるようになりました。従来よりもスピード感を持って救助活動にあたれるようになるでしょう。
また消防隊や救急隊などの救助者側の負担も軽減され、二次災害が起きる可能性を低減できる効果も期待されています。
さらにドローンを用いて被災地に救援物資を運搬することで、安全かつ迅速に不足物資を現地に供給できる点も大きなメリットと言えるでしょう。
ただ、被災地にドローンを飛ばす時は、人が密集する避難場所や私有地を通る可能性もあります。
ドローン落下など二次災害を発生させないためにも、操縦士には高度なテクニックが求められるでしょう。
出典:総務省消防庁「消防本部における災害対応ドローンの更なる活用促進について」
セキュリティ対策
ドローンには、赤外線センサーや振動センサーなどを搭載した警備特化型の機体も開発されています。セキュリティ事業を手掛けるセコム株式会社では、既に「AIドローン」を現場に導入しているとのこと。広範囲かつ長時間にわたる巡回が可能になるため、人手不足の解消や人件費の削減といった雇用課題の解消や犯罪抑制に期待が寄せられています。
現在ドローンを用いてセキュリティ対策が行われている現場は、主に次の通り。
- 施設内の監視
- 密漁監視
- 不審者の追尾
- 高所設備の管理 など
今後もドローンを用いた機械警備は、普及してくると考えられるでしょう。
配送サービス
農業や災害対応のみならず、ドローンは私達の生活により密接に関わるようになると想定されます。その1つに配送サービスが挙げられます。
今物流業界は、EC需要の高まりに伴い人手不足問題が懸念視されています。また不在配達や交通渋滞による遅延など、サービス向上に向けて改善していきたい課題もあります。
このような課題・問題の改善に期待を寄せられているのがドローンです。
日本国内でドローンを用いた配送サービスが実現すれば、荷物をより安全にスピーディーに配送できるようになるでしょう。
映画や広告などの映像制作
ドローンが広く普及する中、もはや映画・広告の作成には欠かすことのないツールとなりつつあります。空撮を行う際、従来の撮影法には、ヘリコプターやクレーンなどが用いられていました。しかし大がかりな撮影セットを用意するとなると、膨大なコストや手間がかかります。
その点、ドローンを用いれば、高価な機材や大がかりな撮影セットを用意する必要はありません。
さらに従来の撮影法では再現できない自由なアングルからの撮影も可能になり、よりダイナミックな映像を作成できるようになります。
ドローン操縦士に求められるスキル
ドローン操縦士に求められるスキルは現場によって異なりますが、代表的なものは以下のとおりです。ドローンの操縦スキル
前提として、ドローンの操縦には相応のスキルが必須です。メーカーや機体によって操縦方法や力加減が異なるので、目的に合った機体を使いこなせなくてはいけません。
また撮影の目的に応じた操縦スキルも求められるでしょう。
例えば撮影の現場であれば、作品の仕上がりをイメージしながら撮影しなければなりません。
また被災地の状況確認や支援物資搬入に関わるドローン操縦の場合は、人の密集するエリアや私有地を走行することもあります。そのためより高度な操縦スキルが必須となるでしょう。
ドローン機体の知識
敷地の広さや飛行方法によってドローンの飛行時間も変動します。 ドローンを操作する際は本体知識のみならず、バッテリーや周辺機器、機体メンテナンスの知識も必要になるでしょう。さらに産業用ドローンと一口に言っても、農業用ドローンや撮影用ドローンなど様々です。
ドローン機体そのものだけではなく、使用目的に応じた付属機器の性能についても知識を深めておく必要があるでしょう。
ドローンの法律や条例にまつわる知識
ドローンは危険な飛行を伴うことも多く、法律や条例を「知らなかった」では済まされません。特にドローンの飛行が許可されている場所と禁止されている場所は細かく区分けされており、周辺住民の理解も必要です。場合によっては罰則や多額の賠償金を背負うケースも。
法律や地域の条例、損害保険などの知識も重要なポイントです。
判断力
使用する場面によっては、土地の地形や気候に合わせて臨機応変に操縦を判断していく力も求められるでしょう。ドローンは、天候や風によって飛行状況が左右されます。また電波状況に応じても飛行の可否が変わってきます。
操作中の柔軟な判断はもちろん、安全のために中止や延期などの判断が求められるケースもあります。
リスクや現場の状況を踏まえ、的確な判断を下せる力もドローン操縦士にとって欠かせないスキルと言えるでしょう。
ドローン操縦士(ドローンパイロット)の年収相場は?
ドローン操縦士の年収は仕事内容や経験年数にもよりますが、平均年収は400万円前後です。職種によっては年収300~600万円ほどと幅広いため、職種によっては社会人の年収の中央値を超える場合もあるでしょう。高年収の職種に就きたい場合、ドローンを使う目的や業界から選ぶのも一つです。例えばドローン測量士の場合、年収は300~500万円ほどと言われています。農薬散布や防犯関係の職種の場合も同じく300~500万円ほどで、経験値によって年収が変動します。
年収が高くなる傾向にあるのは空撮カメラマンの仕事で、中には年収600万円を超える人もいるようです。企業に所属するのかフリーランスとして独立するのかによっても年収相場が異なりますが、大前提としてクオリティの高い撮影スキルが必要です。撮影スキルはもちろん動画編集スキルもある方は空撮カメラマンとしての市場価値が高まります。
ドローン操縦士に資格・免許は必要?
ドローン操縦士の仕事をする際、資格は必要ありません。車の運転免許のような、操縦の際の必須資格は存在しませんが、ドローン操縦技能を証明する民間資格が各団体から発行されており、ビジネスや個人で取得する人が続々と増えています。ドローン操縦士として活動するためには機体や法律、天候などの細かい知識が必須になるため、民間講習を受けることで安心して操縦できるでしょう。
また、最近では従来の民間ドローン資格に加えて、国家資格の『無人航空機の操縦者技能証明制度(操縦ライセンス制度)』も設置されました。国家資格もドローン技術を証明する資格の一つですが、取得者は飛行範囲が広くなったり許可申請がスムーズになったりといったメリットがあります。
なお、国家資格は『一等無人航空機操縦士』『二等無人航空機操縦士』の二種類あり、一等を取得することでレベル4飛行が許可されることがドローン操縦士の間で話題になりました。

国指定の民間講習を受けると実地試験が免除されるため、「まずは民間ドローンを取得した後に国家資格取得を検討する」という人も多いようです。
参考:ドローン免許はいらない?
ドローン免許を取るメリット
ここでは、ドローン免許を取るメリットを紹介します。技術の証明になり仕事を獲得しやすい
ドローンの免許を取る一番のメリットは、自身のドローン操縦に関する能力を対外的に証明できる点です。一口に”ドローン操縦できる”と言っても、言葉だけでは「どのレベルの操縦スキルを有しているのか」「どこまでドローンの法律を熟知しているのか」など、操作スキルといった技能力や法律などの知識量は伝わりにくいもの。
資格を持っていれば、技能力や知識量にも裏付けが取れるため、仕事も獲得しやすくなるでしょう。
飛行申請をするときに申請項目を省略できる
ドローンに関する免許を取得すれば、飛行申請を行う時に一部の申請項目を省略できるケースもあります。また中には飛行許可申請が必要となる飛行場所でも、『無人航空機操縦士』などの国家資格を持っていれば、申請を求められないことも。
ドローン操縦を仕事にしていきたいのであれば、都度申請の手間が発生しないよう、ドローン免許の取得も視野に入れておきましょう。
ドローン操縦士の需要・将来性
ドローン操縦士の需要や将来性は今後も右肩上がりと言えます。インプレス総合研究所の調査によると、ドローンビジネス市場規模は3,854億円と推測されており、年々増加傾向にあるとのこと。今後もさらに市場規模が拡大すると推測され、2028年度には9,054億円に達すると見込まれています。年間平均成長率に換算すると、年18.6%増加していく計算です。

各サービス市場はもちろん機体市場の規模も拡大しており、ドローンやドローンポートも続々と普及しています。今後も、各事業の運用体制が本格的に立ち上がっていく見込みです。
周辺サービス事業としてはドローンスクール事業やメンテナンス関連、保険関連などの事業も需要が増加します。ドローン操縦士はもちろんドローンエンジニアやスクール講師といった周辺サービスの職種も増加することを考えると、今後ますますドローンが身近なものとして幅広く認知されていくでしょう。
将来性がある仕事に就きたいならドローン操縦士をチェックしよう
ドローンビジネスの市場規模は今後もますます拡大する見込みで、産業や競技などの領域はもちろん、教育や保険といった周辺ビジネスの需要も高まっています。ドローン操縦士の仕事内容も幅広くなってきており、ドローン操縦士に必要なスキルや知識があればさまざまな現場で活躍できることでしょう。年収に関しても、現場によっては社会人の平均年収を上回るケースも考えられるので、好待遇が見込まれる分野です。
将来性のある仕事に就きたいと考えている人や、手に職をつけてさまざまな分野で活躍したいと考えている人は、ぜひドローン操縦士の仕事や活用されている業界についてチェックしてみてくださいね。ドローン国家資格の取得もおすすめです。
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