湘南ドローンアカデミー | ビル・屋根点検から災害支援まで!ドローン活用で挑む、雇用促進&地域課題の解決
湘南ドローンアカデミーでは、次世代のパイロットの育成だけでなく、湘南エリアを中心に展開する人材紹介事業で培った「地域とのつながり」を活かし、地域防災への協力や、花火大会や駅伝大会等の催しものの空撮など、地域事業にも積極的に協力しています。
テクノロジーの力で地域の課題を解決しながら、新たな雇用も生み出す同社の取り組みやスクールでの指導内容について、同スクールを運営する株式会社湘南ネットワーク・代表取締役の安藤晋氏に話を伺いました。
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株式会社湘南ネットワーク 代表取締役 安藤 晋 氏
点検・空撮から災害派遣まで、幅広い分野で活躍するパイロットを育成
――まずは貴社の概要と、ドローン領域に参入した背景についてお聞かせください。安藤:
当社は2012年6月に設立した人材派遣会社です。ビジネスマナー研修や資格取得の促進など、派遣スタッフのスキル向上に取り組んできたのですが、時代に即したスキルアップの導入を模索していたところ、2019年頃、ドローン免許の国家資格化の動きに接し、思い切ってスクール事業を始めることにしました。
将来的には、当社の得意先である物流業界へのドローン導入も見込む可能性がありますし、多方面にわたり今後ニーズが高まっていく分野であることは間違いありません。当時は、「空の産業革命」の聞こえも新しく、強いニーズがありながら参入障壁が低いという点も魅力的でした。
人材派遣会社としての土壌と人材教育に力を入れてきた経験をフルに活かし、ドローンスクール事業とシナジーを生み出せると考えたのです。
ドローンスク―ルの開校当初は、民間ライセンスのコースを設け、法改正により国家資格が創設されてからは、国家資格取得コースを開設し、多くの卒業生を輩出してきました。最近では、拓殖大学付属高校でのカルチャー講座や、平塚中等教育学校では探求学習講座の開催オファーをいただくなど、教育機関からの関心が高いことも感じています。
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平塚中等教育学校での講義の様子
――スクール以外のドローンの実務経験、活用実績も豊富と伺いました。
安藤:
当社は、スクール用の講習機だけでなく、産業機であるDJI社製マトリスをはじめとする複数のドローンと、赤外線カメラやレーザースキャナーも所有しており、ドローン事業部としては、それらを活用した空撮、ビル点検、赤外線調査等の業務も行っています。
当社インストラクターは、赤外線建物診断技能士の資格を保有しており、たとえば、雨漏り点検の依頼においては、建築士や建設業者との連携を図りながら業務を行うということもあります。
ドローンの資格を取られる方には、現在のお仕事にドローンを導入したいとか、ドローンを使った副業にチャレンジしたいという方も多いので、実務経験豊富なインストラクターの話に強い興味を持っていただくことも多いですね。
――地元の行政と、防災協定を結ばれているとか。
安藤:
当校では大磯町・平塚市との間で災害協定を結んでおり、災害時のドローンパイロット派遣や機体提供を行う体制を整えています。
卒業生は災害協定に基づくパイロットとして登録いただいており、実際に台風による浸水被害の際には孤立集落の状況把握に活用されました。
消防署との連携も深いので、ドローンの安全な運用や法令遵守等についての知見を共有しながら地域の安全・安心に貢献している点は、当校の大きな特長ですね。
災害時等のドローン活用で協定を締結
https://www.city.hiratsuka.kanagawa.jp/press/page02_e00001_02480.html >
町では、災害時の応急対策の円滑化を図り、災害対応能力を向上するため、災害協定の締結を進めています。 この度、株式会社湘南ネットワークと「災害時等におけるドローンを活用した活動支援に関する協定書」を締結します。 この協定は、災害発生時等に株式会社湘南ネットワークが所有するドローンの提供及びドローンを操作するパイロット派遣の協力を得るものです。 災害対応にドローンを活用することで、迅速な情報収集...
https://www.town.oiso.kanagawa.jp/soshiki/seisaku/seisaku/tantou/kisha/kisya_1/19650.html >
――他にはどのような特長があるのでしょうか。
安藤:
当スクールでは、国家資格の一等・二等ライセンス取得に向けた講座を提供しているのですが、はじめてドローンに触れる方でも安心していただけるよう、受講前の説明から資格取得後の初めての飛行まで徹底したサポートを行っています。
資格取得には、スクールでの受講の前後に国交省所定の手続やアカウント発行や煩瑣なステップがあるのですが、それらをまとめた冊子を配布し、随時質問を受け付けるなどしてフォローをこころがけています。また、卒業生には、包括申請までの無料サポートや、公式LINEでの質問対応、飛行申請への助言、実地講習や体験会の開催に合わせた無料の練習会の案内など、アフターフォローも充実していると自負しています。
さらに、当社の人材派遣に登録いただいた卒業生の方には、がけ崩れの危険箇所調査や駅伝大会のライブ配信など、ドローン関連の業務を受注した際にお仕事を依頼することもあります。
ビジネスにも趣味にも活かせる「実践的」な指導を提供
――受講生にはどんな方が多いのでしょうか?安藤:
受講生の約9割が男性で、30代から40代が中心です。特に湘南エリアではサーフィンが盛んで、海岸でドローンを飛ばしている様子を見て興味を持ってくださる方も多いです。
実際に受講される方は、建設業、不動産業、広告代理店、測量などの既存の業務にドローンを取り入れたい方や、副業としてビジネスチャンスを求めている方が多いですね。また全体の1~2割程度ですが、リタイア後の趣味として始められる方もいらっしゃいます。
――講座内容について、意識している点はありますか?
安藤:
受講生には、資格の取得はもちろんのこと、その先の飛行、ドローンの活用を見据えていただきたいと考えています。ですので、二等初学者コースでは、法定の学科10時間・実地10時間の要件を超えて、さらに修了審査までの間に2時間程度の追加練習時間を設け、不得意な技術の補完にあてていただいています。また、実技講習はシミュレーターではなくすべて実機を用い、屋外で講習を行うということにもこだわっています。
当社で扱った赤外線点検、ビル点検、花火大会等の催しものの空撮、警備など、実際のドローン業務の現場におけるヒヤリハット事例などを講座に反映させているのも当スクールの特長です。夜間飛行や人口集中地区での飛行など、特殊な条件下での許可申請の方法や注意点についても実例を交えて解説しています。
安藤:
また、ドローンの分野は法制度を含めて過渡期にありますので、情報のアップデートも必須です。当校のインストラクターは、定期的に、連携する弁護士を囲む勉強会に参加し、最新の情報と正確な知識を提供できる体制を構築していますね。こうした点も含め、より実践的な内容を求める事業者のニーズにも対応した講座だと自負しています。
さらに人材教育のノウハウを活かした助成金の活用支援も行っており、受講時に利用可能な人材開発助成金から、機体購入時に利用可能な国や自治体の補助金等まで、さまざまな支援制度の情報提供を行っています。
――助成金の活用についてお聞かせください。
安藤:
受講に関しては、多数の企業様が人材開発助成金を活用して受講されています。また機体の購入に関しては、小規模事業者持続や事業再構築補助金、地域の補助金など、さまざまな支援制度の情報提供を行っています。
特に、経験者2日間コースは助成金を活用しやすい設計となっており、受講生の経済的負担を軽減しながら、十分な学習時間を確保できる点が特長です。
希望があれば、士業の方をご紹介することもあります。
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さらなる地域連携でドローン需要拡大を図る
――講座運営で特に大切にしていることは何でしょうか。安藤:
最も重視しているのは、当校の卒業生に、信頼できるパイロットになっていただくことです。たとえば、海や観光地などで、法律や条例に反してドローンを飛ばしていることが見受けられますが、ルール違反が横行していてはドローンの普及につながりません。1人でも多く、正確な知識と、確かな操縦技術を身に着けたパイロットを輩出することで、ドローンの活用につながればと思っています。
そのために、状況に合わせた許可の取得、飛行管理、安全のための措置、ライセンスがなくてもできること、ライセンスがあるからこそできることなど、実際の飛行を見据えて明確に伝えるよう心がけています。
実技指導では、野外飛行にこだわり、「基本に忠実であること」を重視していますね。上達に時間がかかる受講生には、まずホバリングの基本をしっかりと身につけてもらうよう指導したうえで、合格までの間に十分な練習時間を確保し、どのような状況下でも通用する技能習得ができるよう支援しています。
――スクールの今後の展望をお聞かせください。
安藤:
各産業分野のドローン導入は確実に進んでおり、高所作業の安全性向上や業務効率化の観点から、中小企業でもドローンの活用を検討する事例は増えてきています。これに伴い、パイロットも需要が拡大していくものと期待しています。
まずは、派遣会社としてのネットワークと強みを活かし、卒業生の方々に少しずつでもドローンを使った仕事をご紹介できるようになればと思っています。ゆくゆくは、ビジネスコースを設けたいですね。
そのためにも、まずは地域に根差したスクールとしての位置づけをさらに強化していく方針です。ドローン技術の普及とともに仕事の機会も着実に増えていくと確信していますので、今後はさらに行政や消防との連携を深め、地域の安全・安心に貢献できる人材の育成を続けていきます。
――最後に、読者へのメッセージをお願いします。
安藤:
個人の方には、まずは気軽に体験会に参加していただきたいですね。肩肘張らずに、ドローンの世界に触れていただきたいと思っています。
企業の皆様に対しては、ドローン導入における法制度の理解や安全な運用について、私たちがサポートさせていただきます。高所作業の安全性向上など、業務効率化の観点からもドローンの活用をご検討いただければ幸いです。
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