派遣エンジニアは本当に「やめとけ」？理由とメリットを解説

派遣エンジニアの働き方を正しく理解しよう

まず初めに、「派遣エンジニア」の働き方の仕組みと、正社員との違いを正確に理解しておくことが重要です。

派遣エンジニアとは、派遣会社と雇用契約を結び、そこから紹介された企業（派遣先）でエンジニア業務を行う働き方を指します。

給与の支払いや社会保険の手続き、福利厚生の提供は、実際に働く企業ではなく、雇用主である派遣会社が行います。

この「雇用主」と「勤務先」が異なる点が、派遣という働き方の最大の特徴です。

プロジェクトごとに契約を結び、期間が満了すれば次の派遣先へ移るというスタイルが一般的で、特定の技術分野に特化したスキルを磨きやすい環境だと考えられるでしょう。

正社員エンジニアとの違い

派遣エンジニアと正社員エンジニアの最も大きな違いは、雇用主と雇用の安定性にあります。

正社員は、勤務先の企業に直接雇用されるため、長期的な雇用が前提です。

一方、派遣エンジニアは、派遣会社に雇用され、派遣先企業とは「有期雇用契約」を結んでプロジェクトが終了すると契約も満了となります。

待遇面では、正社員は賞与（ボーナス）や昇給、退職金制度が整っているケースが一般的ですが、派遣エンジニアは時給制が基本で正社員のような制度がない場合がほとんどです。

キャリアの面では、正社員が社内でのジョブローテーションを通じて幅広い業務を経験するのに対し、派遣エンジニアは自身の専門性を活かして、さまざまな企業のプロジェクトに参加して経験を積んでいきます。

派遣の種類：「常用型派遣」と「登録型派遣」

派遣には、大きく分けて「常用型派遣」と「登録型派遣」の2種類があります。



専門スキルが求められるITエンジニアの派遣では、「常用型派遣」が多く見られます。

安定性を重視するなら、常用型派遣に強みを持つ派遣会社を選ぶとよいでしょう。

SESや派遣からのキャリアアップを目指す方は、転職エージェントの活用も有効な手段です。

以下の記事もぜひ参考にしてください。

SESからの転職におすすめのエージェント9選！成功させるコツも解説

なぜ？「派遣エンジニアはやめとけ」と言われる5つの理由

「派遣エンジニアはやめとけ」という意見には、いくつかの具体的な理由があります。

本章では、代表的な5つの理由を詳しく見ていきましょう。

• 1. 雇用の安定性が低い
• 2. スキルアップしにくい・雑用ばかりという懸念
• 3. 給与が上がりにくく、待遇に差がある
• 4. キャリアパスが描きにくい
• 5. 帰属意識が持ちにくく疎外感を感じやすい

1. 雇用の安定性が低い

最も多く挙げられるのが、雇用の安定性に関する懸念です。

派遣エンジニアは有期雇用契約が基本のため、プロジェクトが終了すれば契約も満了となります。

これは、「契約満了」や「雇い止め」のリスクと隣り合わせです。

派遣先の業績悪化やプロジェクトの方針変更など、自分ではコントロールできない要因で予期せず契約が終了する可能性もゼロではありません。

次の派遣先がすぐに見つかれば問題ありませんが、スキルや景気の動向によっては空白期間が生まれ、収入が途絶えるリスクがあります。

この不安定さが、「やめとけ」と言われる最大の理由の一つです。

2. スキルアップしにくい・雑用ばかりという懸念

「派遣エンジニアはスキルが身につかない」という声も聞かれます。

これは、任される業務範囲が限定的になりがちなためです。

特に、テスターや運用保守といった特定の工程のみを担当する場合、上流工程（設計など）や最新技術に触れる機会が少なく、キャリアの幅が広がりにくい場合があります。

また、正社員の補助的な役割として、議事録作成や資料整理などの「雑用」ばかりを任されるケースも稀に存在します。

自分の目指すキャリアと異なる業務ばかりでは、モチベーションの維持も難しくなるでしょう。

3. 給与が上がりにくく、待遇に差がある

待遇面も、「やめとけ」と言われる一因です。

派遣エンジニアの給与は時給制が多く、正社員のような定期昇給や賞与（ボーナス）がないのが一般的です。

そのため、同じ職場で働く正社員と比べて年収に差が出やすく、長期的に見ると生涯賃金で大きな隔たりが生まれる可能性があります。

また、住宅手当や退職金などの福利厚生も、派遣会社の制度に依存します。

交通費が支給されない、研修制度が不十分など、派遣先企業の正社員との待遇格差に不満を感じる方も少なくありません。

4. キャリアパスが描きにくい

派遣エンジニアは、長期的なキャリアパスを描きにくい課題もあります。

プロジェクト単位で職場を転々とするため、一つの企業でリーダーシップやマネジメントの経験を積む機会は限られるでしょう。

さまざまなプロジェクトを経験できる一方で、経歴に一貫性を持たせにくく、将来的に正社員への転職を目指す際に「専門性が分かりにくい」と評価されてしまう可能性も考えられます。

そのため、将来のキャリアを見据え、どのようなスキルをどのプロジェクトで身につけるかを戦略的に考える姿勢が必要です。

5. 帰属意識が持ちにくく疎外感を感じやすい

派遣エンジニアは派遣先の組織に直接属しているわけではないため、帰属意識を持ちにくく、疎外感を感じてしまう場合もあります。

重要な会議に参加させてもらえなかったり、社内イベントに呼ばれなかったりと、正社員との間に見えない壁を感じる場面もあるかもしれません。

あくまで「外部の人間」という扱いに寂しさを感じやすく、チームの一員としての一体感を得にくい働き方が、仕事へのモチベーション低下につながるケースもあります。

セキュリティエンジニアなど、他のIT職種へのキャリアチェンジを検討している方もいるかもしれません。

以下の記事では、セキュリティエンジニアの転職事情について解説していますので、参考にしてみてください。

セキュリティエンジニアはやめとけ？きついのか転職関連情報も解説

「やめとけ」だけじゃない！派遣エンジニアとして働く4つのメリット

「やめとけ」と言われる理由がある一方で、派遣エンジニアには正社員にはない魅力的なメリットも多く存在します。

• 1. ワークライフバランスを重視できる
• 2. 大手企業や有名プロジェクトで働けるチャンス
• 3. 人間関係のしがらみが少ない
• 4. 未経験からでもIT業界に挑戦しやすい

デメリットと比較し、自分にとってどちらが大きいかを考えることが大切です。

1. ワークライフバランスを重視できる

派遣エンジニアの大きなメリットは、柔軟な働き方を実現しやすい点です。

契約で勤務時間や業務内容が明確に定められているため、サービス残業が発生しにくく、プライベートの時間を確保しやすい傾向にあります。

「残業なし」「週4日勤務」などの条件で仕事を探すのも可能で、育児や介護、趣味や自己学習など、ライフステージや個人の価値観に合わせた働き方を選びやすいでしょう。

仕事とプライベートのメリハリをつけたい方にとって、派遣は魅力的な選択肢だと考えられます。

柔軟な働き方の一つとして「フルリモート」が挙げられますが、こちらもよい面ばかりではありません。

以下の記事も参考に、自分に合った働き方を見つけてみましょう。

「フルリモート」はやめとけと言われる理由とは？メリット・デメリットを解説

2. 大手企業や有名プロジェクトで働けるチャンス

正社員としての入社は難易度が高い大手企業や有名企業のプロジェクトに、派遣としてなら参加できる可能性があります。

最先端の技術を扱うプロジェクトや大規模なシステム開発に携われれば、貴重な経験を積み、スキルを大きく向上させることが可能です。

こうした経験は自身の市場価値を高め、その後のキャリアにおいても大きなアドバンテージとなります。

さまざまな企業の開発文化や仕事の進め方に触れられるのも、派遣ならではの醍醐味です。

3. 人間関係のしがらみが少ない

派遣エンジニアは、職場の複雑な人間関係から距離を置きやすいメリットもあります。

業務委託契約に基づき、与えられたミッションに集中する姿勢が求められるため、社内の派閥争いや昇進競争などのしがらみに巻き込まれにくいでしょう。

プロジェクトが終了すれば人間関係もリセットされ、万が一合わない人がいても、期間限定の関係だと割り切れます。

人間関係のストレスを最小限に抑え、自分の業務に集中したい方には適した働き方だと考えられます。

4. 未経験からでもIT業界に挑戦しやすい

未経験からITエンジニアを目指す場合、正社員よりも派遣の方が比較的挑戦しやすいと考えられます。

まずは未経験者歓迎のテスト業務やヘルプデスクなどの案件で実務経験を積み、そこから徐々に開発案件へとステップアップしていくキャリアプランも可能です。

関連記事：【未経験者向け】IT転職エージェントおすすめ14選！サイトも解説

研修制度が充実している派遣会社を選べば働きながらスキルを身につけられるため、IT業界への第一歩として派遣の選択肢は有効だといえます。

Pythonエンジニアなど特定の分野に興味がある方は、専門のエージェントを活用するのもおすすめです。

Pythonエンジニア向け転職エージェントおすすめ【最新】サイトも解説

派遣エンジニアに向いている人・向いていない人の特徴

本章まで紹介したメリット・デメリットを踏まえ、どのような人が派遣エンジニアに向いているのか、その特徴をまとめました。

派遣エンジニアに向いている人

• ワークライフバランスを重視したい人
• 特定の専門スキルを極めたい人
• さまざまな企業やプロジェクトで経験を積みたい人
• 人間関係のストレスを避けたい人
• 未経験からIT業界にチャレンジしたい人

プライベートを大切にしながら、専門性を高めていきたいという志向を持つ方は、派遣エンジニアとして高い満足度を得られる可能性が高いでしょう。

派遣エンジニアに向いていない人

• 雇用や収入の安定を最優先する人
• 一つの会社に腰を据えて働きたい人
• 将来的に管理職（マネージャー）を目指したい人
• チームの一員として一体感を得たい人
• 手厚い福利厚生を求める人

安定した環境で長期的なキャリアを築き、組織の中核を担っていきたいと考える方には、正社員という働き方の方が適しているかもしれません。

「自分に合った働き方が分からない」「どのような求人があるか知りたい」と考えている方は、一度派遣会社に相談してみるのも一つの手です。

キャリアのプロに相談すると、自分では気付かなかった可能性が見つかるかもしれません。

おすすめのエンジニア派遣会社

派遣エンジニアとして成功するためには、パートナーとなる派遣会社選びが重要です。

優良な派遣会社は、高単価な案件や希望に合った案件を紹介してくれるだけでなく、手厚いサポートであなたのキャリアを支援してくれます。

本章では、数ある派遣会社の中でも特におすすめのサービスを紹介します。

より多くの選択肢を比較検討したい方は、以下の記事もぜひ参考にしてください。

ITエンジニア向け派遣会社おすすめ比較ランキング！

type IT派遣

type IT派遣は、IT・Web業界のエンジニアやクリエイター、オフィス系の職種に特化した派遣サービスです。

IT・Web業界に強い転職サイト「type」や人材紹介サービス「type転職エージェント」の姉妹サービスであり、長年にわたり培ってきたノウハウと企業ネットワークを活かしている点が強み。

本サービスでは、専門的なスキルを持つエンジニアやクリエイターに最適な派遣のお仕事を紹介できるだけでなく、変化の速い業界で求められる最新のスキルやキャリア形成についても的確なサポートを受けられます。

さらに大手企業や有名企業のお仕事も多数取り扱っているため、キャリアアップにつながる派遣先を見つけられる可能性が期待できるでしょう。

また、「手厚いサポート体制」にも定評があり、一人の派遣スタッフに対して、キャリアコーディネーター、営業担当、アソシエサポート担当の3名体制でサポートを行います。

仕事探しから就業開始、そして就業後の相談まで、きめ細やかな就業支援を受けられるため、初めて派遣で働く方でも安心して利用できるでしょう。

IT・Web業界での派遣の仕事を探している方、専門性を活かしてキャリアを築きたい方は、ぜひ利用を検討してみてください。

後悔しない！「やめとけ」と言われないための3つの対策

派遣エンジニアとして後悔しないためには、いくつか押さえておくべきポイントがあります。

• 1. 需要の高いスキルを常に学び続ける
• 2. 信頼できる優良な派遣会社を選ぶ
• 3. キャリアプランを明確にし、担当者に伝える

本章で紹介する3つの対策を意識して、主体的にキャリアを築いていきましょう。

1. 需要の高いスキルを常に学び続ける

IT業界は技術の移り変わりが速いため、常にスキルをアップデートし続ける姿勢が不可欠です。

現状のスキルに満足せず市場で需要の高い技術を積極的に学べると、あなたの市場価値は高まりやすくなります。

たとえば、クラウド（AWS, Azure, GCP）、コンテナ技術（Docker, Kubernetes）、AI・機械学習、セキュリティなどの分野のスキルは、今後も高い需要が見込まれます。

資格取得を目指したりプログラミングスクールを活用したりして、継続的に学習する習慣をつけましょう。

高い専門性があれば、好条件の案件を選べるようになり、「やめとけ」と言われるような状況を回避できる可能性が高まります。

2. 信頼できる優良な派遣会社を選ぶ

派遣エンジニアのキャリアは、どの派遣会社に登録するかに大きく左右されます。

優良な派遣会社は、高単価でスキルアップにつながる案件を多数保有しているだけでなく、営業担当の交渉力やフォロー体制も充実しています。

派遣会社を選ぶ際は、以下の点をチェックするとよいでしょう。

• IT・Web業界に特化しているか
• 希望する分野の案件が豊富か
• 担当者の専門知識やサポート体制は手厚いか
• マージン率（派遣料金に占める派遣会社の利益の割合）を公開しているか

複数の派遣会社に登録し、担当者と面談した上で、最も信頼できると感じた会社をメインのパートナーにするのがおすすめです。

3. キャリアプランを明確にし、担当者に伝える

「将来どうなりたいか」というキャリアプランを明確に持つ姿勢が、派遣エンジニアとして成功する鍵です。

「3年後には〇〇の技術を習得して、年収△△万円を目指したい」「将来的にはフリーランスとして独立したい」など、具体的な目標を設定しましょう。
関連記事：ITフリーランスエンジニアになるには？案件獲得方法を徹底解説

そして、その目標を派遣会社の担当者にしっかりと伝えることが重要です。

あなたのキャリアプランを共有しておけば、担当者はその実現に向けた最適な案件を提案しやすくなります。

受け身で仕事を紹介されるのを待つのではなく、自分のキャリアの舵を自分で握る意識を持ちましょう。

派遣エンジニアからの多彩なキャリアパス

「派遣エンジニアはキャリアが行き詰まる」というイメージは正しくありません。

戦略的に経験を積むことで、その後のキャリアパスは多彩に広がります。

具体的には、以下のキャリアパスを描くことが可能です。

• 1. 派遣先企業での正社員登用
• 2. より条件の良い派遣先へステップアップ
• 3. 正社員として別の企業へ転職
• 4. フリーランスとして独立

1. 派遣先企業での正社員登用

派遣先での働きぶりが評価され、正社員として直接雇用のオファーを受けるケースです。

「紹介予定派遣」の制度を利用すれば、初めから正社員になる前提で働くこともできます。

2. より条件のよい派遣先へステップアップ

一つのプロジェクトでスキルを磨き、その経験を武器により給与や業務内容がよい別の派遣先へ移るキャリアパスです。

実力次第でどんどん収入を上げていくことが可能です。

3. 正社員として別の企業へ転職

派遣で積んだ多様な経験は、転職市場でも高く評価されます。

特に、大手企業でのプロジェクト経験は、事業会社やSIerへの正社員転職において強力なアピールポイントになります。
関連記事：ITエンジニア転職サイトおすすめランキング13選

4. フリーランスとして独立

複数のプロジェクトで培った高い専門性と人脈を活かし、フリーランスのエンジニアとして独立する道もあります。
関連記事：エンジニアとして独立は可能？失敗しないための対策も徹底解説

派遣よりもさらに自由度が高く、高収入を目指せる可能性が高いでしょう。

派遣エンジニアは、キャリアの終着点ではなく、理想のキャリアを実現するための一つのステップととらえられます。

まとめ：派遣エンジニアの特性を理解し、自分に合ったキャリアを築こう

本記事では、「派遣エンジニアはやめとけ」と言われる理由から、そのメリット、そして後悔しないための対策まで詳しく解説しました。

たしかに、雇用の不安定さや待遇面での課題は存在します。

しかし、柔軟な働き方ができ、さまざまな経験を積めるという大きなメリットもあります。

重要なのは、派遣エンジニアという働き方の特性を正しく理解し、自分の価値観やライフプランに合っているかを見極める姿勢です。

もしあなたが「ワークライフバランスを重視したい」「さまざまな技術に触れてスキルアップしたい」と考えているなら、派遣エンジニアは有効な選択肢となりえます。

「自分に合った案件が見つかるか不安」「まずはどのような仕事があるのか知りたい」という方は、一度プロに相談してみることをおすすめします。

本記事で紹介した「type IT派遣」のようなIT専門の派遣会社に無料登録し、キャリア相談をすると、あなたの可能性はさらに広がるはずです。

「やめとけ」という声に惑わされず、自分自身の目で確かめ、納得のいくキャリアを築いていきましょう。