ドローンスクール東京卒業生インタビュー|マンションの大規模修繕費用をドローン活用で削減
高所作業を安全に行えるドローンは効率面からも高い評価を受けており、大手ゼネコンでも導入が進んでいます。こうしたなか、「マンション管理組合に寄り添う専門家集団」である一般社団法人マンション管理サポートセンターでは、ドローンを活用したアプローチで業務効率化を目指しています。
代表理事の金田ゆき氏は、不動産管理業界で20年以上のキャリアを持つ業界のフロントランナー。進取の精神でドローンスクール東京に入会され、卒業後は自身もドローンパイロットとして点検業務に携わることもあるそうです。そんな金田氏に、不動産管理におけるドローンの可能性やスクール選びで重視した点などを、詳しくお聞きしました。
ドローンによる点検で予算管理を効率化
――まずは金田様のキャリアについて、詳しくお聞かせください。金田:
私は20年近く家業の設備工事会社の取締役として経営に携わり、社長に近い立場で会社の運営に関与してきました。同時にグループ会社として宅建業も手がけており、不動産業界全体を広く見渡せる立場にいました。
現在は一般社団法人マンション管理サポートセンターで、マンション管理士や賃貸不動産管理士、宅建士、マンション管理業務主任者といった国家資格の取得支援を行っています。
しかし、資格取得はあくまでもスタートラインです。私たちの真価は、資格取得後の実践的なサポートにあります。資格を持っているだけでは仕事にはならないため、実際の現場で必要なスキルや知識を、実務を通じて習得できる環境を提供しています。
ドローン技術の活用においても、国家資格の取得支援だけでなく実際の建物診断の現場で技術を磨く機会をご用意しています。このような実践的なアプローチが、私たちの教育プログラムの強みだといえますね。
――マンション管理サポートセンターの具体的な業務内容について、より詳しくお聞かせください。
金田:
管理組合の顧問業務と、大規模修繕工事の設計監理の2つが主な事業です。前者については、分譲マンションに必ず存在する管理組合に対し、管理費や修繕積立金の運用について長期的な視点からアドバイスを行うというものです。
近年はさまざまな費用が値上がりしているため、適切な資金計画を持たない管理組合が財政破綻してしまうケースも出てきています。私たちはそのような事態を防ぐため、管理組合側に立った専門家として、的確な助言と支援を提供しているのです。
大規模修繕工事の設計監理については、全体で数千万円規模におよぶ工事のコンサルタントとして工事の必要性を精査し、適正な予算内で最適な改修計画を提案しています。この2つに加えて、国家試験対策セミナーなどの教育事業も行っているという形です。
――業務の中で、ドローンをどのように活用されているのでしょうか。
金田:
赤外線カメラを搭載したドローンによる外壁調査などを行っています。高密集地域での飛行はなかなか難しい面もありますが、ドローンスクール東京の講師の方にお手伝いいただきつつ、私もドローンパイロットとして調査を行うこともあります。
従来の建物診断では、足場を組んで調査を行う必要があり、費用と時間が大幅にかかるのが一般的でした。足場を組まず、地上から赤外線カメラを使用する方法もありますが、詳細調査可能な範囲が3階程度までに限られ、高層建物の詳細な診断には適さないという問題点がありました。
ドローンを活用することで、これらの課題を克服できるようになりました。赤外線カメラを搭載したドローンを使えば、高層階まで安全かつ効率的に詳細な調査が可能になります。さらに、足場を設置する必要がないため、従来の足場を用いた調査と比べてコストや作業時間を大幅に削減できます。なおかつ、早期に不具合を発見することで、大規模な修繕が必要になる前に適切な対処が可能になるという利点もあります。ドローン活用は、管理組合の予算を効率的に活用する上で、非常に重要なブレイクスルーなんです。
このことから我々は、ドローンによる技術革新を単なるコスト削減の手段としてではなく、マンション管理の質を向上させるための重要なツールとして位置づけています。
自分のペースで学べる、何度でも見返し可能なオンデマンド授業
――ドローンがマンション修繕において大きな役割を果たすことが分かりました。ここからは、ご自身が学ばれるにあたり、ドローンスクール東京を選ばれた理由について詳しくお聞かせください。金田:
多くのドローンスクールを実際に訪問し、各社の社長とも面会する中で、ドローンスクール東京の佐和田氏の真摯な姿勢に惹かれたためです。運営会社である株式会社ハミングバードの鈴木代表も非常に精力的で、若手の社長が多い業界にあって、特に信頼できる印象を受けました。立地面でも、お台場・横浜・新宿に直営校があることも魅力でした。
また、ドローンスクール東京の受講者に寄り添う姿勢も、大きな決め手となりました。
基本的に、どのスクールでも未経験者コースより経験者コースのほうが受講費用が安い傾向にあります。これは、まったくの未経験を指導するよりも、経験者を指導するほうがスクール側の負担が少ないからという理由です。
ところが昨今は、二等資格は保持しているもののドローンを実用しておらず、技量的には未経験者と変わらない……という方も多いそうです。そのような方を割引価格で受け入れてしまうと、スクール側の利益は減ってしまうのに、未経験者を受け入れた場合と同じくらいの負担が生じますよね。そのため、収益性を重視するスクールでは、二等資格者の講習を受け入れないケースもあるそうです。
こうした方針は、経営者としては当然のことかもしれません。しかし受講生としては、できれば費用を抑えたいと考えるものですよね。その点、ドローンスクール東京は二等資格保持者の受け入れにも積極的で、利益よりも受講者の成長を重視していると感じたのです。
――実際の学習体験はいかがでしたか?
金田:
学科面では、eラーニングシステムの導入が非常に効果的でした。以前は生講義の形式でしたが、現在は各受講生が自分のペースで何度でも学習できるオンデマンド形式に進化しています。これはかなりのコスト投資が必要な取り組みであり、すべてのスクールができることではありません。
実技面では、正直なところ相当苦労しました。特にお台場での練習は海風の影響を強く受けるため非常に操縦が困難でしたが、最近では千葉県市川市に屋内テクニカルセンターが完成し、より効率的な練習が可能になりました。
――テクニカルセンターについて、ドローンスクール東京のスタッフさんからもぜひ補足をお願いします。
ドローンスクール東京 佐和田:
テクニカルセンターはバスケットコート2面分という広大な施設で、天候に左右されない環境で練習できます。二等資格は屋内での受験が可能なので、風の影響を受けずに試験に臨めるのも大きいと思いますね。
金田さんは本当に熱心で、最終的にはスクールで使っているものと同じ機体を購入して練習されていました。その真摯な姿勢は他の受講生の模範となっています。
充実のコミュニティで新たな挑戦をサポート
――ドローンスクール東京では、卒業後のコミュニティ活動も盛んだそうですね。金田:
そうなんです。ドローンスクール東京では、受講生向けのコミュニティである「チームハミングバード」というサブスクサービスがあり、そこでは定期的な空撮会や懇親会、バーベキューなどのイベントを通じて、卒業生同士が活発に情報交換を行っています。またSNSを活用したネットワークも構築されているので、インストラクターからの継続的なアドバイスが受けられるのも嬉しいポイントです。
個人的に感銘を受けているのは、卒業生の高い意識レベルです。中には一緒に会社を立ち上げる方々も出てきており、私たちも仕事の紹介などのサポートを行っています。このような卒業後のフォロー体制は、東京都内のドローンスクールでもドローンスクール東京以外にはほとんどないようです。
資格は取ってからがスタートなので、仕事や趣味につながるコミュニティがあるというのは非常に大きいですね。
――今後の展望についてお聞かせください。
金田:
私たちのビジョンは、マンション管理サポートセンターの会員一人一人がドローン技術を活用して、より幅広いサービスを提供できるようにすることです。令和7年度は点検業務の件数を大幅に増やす計画で、ドローンスクール東京との連携をさらに深めていきたいと考えています。
実際の業務では、会員も同行して実地研修を行うなど、実践的な技術習得の機会を設けています。これは私たちの教育理念と、ドローンスクール東京の「資格取得後のサポート」という考え方が一致したからこそ実現できた取り組みです。
――最後に、これからドローン技術の習得を考えている方々へのメッセージをお願いします。
ドローンスクール東京 佐和田:
私たちのスクールには、すでに明確な活用目的を持って入学される方と、これからの可能性を探りたい方が混在しています。そのため、個々の目標に応じた柔軟な指導を心がけています。
ドローン関連の仕事はまだ発展途上ですが、金田さんのような活用事例を共有することで、受講生の皆様に具体的なビジョンを示していきたいです。
金田:
ドローン技術は、決して特別な人だけのものではありません。私自身、何度も試験に挑戦して、ようやく合格を掴みました。
大切なのは新しいことに挑戦する意欲と、仲間との繋がりです。充実したコミュニティの中で、互いに刺激し合いながら成長できる環境は、何物にも代えがたい価値があります。
これから技術を習得される方々も、きっとこの素晴らしいコミュニティの一員となり、新たな可能性を見出していただけると確信しています。
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