ドローンで切土・盛土の体積を把握する方法【実務者が解説】DJI TerraとD-RTK2でXYZ方向の誤差5cm以内を出す実務手順

ドローンで切土・盛土の体積を把握する方法【実務者が解説】DJI TerraとD-RTK2でXYZ方向の誤差5cm以内を出す実務手順
  • 今回お話を伺った方
    • 株式会社イン・トラスト 代表取締役

      田村 修也氏

      愛媛県を拠点に、SkyProおよびSkyProドローンスクールを運営。測量士補の資格を持ち、ドローンを活用した写真測量や3Dモデル構築、点群データ作成などの実務に従事する。DJI TerraやAgisoft Metashapeを用いた解析業務のほか、国家資格取得講習やUAV測量講習を通じて、建設・土木分野で活用できる実践的な人材育成にも取り組んでいる。

建設会社や官公庁のDX担当者からは、「ドローンで土量計算はできるのか」「実際の機材や精度はどの程度か」という声がよく聞かれます。

実際には、ドローンによる切土・盛土の体積把握は、写真測量と3D解析を組み合わせれば実務で十分可能です。

そこで今回は、DJI Terra(ディージェーアイ テラ)とD-RTK 2(ディーアールティーケー2)を使い、XYZ方向の誤差5cm以内を目指す手順を、愛媛県での実務事例をもとに整理します。

お話を伺ったのは、測量士補の資格を持ち、愛媛でドローン写真測量の実務とスクール運営を行うSkyPro ドローンスクールの田村氏です。撮影手順や機材構成、精度を高めるポイントについて詳しくご紹介します。

* 田村氏は測量士ではなく測量士補です。公共測量など、資格要件がある業務については、別途ご相談ください。

ドローンによる土量把握の基本フローと必要機材

土量計算・3Dデータのサンプル

ドローンを使った測量では、まず現地を空撮し、その画像からオルソ画像や点群データ、DSM* ・DEM* といった3次元データを作成します。ここまでをドローン事業者が担当するケースが一般的です。

その後、作成した3次元データをもとに切土・盛土量を算出したり、出来形管理や設計データとの比較を行ったりする作業は、測量会社やゼネコン、発注者側が担当する場合もあります。

一方で、近年ではデータの取得から解析、帳票作成までを一括して請け負う事業者も増えており、ドローン測量は現場管理を支える手法として広く活用されています。

* DSM:Digital Surface Model(数値表層モデル)、地表面や建物・樹木などの高さを三次元で記録したデータを指す。
* DEM:Digital Elevation Model(数値標高モデル)、地面の高さを数値化し、地形を三次元で表現したデータを指す。

必要機材について

使用する機材は、DJI Matrice 400/300/350 RTK(ディージェーアイ マトリス M400/M300 RTK/350 RTK)に測量用カメラ「Zenmuse P1(ディージェーアイ ゼンミューズ P1)」を搭載した構成や、測量向けの一体型機体であるDJI Matrice 4Eが代表的です。

位置情報の精度を高めるために、D-RTK 2/3などのGNSS基地局やネットワークRTKを併用し、撮影したデータはDJI Terra(有償版)やPIX4Dmapper、Agisoft MetashapeなどのSfMソフトウェアで3次元モデルへと処理します。

ドローンによる測量と一般的な測量(人力・トータルステーション等)との違い

一般的な測量(人力・トータルステーション等)と比べ、ドローン写真測量は所要時間・人数・コストとも大幅に抑えられますが、精度は人力測量に劣ります(下表)。


所要時間 必要人数 コスト感 精度レンジ
ドローン
写真測量
数十分〜半日 1〜2名 一式30〜40万円程度 概算〜数cm程度
人力測量
トータルステーション等
数日 数名 数十万円〜100万円超 mm〜cm単位
※コストは状況により異なるため、あくまで目安です。

DJI TerraとMetashape、どちらを選ぶべきか

ドローンの土量測定に関する質問に答えるスカイプロドローンスクールの田村氏

SkyProの田村氏


概算の3Dモデルや土量把握が目的ならDJI Terra、点群データの納品や高さ方向の造形精度が求められる案件ならMetashapeが適しています。点群納品が必要な建設・測量案件では、ほぼMetashapeで納品しているとのことです。

その理由を、田村氏に聞きました。

——Metashapeが選ばれる理由は何ですか?

田村氏:現場に重機(ユンボなど)が停まっている状態を撮影すると、Metashapeでは輪郭がきれいに点として出ますが、DJI Terraだと崩れてしまうことが多いです。高さ方向の造形精度の差は、こうした場面で特に体感します。

他に、Pix4D等のパーツ売り型ソフトもありますが、必要な機能をひとつずつ揃えると総額がかなり高くなります。Metashapeはオールインワン型のため、価格を抑えながら必要な機能をひと通り揃えられるのが、メリットです。

GNSS基地局(D-RTK 2/D-RTK3)とネットワークRTKの違い

GNSS受信機(GNSSアンテナ)を使用したドローン土量測定

写真右下にある三脚に立てられた機材が、D-RTK 2(田村氏の測量現場にて)


D-RTK 2は現場に設置し座標を入力して基準局とする方式、ネットワークRTKは国土地理院の電子基準点(GNSS電波を常時受信する基準点)などを利用する方式です。

動かないと分かっている地点の座標を基準にGPSの誤差を補正する仕組みのため、位置が既知の基準点の真上に設置できるD-RTK 2/3の方が精度は高く、測量会社ではD-RTK 2/3を採用するケースが一般的です。

ただし、近隣に電子基準点があるなど条件が良ければ、ネットワークRTKのみでも実用上十分な精度が出るケースがあります。

実際、田村氏がD-RTK 2を設置せずネットワークRTKのみで撮影・納品した案件でも、たまたま近くに好条件の基準点があり、依頼者から「精度が良い」と評価されたことがあるといいます。

DJI Terraで土量を算出する具体的な手順【4ステップ】

3Dモデル山間部のサンプルデータ

①地形追従飛行でラップをかけながら撮影、②D-RTK 2等で位置精度を補正、③DJI Terraで3Dモデルを構築、④範囲・基準平面を指定し体積を確認、という4ステップが基本の流れです。

STEP1 地形追従での等間隔撮影

平らな高度のまま飛ぶ「平飛ばし」では山頂と谷間でカメラとの距離が変わり精度が出ません。機体と地面の距離を一定に保つ「地形追従」で撮影し、往路・復路とも「横ラップ・縦ラップ」を十分に確保します。

STEP2 D-RTK 2/ネットワークRTKによる位置精度の補正

写真1枚ごとに機体の位置座標が記録され、ずれると3Dモデルもずれます。概算の土量把握なら、補正なしでもデータ作成は可能です。

STEP3 DJI Terraでの3Dモデル構築(2D/3Dの選択)

有償版のDJI Terraにパラメーターを入力し撮影データを取り込み、2Dならオルソ画像、より複雑な計算で3Dモデルが出力されます。DJI Terraで簡単にユーザーさんが求めることは十分要件満たすと思います。

STEP4「注釈と測定」→「体積測定」で範囲・基準平面を指定

基準平面(平均平面/最下点など)を選ぶと切土・盛土体積が自動表示されます。田村氏は体積算出自体は依頼者側の作業とし、自身は3Dモデルの納品までを担う運用です。

地形追従での等間隔撮影における3つのコツ

ドローンによる土量測定データ

田村氏は、4つのステップの中でもSTEP1「地形追従での等間隔撮影」が、正確な3Dデータ・土量計算データを作るために最も重要だと指摘、撮影のコツは3つあると語りました。

「DJI Terraの使い方は、メーカーや測量会社などいろいろなところで解説されていますが、撮影時にカメラと被写体との距離を一定に保つという、精度を左右する部分については少し甘めに説明されていることが多い印象です。一番大事なポイントは、最初の撮影工程です。

そこで田村氏に地形追従での等間隔撮影における3つのコツを教えてもらいました。

① カメラと地面の距離を一定に保つ

撮影時はカメラと地面の距離を常に一定に保つことが、精度を左右する最大のポイントです。地形に関係なく水平飛行で撮影すると、山頂付近では距離が近く、谷では遠くなり精度が落ちるため、地形に沿って高度を自動調整する「地形追従(テレインフォロー)」機能を使う必要があります。

——このポイントについて、具体的に教えてください。

田村氏:ドローンで空撮する際、被写体(地面)とカメラの距離を常に一定に保つのが大原則。これができていないと精度が出ません。

たとえば山を撮影する際に、地形に関係なく「水平飛行」で飛ばしてしまうと、山の頂上付近ではカメラと地面の距離が近くなり、谷では距離が遠くなってしまう。

これでは精度が出ないため、ドローンを地形に沿わせて高度を自動調整する「地形追従(テレインフォロー)」機能を使い、常に地面との距離を一定に保ちながら飛行させる必要があります。

② 写真を「重ねながら(オーバーラップ/ラップ)」連続して撮る

1枚撮ったらすぐに次の1枚を撮り、前後の写真が少し重なり合う(オーバーラップする)ように、途切れなくシャッターを切り続けるのがコツです。

——撮影のコツについて、もう少し詳しく教えてください。

田村氏:1枚撮ったら、間を空けずにすぐ次の1枚を撮る。このとき、前の写真と次の写真が少し重なり合う(オーバーラップする)ように撮影していくのがコツです。カシャカシャとシャッターを切り続けながら、途切れなく重ねて撮っていくイメージです。

③ 縦方向・横方向、両方でラップをかける

ドローンが撮影ルートを一直線に飛んで折り返してくる際は、横方向・縦方向の両方で写真が重なるようにラップをかけます。
  • 横方向:隣り合う飛行ルート同士でも写真が重なるようにする(横ラップ)
  • 縦方向:同じルートを行き帰りで撮った写真同士も重ねる(縦ラップ)
この縦・横のラップを密にかけながら大量に撮影することで、同じ地点を複数の角度・複数の写真から捉えることができます。

——縦横のラップが必要な理由を教えてください。

田村氏:カメラは真上から見ていても、実際にはやや斜め・横方向まで写り込んでいます。それらが少しずつ重なり合うことで、DJI Terra側が写真同士のズレや高低差を計算し、精度の高い3Dモデルを合成できる仕組みになっているからです。

ドローン測量で知っておきたい基礎知識(オルソ画像・GNSSとGPS・実測精度)

M350RTKに積載したLider測量用のドローン

上記の写真はM350RTKに積載したLider測量用のもので、写真測量用のカメラではありません


ドローン測量を正しく理解・活用するには、①オルソ画像の仕組み、②GNSSとGPSの違い、③用途に応じた実測精度の考え方、という3つの基礎知識を押さえておく必要があります。

オルソ画像とは

オルソ画像とは、真上から見たときの歪みや広がりをなくし、正しい大きさ・位置に変換した画像のことです。

身近な例で言えば、Googleマップの航空写真がこれにあたります。斜め方向から撮影すると遠くのものほど広く見えてしまいますが、オルソ画像はその歪みを補正し、地図として使える正確な図面に変換したものです。

GNSSとGPSの違い

GPSはアメリカの衛星測位システムの名称であり、GNSSは日本の「みちびき」など各国の測位システムを含む総称です。

用途に応じた実測精度の考え方

完成検査のような厳密な測量には位置精度の補正が必須ですが、施工管理での概算の土量把握であれば、補正なしのGPSデータでも実務上十分なケースが多いです。

国土交通省が進める「i-Construction」の流れもあり、短時間・高頻度に土量を把握する運用が一般化しつつあります。実際にDJI Terraでデータを構築し翌日納品した案件について、納品後に撮影範囲内の既知点で検証したところ、XYZともに5cm以内の精度が確認できたと田村氏は語っています。

——位置精度の補正について、実務上のスタンスを教えてください。

田村氏:測量精度を求めるなら補正が重要ですが、ざっくりとした土量を知りたいだけならそこまでの精度は不要です。まず綺麗な写真を撮ることが最優先で、位置情報も正確な方が良い、という位置づけです。

資格がなくてもできる範囲と、外注という選択肢

スカイプロドローンスクール・田村氏による測量講習会の様子

SkyPro ドローンスクール・田村氏による測量講習会の様子


測量士でなくても、公共測量ではない概算レベルの土量把握はドローンとDJI Terraの組み合わせで十分対応可能です。田村氏自身は測量士補の資格を持っていますが、厳密な精度が求められる場面では専門の測量士への相談を勧めています。

ドローン事業者が担当する範囲と公共測量との違い

SkyProでは、空撮・写真測量・オルソ画像や点群データの作成までを一括で請け負い、土量計算(体積の数値算出)そのものは納品後に依頼者側(ゼネコンや測量会社など)が行う運用です。対応範囲を、田村氏に確認しました。

——田村さんのサービスでは、どこまで対応しているのでしょうか。

田村氏:私は測量屋さんではないので、実際にやっている業務についてお話しています。ざっくりとした3Dモデルが欲しい時に使ってもらう、というスタンスだと思います。

土量計算(体積の数値算出)そのものを単体で請け負うことはなく、空撮・写真測量・オルソ画像や点群データの作成までを行い、納品後は依頼者側(建設会社や砕石会社など)で範囲を選び体積を確認してもらう形が基本です。

料金は撮影料・データ構築料一式30万〜40万円程度が目安ですが、これはもちろん、ご依頼の内容にもよります。幅100m×長さ1kmの実績で撮影時間は約30分、状況にもよりますが翌日には納品可能です。

ドローン測量でよくある課題

機材一式を導入していても、正しい補正の仕組みや地形追従撮影の方法を理解していないために使いこなせていないケースが一定数あるといいます。

——実際に、土量計算等を行おうとしてドローンの資格を取得し機材も揃えて行っている事業所さんは多いのでしょうか?

田村氏:機材一式を導入していても、正しい補正の仕組みや地形追従撮影の方法を理解していないために使いこなせていないケースが一定数あります。

たとえば不法投棄量の把握目的で導入したが活用できていない、というような例も聞いたことがあります。

SkyProでは、「UAV測量」に特化したプロフェッショナルコースもあります。実務でドローン測量を活用できるよう、取得したデータから3次元点群の処理・3次元モデルの構築方法など実際に解析ソフトを使って学びます。こうした講習を受けて、実務に活用していただきたいですね。

機材コストから見る内製化のハードルと今後期待される活用シーン

ドローンの土量測定に関する質問に答えるスカイプロドローンスクールの田村氏

機材コストは構成によって変動しますが、DJI Matrice 4Eは税込87万円程度で、測量用の産業機としては90万円前後がひとつの目安です。DJI Terraもプランによって差があり、Standardの1年版は約24万円、Flagshipの1年版は49万円程度とされています。

初期投資に加え、実務では撮影条件の設定や運用ノウハウの習得が必要になるため、内製化はハードルが高く、外注や講習を組み合わせる運用も現実的です 。

最後に、田村氏にドローンによる今後の展望を伺いました。

——今後、ドローンによる土量・3Dモデル把握はどんな人におすすめですか?

田村氏:やはり、建設業、とくに土木・造成分野で需要が高いですね。

ただ、建設業に限らず、災害等で失われる前に文化財や建物を簡易的にでも3Dデータとして記録したい不動産・建物保存の分野など、測量のプロではないが予算をかけずに目的を達成したい、というケースにも非常に向いていると思います。

文化財の保存は主に教育委員会が管轄し予算が限られていますが、災害で元に戻らなくなる前に記録を残すデジタルツイン的な用途に使ってもらえたらと思っています。

ドローンによる土量計算・写真測量でよくある質問

Q. ドローンで土量計算(切土・盛土)はどうやる?

A. 地形を撮影しDJI Terra等で3Dモデルを構築、体積測定機能で範囲と基準平面を指定し算出します。

Q. DJI TerraとMetashapeの違いは?

A. 概算の3Dモデルや土量把握が目的ならDJI Terra、点群データの納品や高さ方向の造形精度が求められる案件ならMetashapeが適しています。特に重機など輪郭のある被写体では、DJI Terraだと形が崩れやすい一方、Metashapeはきれいな点群として再現できる点が大きな差です。

Q. GNSSとGPSの違いは?

A. GPSはアメリカの軍事衛星に由来する測位システムの名称、GNSSはみちびきなど各国の測位システムの総称です。

Q. オルソ画像とは?

A. 上空からの画像の歪みをなくし、真上から見た正しい大きさ・位置に変換した画像です。

Q. D-RTK 2は置くだけで精度が出る?

A. いいえ。動かないとわかっている地点に設置し、緯度経度とアンテナ高を入力して基準局として機能させる必要があります。

Q. ネットワークRTKとは?

A. 国土地理院の電子基準点データなどをネットワーク経由で利用し補正する方法です。D-RTK 2に比べ精度はやや甘くなりますが、条件が良ければ実用上十分な精度が出るケースもあります。

Q. 測量士でなくてもドローンで土量把握できる?

A. 概算レベルの土量把握であれば可能です。厳密な公共測量などで精度が必要な場合は専門の測量士への相談が必要です。

Q. 愛媛でドローンによる土量計算・写真測量を依頼できる会社は?

A. 愛媛県でドローン写真測量・3Dモデル構築が可能な会社は数社ありますが、SkyProでも対応しています。撮影からDJI Terra/Metashapeによる3Dモデル構築までを一式で請け負い、体積算出は納品データをもとに依頼者側(建設会社、採石業者等)が行う運用です。

ドローンによる土量計算は目的に応じた精度・運用が重要

ドローンによる土量把握は、地形追従飛行による撮影、D-RTK 2やネットワークRTKによる位置補正、DJI TerraやMetashapeによる3Dモデル構築の3要素で成り立ちます。

測量のプロでなくても概算レベルの活用が可能なので、さまざまな領域での活用が期待されます。

一方で、厳密な公共測量は専門の測量士への相談が適切であることも、あわせてお伝えしておきます。

田村氏が運営するSkyProでは、愛媛県松山市を拠点にドローンの写真測量・3Dモデル構築を行っています。またSkyPro ドローンスクールでは、国家資格取得コースのほか、ICT・BIM/CIMで必要とされる3次元データ取得のための講習も提供中です。

愛媛県松山市周辺でドローン写真測量や3Dモデル構築を検討している方は、田村氏が運営するSkyProへ相談してみてはいかがでしょうか。

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