WINGSドローンスクール｜元不動産マーケターがドローンで描く未来図

不動産マーケターがドローンで広げた可能性

ーー谷崎様のご経歴について教えてください。 

谷崎：
もともと不動産会社でマーケティングを担当しており、業務の中で、モデルハウスの物件写真やプロモーション動画の撮影にも取り組んできました。 

ドローンを始めたきっかけは、2014年頃にトイドローンを購入して、自宅で飛ばしていたことです。完全に趣味の位置付けでしたが、次第に、「もしドローンによる空撮のスキルを身につければ、住宅のプロモーションに使えるんじゃないか」という考えに至り、会社に撮影用のドローンを買ってもらって、独学で飛ばし始めました。

マーケティング部の業務の中では、商品開発にも携わっておりました。何十棟もあるような分譲地の住宅のコンセプトを決めるところから、プロモーションの打ち方まで考えるというケースもあったのですが、街並みの綺麗さを見せるという面で、ドローンの映像は非常に有用でした。

ーー独学で学ばれたとなると、技術面はもちろん、複雑な申請関係の把握も大変だったのではありませんか。

谷崎：
はい、最初は大変でした。DIPS（ドローン情報基盤システム：飛行許可承認申請機能）とFISS（ドローン情報基盤システム：飛行情報共有機能）が統合する前の状態だったので、システムを行ったり来たりしながら申請をしましたね。ときには差し戻されることもあり、独学の限界を感じました。

WINGSドローンスクールを卒業してからは、群馬県ドローン普及協会にも所属するようになりました。知識が豊富な方と繋がれたので、申請関係での悩みを相談できるようになり、すごく心強いです。

ーー改めて伺いますが、独学ではなく、スクールに通うことを決めたのはなぜでしょうか。

谷崎：
ドローンを始めた当時は民間資格しかなかったので、ひとまず「ドローン検定」を取得していました。その後、国家資格制度がスタートし、ドローン業界が盛り上がりを見せる中で、当時勤めていた会社の社長から「ドローンを飛ばせるなら、ビジネスに活用できないか考えてみたらどうか」というお話をいただき、社内でドローン事業部を立ち上げることになったんです。

本格的にお仕事として進めていくならば、やはり国家資格を取得したほうが良いのではと。そこで2023年に、国家資格の取得目的でスクールへ入会することにしました。会社からの資金支援のほか、リスキリングの助成金を利用することで金額をかなり抑えられたのは嬉しかったですね。

座学から実技までサポート！専業ドローンスクールが与える学びと経験

ーーさまざまなドローンスクールのなかから、WINGSドローンスクールを選んだ理由は何でしょうか。

谷崎：
国家資格の講習を実施しているスクールを群馬県内で探すなかで、WINGSドローンスクールを見つけたのが最初のきっかけでした。

以前、民間資格について調べた時には、ほかの事業と兼業でドローンスクールを運営しているところが多く、電話で問い合わせをした際に回答に曖昧なところがあるなど、気になることが多かったんです。その点、WINGSドローンスクールさんは、電話問い合わせした際の説明も非常にしっかりしており好感が持てました。さらにその後、改めて調べたところ、ドローンで事業を営んでいる会社であるとわかり、講師の現場経験も豊富だろうと考えました。

あとは、経験者向けの一等無人航空機操縦士資格コースについて、他社さんよりも費用面で非常にお手頃だったことも、理由のひとつですね。

ーースクールに通ってみていかがでしたか。まずは座学から感想を教えてください。

谷崎：
暗記問題に関しては民間資格とあまり差がなかったのですが、一等無人航空機操縦士の試験には計算問題がありますので、そこは苦労しました。普段使っていない学生時代の記憶を掘り起こす必要があり、高校生向けのYouTube講座を見るなどして対策しました。

また、スクールの講師の方々には、オンライン授業だけでは理解しきれない部分も丁寧に教えていただき、大変助かりました。たとえば山本講師からは、最短で解答を導き出せる公式を教えていただいたのと、試験では関数電卓を使用できるため、公式を覚えていれば問題なく解けるという助言もいただきました。

ーー実技のほうはいかがでしたか。

谷崎：
操縦経験が長かったので、実技の方はストレートで合格できました。 

ただ、私も講師として一等無人航空機操縦士を受ける方の様子を見ていると、ATTIモード（姿勢制御モード：GPSとビジョンセンサーがオフの状態）で、ピルエットホバリング（機体をその場で旋回させながらホバリングすること）や八の字飛行をしている最中に風が吹いた場合、当て舵を正しく行えるかどうかという点に、非常に苦労をしている方が多いと感じました。

苦手なことがある場合は、時間をかけて練習を重ねるしかないので、ひたすら練習しています。特にWINGSドローンスクールは、機体の貸し出しもしているので、自主練習用の機体の費用を抑えて練習ができるのも魅力だと思います。現在、ATTIモードが搭載された機体は高価ですので、落下のリスクがあるうちに飛ばす怖さを回避できます。

あと、私の場合は操縦よりも口述試験の方が大変でした。 当時、こちらも情報が少なかったので、スクールがなかったら多分落ちていただろうと思います。 

ドローンの操縦技術をしっかり身につけることに加え、口述試験対策もスクールに通う大きな意義の一つだと感じました。

ーー講師の方から言われた言葉で、印象に残っているものはありますか。

谷崎：
僕の場合は仕事で使う前提だったので、実務経験が非常に豊富な講師の山本さんから、国家資格の試験勉強の内容が実務でどのように活かされるのか、というお話を聞かせていただけたことがよかったです。現場で実際に起きた失敗体験も聞けて、必要な対処法や事前防止策などの理解が深まりました。単に国家資格を取るためだけに知識を学ぶのではなく、実体験を含めて、知識と体験が線で繋がるようなお話を聞けたのは印象に残っていますね。

資格取得はスタート地点。これから挑む、ドローンの普及という課題

ーーご卒業後は、どのようにご活躍されていらっしゃいますか。

谷崎：
現在はフリーランスとして、ドローン関連のサービスを展開しています。元々不動産業界に勤めていたこともあり、住宅・不動産関連にパイプがありますし、元々カメラマンでもありましたので、建築写真の撮影と一緒に、ドローンによる空撮もセットでご提案しています。その結果、大型の分譲地や神社仏閣、建物周辺の状況を写す土地の撮影などをお任せいただけるようになりました。

あとは、お付き合いのある印刷会社や広告代理店、デザイン会社からご依頼を受け、広告やチラシに使用するための写真を撮影することもあります。具体的には、工場の撮影、花火大会の撮影、イベント施設での空撮などです。

ーーフリーランスとして独立すると、最初のお客様を掴むのが難しいと聞きますが、その点も前職の人脈や経験をフルに活かされているのですね。

谷崎：
最初に会社内でドローン事業部を立ち上げたときには、ドローンに関わる仕事に一通り挑戦してみたものの、やはりなかなか仕事が取れなくて半年ほどは苦戦しました。 フリーランスとして独立するときには、ある程度取引先を確保した状態で独立しましたので、独立してすぐお仕事を頂戴することができました。

仕事をとるには、全く関係ないジャンルではなく、今まで自分がやってきたこと、自分のバックグラウンドを生かすことを考えるといいかなと思いました。

やはりいきなりドローンで何もないところからスタートというよりは、今までの自分の経験とドローンを組み合わせることで、プラスアルファの効果が得られるような仕事を進めていくのが良いでしょう。

ーー今後、講師としてもご活躍されるとのことですが、どういう経緯で講師になることにしたのでしょうか。

谷崎：
WINGSドローンスクールを卒業して、講師の山本さんが代表理事を務めている群馬県のドローン普及協会に入りました。そこに所属する中で、やはりパイロットの育成は今後課題になってくるということを山本さんからも伺っておりました。

国土交通省が目標としていた、国家資格保有のドローンパイロットの数に、現状全然到達をしていない状況です。ドローンパイロットが不足していると同時に、市場においてもドローン関連のニュース記事で言われているほど、ドローンの仕事が溢れ返っているわけではありません。

私自身が仕事を確保していくのも大事ですが、将来的に市場を拡大していかないといけない。 もっとドローンを認知してもらって、「もしかしてこれはドローンで解決できるんじゃないか」とみなさんに思いついていただかないと、仕事が発生していきません。市場を広げるためには、やはりちゃんとした国家資格を持ったドローンパイロットの数が必要だと思います。 

ドローンパイロットの方々にさまざまな場で飛行してもらい、「ドローンならこんなことができる」と世の中に広めることで、初めてドローンの仕事が増えていくと考えています。さらに、周囲にドローンパイロットを増やすことで、将来的にドローン市場の拡大につながると考えました。

まずは、幅広い業界の仕事をしている方に、ドローンに触れていただきたいと思っております。あとは、しっかりとしたドローンパイロットを増やすことが重要なポイントだと考えています。

マナーや法律を守らない方々が事故を起こすと、より法律が厳しくなっていくので、日本中のドローンパイロットに迷惑をかけることになります。法律が厳しくなっていくと、どんどん飛ばしづらくなっていき、ドローン業界の発展自体も遅れてしまいます。そういった事態を防ぐために、きちんとした知識も、飛行経験もあるパイロットをたくさん育てていきたいという思いがあります。

ーー今後チャレンジしてみたいことはありますか。

谷崎：
未来のドローンパイロットという面では、子どもたちにドローンにたくさん触れていただきたいと思っております。ドローン協会を通して小学生や高校生に指導をすることもありますが、そこから興味を持ち、将来ドローンパイロットを目指す子どもたちが増えてくれたらいいですね。

あとは、国の法整備が先にはなりますが、ドローン物流が実現すれば大きなインパクトがあると考えています。そのため、国には早急に整備を進めていただきたいです。そして、そのタイミングで私も貢献できる部分があれば、ぜひ参入したいです。

ーー未来の受講生へメッセージをお願いします。

谷崎：
ドローンの国家資格取得は、あくまでもスタート地点に過ぎません。 国家資格を取ったからといって、すぐに仕事を獲得できるわけでもありませんし、その先もずっと勉強が必要になってきます。 

国家資格取得後の実務を見据えた時に、インストラクターが実務経験、現場での飛行経験を持っているかどうかというのは、大きなポイントになるかと思います。せっかくドローンの資格を取るなら、ただ試験に受かるための操縦ではなく、現場で飛ばすための技術を身につけられる、そんなスクール選びをしていただくことをおすすめいたします。