(取材)ルシェルブルー行政書士事務所|ドローン申請を行政書士に依頼するタイミングやメリットとは?

(取材)ルシェルブルー行政書士事務所|ドローン申請を行政書士に依頼するタイミングやメリットとは?
大阪に事務所を構えるルシェルブルー行政書士事務所。自身も複数台のドローンを保有する代表の河英生(かわ はなよ)氏は、これまでに数百件のドローンに関する申請を行ってきたドローン申請のプロフェッショナルです。行政書士事務所に仕事を依頼するタイミングやメリットについて、河氏にうかがいました。

ルシェルブルー行政書士事務所 代表 河英生氏

開業と同時にドローンと出会う。自身もドローンファンに 

――河先生がドローンに興味を持つようになったきっかけを教えてください。
 
実は、もともとドローンに対しては「事故を起こす危険なもの」という印象しかありませんでした。そんなある日、Facebookに「行政書士として開業しました」と書き込んだところ、ドローン人材の派遣会社を経営している大学時代の先輩から「ドローンの行政書士にならない?」と声をかけられたんです。
 
ドローンを飛ばすには飛行許可が必要となる場合が多いので、飛行許可申請をサポートする行政書士のニーズは大きいにもかかわらず、ドローンに精通している行政書士はまだまだ少ないそうです。「なんだか面白そうなのでやってみます!」とお返事したところからすべてが始まりました。
 
――行政書士になったからこその出会いだったんですね。 
 
そうなんです。その後ドローンについて調べていくと、とても美しい映像が撮影できるだけでなく、点検や農薬散布などさまざまな場面で人々の暮らしを便利にするものだとわかってきました。ドローンを活用することで、日本や世界がもっと発展していく可能性を秘めている。そのことに、とてもわくわくしたんです。
 
そのいっぽうで、飛行するに当たっての申請は、簡単な申請もありますが、飛行場面によってはとても複雑な申請となる場合もあり、「どうしていいかわからない」と悩む人も多い実情が広がっていました。そこで、行政書士としてドローンの発展に資するお手伝いをするぞと強く思うようになりました。
 
――ご自身でもドローンをお持ちなのでしょうか。 
 
いま、全部で5台のドローンを持っています。まず最初に、お声掛けいただいた先輩から「仕事をするならこれくらいのドローンは持っていないと」と勧められたのが15万円もするドローン。一瞬ためらいましたが、思い切って購入しました。
 

河氏の保有するドローン(同所提供)


その後は5日間みっちりと指導してくれるドローンスクールに通いました。私は機械が得意ではないので、座学から操縦技術まできっちり教えてくれるところがいいだろうと思って選びました。そのドローンスクールの受講料も30万円とずいぶん高かったのですが、やっぱり思い切って(笑)。
 
ただ、ドローンスクールでの講習を終えてもいきなり外で飛ばすのは怖かったので、しばらくはトイドローンを布団の上で、お風呂が沸くまでの10分間だけ毎日ホバリングさせていました。技術が向上してきたところで外での撮影を始め、最近でも月に一回は外で撮影するようにしています。
 
――すっかりドローンの魅力にはまったんですね。ドローンの申請業務を扱うにあたり、何か困ったこともあったのでしょうか。
 
一番困ったのは、相談できる人がほとんどいなかったことです。行政書士がよく取り扱う案件であれば、手引書や書籍があったり、先輩に話を聞いたりできます。でもドローンの分野ではそれができませんでした。
 
なので自分で役所が作成した手引書などの資料を読み、ネットで調べ、それでもわからないことがあれば役所に問い合わせてなんとかやってきました。ときには「申請が間に合わないかもしれない」と大変な思いをしたこともあります。
 
――これまでどれぐらいの申請を行ってこられたのでしょうか。
 
6年ほど前からドローン申請業務に携わり、これまでに数百件の申請をしてきました。ほとんどが企業のお客様です。事務所が大阪なので関西のお客様が多いですが、申請はオンラインや郵送でもできるので、全国からご依頼を頂いています

最短で許可申請!行政書士を頼るメリット 

――行政書士事務所にはどのような依頼ができるのでしょうか。
 
ドローンに関する手続きであればすべて受け付けています機体登録や包括申請、イベントでの飛行許可申請など、ご依頼は幅広いですね。機体登録は2022年6月から始まった制度ですが、最近は包括申請と併せてご依頼いただくケースが増えてきました。
 
FPVドローンに関しては無線資格も必要になります。ついては、アマチュア無線局や一般業務用無線局の開局申請を行う場合もあります。

研修の様子(同所提供)

 
――特に多いのはどの申請でしょうか。 

やはり航空法関連の申請ですね。業界で言うと空撮や点検関係が多いです。最近では国家資格制度の開始に伴い、これまでドローンスクールを運営していた団体がいわゆる“ドローンの教習所”として国土交通省航空局に登録講習機関として登録されるための登録申請が増えてきています。
 
――顧客からすると、「行政書士に依頼したら、後は許可が降りるのを待つだけ」といった形なのでしょうか。 
 
基本的には、こちらからお送りしたヒアリングシートへの記入と、申請に必要な機体の写真を撮っていただければそれでOKです。あとはこちらで許可が下りるまで対応します。
 
――申請が下りるまでにはどれくらいの期間がかかるのでしょうか。
 
一般的な包括申請であれば、材料が揃ってからであれば2週間くらい。材料を揃えるところからであれば1ヶ月程度ですね。なので、飛行したい日の1ヶ月前にはご依頼いただけると安全です。

――多数の事例に取り組んで来られる中で、大変だった事例はありますか?

2022年9月、大阪万博が開催される夢洲で花火大会とドローンショーが開催されました。このイベントを撮影するドローンの飛行申請を担当したのですが、この調整は大変でしたね。
 

通常のドローンは日中に地上150m未満の区域で飛行するケースが多いですが、このイベントは夜間で海の上、しかも150m以上の空域を飛ぶ計画でした。ドローンの機体も操縦する人数も複数です。
 
このような場面では、航空局だけでなく港湾局や警察など、さまざまな役所との複雑な調整が必要になります。役所自身もどうればいいかわからなくて返答が遅れたり、あまり飛行そのものに好意的ではなかったりで時間がかかりました。
 
イベントの日程は決まっていますから、その日程までになんとか許可を取らなくちゃいけません。眠れない日々が続きました。ただ最終的には、依頼者様のご協力もあり、すべての許可が間に合い、すばらしい撮影をしていただけたことで報われました
 
ほかにも、渋谷の電車が走るすぐそばでの飛行や、新宿のアルタ近辺での飛行の申請もなかなか大変でした。そのときはお客様自身も操縦実績が豊富で技術も高かったので、なんとか許可が下りた形です。
 

――申請手続きを行政書士にお願いするメリットはどういった点にあるのでしょうか。
 
やはり行政書士は行政手続きの申請に精通しているので、最短で許可申請が下りる点ですね。そもそもはじめて申請しようとする方は、申請にあたって必要なものもわかりません。
 
ドローンの種類や飛行場所、シチュエーションによって必要となる書類や情報が異なります。自分で申請しようとする場合、独力で調べたり役所に問い合わせたりしながら進めることになりますが、私たちであれば必要なものとそうでないものをすぐにお伝えできます。

必要となる手続きをせずにドローンを飛行させると、意図せず違法となってしまう可能性もあります。依頼していただければそのようなリスクもありません。
 
また申請した後も、航空局等から「補正指示」と呼ばれる修正を求められるケースがけっこうあるんです。補正指示を受け続けて最終的に許可が下りなかったケースもあると聞いています。いっぽう、私が担当した案件で許可が下りなかったことはほぼないので、プロに相談するメリットは充分あるのではと考えています。

補助金申請や機体購入の相談も◎

――申請業務以外でも顧客へのお力添えをしていらっしゃるのでしょうか。 

補助金のアドバイスをするケースは多いですね。ドローンを購入するにあたっては事業再構築補助金やものづくり補助金、スマート農業補助金など、使える補助金が複数ありますが、どれが最も自社に適しているかを自分で判断するのは難しい場合もあります。
 
そこで私の方で金額や経営状態を確認しながらアドバイスし、申請するとなれば必要な書類をお伝えして内容の確認を行います。ときには実際の申請まで行うこともあります。
 
――補助金を申請しないケースもあるのでしょうか。 
 
ありますね。そもそも補助金はドローン購入前でないと申請できません。事業計画に対して補助するという性格のものなので、国が認定していない計画についての支出は対象外とされてしまうんですね。
 
加えて申請もある程度の審査期間を必要とするため、審査が降りるまでに時間がかかります。なのですぐに使いたい場合は自己資金での購入を勧めることも多いですね。
 
補助金などのビジネスで使えるアドバイスに関しては、関西電力の子会社でドローン講習事業を展開している「Kanden DOTs」と提携しています。3月には共同で補助金に関するセミナーを開く予定です。
 
――ご自身だけで進めるのではなく、他社とも連携しているのですね。 

 
ドローン業界を盛り上げるためには、さまざまな方たちと連携していくことが大事だと思っています。たとえばいまは、ドローンスクールから「国家資格制度に対応するために登録講習機関の登録申請をしたいが要件を満たす機体がない」と相談を受けることがあります。
 
そんなときには、登録講習機関の登録申請の要件を満たす機体を販売している大阪の株式会社協和産業のドローンを紹介することもあります。機体が手に入らなければそもそも登録講習機関の登録申請ができませんから、悩んでいるスクールには喜ばれています。
 
ほかにも無料で賠償責任保険のご案内やおすすめのドローンスクールをお伝えしたり、時には一緒にドローンを飛ばしに行く仲間を紹介したりと、ドローンに関する幅広いアドバイスを提供しています。

同所提供


――行政書士に申請した方がいいケースと自分で申請した方がいいケースはどのような違いがあるのでしょうか。 
 
一生に1、2回しか申請の機会がないだろうと思われる場合は、専門家に任せた方がいいと思います。申請手続きはややこしいですし、せっかく申請のやり方を覚えても、もう使わないのでは勿体ないですからね。
 
あとは大企業だと若手社員が申請を担当するケースもありますが、社員が異動したり退職したりするとまた一からになります。そのような場面では一生委託でき、法改正にも対応していて何かあれば相談もできる行政書士にお任せいただくのが有効な選択肢だと思います。
 
自分でやった方がいいと思うのは、何回も申請の機会があると思われる場合です。たとえば包括申請では許可期間が1年間だけなので、1年後にまた申請が必要になるわけです。毎年行政書士に依頼される方もいらっしゃいますが、そういう場合はご自身でできるようになった方がいいと思っています。
 
お客様もそのように伝えていますが、実際にご自身で手続きされるのは1割くらいですね。一番確実なのは、初回だけ行政書士に依頼して申請書の控えを見て学び、2回目以降は自分で申請するというやり方だと思います。
 
――今後はどのようにドローン事業者を支えていきたいと考えますか。
 
行政書士はその名の通り、行政とお客様の間に立って手続きをスムーズに進める役割を果たします。ご依頼いただけるとお客様は申請で悩むことが減り、自分で手続きするより早く許可が下ります。
 
また航空局としてもお客様に説明する手間が省けます。みんなの時間の無駄を削減し、お客様のやりたいことを実現するためのお手伝いをしていくつもりです。
 
ドローンの申請にこれだけ力を入れている事務所は限られています。ドローン業界を盛り上げていきたいと思っていらっしゃる方は、ぜひご相談いただきたいですね。
 
個人としても、私はドローンが好きでこの仕事に携わっています。だからこそ、苦しいことがあってもがんばれるんです。ドローン業界のみなさまからさまざまなご相談やご依頼を頂いてきたことで、いまの私があります。今後もさらに研鑽し、全力でドローン業界を応援していきたいと思っています。
 

同所提供

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