ドローン許可申請の専門家集団であるバウンダリ行政書士法人では、日々変わる制度改正に対応しつつ、今必要なアドバイスとサポートを行っています。
機体登録、国家資格、飛行許可申請や事故発生時の対応など、細かいルールが制定されれば、それに対する罰則も増えていきます。ルールに違反すれば、懲役を含む刑事罰が科されることも。
今回は、ドローン申請代行では国内トップクラスの実績があるバウンダリ行政書士法人の代表を務める佐々木慎太郎氏に、ドローン購入から飛行までの手続きや注意事項についてうかがいました。
空のルールは日々変わる。ドローンを飛ばす前には最新情報をチェック!
__「ドローンには詳しくないけれど、空撮にチャレンジしたい」という方が、まず気を付けるべきポイントを教えてください。ドローンを飛ばそうと思ったら、まずは法規制を確認しましょう。現在は「空の交通ルール整備」が急ピッチで進んでおり、以前と比べて守るべきルールや行うべき申請の数、確認すべきことがかなり増えています。
情報収集の際に注意すべきことは、情報が公開された日付です。ドローンのルールは頻繁にアップデートされており、ネットの記事が必ずしも正しいとは限りません。その記事がいつ書かれたものか、最新のものかをチェックする必要があります。
弊社のサイトでは、改正やルール変更があればすぐにアップデートしていますが、そのくらいこまめに更新しているサイトばかりではありませんので、注意が必要です。
__たとえば、どのような制度やルールの変更があるのでしょうか?
直近のターニングポイントは、2022年12月に始まったドローンの国家ライセンス制度です。それから、飛行許可が必要なドローンの重さの変更と機体登録。2020年6月までは「重量200g以上のドローン」が飛行許可申請の対象となっていましたが、2022年6月20日からは「重量100g以上」が飛行許可申請の対象になりました。
※「重量」は機体本体とバッテリーの重さの合計で、取り外し可能な付属品は含まない。
__2022年6月20日から、飛行許可申請が必要になるボーダーが200gから100gになったのですね。
はい。ですから、2022年6月20日より前の情報のまま更新がされていない記事を読むと、「このドローンは200g未満だから、飛行許可申請なしでどこでも飛ばせるのかな?」のような勘違いをしかねません。
さらに言えばECサイトでは、「許可不要のドローン」のような見出しで「200g未満」の機体を販売していることもあります。正しい情報を知らないまま、ECサイトの文言を鵜呑みにして購入・飛行させてしまうと違反になるわけです。
機体登録も2022年6月20日から義務化されました。飛行許可申請と同じく、重量100g以上のドローンが機体登録をしなければいけません。
機体登録義務違反には、50万円以下の罰金もしくは1年以下の懲役が科されます。空撮やビジネスで使うドローンはほぼすべてが100g以上ですので、基本的には登録が必要と考えた方がいいでしょう。
知らないと法律違反も。撮影用ドローン購入の落とし穴
__ドローンを購入する際に気をつけるべきポイントはありますか?まずは、技適マークが機体についているかをチェックしてください。
技適マークとは、電波法令で定められた技術水準に達した無線機を証明するマークです。技適マークがついていないドローンを飛ばすと、電波法違反になってしまいます。ところが、技適マークのついていないドローンを「販売する」ことには罰則がないため、オンラインショップでは普通に売られていることもあり、やっかいです。
__何も考えずに購入すると、法を犯すリスクがあるのですね。
そうなんです。ですから、初心者の方はなるべく店舗に足を運ぶか、オンラインであっても、売り手ととコミュニケーションが取れるサイトから購入することをおすすめします。
__実際にどんなドローンがよいという目安はありますか?
それぞれのニーズによって最適な機体は変わりますが、メーカーで言えば、世界シェアナンバーワンのDJI社のドローンであれば困ることはないでしょう。DJI社のドローンは空撮用や調査用など、用途によって分かれていますので、初心者でも選びやすいはずです。
具体的な機体を挙げると、「まずは趣味で空撮をしたい」という方なら、「DJI Air 2S」はバランスがよくおすすめです。もう少し価格をおさえたければ、「DJI Mini」シリーズも良いですね。どちらも100g以上なので、機体登録は必要です。
Integrated with a 1-inch camera sensor for up to 5.4K UHD video, 12km transmission range, and intelligent shooting modes like MasterShots, DJI Air 2S is an all-in-one film crew that records your adventures with ease.
この記事をwww.dji.com で読む >ドローンはすぐに飛ばせない!知っておきたい機体登録と飛行許可申請
__実際に飛行させる際に気を付けるポイントを教えてください。前提として、「ドローンは買ってすぐには外で飛ばせない」ことを知っておきましょう。具体的には、購入してから1~2ヵ月はかかると思ってください。
まず必要になるのは、ここまででも何度か登場した「機体の登録」です。登録は国土交通省の「無人航空機登録ポータルサイト」から行いましょう。登録はオンラインで行うとスムーズです。
2022年6月20日に登録が義務化された無人航空機の登録制度に関するポータルサイトです。登録制度の概要や施行の背景などをお知らせいたします。
この記事をwww.mlit.go.jp で読む >同時に、「ドローン情報基盤システム2.0(DIPS)」のアカウントを作成し、機体の種類や製造番号などの機体の情報と、所有者および使用者情報を入力します。
その後、申請手数料を納付すると、登録記号が発行されます。登録記号はドローン本体に、明確にわかる方法で表示してください。
ここまで準備できたら、あとは飛行させる前に、国土交通省が公開している「ドローンポータルアプリ(DIPS APP)」やメーカー指定のアプリを用いて、リモートIDにリモートID情報を書き込みます。ただし、2022年6月20日より前に機体登録申請をしていたドローンは、リモートID機能の搭載は不要です。
__聞いただけで難しそうですね。
そうかもしれません。しかも、準備はこれだけでは終わりません。
上で説明した機体登録が終わったら、ここからは(必要な場合のみ)飛行許可申請を行います。現状、飛行許可申請が必要なのは、以下の10パターンです。この10パターンは「特定飛行」といいます。
飛行する空域
飛行の方法
- 夜間での飛行
- 目視外での飛行
- 人又は物件との距離(30m)を確保できない飛行
- 催し場所上空での飛行
- 危険物の輸送
- 物件の投下
参考:航空安全:無人航空機の飛行許可・承認手続 - 国土交通省
たとえば自分の家の庭で飛ばすとしても、そこが人口集中地区だった場合は、飛行許可申請が必要です。また、上記の条件をクリアしていたとしても、土地の所有者や地域の条例でドローンの飛行が禁じられている場合もありますから、注意が必要です。
__国土交通省の許可があることが、必ずしも免罪符にならないということですね。たしかに、専門家でなければ知らずに違法行為になってしまうことも多そうですね。
はい。加えて、業務で「包括申請」をする方だとさらにややこしくなります。
包括申請とは、一度申請をすれば、最長1年間同じ条件で繰り返しドローンを飛ばせる申請方法です。この申請には飛行マニュアルが必要なのですが、多くの人は、国土交通省が提供する「国土交通省航空局標準マニュアル」をそのまま使用します。
しかし、このマニュアルはあくまでも最低限の安全基準を満たしているものですから、実際に使用する機体のスペックや業務内容を加味すると、必要以上にきびしい規定になっていることも多いんです。たとえば風速にしても、機体によっては風速10m程度まで飛行可能なのに、航空局標準マニュアルでは「5m」となっているため、5mを超える日は飛ばせないといったことですね。
このズレを知らないまま風速5m以上の日に飛行させてしまうと、「適切な許可を取ったつもりだったのに、実際にはマニュアルに違反してしまった」という事態に陥りかねません。
ここでは風速を例に挙げましたが、同じようなポイントは数多くあります。ルールや手続きの煩雑さに、一般の方はもちろん、行政書士からも「あまりに大変なので、顧客の申請をお願いしたい」と相談されることもあるほどです。
刻々と変わるドローン関係法、専門家を頼るのがベスト
__その他にも、わかりにくいルールはあるのでしょうか?はい、たとえば、特定飛行を行う前には、飛行日、経路などの飛行計画を国土交通省に通報しなければなりません。これに違反した場合には、30万円以下の罰金に処せられる可能性があります。
また、飛行後は飛行日誌を作成しなければなりません。ただ、これについては民間の会社が日誌の作成が楽になるアプリケーションを開発していますので、このアプリを活用することで、少し楽になるでしょう。
__非常に細かいルールがあり、しかも刻々と関連法案が変わっているんですね。
その通りです。ドローンを購入するのは簡単ですが、制度が分かりにくい部分も多々ありますので、これからドローンを飛ばそうと考えている初心者の方ほど、常に最新の情報を入手している我々のような専門家を頼っていただきたいです。
各種の制度を知らずにトラブルに巻き込まれた場合、適切な飛行がなされていなかったことを理由に保険が下りなかったり、警察に捕まって書類送検されてしまったりすることも十分にあり得ます。
2022年12月に公表された国土交通省の「無人航空機の飛行の安全に関する教則」には、多くの罰則が示されています。
※航空法令の罰則の一例
- 機体登録をせずに飛行させたときには1年以下の懲役または50万円以下の罰金
- アルコール又は薬物の影響下で飛行させたときは1年以下の懲役または30万円以下の罰金
- 飛行計画を通報せずに特定飛行をおこなったときや事故が発生した時に報告せず、又は虚偽の報告をしたときには30万円以下の罰金
このように、懲役を含む罰則があることも、忘れずに確認しておいていただきたいですね。
繰り返しになりますが、ドローンに関して少しでも不明な点があれば、専門家に相談するのがおすすめです。私どもの事務所では、ドローンを飛ばすまで全ての手続きを5万円程度でサポートしております。また、「相談しながら自分で申請をやってみたい」というに方は、月に1万円程度で利用できるチャット/電話相談サービスも提供しています。
ドローン業界は過渡期で、法令も制度も刻々と変わっています。ネット記事や昔の知識を鵜呑みにせず、専門家の知識とサポートを信頼していただくことが、ドローン飛行に関するトラブルを避ける最大の近道なのです。
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