(取材)楽天ドローン株式会社 代表取締役 青木達也|プロパイロット育成→仕事マッチングの一気通貫をねらう

(取材)楽天ドローン株式会社 代表取締役 青木達也|プロパイロット育成→仕事マッチングの一気通貫をねらう
ドローン黎明期の2016年からパイロット養成スクール運営事業を行い、業界のリーディングカンパニーとして存在感を示したスカイエステート株式会社。2022年4月、同社は楽天グループの傘下に入り、2023年1月に「楽天ドローン株式会社」に社名変更し、『空の産業革命』を進めていくこととなりました。

2022年12月にはドローンパイロットが国家資格化され、点検、配送、調査等にドローンの活用が期待される現在、ドローンパイロットの需要はますます高まっていくことが見込まれます。

この記事では2016年からドローンの可能性に気づき、業界の発展とパイロット養成を担ってきた楽天ドローン株式会社(旧スカイエステート株式会社)代表取締役の青木達也氏に、楽天ドローンアカデミーの強みと、今後のドローン業界の発展についてうかがいました。

Rakuten  

楽天が運営するドローンスクール | 楽天ドローンアカデミー

楽天ドローンアカデミーは、国土交通省登録講習管理団体としてドローン操縦士の育成・資格取得の支援を行っています。東京校とみなかみ校の両校を展開し、国家資格対応コースから専門コースを用意しています。無料の説明会を開催しています。

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2017年ドローン黎明期、運送会社倉庫の片隅からスタート

__青木さんは2017年からスカイエステート株式会社の代表としてドローンスクール運営をされていますが、当時はどのような課題があったのでしょうか?

当時はドローン業界自体が黎明期でしたので、とにかくドローンスクールという業態をしっかりと定着させていくことが我々の課題でした。当時ドローンスクールは全国で40~50校、運営を行う会社は建設業の方が多かったと記憶しています。我々自身、最初は宅配業者の倉庫の一角を借りてスクール運営をスタートしました。

__当時はどのようなことに注力し、また実績を出してこられたのでしょうか?

当時我々が注目していた事業の一つに、ドローンを使った建物点検がありました。我々はこの事業を最優先に据え、6年間でドローンによる建物点検を500棟以上実施。建物の種類も、3階建てのアパートから30階を超えるいわゆるタワーマンションまでさまざまな物件を扱ってきました。


ひとくちに建物点検といっても、ただドローンを飛ばして撮影すればよいわけではありません。壁面と一定の距離を保ちながら安定的にドローンを飛ばすのは最低条件で、パイロットには外壁基礎知識や建物の構造的な知識も必要とされます。こうした実態を踏まえ、スカイエステートのドローンスクールでは、ドローン操作だけでなく専門知識も備えた優秀なパイロットを育成してきたんです。

6年間のノウハウを武器に、楽天とタッグ。多事業展開へ

__その後、2022年に楽天グループにジョインされています。タッグを組んだ背景には、どのような目的があったのでしょうか?

楽天グループは国内最大手のECサイトを運営しており、早期からドローンによる無人配送サービスの実証実験を重ねていました。また、楽天モバイルの携帯電話無線基地局を開設する工程の一つである現地調査や開設後に行う検査、楽天損害保険の建物屋根部の高所損害調査など、楽天グループ内にもドローンパイロットの需要を抱えています。スカイエステートのスクールビジネスと非常に親和性が高く、相互作用が期待できるのではと思い、ご一緒させていただきました。

いま、国家資格をもつ優れたドローンパイロットの需要は高まっています。我々のスクールと建物点検の実績、それと楽天グループのマッチングプラットフォーム「楽天ドローンゲートウェイ」、この3つのサービスをうまくリンクさせていけば、ドローンビジネスに大きなインパクトを与えられるはずです。

点検、調査、空撮にも。「国家ライセンス化」で膨らむドローンパイロット需要

__昨今のドローンパイロット需要の高まりと今後への期待について、どのように考えていらっしゃいますか?

ご存じのとおり、2022年12月にはドローンパイロットが国家資格になりました。国としては、今後専門的で優秀なパイロットを増やしていく方針でしょう。これにより、河川やダム、公園の巡視・点検などにもドローンの活用が期待されています。

点検業務だけでなく、警備業や建設業、配送業などについても、人からドローンへという大きな流れが進んでいくことは避けられません。優秀なドローンパイロットへの需要は、今後ますます高まっていくでしょう。

「スクール→マッチング→仕事獲得」のエコシステムが楽天ドローンアカデミーの強み

__楽天ドローンアカデミーでは、具体的にどのようなことが学べるのでしょうか。

当スクールでは、目的やレベルに合わせてさまざまなコースを準備しております。

そのうち、国家資格を取得したい方には、

  • 国家資格準備コース
  • 一等無人航空機操縦士 初学者コース
  • 一等無人航空機操縦士 経験者コース
  • 二等無人航空機操縦士 初学者コース
  • 二等無人航空機操縦士 経験者コース

の5つがあり、「一等無人航空機操縦士 初学者コース」と「一等無人航空機操縦士 経験者コース」、「二等無人航空機操縦士 初学者コース」と「二等無人航空機操縦士 経験者コース」は修了することで、それぞれ一等・二等の国家試験での実地試験が免除されます。
完全初学者なら初学者コース、すでに民間資格をお持ちの方や、操縦実績が10時間以上ある方であれば、経験者コースをおすすめします。国家資格準備コースは、一等や二等の国家資格取得に向けた準備をしたい方にオススメのコースです。

国家資格を取得してさらに専門的なスキルを身につけたい方には、外壁調査基礎コース屋根点検コースなどをご用意しています。


Rakuten  

楽天が運営するドローンスクール | 楽天ドローンアカデミー

楽天ドローンアカデミーは、国土交通省登録講習管理団体としてドローン操縦士の育成・資格取得の支援を行っています。東京校とみなかみ校の両校を展開し、国家資格対応コースから専門コースを用意しています。無料の説明会を開催しています。

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__国家資格を取得するコースでは、どのようなことを学べますか?

まずはドローンの飛ばし方について学びます。初心者の方がドローンを飛ばすとき、最初に戸惑うのは「ドローンには『前』(ドローンにとっての方向)が決まっている」ことです。つまり、ドローンが自分に向かっているときに「前に進め」と舵を切ると、自分にとっての前方(手前から奥へ)ではなく、自分に向かって飛んできてしまうんです。

この動きは直感に反するため、多くの方が戸惑われます。ですから、まずはドローンを思い描いた方向に飛ばすことに慣れていただくため、「四角移動」の練習をします。そのあとは「円移動」、そして高いところから斜め下に正確に着地させる練習など、基本的な操縦をしっかり学んでいただきます。


__運転に失敗して、墜落させたりしませんか?

受講中は常に弊社のインストラクターが隣についておりますので、心配無用です。受講生とインストラクターのコントローラーは有線で繋がっており、万が一の際にはインストラクターがフォローに入ります。ですから、初めて飛ばす方でも安心して操縦を学んでいただけます。

弊社のインストラクターは、十分に経験を積んだ者ばかりです。ビジネスなど専門領域でのドローン活用をされる方向けのコースに進めば、業務幅がより広がります。優秀で経験のあるインストラクターが「パイロットの第二の目」となり、しっかり補助しますので、ご安心ください。


__御社のスクールに入学する生徒さんは、どういった目的で入学される方が多いのでしょうか。

生徒さまは、年齢層も職業もバラバラです。個人の方もいれば、法人で入学される方もいらっしゃいます。

たとえば、今後はドローンパイロットをやっていきたいという個人事業主の方、セカンドキャリアとして定年退職後に活躍したい方、また学生のうちから資格を取って、就職に役立てたいと入学される方もいます。みなさん、今後のドローン市場を見据えているのでしょう。

__御社のドローンスクールの特長、強みを教えてください。

まず、受講生は、弊社のドローン練習コートを卒業後もお使いいただけます。東京都内ではなかなかドローンの練習場所確保が難しいので、これは大きなメリットです。

東京校の練習コート


また、卒業後に「楽天ドローンゲートウェイ」という弊社のマッチングプラットフォームにパイロットとしてご登録いただければ、ドローンを仕事にできる可能性が広がります。実際に仕事を受注している卒業生もいらっしゃり、今後も繋がりは強化していくつもりです。



スクール運営をしていくうえで、国家資格を得た後、仕事にどう繋げるのかは大きな課題です。私たち楽天グループの強みはそこにあります。弊社にはいくつものグループ会社があり、運送、点検、調査にそれぞれドローンパイロットの需要を抱えているため、お仕事を作り出せる土壌があるのです。

弊社のスクールの受講生がプロのドローンパイロットになり、プラットフォームを通して仕事を得ていく。このサイクルをしっかり回していくことこそ、一番の強みになると考えています。

ドローン業界のプラットフォームを目指して

__今後ますます需要が高まるドローンパイロットの養成者として、どのように存在感を示していきたいとお考えでしょうか。

我々には、「ドローン業界のプラットフォーム」になりたいという思いがあります。ただしこれは、ドローン市場を独占するという意味ではありません。国の方針からしても、また今後の人口減少を考えても、ドローンはさらに身近な存在になっていくでしょうし、我々がその需要に全て対応できるとも考えていません。ですから、今はドローン市場を盛り上げる仲間を増やし、業界全体を底上げしていくことが重要だと考えています。

世の中に優秀なパイロットを増やさなければ、事故が発生するなどして、人々のドローンに対する信頼も崩れていくことでしょう。そうなれば法規制も厳しくなり、「空の産業革命」が志半ばで途絶えてしまうかもしれません。確かな技術と知識をもった仲間を増やしていくことこそが、最終的には我々の利益にも繋がるはず。そのような考えのもと、業界を盛り上げていくのが私たちのねらいです。

__最後に、ドローンに興味はあるけれど一歩踏み出せない、という方に対して、メッセージをお願いします。

直接的なビジネスの話ではありませんが、個人的に、ドローンには人を笑顔にするロマンが詰まっていると感じています。初めこそドローンに懐疑的な方でも、現場に来てドローンが飛んでいるのを見ると、不思議と笑顔になられることが多いんですよ。

いつの時代でも、何かが「空を飛ぶ」ことに夢を感じる人は多いものです。もし少しでも興味をお持ちなら、ぜひ一歩踏み出してください。我々は、みなさんがドローンパイロットとして人を笑顔にしながら活躍できる未来を応援していきます。

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