ドローン導入に利用できる補助金・助成金!申請時の注意点も

メーカーにもよりますが、産業用ドローンの購入費は100~300万円が相場といわれます。導入後も定期的なメンテナンスや点検が必須となる上、トラブルがあれば修理も必要です。ドローンの導入により業務効率が上がる・事業拡大につながると分かっていても、二の足を踏む事業主は少なくありません。

金銭的な不安からドローンの導入を見送っている事業主は、補助金や助成金の利用を検討しましょう。国はドローンの産業利用を強く推進しており、ドローン導入に使える補助金がさまざまあります。本記事では、ドローン導入に使える補助金の詳細や要件を詳しくご紹介します

なお紹介している補助金・助成金の中には、本年度分が終了しているものもあります。詳細や期限については、必ず公式ページで確認してください。

ドローン導入で使える補助金・助成金|個人でも利用可能?

ドローンの導入が業務効率向上や新サービスの提供につながる場合、利用できる補助金・助成金はさまざまあります。

主に中小企業を対象とした補助金・助成金を見ていきましょう。

ものづくり補助金(ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金)

ものづくり補助金は、企業の新製品の開発や業務プロセスの改善などを補助するために設定された補助金です。「生産性向上を目指す企業」なら、業種を問わず利用できます。

ものづくり補助金の魅力は、募集期間の制限がないことです。事業主は申請を焦る必要がなく、自分のペースで準備を進められます。補助金の上限額は申請する「枠」の種類で異なるため、自社に合うものを選んでください。
対象 ⾰新的製品・サービスの開発または⽣産プロセス等の改善に努める企業
最大補助金額 750~1,250万円(通常枠:従業員規模によって異なる)
補助率 1/2

働き方改革推進支援助成金(労働時間短縮・年休促進支援コース)

「働き方改革推進支援助成金」は、働き方を改善し、従業員の労働環境改善を図る企業が利用できる助成金です。ドローンの導入が生産性の向上・労働時間の短縮・業務工程の簡略化などにつながると考えられるなら、申請を検討しましょう。

助成金の対象は中小企業で、業種や職種の制限はありません。ただし受給のためには、時間外労働の削減や年次有給休暇・特別休暇の促進につながる「成果目標」の設定が必須です。
対象 中小企業
最大助成金額 成果目標達成状況による
助成率 原則3/4

事業再構築補助金

「事業再構築補助金」は、事業や業種の転換、新市場への展開などを目指す中小企業を対象とした補助金です。「ドローンを活用し、全く新しいサービスの提供をしたい」などのニーズにマッチします。

補助を受けるにあたっては「事業計画について認定経営革新等支援機関や金融機関の確認を受けること」「補助事業終了後3~5年で付加価値額の年率平均3~5%(申請枠により異なる)以上増加すること」などが必須条件です。
対象 中小企業
最大補助金額 100~7,000万円(成長枠・産業構造転換枠)
補助率(中小企業者等) 1/2(成長枠)、3/2(産業構造転換枠)

IT導入補助金    

「IT導入補助金」は、ITツールの導入で業務効率アップを図りたい、中小規模事業者を対象とした補助金です。ドローンの導入が業務効率の向上につながると考えられる場合、補助金を申請できます。

注意したいのは、登録済みのIT導入支援事業者ITツールを利用する場合しか申請できない点です。導入したいドローンがある場合、認可されているかどうかの確認が必須となります。

IT導入支援事業者・ITツールの検索は、「IT導入支援事業者・ITツール検索 | IT導入補助金」から可能です。2023年6月時点では、測量支援ツールとしてのドローンなら認定されているものがあります。
対象 中小企業
最大補助金額 450万円
補助率 1/2(通常枠)

強い農業づくり総合支援交付金(農業支援サービス事業支援タイプ)

「強い農業づくり総合支援交付金」は、農業支援サービスに新規参入する事業主を対象とする補助金です。「ドローンによる農薬散布代行サービスを行う」などのケースで申請できます。

補助金の対象となるのは、事業を始めるにあたり必要となる農業用ドローンの取得・リースなどの費用です。受給では「農業支援サービス事業を新たに実施すること」「事務手続きを適切に行う体制が整っていること」が要件として定められています。

なお令和5年度の申請はすでに終了しました。
対象 農業支援サービスに新規参入する事業者
最大補助金額 1,500万円
補助率 1/2

小規模事業者持続化補助金

小規模事業者持続化補助金は、生産性の向上や新たな販路開拓に取り組む、小規模事業者を対象とした補助金です。補助金を受けた事業者は、商工会・商工会議所の支援を受けながら、自らが策定した経営計画に従って事業を展開していくこととなります。

ドローンの導入が業務効率アップ・販路拡大につながると見込まれる場合、申請を検討しましょう。
なお「小規模事業者」とは、常時使用する従業員数が20人以下の事業者です。(※)

(※)宿泊業・娯楽業をのぞく商業・サービス業は5人以下
対象 小規模事業者
最大補助金額 50~200万円(適格請求書発行事業者に転換する場合はプラス50万円)
補助率 2/3

人材開発支援助成金(人材育成支援コース)

人材開発支援助成金は、事業者が従業員に職業訓練などを行った場合、費用の一部を補償する助成金です。ドローン関連では、免許取得のためのスクール費用・講座費用に利用できます。

人材開発支援助成金にはさまざまなコースがありますが、ドローンスクールが適用できるのは「人材育成支援コース」です。もともとは「一般訓練コース」「特定訓練コース」と分かれていましたが、令和5年度より統合されました。
対象労働者 15歳以上45歳未満
経費助成率 45%:雇用保険被保険者(有期契約労働者等を除く。)
賃金助成 760円(1人1時間あたり)

ドローン導入の補助金・助成金を利用する上での注意点    

補助金や助成金を受けられれば、ドローン導入のハードルは下がります。ただし補助金や助成金の内容・決まりを理解しておかないと、後でトラブルになるかもしれません。

ドローンの導入で補助金や助成金を利用するとき、気を付けたいポイントを紹介します。

補助金の支給までには時間がかかる

補助金や助成金が支給されるのは、「導入にかかる費用が決定した後」です。交付決定が下りたとしても、ドローンの導入は自費で行わなければなりません。ドローン導入の補助金・助成金を申請は、ある程度の資金を蓄えた上で実施しましょう

資金の準備が難しい場合は、補助金が交付されるまでつなぎ融資を受けるのも一つの方法です。

事務処理を徹底する    

補助金や助成金の受給要件には、計画書や報告書・支払証憑類などの提出が含まれるのが一般的です。対象期間中の事務処理・会計処理は、規定どおり適切に行いましょう。要件を満たしていないと見なされた場合、補助金や助成金が支給されない可能性があります

事業期間外の支出は対象外

補助金・助成金では、対象期間が厳密に決まっています。対象期間外の出費は補助金・助成金の対象とはなりません。

一般に、補助金・助成金の対象となるのは交付決定通知が発行された後です。ドローンの購入や関連費用の支払いは、対象期間内に行いましょう。

ドローン補助金まとめ    

ドローンの導入で利用できる補助金・助成金には「ものづくり補助金」「働き方改革推進支援助成金」「IT導入補助金」などがあります。ドローンの操縦者を増やしたい企業には「人材開発支援助成金」も用意されており、ドローン導入のハードルは下がっているといえます。

ただし支給対象や要件は補助金・助成金によって異なる上、金額・補助率はさまざまです。自社の導入条件・事情にマッチする補助金・助成金を見極め、申請すべきかどうか判断してください

補助金・助成金によっては申請できる期間が短いものもあります。受給を希望する場合は、早めに申請準備に取り掛かることが大切です。
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  • 質問 ドローン国家資格を取得するために必要な期間はどのくらいですか?

    答え 国家資格を取得するために必要な期間は、経験者か初学者かどうかによって、またスクールによっても大幅に異なります。一般的には、2等経験者で最低1日、初学者で2日間の講習が必要ですが、これはあくまでも最低限の期間であり、合格に必要な期間には個人差があります。 また、実技試験を受けるにはある程度の飛行時間が必要です。スクールによっては初心者向けのコースから上級者向けのコースまで複数のコースを用意しており、それぞれ取得できる資格や内容、料金などが異なります。その為自分に合ったコースを選ぶことが重要です。
    さらに、国家資格を取得するためには、コース受講だけでなく、独学や実地訓練などの自己学習も必要です。関連書籍の購入や国土交通省の「教則」等の公式機関の情報を念入りに確認する必要があります。
    合格までの期間は個人の学習スタイルやスケジュールによって異なりますが、適切な学習方法を選び、努力を重ねることが必要です。

  • 質問 ドローン国家資格を取得した後にできることは何ですか?

    答え 国家資格を取得することによって、無人航空機(ドローン)を飛行する際の国土交通省への申請手続きが一部省略されます。一等では有人地帯(都内等の人口集中地区)での飛行、二等では無人地帯での飛行において省略されます。
    ※国家資格を取得されていなくても、国交省への申請手続きを行なえば無人地帯での飛行は可能です。
    また、国家資格を取得することで様々な業界でドローンを活用したビジネスが展開されています。例えば、測量や農業、建設、災害救助など、多岐にわたる分野でドローンを活用することができます。また、メディア業界でも、ドローンを利用した映像制作や撮影など新しい表現方法が模索されています。国家資格を取得することで、これらの分野で活躍することができ、自分の能力をさらに高めることができます。

  • 質問 ドローン国家資格を取得した後、資格更新の必要がありますか?

    答え ドローンの国家資格(無人航空機操縦士の技能証明)については、一等、二等ともに3年が有効期限となります。
    資格を更新する際は、「登録講習期間」が実施する「無人航空機更新講習」を、更新申請をする日より3ヶ月以上前に修了したうえで、有効期間が満了する日より6ヶ月以上前に国土交通省大臣に対し技能証明の更新をしなければなりません。
    また、資格とは別途で使用する機体の認証手続きも必要です。
    機体認証の有効期限は等級ごとに異なり、第一種機体認証については1年、第二種機体認証については3年となります。詳しくは、国土交通省HPに掲載の「無人航空機の飛行の安全に関する教則」をご確認ください。

  • 質問 ドローン国家資格の取得にはどのような試験がありますか?

    答え 国家資格の取得には、学科試験と実地試験の2つの試験があります。学科試験では、知識や法規に関する問題が出題されます。例えば、空域規制や航空法、安全運航管理などについての問題が出題されます。それぞれの問題について、事前にしっかりと勉強しておくことが必要です。
    実地試験では、実際にドローンを操縦して技能を評価されます。
    実地試験は、空撮技術や安全性の確保、風向きや風速などの気象条件の確認、機体の操作方法やトラブル時の対応方法などを評価されます。また、ドローンを操縦するための正確な手順についても評価されます。実技試験では、高度な技能が必要となるため、十分に訓練を積む必要があります。特に一等の実地試験はATTIモードでの操縦(GPSを切り、風に流されやすい状態)となりますので、非常に操作が難しくなります。
    合格するためには、操縦技術だけでなく、法令や安全対策についての知識も重要です。また、ドローンを操縦する上でのリスクマネジメントについても学ぶ必要があります。

  • 質問 ドローン国家資格の取得に必要な条件は何ですか?

    答え 国家資格を取得するためには、16歳以上であることと身体検査での規定を満たしていることが条件となります。(視力、色覚、聴力、運動能力等)
    しかしながら、これらの条件はあくまで必要条件です。実際には、各スクールや認定校によって異なる条件が設けられている場合もあります。例えば、資格取得前に研修期間がある場合や、実務経験が必要な場合もあります。
    国家資格取得に必要な条件を満たすことができない場合でも、諦める必要はありません。支援や相談に応じてくれるスクールもあります。また、資格取得に向けた勉強方法や、試験対策についての情報も豊富にあります。資格取得のためには、長期的な視野で取り組むことが大切です。