そんな同校では、JUIDAの民間ライセンスの他、二等の国家ライセンス講習も2023年8月から受付を開始。他にも、飛行技術や空撮技術など、自分の希望に合わせて学べる技量アップコースもあり、資格取得からスキル向上までしっかりとサポートしてくれます。
この記事では、双葉電子工業株式会社システムソリューション事業センター ロボティクス開発部長の植村 千尋さん、ロボティクス開発部 UAV課 UAV一係で、Futabaドローンスクールの講師(JUIDA特別講師)も務める矢口 康平さんに、スクール設立の経緯や強みについてお話をうかがいました。
Futabaドローンスクールについての基本情報(料金、コース、資格)
スクール名 | Futabaドローンスクール | |
取得可能な資格 |
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開講中のコース |
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初期費用 (入会金やドローンの購入費用等) |
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受講料 | 総合取得コース | 275,000円(税込) |
操縦技能証明コース |
220,000円(税込) | |
安全運航管理者コース |
55,000円(税込) | |
技量アップコース |
55,000円(税込) | |
自主訓練コース |
3,300円(税込) | |
二等無人航空機操縦士 経験者コース |
(基本)157,300円(税込) * その他限定変更等オプションあり
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二等無人航空機操縦士 初学者コース |
(基本)356,400円(税込) * 学科免除の場合は277,750円
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一等無人航空機操縦士 経験者コース | (基本)381,150円(税込) * 学科免除の場合は275,000円
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運営会社 | 双葉電子工業株式会社 |
「ラジコンの双葉」が運営!民間/国家資格取得からスキル向上まで目指せるスクール
ーまずはFutabaドローンスクールについて、教えてください。
植村さん:
当校は2016年に開校した、JUIDAの第一期のドローンスクールです。運営するのは、双葉電子工業株式会社。「ラジコンの双葉」とも呼ばれ、60年以上に渡ってホビーラジコンの製品を開発し、世界中にご利用いただいてきました。弊社の本拠地・千葉県茂原市に隣接する千葉県長生郡長生村にあるドローン関連の製品開発工場敷地内にスクールがあります。
ー御社がドローンスクールを設立した経緯を伺えますか。
植村さん:
スクールを設立したのは、「フライヤーの人数を増やしたい」という思いがあったからです。
当時はまだドローン開発前。弊社のホビーラジコンをドローンとして産業用途に利用するケースがあることを把握していました。そんな中、あるお客様から「ドローンの機体を開発してほしい」とご相談を受けて、本格的に機体開発をスタートさせることとなりました。
そして、ドローンの開発に取り組むにあたって、市場拡大に一番必要となるのは、ドローンを飛ばせる人材を増やすことだという考えに行き着いたのです。ちょうどそのタイミングでJUIDAでスクール募集をしていたので、そこに連動する形で当校を開校しました。
ー御校で展開されているコースの数と、学べる内容を詳しく教えていただけますか。
植村さん:
総合取得コース、操縦技能証明コース、安全運航管理者コースは、JUIDAの操縦技能証明と安全運航管理者の資格を取得できるコースとなっています。
技量アップコースと自主訓練コースは、資格を取得するため、あるいは取得した後にさらなるスキルアップを目指すために受けるコースです。また、自主訓練コースでは練習場所の貸出も行なっています。
矢口さん:
技量アップコースには、「練習方法を教えてほしい」と来られる方が多いです。というのも、資格を取得しただけでは、練習方法もわかりませんし、練習場所を見つけるのも難しいんですよ。
また、当校には点検や測量を含む空撮業務をされる方が多くいらっしゃるのですが、そのやり方を教わりたいという方もいます。カメラの設定や撮影方法がわからないという相談がきますので、そちらのレクチャーをさせていただくこともあります。
植村さん:
そうですね。どうしても資格取得のコースは「試験に受かるため」の練習で、実務の飛行とはまったく異なるものです。
「現場で何ができれば良いか」はわかっていても、それができるようになる方法やノウハウは、教本にはあまり載っていません。その点、当校では経験・実績豊富な講師陣がそろっているため、しっかりとお教えできます。
ー2023年8月からは、二等国家ライセンス講習の応募も開始されたそうですね。
植村さん:
はい。初学者・経験者ともに応募の受付を開始致しました。ただ、JUIDAの資格をすでに取得されている方も非常に多いので、初年度〜2年目ぐらいまでは、おそらく経験者として来られる方が圧倒的に多くなるのではと予測しています。
なお、一等の国家ライセンスの経験者講習についても、今後開講予定です。
矢口さん:
国家ライセンスは合否が明確で、試験の段階で「どの内容が◯点」と厳密に出てくるんですよ。我々としても、「どのポイントをどう練習すべきか」ということを、詳細にお伝えできます。
もちろん合格していただくことが目標ではありますが、仮に不合格であったとしても、再チャレンジすべきポイントが明確となるのは大きなメリットかと。もちろん、そこを追加で練習することも可能ですので、ぜひ当校でチャレンジいただけたらと思います。
ー受講生は、どのような方が多いですか。
植村さん:
業務でのドローン操縦を目的に来られる方がほとんどです。中でも点検を含む撮影・空撮業務を目的とする方が多く、全体の半数以上〜6割ほど。個人の方もいますが、会社からの業務命令だったり、企業から数名単位でお申込みだったりというケースも多いです。
年齢層としては、社会人のミドル層で、30代以上から40代がメイン。次いでそれより上の方が多く、20代以下の方はかなり少ないです。業務利用をするにあたって、中堅ぐらいのポジションにおられる方が来る印象です。
経験者・初心者でいくと、どちらかといえば経験者の方が多く来られますが、まったくの初心者の方も、もちろんいらっしゃいます。
矢口さん:
男女比でいくと、中には女性の受講生の方もいらっしゃいますが、男性が多いですね。若い方、ご年配の方関係なしに、女性は少なめの傾向です。
一番のこだわりは安全。目的・技量に合わせて現役プロパイロット講師が指導
ー指導にあたっては、どのようなことにこだわられていますか。
矢口さん:
一番のこだわりは、安全です。安心・安全に飛ばせるようになるため、そこは徹底的にこだわって教えています。
我々講師陣はフライヤーとして現場経験に長けていますが、大事なのは、腕よりも危険回避です。「何かあったときに、どうするか」「こんなときは、どうする」というように、過去の事例やそこで得た教訓をお話するようにしています。
例えばバッテリーが不十分で離陸してミッションが遂行できなかった場合、バッテリーを充電し忘れた人ではなく、飛ばす人が責任を負うべきです。また、制限以上の風速にも関わらず、上司が来たから飛ばしてしまった、というのも通用しません。そのあたりを自覚していただくことが大切だと考えています。
可能な限り事故が起こらないように、我々も大変こだわっています。
ードローンを飛ばす上で一番重要な安全を学べるんですね。他にも、御校ならではの魅力をうかがえますか。
矢口さん:
固定翼、回転翼、マルチコプターの、いわゆるドローンと呼ばれるものを、すべてフライトさせられます。
マルチコプターはセンサーも入っていますし、「誰でも簡単に飛ばせるんじゃないか」と思われがちです。ですが、実際に飛行訓練をしてみると「こんなに難しいんですね」とご理解いただくことも多いんですよ。
状況に合わせた指の動かし方や操縦方法もお教えできます。これは、経験豊富な当校ならではの魅力だと思います。
ー飛行経験・実績ともに豊富な講師がそろう御校では、例えば点検や測量など、目的に合わせた飛ばし方についても教えていただけるのでしょうか。
矢口さん:
もちろんです。まずは来られた受講生の方に、どういった業務内容なのかをヒアリングします。その内容をもとに、空撮や測量、農薬散布など、一人ひとりの業務に合わせた飛ばし方をお教えしています。
植村さん:
そうですね。先日、他の講師も「受講生一人ひとり、皆さんやりたいことも違えば、技量もそれぞれ違う。そもそものドローンの技量や、やりたい作業自体の技量も異なるため、受講生のスキルを引き出した上で、そこに応じたカリキュラムや内容を提供できるのが、当校の魅力」と話していました。それができるのも、やはり多数の経験を積んできている人材がそろっているからこそです。
あとは、広い土地で練習できるのも当校の強みです。長生工場の敷地はとても広く、飛ばす場所を常設で確保できています。東京都心からでも特急を使えば1時間ほどと、利便性も兼ね備えています。
十分な広さが確保された屋外試験場
ー卒業後のサポートについてはいかがでしょう?
矢口さん:
お問い合わせいただいた方に、アドバイスを提供しています。
ドローン業務に携わっておられる方からご連絡をいただくことも多く、そのときは「こんなふうに飛ばしてみてはいかがでしょうか」とアドバイスをすることもありますし、機体やカメラのセッティング方法について相談に乗ることもあります。
企業と提携して災害支援にも取り組む。業務に直結するカリキュラム作成も検討中
ードローンを活用した災害支援もされていると拝見しましたが、これも御校で力を入れている取り組みの一つですか。
植村さん:
はい。スクールではありませんが、弊社のドローン事業で地域と防災協定を結び、災害支援を行っています。
例えば令和3年7月に起こった熱海の土石流災害時には、自衛隊からJUIDAに協力要請が入り、そこから弊社に声がかかり出動しました。社会貢献活動の一環として、そういったお話を受けましたら、最大限協力させていただく姿勢でおります。
なお、このときは弊社が開発したドローンを運用しました。2022年11月には、栃木県小山市消防本部に、消防活動用のドローンを導入いただきました。そのおかげもあって、消防業界からの引き合いも来ています。
栃木県小山市消防本部が「災害対応アナウンサードローン」を導入
当社とクラウド・ネイティブソリューションおよびドローンソリューション事業を手掛けるクオリティソフト株式会社(本社:和歌山県西牟婁郡白浜町、代表取締役CEO:浦 聖治)は、災害発生時の広域アナウンスや避難誘導の際に有用な「災害対応アナウンサードローン」を、小山市消防本部(所在地:栃木県小山市)に導入いただいたことを発表いたします。 ...
この記事をskybuddy.futaba.co.jp で読む >あとは、携帯電話の基地局をドローンに積んで飛ばす、「ドローン無線中継システム」を、ソフトバンクと共同開発しているところです。携帯電話の電波から遭難者を探し出せる仕組みとなっていて、災害現場で大きく役立てられると思っています。
携帯ドローンは、各所よりご依頼をいただいて、現地に行くことも多いんです。直近では、2023年2月、北海道の倶知安町にて消防向けにデモフライトを行うリハーサルをしていたところ、本当に近所で遭難者が発生しました。急遽現地の警察と消防から協力要請をいただき、とっさの判断で現地でレスキュー活動に参加することとなりました。
ソフトバンク、雪山でドローン実証 遭難者捜索に活用 - 日本経済新聞
ソフトバンクは16日、羊蹄山ろく消防組合と共同で、北海道ニセコ町の山中でドローンを使って遭難者や捜索者の位置情報を特定する訓練を実施した。電波の届かないエリアでもドローンに中継器を搭載して飛ばすことで位置情報を遠隔地に伝達できた。Wi-Fiを使えば同社以外の携帯キャリアでも位置を把握できる仕組みだ。居場所特定には、事前に携帯電話に専用アプリケーションをインストールする必要がある。訓練では全地球
この記事をwww.nikkei.com で読む >このような現場は日本中にありますので、今後機体の配備が進むにつれて、協力させていただく機会も増えるのではと思っております。
ースクールの今後の展望について、お考えになられていることはありますか。
植村さん:
やはり国家資格ができたというのが、一番大きなターニングポイントかと思います。今後ドローンの活用が進むことは間違いありませんし、それに伴ってフライヤーのニーズが高まることは明らかです。我々のようなスクールの必要性も、どんどん上がっていくと考えております。
また、まだ構想段階ではありますが、民間資格、国家資格に加えて、例えば点検業務でも壁面や橋梁、ソーラーパネル……というように、各業務に特化したカリキュラムを増やしていくことも検討しています。機体の開発から販売を通じて、お客様と手を取りながら、より社会や人のためになるカリキュラムづくりに取り組んでいきたいです。
優秀なパイロットがそろうFutabaドローンスクール。ぜひ気軽にお問い合わせを!
ー最後に、読者の方に向けてメッセージをお願いいたします。
植村さん:
スクールそのものがどういうものか、国家資格を取得すると何ができるのか、という情報が世の中に不足していると思っています。そういった情報をお伝えできるイベントの開催予定を、今後公式Webサイトや公式SNSなどを通じて発信していく予定です。ぜひそちらをご覧いただき、いつでもお気軽にご連絡ください。
双葉電子工業株式会社【公式】X:https://x.com/futaba6986/status/1694530130469871691?s=20
双葉電子工業公式Youtube:https://www.youtube.com/watch?v=wmxpLaKgPzs
矢口さん:
当校には、本当に経験豊富で、優秀なパイロットがそろっています。その話を聞くことは、なかなかできませんし、今後フライヤーを目指す方にとって絶好のチャンスになると思います。
体験も受け付けておりますので、ぜひ当校にお問い合わせください!