(取材)ドロカツ全国大会|ドローンプログラミングを通じて未来のイノベーターを照らす

ドロカツ全国大会|ドローンプログラミングを通じて未来のイノベーターを照らす
子どもたちがドローンの操縦やプログラミングのスキルを競う「ドロカツ(ドローンプログラミングトーナメント)」全国大会が、2024年3月17日に日本で初めて開催されます。

本大会はアメリカで開かれており、将来的に日本から世界大会へのチーム派遣も目指しているというドロカツ。子どもたちが磨いたスキルを発揮する会場では、どのような様子が見られるのでしょうか。

今回は、ドロカツの実行委員長HDL合同会社代表吉田公衛氏に、大会概要や開催の目的、競技内容などについてお聞きしました。

ドロカツ実行委員長・HDL合同会社代表 吉田公衛氏

競技でドローンプログラミングを盛り上げる!

ーーまず、HDL合同会社はどのような企業なのでしょうか。事業概要や理念などをお聞かせください。

HDL合同会社は、プログラミングを学ぶためのドローンを開発しているRobolink社(アメリカ)の日本総代理店です。子どもたちにプログラミングに興味を持ってもらうためにドローンを使おうと普及を進めています。ミッションは「10年間で10万人の子どもたちにドローンを使ったプログラミングに触れてもらうこと」です。

主な事業は、小学校~大学の教育現場向けにドローン導入やプログラミング教材の開発・販売のほか、プログラミング教室や塾、ドローンスクール向けにアニメのE-ランニング教材の制作などです。また、実際に学校に出向いて出前授業や短期講習、オンライン教室なども行っています。

ーードロカツ全国大会とはどのような大会なのでしょうか。開催概要、参加対象者の年齢などを教えてください。

ドロカツ全国大会はドローンとプログラミングのトーナメントです。2024年3月17日にあべのハルカス(大阪府)で開催します。アメリカで本大会が行われており、日本では今回が初開催です。

小学生部門20歳未満のオープン部門に分かれていて、それぞれ2~4人のチーム戦。ドローンの操縦技術を競う「操縦スキルコンテスト」とプログラミング力を競う「自動操縦スキルコンテスト」で優勝を争います。

大阪大会の様子をまとめたYouTubeの動画がありますので、ご覧いただければ大会の雰囲気や競技内容がわかりやすいかと思います。


ーー「ドロカツ」の開催背景について教えてください。なぜこのような大会を立ち上げることを決めたのでしょうか。

2019年ごろからドローンを使ったプログラミング教育の普及に取り組んでいますが、教育現場でドローンを広めていくことのハードルの高さを強く感じていたんです。公立校だと予算の問題もあり、良い現場があってもなかなか入っていけず、思うように普及を進められませんでした。

一方で、アメリカや中国は数年前から「競技にして広めよう」という動きがありました。すると、大会に向けてドローンが1万台一気に売れたり、参加チームがどんどん増えていったり、学校の部活動になったりなど、競技性が付加されることで盛り上がりを見せるようになったんです

そこで、日本でも子どもたちが学んだことを発揮できる大会の場を設けようと考え、昨年の6月にドロカツの実行委員会を立ち上げました。出発点は、ドローンやプログラミングを広めるために競技として盛り上げようという思いです。

また、子どもたちをプログラミング塾などに通わせている保護者の多くが理由として挙げるのは「子どもたちが夢中になっているから」というものです。私たちドロカツを運営する現場でも、子どもたちが夢中になれる場を提供できることに喜びを感じているメンバーばかりですね。

求められるのは戦略やチームワーク

ーー「操縦スキルコンテスト」「自動操縦スキルコンテスト」の各競技では、どのようなことを競うのでしょうか。ルールを簡単に教えてください。

まず「操縦スキルコンテスト」では、2分間ドローンを操縦して決められた場所に自チームのピンポン玉を入れ、陣地をゲットしてポイントを得るというルールです。終盤には操縦者から目視できないブラックアウトゾーンも設けられます。

「自動操縦スキルコンテスト」では、1分間ドローンを自律飛行させ、アーチゲートを通過したりピンポン玉を風圧で取り除いたりして、決められた場所に着陸させます。コマンドは全て事前にプログラムを構築し、競技中は操縦することが出来ません。

ーー2つの競技について、子どもたちにどのようなスキルを身に付けてほしいというねらいがあるのでしょうか。

もちろん基本的な操縦スキルやプログラミングスキルは必要ですが、大会で求められるのはそれだけではありません。まず、「操縦スキルコンテスト」は簡単にいうと陣地取り合戦です。そのため、戦略とチームワークが重要となります。

「自動操縦スキルコンテスト」では、当日思ったよりも空調が強いとか、ドローンに誤差が生じるといった、さまざまな予想外の事態が起きます。飛行時間が1分間と短いなかで、いかに柔軟に対処するかという戦略や臨機応変さが問われますね。

ーー大会では、競技だけではなくドローン操縦体験などのイベントも予定されていますが、どのような内容でしょうか。

ドローンを使ったプログラミング体験では、目的地までドローンを運ぶプログラミングを45分間かけて学びます。主に小学生が対象ですが、受付開始から1週間ほどで予約枠がいっぱいになりました。

ドローンの操縦体験は、1人2~3分ほど実際にドローンを操縦してもらいます。こちらは当日受付で無料で体験できるので、興味がある方はぜひ挑戦してほしいです。また、Tシャツにドロカツのロゴを印刷できるシルクスクリーンも体験できますよ。

ドローンの操縦やプログラミングを子どもたちに気軽に体験してもらうことで、競技参加者の増加につながればうれしいですね。いま、ドローンに触れたことがあるかどうかというのはその後の人生にも大きく影響するのではないかと思っています。最先端のものを自分の手で操るという体験には、大きな意味があるのではないでしょうか

大会の経験を自信にしてほしい

ーー大会を通して、子どもたちにどのような体験や学びを得てほしいですか。

大会での経験を通して自信を持てるようになってほしいですね。全国大会は大きな会場で開かれ、観客も多い環境です。大勢の前で自分の力を発揮する体験や、負けた悔しさ・勝った喜びが子どもたちの次のステップへとつながればうれしいです

プログラミングに関しては、ドローンに限らず将来に何かしら活かせるスキルや考え方が身に付くと思います。子どもたちの将来の選択肢を広げてくれるのではないかと期待しています。

ーードロカツ全国大会の今後の展望や目標について教えてください。

一番の目標は、優勝したチームをアメリカの本大会に連れていくことですね。いつか本場のアメリカ大会で、日本の子どもたちに活躍してほしいです。現在、大会は非公式という形なのですが、公式化をするとチームに年間登録料がかかりますし、本大会に出場するための渡航費も高額になります。より多くの企業に協力していただけるととてもありがたいです。

国内では、北海道や東北などから地区予選をやりたいという声もいただいています。実行委員会も一般社団法人化するなど組織の体制を整えて、これからどんどん競技人口を増やして盛り上げていきたいです

まずはのびのびと楽しんで。興味を持ったらぜひ参加を!

ーー最後に、大会に参加する子どもに向けて期待することや、読者へのメッセージをお聞かせください。

参加する子どもたちには、のびのびと楽しみながら参加してほしいですね。ちなみに競技前のマイクパフォーマンスは盛り上がる場面なので、なにか用意しておいてもらえると良いと思います。

ドロカツは熱気もすごいので、気になる方は一度見に来てください。そして興味を持ってくれた子どもがいれば、ぜひこの世界に足を踏み入れてもらえるとうれしいです。企業の方や教育現場の方も大歓迎です。

まるわかりガイドでドローンを知ろう
まるわかりガイドを見る

RECOMMEND

この記事を読んだ方へおすすめ