同校では、一等・二等の国家資格のほか、オリジナルコースも展開。農薬散布ドローン MAZEX 飛助の操作方法を学べるコースや、法人で管理者を養成したい方向けのJDCパイロット認定コースなど、目的に合わせたコース選択が可能です。
特許取得、農業・林業に特化した国産ドローンで第一次産業の未来を拓く|株式会社マゼックス 松添正征さん
第一次産業におけるDXが急務とされるなか、国産ドローンメーカーの株式会社マゼックスが注目されています。農業用ドローン「飛助」と林業用ドローン「森飛」を代表作に、現場の声に寄り添った機体を続々と開発する同社。本記事では創業者であり取締役CTOの松添正征さんに、これらのドローンが第一次産業にもたらす変革と、今後のビジョンについて詳しく話を伺いました。
この記事をcoeteco.jp で読む >さらに同社は、自治体や企業との連携による数々の実証実験やプロジェクトに積極的に取り組んでおり、最新技術を現場に即した形で活用しています。
この記事では、湊運輸倉庫株式会社代表 石川啓氏と、ドローン事業部の三浦氏に、同校の魅力やコース内容についてお話を伺いました。
物流業界でのドローン活用を見据え、スクール事業をスタート
——まずは、貴校のこれまでの歩みについて教えてください。石川:
DRONE PEAKは、2018年8月に開校。当初は一般社団法人(現、一般社団法人いわてドローンコンソーシアム)が運営しておりました。諸事情が重なり2019年4月にスクール施設を賃借していた湊運輸倉庫株式会社へ運営を移し、現在に至ります。
2015年の首相官邸への無人機落下事件以降、航空法が改正されるなど、法整備が急務の課題とされました。当時、正しく健全なドローン活用に導く教育機関の必要性を感じ、岩手の地でスクール事業に参入することを決めました。
2017年当時は世間でもドローンに注目が集まり始め、岩手県内で第一号のビジネス向けドローンスクールが開校したタイミングでした。我々も約1年準備を重ね、2018年夏に開校に踏み切ることにしましたが、一般社団法人での運営は広告費も捻出が難しく、実際は思うように集客できませんでした。6か月が経ち、屋内講習施設を貸し出していた湊運輸倉庫(株)へ事業を移すことにしました。
——湊運輸倉庫株式会社は、長らく物流業を営まれてきたそうですね。
石川:
はい。弊社は昭和48年に創業した企業です。当時は高度経済成長の流れで、トラック輸送が国内でも97〜98%を占めていました。その流れに乗り、倉庫も保有して事業を大きく展開してきました。
——そんな御社がドローンに関心を持たれたきっかけは?
石川:
2013年冬にDJI社がPHANTOM2を発売し、その広告を見て面白そうだなと思い2014年春に初めてドローンを購入しました。その機体で盛岡広域にある自社の倉庫の屋根点検を実施したのが、会社として最初にドローンを導入した事例です。
それまでは目視で屋根の点検を行っていましたが、高所のため詳細なチェックはできていませんでした。ちょうどソーラーパネルを設置し始めたタイミングだったこともあり、ドローンを用いて細部までしっかりと点検を行おうと考えたのです。
実際に点検を進めてみると、「なんと安全で便利なのだろう」と驚きました。そして次に考えたのが、ドローンパイロットの育成でした。
ドローンを本格的に普及させるには、それなりの数のパイロットが必要になります。首相官邸の事件を受けて航空法やドローンの飛行ルールがどんどん改正されていく中で、正しい知識と高いモラルを備えたパイロットを育成していくことは、社会的にも大きな意義があると考えました。
——ドローンは、物流分野での活躍も期待されていますね。
石川:
おっしゃる通りです。国土交通省のロードマップでも、物流2024年問題の解決策のひとつとしてドローン活用が挙げられています。ただ、弊社が参入を模索し始めた2017年ごろはというと、技術や法律の整備がこれからだったこともあり、参入する企業は決して多くありませんでした。
しかしだからこそ、あえて早めに取り組んでおけば、大きな資本を投じずとも人材育成を進めながら、ドローンを物流分野に展開できるのではないかと考えたのです。
また私個人としては、運送業者はトラックの駐車スペースとして広大な土地を持っているので、ドローンスクールの運営に親和性が高いと感じていました。実際に、弊社は倉庫の一部をリノベーションして屋内ドローン練習場として活用しています。
ドローンの物流活用にはまだ多くの課題がありますが、少しずつ整備が進む中で、今後さらに可能性が広がっていくと感じています。
国家資格一等/二等、農業向けオリジナルコースも
——貴校ではどのようなコースを展開されていますか?石川:
まずは、一等・二等の無人航空機操縦士基本コースがあり、それぞれ初学者向け・経験者向けのコースをご用意しています。
ただし、一等の初学者向けコースについては公式サイトに掲載していません。というのは、未経験者が一等資格を取得したい場合、
- 一等の初学者コースを受講
- 二等を取得してから一等の経験者コースを受講(こちらのほうがおすすめ)
という2つの選択肢があり、後者のほうが練習時間を長く取れるなど、メリットが大きいためです。前者がおすすめなのは、それなりの飛行経験を積んでおり、「あとはライセンスを取得するだけ」という方になります。その場合も、対応自体は可能ですので、まずはお問い合わせください。
——貴校のオリジナルコースもご紹介ください。
石川:
ベーシック・パイロットクラスは、これからドローンを始めたい方向けのコースです。ドローンの飛行許可申請に必要な10時間の飛行実績を得られます。趣味でドローンを飛ばしたい方に適しています。
アドバンスド・パイロットクラスは、ベーシックの内容に加え、八の字飛行など「国土交通省 航空局標準マニュアル」における業務実施の必須項目を習得できます。業務でドローンを活用する方におすすめのコースです。
アグリ+ベーシックパイロットクラスは、ドローン初心者で、農薬散布に挑戦したい方向けのコースです。ベーシック・パイロットクラスの内容に加え、危険物輸送・物件投下・夜間飛行を習得できます。農薬散布ドローンのMAZEX 飛助の具体的な操作指導もおこないます。
そしてアグリ・パイロットクラスは、ドローン経験者で他メーカーから飛助に乗り換えたい方に、飛助の操作指導を行うコースです。
JDCパイロット認定コースは、法人で管理者を養成したい方におすすめのコースです。大手企業で、これから事業部を立ち上げてドローン活用を推進していくタイミングで、事業部の責任者の方が受講されるケースが多いですね。
国家資格は20〜50代、農業コースは40〜60代が中心
——各コースの対象年齢や、実際に受講生されている年代について教えてください。石川:
各コースとも対象年齢は16歳以上です。全体として、30代から60〜70代前半くらいまでの方に受講していただいています。
国家資格制度がスタートしてからは、受講生が2つのグループに分かれている印象ですね。1つは会社が資格取得を支援しているケースで、こちらは主に20代〜50代の方にご受講いただいております。
もう1つは、個人農家の方々が受講されるケースです。特に飛助を使いたいという方が多いですね。個人農家の場合、40代〜60代の方が中心に受講されています。気温が高い中、重い機械を使った作業が長時間に及ぶことも多いため、作業の負担をドローンで代替したいというニーズが高いようです。農家は高齢化が進んでおり、90代の方が現役で働いていらっしゃるケースも多いので、作業の負担軽減は大きな課題かと思います。
また、兼業農家の方が定年を迎え、これから本格的に農業に取り組もうというタイミングで、ドローンを導入して効率化を図りたいという方も多くいらっしゃいます。
——貴校では、助成金を活用した受講も可能だと伺いました。
石川:
そうですね。二等初学者基本コース・一等経験者基本コース・一等初学者基本コースは、厚生労働省が実施するリスキリング支援の対象となっておりますので、研修費用の一部(中小企業の場合は75%)が補助されます。
人材育成支援助成金「リスキニング支援コース」リスキニング支援コースは財政的負担の軽減とスキル開発の両立が可能です。・研修費用や研修期間中の賃金の一部を補助・事業拡大や新規事業立ち上げに欠かせない新分野での再スキルアップ・従業員の職務に関連したスキル開発を促進賢く活用してドローン人材を育成!企業もパワーアップ!
この記事をdronepeak.jp で読む >制度を活用すれば、コストを抑えつつドローン人材の育成と企業強化を図ることが可能なので、ドローンを事業に取り入れたいとお考えの企業様にはぜひご利用いただきたいです。
最先端技術を活用したプロジェクトにも多数参画。知見をスクール運営に活かす
——スクール事業とは別の取り組みとして、小学生向けのプログラミング教室も定期的に開催しているそうですね。小学生向けの教室を始めたきっかけを教えていただけますか?石川:
もともとコロナ前から、商業施設や自治体からの依頼でドローンやプログラミング関連のイベントを行っていました。
そんな中、昨年開催されたプログラミング大会で、岩手の小学生がドローンで熊を探して山に追い返すというプログラムで1位を獲得されるという出来事がありました。1位の小学生は、岩手県でアプリケーション開発やICT教育事業を手掛けるJoATech様が運営するスクールの生徒さんでした。そのご縁で、JoATech様からカリキュラムにドローンを活用したいとお声がけをいただいたんです。
その頃(2024年3月)は、ちょうど「DRONE PEAK GRANDE」をオープンした時期でした。ドローンとプログラミングの組み合わせは子どもたちにとって魅力的ですし、私たちにとっても新店舗を広く知ってもらう良い機会となります。そこで、ぜひ定期的にイベントを開催していきましょうという話になりました。今後も、子どもたちがドローンに触れる機会はどんどん増やしていきたいですね。
「DRONE PEAK GRANDE」 ドローン販売・講習受付フロントの他、展示ブースでは国産ドローン「マゼックス製農業用ドローン 飛助DX・飛助mini」「第二種型式認証機体 SONY製 Airpeak S1 RTK」「LTE遠隔物流ドローン PRO DRONE製 PD6B‐Type3」常設展示。 「DRONE PEAK GRANDE」 ドローン販売・講習受付フロントの他、展示ブースでは国産ドローン「マゼックス製農業用ドローン 飛助DX・飛助mini」「第二種型式認証機体 SONY製 Airpeak S1 RTK」「LTE遠隔物流ドローン PRO DRONE製 PD6B‐Type3」常設展示。
この記事をdronepeak.jp で読む >——点検業務や各種プロジェクトも手がけていらっしゃると伺いました。
石川:
点検業務に関しては、主に建設コンサルタントの方々や点検業務を専門にしている企業と連携し、画像解析のAIを使った実証実験に取り組んでいます。
大学や研究機関と地元森林組合のドローン活用の橋渡し役とでもいいましょうか。森林調査のドローン活用を探す研究者に地元岩手県の研究フィールドをコーディネートしています。具体的には、人海戦術の既存業務をドローンDX化するプロジェクトに携わっています。
また、国土交通省および自治体との連携では、常勤医不在の地域に医師を派遣して診療を実施したあと、ドローンで医薬品を届ける実証実験を行っています。令和4年度には、山口県柳井市平郡島と岩手県八幡平市にて、医薬品ドローンの物流実証実験を行いました。このプロジェクトは5年計画のうち、今年で4年目になります。
八幡平実証実験の様子
その他、令和2年度から毎年、滝沢市農林課・滝沢猟友会・岩手県と共同で、鳥獣保護巡視員とサーマルカメラ・ドローンを活用した合同鳥獣調査もおこなっています。
8月30日(火)ビッグルーフ滝沢の調整池エリアにて、盛岡地方農業委員会連絡協議会の研修として「ドローンの説明・実演」の機会を頂きました。 弊社は農薬散布ドローン「飛助DX」のデモフライトと共に、そのコストパフォーマンスや性能の高さを解説させていただきました。 ...
この記事をdronepeak.jp で読む >令和3年度には、盛岡市デジタル技術実証実験事業に採択されました。これは情報通信技術の活用による産業の高度化を目的として、市内の企業がデジタル技術を活用して実証実験を行うことを支援する事業です。
——かなり幅広く、いろいろなプロジェクトを手がけていらっしゃいますね。
石川:
そうですね。最先端の技術や機体を活用しながら、実際に業務に携わっている企業や自治体等と連携してドローンを活用しているのが我々の特徴です。
最新の機体を使ってお客様の現場で作業を行う際には、我々もリスクを負いながらチャレンジをしています。そこから得られた知見をもとにお客様にアドバイスを提供できるのは我々の強みですし、この強みはスクール運営にも活かされています。
豊富な現場経験を活かし、実体験を交えた指導を実践
——三浦様は現在、スクールインストラクターと会社の業務を兼任されていると伺いました。全体としてどのようなお仕事をされているのですか?三浦:
私は前職で20年以上農業機械の営業を担当しました。その経験を活かし、現在では現場でドローンを操縦したり、飛助の機体整備を担当したりしています。機体についても詳しいですし、農業に関する知識もかなりあるので、「この作物にドローンを使いたいのだけど…」といった具体的なご相談も大歓迎です。
湊運輸倉庫株式会社 ドローン事業部 三浦氏
——知識・経験が豊富なインストラクターから指導していただけるのは、受講生にとっても心強いですね。指導の際に、現場のノウハウをどのように活かしていますか?
三浦:
私たちはさまざまな実証実験に参加しており、それに関連する許可申請も経験しているので、実例をもとに学科講習で説明できるのが大きな強みです。「こういう法律があるので、飛ばす時はこういう許可が必要です」といった知識も、実際のユースケースに基づき、実体験を交えて教えられます。
——操縦練習については、どのように指導されていますか。
三浦:
実機は高価なこともあり、「初めから飛ばすのは怖い」という方も多いので、まずはシミュレーターで慣れていただくようにしています。
とはいえ、シミュレーターでも緊張する方が多いので、まずはリラックスしてもらうことを大切にしていますね。プロポの持ち方や基本操作をじっくり教えつつ、会話しながら進めていくことで、固くならずに実機での講習に臨めるようにしています。
とても緊張されていた方がスムーズにドローンを飛ばせるようになっていくと、やりがいを感じますね。根気強く努力を続ければ必ず上達しますので、諦めずに一緒に頑張ってほしいです。
資格取得は未来につながる自己投資。DRONE PEAKでドローンへの第一歩を踏み出そう
——業務でドローンを使いたいと考えている読者に向けて、改めて貴スクールの魅力を教えていただけますか。石川:
ドローンはどんどん進化し続けているため、常に最新の情報に触れることが重要です。法律も頻繁に変わるため、仕事にドローンを活用していくのであれば、資格取得後も継続的に学習していくことが欠かせません。こうしたニーズを踏まえて弊社では、資格取得後も最新情報の提供やサポートを行っていますので、どうぞご安心ください。
——最後に、これからドローンの免許を取得される方々に向けてメッセージをお願いします。
石川:
DRONE PEAKには、最先端の機器を使って日々チャレンジしているスタッフがそろっており、実務に活かせる情報を充分に提供できます。スタッフの数も多く、受講生に合わせた細やかな対応が可能です。
常設の屋内コートがあるので、季節に関係なく練習ができますし、ドローン購入後のアフターケアが非常に細かく丁寧な点も、ご好評いただいております。
ドローンの国家資格を取得するのは、自己投資だと思うんです。安くない金額ではありますが、未来にわたって大きな価値が得られるものなので、ぜひチャレンジしていただきたいですね。ドローンに興味があり、最初の一歩を踏み出したい方はぜひDRONE PEAKを選んでいただければと思います。