本記事では、薬剤師におすすめの副業をピックアップしてまとめました。薬剤師が副業をするときの注意点や、成功のポイントとあわせてチェックしてみてください。
薬剤師が副業を始める前に確認すべきこと
日本政府は、企業社員が安心して副業・兼業に取り組めるよう環境を整備しています。社員の副業については理解が進んでいるといえますが、「どんな人でも副業OK」ではないことに注意が必要です。薬剤師が副業を始めたいと思ったとき、まず確認すべきポイントをご紹介します。
参考:副業・兼業|厚生労働省
法律違反に当たらないか
「管理薬剤師」「公務員薬剤師」として働いている人が副業をすると、違法となります。管理薬剤師とは、医薬品の在庫管理や品質管理、適切な保管について責任を負う管理者です。医薬品医療機器等法(薬機法)第七条は、管理薬剤師について「その薬局以外の場所で業として薬局の管理その他薬事に関する実務に従事する者であつてはならない」と明記しています。これを根拠に、管理薬剤師が副業するのは「違法」とするのが一般的な見解です。
また公務員薬剤師は、国家公務員法・地方公務員法を根拠に副業が禁止されています。薬剤師であっても、公務員の身分を持つ人の副業は法律違反です。
管理薬剤師・公務員薬剤師の人は副業を探すのは控え、本業に注力しましょう。
参考:医薬品医療機器等法第7条|e-Gov 法令検索
参考:国家公務員法第103条|e-Gov 法令検索
参考:地方公務員法第38条|e-Gov 法令検索
就業規則で副業が禁止されていないか
実際のところ、副業できるかできないかは、企業の就業規則次第です。薬剤師が副業をしたい場合は、まず自社の就業規則を確認しましょう。国は副業を容認していますが、法律で解禁されているわけではありません。就業規則に「副業不可」とあった場合は、副業はできないと考えてください。副業禁止の会社で副業をした場合、就業規則違反としてペナルティを科される恐れがあります。
薬剤師におすすめの副業4選
薬剤師は、市場価値の高い国家資格です。資格を生かして副業することで、短時間の働きでも高収入を得られる可能性があります。薬剤師におすすめの副業について詳しく見ていきましょう。
参考:在宅副業
派遣薬剤師
派遣薬剤師とは、派遣会社の派遣社員として病院やドラッグストアで働く薬剤師です。時給の相場は3,000円以上といわれており、短時間の派遣でも高収入を得られます。派遣薬剤師のメリットは、土日のみ・休日のみなどの働き方が可能なこと。スポット派遣なら毎回違う場所で働くことになり、さまざまな職場を体験できます。
ただし1日単位の日雇い派遣は、労働者派遣法によって厳しく規制されていることに要注意。以下の条件のいずれにも該当しない場合は、スポット派遣として働くことはできません。
- 60歳以上
- 学生(雇用保険に入っていない)
- 本業の年収が500万円以上
- 世帯年収の合計が500万円以上
条件をクリアしている人は、派遣会社に登録しておくと条件に合う派遣先の紹介を受けられます。
参考:改正に関するQ&A|厚生労働省
オンライン薬局の薬剤師
2020年9月「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律等の一部を改正する法律」が施行され、オンラインでの服薬指導が解禁されました。テレワークの薬剤師求人も増えており、在宅で副業したい薬剤師におすすめです。オンライン薬局の薬剤師の仕事は、オンラインでの服薬指導・薬の相談・健康相談・市販薬のアドバイスなど。対面式の薬局とほぼ同じですが、患者1人ひとりとしっかり向き合えるのが大きな違いです。患者を次々とさばく必要がなく、落ち着いて働けるのはメリットといえます。
また時間の融通を利かせやすいのも、オンライン薬局の薬剤師ならではの魅力。ちょっとしたすき間時間を利用できるので、在宅でコツコツと収入を得たい薬剤師に最適です。
参考:医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律等の一部を改正する法律|e-Gov 法令検索
メディカルライター
メディカルライターとは、医学や薬学に関する記事を専門にするライターです。医療や健康に関する記事は、特に信頼性が重視されます。「国家資格を持っている」ということは、非常に大きな強みとなるでしょう。また医療記事や薬事記事については、信頼性の高い監修者が求められるケースが多々あります。自分で記事を書けない人でも、別のライターが書いた記事をチェックして収益を得ることが可能です。
メディカル翻訳
語学力の高い人は、医学や製薬に関する記事の翻訳を副業にしてもよいでしょう。メディカル翻訳は専門知識が求められるため、一般的な文書の翻訳よりも報酬が高額です。空き時間にコツコツと取り組むことで、効率よく収入を得られるでしょう。メディカル翻訳の対象となる文書には、以下のものがあります。- 医学論文
- 医薬品関連の申請書や報告書
- 医薬機器のマニュアル
- 医学系・薬学系の記事
- 化粧品やサプリメントの記事
翻訳は和訳のみでも可能ですが、和訳・英訳できる人の方が、獲得できる案件は多いようです。
薬剤師が副業を成功させるポイント
薬剤師が副業を成功させるためには、「興味や得意分野に合う副業を選ぶこと」「税金について理解しておくこと」が大切です。薬剤師が副業に取り組むとき、注意したいポイントをご紹介します。興味や得意分野に合う副業を選ぶ
興味や得意分野に合っている副業は、労働のモチベーションを高いレベルで維持できます。「好き」「楽しい」と思いながら働ける仕事なら、挫折のリスクも低くなるでしょう。基本的に副業は、本業のオマケのようなもの。ストレスのたまる仕事で本業に支障が出てしまって、は本末転倒です。収入や効率を重視し過ぎず、働きやすさを重視して選ぶことをおすすめします。
税金について理解しておく
副業の場合、所得の種類にかかわらず20万円を超えた場合に確定申告が必要です。収入を適切に把握して、必要があれば期間内に確定申告を行いましょう。所得とは、収入から経費などを差し引いたものです。フリーランスとして得た報酬であれば、「収入から経費を差し引いた金額が20万円を超えたかどうか」で判断してください。
一方企業からの給料による収入の場合、経費の差し引きはできません。明細に「給与所得額」として書かれている金額が20万円を超えた場合、確定申告が必要です。
なお確定申告が不要な場合でも、各自治体に納付する住民税の申告は必須となります。
参考:No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人|国税庁
まとめ
薬剤師はアピール力の強い国家資格です。資格の希少性・権威性を活かせる副業を選択すれば、効率よく高収入を得られます。ただし副業で多くの収入を得ると、確定申告が必要になる点には要注意。毎月の収支を適切に計算して、納税義務を果たしましょう。