もし転職を考えているのであれば、広告業界についてより深く知識を身につけることが先決です。「自分は広告業界でどんな仕事をしていきたいのか」といったキャリアプランを明確にする必要があるでしょう。
この記事では、広告業界への転職を考えている人に向けて「広告業界の基礎知識」を詳細にまとめました。「広告業界はどのように成り立っているのか?」「転職するとしたらどんな職種があるのか?」といった内容をはじめ、広告業界未経験者におすすめの職種、身につけておきたいスキル・資格までご紹介します。
広告業界は主に2つの役割から成り立っている
広告業界は「広告を出したい企業」「広告を掲載するメディア」「広告を制作する制作会社」「企業とメディアをつなぐ代理店」の大きく4つがかかわっています。このうち、実際に広告業を担当するのは「制作会社」と「代理店」。まずはこれら2つの働き方の違いを押さえておきましょう。
広告代理店
広告代理店は「広告を出稿したい企業(クライアント)」と「広告枠を持っているメディア」を仲介する役割を担います。広告業界というと電通グループ・博報堂グループ・ADKグループが業界トップ3として有名ですが、これらはすべて広告代理店です。広告の企画・立案や予算についてクライアントと打ち合わせを重ねながら、広告公開までを取りまとめていくのが主な業務となります。制作自体は後述する「広告制作会社」に委託することが多いですが、中には独自の広告制作部門を持っている代理店も。
なお広告代理店といっても、扱う広告によって以下3つに分類されることを覚えておきましょう。
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総合広告代理店
テレビCM・雑誌・新聞・インターネットといったメディアのジャンルを問わず、掲載する商品に合ったメディアを選定してプランニングする会社のこと -
特定広告代理店
数あるメディアの中から、ある特定のメディアに特化して広告代理業務を展開している会社のこと -
ハウスエージェンシー
ある企業、もしくは企業グループに専属して広告代理業務を行う会社のこと
広告制作会社
クライアントもしくは広告代理店から依頼のあった広告を、要望に沿って実際に制作する会社のことを指します。広告代理店との大きな違いは、デザイナーやコピーライターといった専門知識をもつ人材が多数在籍している点。スキルとセンスを結集させて魅力的な広告をデザインしていくのが、主な業務内容になっています。
基本は広告作成のみの担当となりますが、プロジェクトの規模によっては、代理店を介さず広告制作会社が一貫して担当することも。広告代理店が行うような広告の企画・立案といった営業業務もこなせると、活躍の幅が広がります。
広告業界に転職するとしたらどんな職種がある?
広告業界には大きく2つの役割があることを解説しましたが、さらに細分化すると3つの職種に表すことができます。広告業界の中でもどんな仕事をしたいのかをよく考えて、自分に合う職種を探してみてください。- 広告営業
- 制作(クリエイティブ)
- マーケティング・分析
広告営業
「広告営業」は、自社所有(代理店なら代理で所有)している広告枠をクライアントに売り込み、掲載する広告を獲得する仕事です。もちろん受注して終わりではなく、広告の提案・制作・公開までトータル的に管理・サポートを行います。
受付窓口としてクライアントと密にコミュニケーションをとったり、社内で情報を共有したりといった役割がメイン。そのため対人スキルが強く求められる職種と言えます。
自分が担当した広告によってクライアントの商品・サービスの売り上げに貢献できたとき、やりがいを感じられるでしょう。
制作(クリエイティブ)
制作(クリエイティブ)は、営業によりクライアントから獲得した広告を実際に制作する仕事です。プロジェクトの進行を管理する「ディレクター」、制作に携わる「デザイナー」「コピーライター」等、多くの担当から成り立っています。昨今はWebメディアに掲載する「Web広告」の需要が拡大していることから「Webディレクター」「Webデザイナー」といった役割も主流に。
営業のような対人スキルよりも、デザインソフトを扱う技能や配色センスなど専門的なスキルを求められます。広告業界というとクリエイティブを目指す人も多いですが、未経験からの参入は簡単なことではないでしょう。
作成した広告は各所に掲載されるため、生活の中で自分の携わった広告が目についたときは満足感を感じられるはず。キャッチーな物であれば、SNS等を通じて世間的に話題になることもあるかもしれません。
マーケティング・分析
広告営業担当がクライアントから収集してきた要望などをもとに「どの広告をどのメディアに掲載すれば一番高い効果が得られるか?」といった広告戦略を考える仕事です。クリエイティブ職種でWeb担当が増えているのと同様、Web広告に特化したマーケター「Webマーケター」の需要も高まっています。最終的な目標は、納品した広告によってクライアントの売り上げを上げること。そのためにクライアントはもちろん、社内のチームメンバーも引っ張っていかなければいけないため、卓越したリーダーシップ・高い思考力が求められる職種です。
自分が立案した広告戦略が功を奏し、クライアントの売上UPに貢献できたときは、マーケターとしての自信につながるでしょう。クライアントやチームメンバーから感謝を伝えられたときには「マーケティングを担当してよかったな」とやりがいを感じられるはず。
未経験から広告業界に転職するなら何がおすすめ?
職務・業界未経験の状態から広告業界へ転職する場合、専門スキル・高い技術力が求められる制作(クリエイティブ)は簡単ではないでしょう。一方で、広告営業であれば未経験でも比較的採用されやすい傾向にあります。広告業界以外で営業の経験がある人なら、なおさら評価されるはず。
また広告営業の中でも、これから転職するなら「インターネット広告営業」が将来性も高くおすすめです。大手広告代理店「電通」が発表した「2021年 日本の広告費」を見ると、長らく広告市場を引っ張ってきたテレビ・ラジオ・新聞・雑誌の「マスコミ4媒体広告」の広告費を、インターネット広告費が上回っていることを確認できます。
5G等、さらにネットの普及が進むことも考えると、今後の広告市場はインターネット広告がメインとなっていくと予想できます。インターネット広告営業として経験を積んでおけば、長く広告業界で活躍していけるのではないでしょうか。
広告業界へ転職するなら習得しておきたいスキル・資格
広告業界へ転職するからには最低限身につけておきたいスキルと、可能であれば取得したい資格を合わせて3つご紹介します。業界未経験からチャレンジする場合でも、これらの能力が備わっていれば仕事についていきやすくなるはず。- トレンドを追う力
- コミュニケーション能力
- Google アナリティクス個人認定資格
トレンドを追う力
広告業界は、いかに流行(トレンド)を掴めるかが重要になってきます。トレンドを把握していれば、広告業界のどの職種の業務においても、以下のようなプラスの効果が期待できるからです。-
営業でのメリット
クライアントの興味を惹く提案ができる -
制作(クリエイティブ)でのメリット
より多くの人の目に留まる広告を作成できる -
マーケティングでのメリット
成果の出やすい効果的な広告戦略を立案できる
コミュニケーション能力
クライアントはもちろん、社内のチームメンバーとも連携を密に取り合っていかないと成果が出せない仕事のため「コミュニケーション能力」も欠かせないでしょう。特に「広告営業職」に就く場合には、高い対人スキルが求められます。コミュニケーション能力というと「うまく話すこと」というイメージを抱かれがちですが「傾聴力」も非常に大切です。相手の話をしっかり聞き、何に悩んでいるのか、何を課題と感じているのかを把握できなければ、最も効果の上がる広告にはたどり着けません。
コミュニケーション能力は広告業界以外でも決して無駄にならないスキルです。日ごろから話し方・聞き方を向上させる練習をしておくといいでしょう。
Google アナリティクス個人認定資格(GAIQ)
「Googleアナリティクス個人認定資格(GAIQ)」は、分析ツール「Googleアナリティクス」の扱い方を体系的に学ぶことができ、かつ習熟度をアピールすることもできる資格です。現在のWeb広告業界において、広告の効果検証・市場調査等にGoogleアナリティクスはほぼ必須とされています。GAIQを取得していれば、業界未経験でも基礎は備わっていると判断され、マーケティング・分析業務に早くから携わっていける可能性もあるでしょう。
必須資格として求められることは多くありませんが、自身のデータ分析レベルと業務に対するやる気を証明できる資格です。余裕があればぜひ取得しておきたいところ。
まとめ
当記事では、広告業界の役割や主な職種、さらには業界未経験者におすすめの職種・身につけておきたいスキル等まで網羅的に解説してきました。花形のイメージの強い広告業界ですが、どの職種においても活躍していくためには高い技術が問われるということがお分かりいただけたかと思います。特にチームやクライアントと協業することが多いため、対人スキルは欠かません。
未経験から転職するのであれば、専門スキルがなくても参入しやすい「営業職」を選ぶのがおすすめです。昨今主流となっている「Web広告」の営業担当に就ければ、着実に広告業界でのキャリアを積んでいけるでしょう。