スマホひとつで空の安全を守る!ドローンパイロットの必需品アプリ、ドローンフライトナビ開発者・石村圭史氏

ドローンフライトナビ 開発者インタビュー
家電量販店で販売されていたり、サブスクでレンタルできたりと、近年ではグッと身近な存在になったドローン。趣味で飛ばす方はもちろん、ドローンを業務に導入する企業も増えています。

しかし、ドローンに関する法律やルールは日々変化しており、少しでも古い知識で操縦すれば法律に違反してしまう危険性があります。

そこで、ドローンを操縦をする人にとって必需品と言われているのが無料のiOSアプリ「ドローンフライトナビ」です。飛行が制限されている区域や日の出日没時間といったドローンを安全に飛ばすための情報を、スマホひとつで手軽に確認できます


ドローンフライトナビの開発者は、自身もドローンパイロットとして活躍する石村圭史さんです。日清紡ホールディングス株式会社が提供するドローン飛行計画作成アプリ「ドローンフライトプランナー」の開発にもアドバイザーとして参画するなど、ドローン業界に幅広く貢献しています。

今回の記事では石村さんにドローンフライトナビアプリ開発のきっかけや、ドローンフライトプランナーとの違い、今後の展望についてお話をうかがいました。

ドローンフライトナビ  開発者 石村圭史さん

自分が使いたいアプリを開発

ードローンフライトナビを開発しようと考えたきっかけを教えてください。

自分自身が、ドローンを飛ばす際に感じた不便さを解消したいと考えたことが開発のきっかけでした。

2016年の年末にドローンの体験講習会に参加して初めてドローンに触れたのですが、空から見る景色の素晴らしさや、自分が空を飛んでいるような感覚を味わえる面白さを知って、すぐに自分でも飛ばすようになったんです。


自分でドローンを飛ばすようになって「出かけた先でも、飛ばせる場所・飛ばせない場所を今すぐ知りたい」と思うようになりました。ドローンは法律やルールによって飛行が禁止されている区域があるのですが、当時は自分がいる場所と飛行制限区域を瞬時に照らし合わせられるツールはなく、出先でも国土地理院の地図にアクセスして確認するしかなかったんです。

そこで位置情報から飛行制限区域を簡単にチェックできるiOSアプリの個人開発に着手し、2017年の5月にドローンフライトナビをリリースしました。ドローンを飛ばせるのは日の出から日没までと決まっているので、表示された地域の日の出と日没の時間を自動計算し、空港やヘリポートの有無といった周辺の空域もチェックできます。

ードローンを実際に飛ばした経験があるからこそ気づけたニーズですね。ドローンを知ってから半年弱でアプリをリリースしたというのはかなりスピーディーですが、開発を急いだ理由とは?

単純に、自分が早く使いたかったというのが大きいです(笑)。当時は私が求めている機能を持ったアプリはなかったので「今なら、ドローン飛行をサポートするアプリを日本第1号として開発できる」とも考えました。

独学でプログラミングを習得して、仕事で使うツールやiOSアプリを自作していたので、自分が感じている不便や課題を技術で解消するのは、私にとって当たり前のことだったんです。

リリースしてすぐに多くの方にご利用いただいたことで、私の感じた課題はドローンパイロット全体の課題だったのだと実感できましたね。

正確な情報と高い操作性でユーザーを獲得

ー現在では類似アプリも複数開発されているなかで、ドローンフライトナビが今もなお「ドローンパイロットにとっての必需品」と言われている理由はどんなところにあると考えていらっしゃいますか?

常に最新の情報を更新し続けているところや、操作性の良さにあると考えています。航空法や小型無人機等飛行禁止法といった法律はどんどん変化しているため、少しでも古い情報を掲載しているとユーザーが法律に違反してしまう恐れがあるんです。ドローンの飛行が原則禁止されている人口集中地区(DID)も、5年に一度の国勢調査の結果で変更されますのでキャッチアップが欠かせません。

それから操作性に関しては、なるべく気軽に簡単に利用していただけるアプリを目指しました。誰でも使いやすく、正しく最新の情報を表示することを重要視しています。

私自身もドローンパイロットとしてドローンフライトナビを利用しているからこそ、リリース以降もユーザー視点で随時アップデートをしてきました。そこがユーザーからの信頼に繋がっていると感じています。


ードローンフライトナビで情報をしっかり確認していれば、法律に違反することはないと考えていいのでしょうか?

航空法や小型無人機等飛行禁止法で規制されている地域は、正確な情報が表示されるので、その点に関しては安心していただいて大丈夫です。ただ、飛行方法には注意が必要で、目視内で飛行させること、人や物件から30m以上の距離をとって飛行させることなどいくつか気をつけるポイントはあります。

また、アプリではモラル的な部分まではカバーしきれません。例えば法律上は飛行可能なエリアでドローンを使った撮影をするにしても、無関係な人や物が映り込んだ場合はプライバシーの問題に発展する可能性があります。トラブルなくドローンで目的を達成するためには、周囲への配慮が不可欠です。

人口集中地区などの飛行が禁止されるエリアであっても飛行許可を取得すればドローン飛行は可能ですが、法律に違反していなければOK」という認識で飛ばすのではなく、モラルを持った飛行を心がけていただきたいですね。

ドローンフライトプランナーで補完される飛行計画

石村さんは、日清紡ホールディングス株式会社が提供するドローン飛行計画作成アプリ「ドローンフライトプランナー」の開発にもアドバイザーとして参画しています。

ここからは同社で経営戦略センターデジタルビジネス推進室に所属されている佐々木直一さんと松尾英明さんにも参加していただき、ドローンフライトプランナーの機能や特徴、ドローンフライトナビとの違いについてお話をうかがいます。


日清紡ホールディングス(株)経営戦略センター デジタルビジネス推進室 佐々木 直一さん

日清紡ホールディングス(株)経営戦略センター デジタルビジネス推進室 松尾 英明さん


ーそもそも、日清紡ホールディングスがドローンのアプリを開発した理由とは?

佐々木さん:今後さらに発展していくであろうドローン産業に、ードウェアだけでなくソフトウェアでも参入したいという考えからです。

日清紡ホールディングスには無線や通信、精密機器を開発・製造するグループ企業もあり、以前からドローンに搭載されているセンサーや、ドローン同士の通信に必要な機器の開発もおこなってきました。

そういった背景から親和性の高い領域であり、空のモビリティに大きな可能性を感じていたことから、石村さんの力をお借りしてドローンの社会実装を後押しするアプリの開発に着手しました。

ードローンフライトナビとドローンフライトプランナーには、どのような違いがあるのでしょうか?

石村さん:どちらもドローンを安全に飛行させるためのアプリという点は同じなのですが、ドローンフライトナビが位置情報や飛行禁止区域といった場所に特化しているのに対して、ドローンフライトプランナーは気象情報を中心としたフライトプラン作成機能を提供しています。

ドローンは天候の影響を受けやすく、安全に飛ばすためには気象情報が非常に重要です。天気予報を見て飛ばせそうだと判断しても、予報よりも風が強かったり、突然雨が降ってきたりする場合もあります。

ユーザーからの希望もあり「ドローンフライトナビの機能を拡張して、詳細な気象情報も提供できるようにしたい」と考えていたのですが、個人開発では限界もあり、なかなか実現には至りませんでした。

そんなとき、松尾さんからドローンフライトプランナーの開発プロジェクトに参画しないかとお声掛けいただいたんです。気象情報の重要性やドローン業界への思いなど考えが一致する部分も多く、参画を決意しました。

ドローンフライトプランナーの利用例


松尾さん:私自身も業務でドローンを操縦した経験があり、ドローンフライトナビのユーザーでもありました。ドローンフライトナビと併用して利用することで、お互いの機能を補完し合えるアプリを開発したいと考えたんです。

ドローンフライトナビで飛行可能な区域を確認し、ドローンフライトプランナーでの高精細な気象情報を確認すれば、綿密な飛行計画を作成できます。

ー天気予報のアプリは世の中にもありますが、ドローンフライトプランナーが提供する気象情報はどのようなものなのでしょうか?

佐々木さん:気象情報では、数キロメートルから数百キロメートル四方の正方形で区切った地域を「メッシュ」と表現するのですが、ドローンフライトプランナーは日本全国の雷観測と気象情報の提供をおこなう気象会社・フランクリンジャパンより入手した1キロメッシュの高精細な気象情報を提供しています。

一般的な天気予報では10キロ〜20キロメッシュなので、先ほど石村さんがおっしゃったように現地に到着してから天候に振り回されてしまう場合があるんです。

こちらの画像は昨年6月の八丈島の気象情報ですが、右上の一般的な天気予報では、八丈島は曇りという予報ですよね。しかしドローンフライトプランナーが提供する気象情報には、晴れの区域も表示されています。


松尾さん:私も実際に八丈島でドローンを飛ばそうとした際に、予報よりも風が強く、長時間待機した経験があります。なんとか撮影を終えましたが、そのときも少し北の区域に移動すれば風が弱く、問題なく飛ばせたんです。

ドローンフライトプランナーを利用すれば1時間ごとの局地的な天気がわかるので、事前の飛行計画はもちろん、現地でも「ここなら飛ばせる」と臨機応変に対応できます。1キロメッシュの気象情報を入手するには費用がかかるので、弊社が入手してアプリで提供することで、ドローン産業の発展にも貢献できると考えています。

ドローンの安全飛行と社会実装に貢献していく

ー物流やインフラへの活用など、ドローンの活躍の場はさらに拡大していくと考えられます。石村さんは、今後どのようにドローン業界に関わっていきたいと考えていらっしゃいますか?

石村さん:個人としてはドローンフライトナビのアップデートを続けて、最新の法律やルールに基づいた情報を提供し、空の安全に貢献していきたいと考えています。


ドローンに関する法律はどんどん改正されて複雑化していますが、ドローン産業の発展を見据えているからこその法律改正であり、それだけドローンが社会に根付いてきているということです。複雑な法律を遵守しながら安全な飛行を実現するドローンフライトナビやドローンフライトプランナーの需要は、より高まっていくでしょう。

日清紡ホールディングスさんとも協働しながら、今後もドローンの社会実装の一助となれる活動をしていきます。

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Drone Flight Planner - 日清紡ホールディングス株式会社

平素は、弊社製品をご愛顧いただき、誠にありがとうございます。 このたび、2022年9月1日よりご提供させていただいておりましたDrone Flight Plannerにつきまして、 2023年11月1日をもちましてサービスを一時中断させていただくこととなりました。 ご利用頂いておりましたお客様には申し訳ございませんが、何卒ご了承いただきますようお願い申し上げます。 サービス停止に伴うお問合せにつきましては、以下までお願い致します。 ■提供終了サービス  Drone Flight Planner ■お問い合わせ先 日清紡ホールディングス Drone Flight Planner事務局 mail:dfplanner*nisshinbo.co.jp(*を@に変えてご送信ください)

Drone Flight Planner - 日清紡ホールディングス株式会社

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