この記事では、前半でドローン操縦のために取得しておきたい「陸上特殊無線技士」資格について解説。後半は実際に養成課程(講習会)を受講し、試験を受けたコエテコ編集部・高橋の体験談をご紹介します。
国家資格「陸上特殊無線技士」とは
日本では「電波法」という法律があり、無線設備を扱うには総務省が認定する「無線従事者資格」を取得する必要があります。電波は空間を伝わるという性質があるため、電波を利用して通信を行うとき誤った操作を行ってしまいますと、他の通信に混信・妨害を与えてしまうことになりかねません。ここで、ドローンを活用し、なおかつドローンが電波を発信する場合は「無線設備を利用する」ことになります。そのため、定められた周波数以外のケースでは無線局の免許が必要となるわけですね。
このことから無線設備を操作するためには、原則として電波に関する一定の知識・技能を身につけ、総務大臣の免許を受けて無線従事者になる必要があります。
引用:無線従事者制度の概要/総務省
ドローン/ロボットを利用する際には、その操縦や、画像伝送のために、電波を発射する無線設備が広く利用されています。これらの無線設備を日本国内で使用する場合は、電波法令に基づき、無線局の免許を受ける必要があります。ただし、他の無線通信に妨害を与えないように、周波数や一定の無線設備の技術基準に適合する小電力の無線局等は免許を受ける必要がありません。無線従事者資格には、海上無線、航空無線やアマチュア無線など複数の資格があります。陸上無線従事者資格もそのひとつで、ドローンに関連するのは「陸上特殊無線技士」です。
引用:ドローン等に用いられる無線設備について/総務省
陸上無線従事者資格の種類
- 第一級~第二級陸上無線技術士
- 第一級~第三級陸上特殊無線技士
- 国内電信級陸上特殊無線技士
第三級陸上特殊無線技士の国家資格試験は暗記が中心で、数学的な知識は必要なく、計算式なども使用しません。したがって、まったく無線について知らない方でも取得しやすい資格となっています。
産業用ドローンなどを扱うには「第三級陸上特殊無線技士」以上の資格が必要
前述した総務省等の法規を踏まえた上で、もう少しわかりやすく解説します。陸上特殊無線技士は、資格の階級ごとに扱える電波の範囲が違います。
一般的なドローンは、2.4GHzの周波数を使用しています。この場合には、無線従事者の資格は必要ありません。しかし産業用ドローンなど、一部のドローンは5.7~5.8GHz帯を利用するものがあります。これらを扱うには第三級以上の陸上特殊無線技士の資格を取得しなくてはなりません。
ドローンの種類を問わずに操縦する、あるいは業務で産業用ドローンを扱う場合などを考えると、第三級陸上特殊無線技士の資格を取得しておいたほうが良いでしょう。特に測量や物流、インフラ点検といった事業では、産業用ドローンの活用が急激に進んでいますから、第三級陸上特殊無線技士の資格取得をおすすめします。
陸上特殊無線技士とアマチュア無線の違いとは
引用:アマチュア無線によるFPVドローンの体験利用について/総務省アマチュアの言葉どおり、アマチュア無線技士はあくまで個人使用の資格であって、営利目的での使用はできません。そのため、産業用ドローンなど事業で使用する場合に適した資格ではありません。一方で陸上特殊無線技士は、業務用無線の取り扱いが可能です。
ドローンでは、趣味でFPV(一人称視点/機体から送られる映像を見ながら操縦する)小型ドローンのレースに出たい時などに、アマチュア無線技士の資格が必要になります。
コエテコ編集部・高橋が無線免許に挑戦!
【陸上無線技士資格取得の体験談】講習センターで一発合格を狙う
DJI Mini2です。引用:DJI公式サイト
DJI Mini2は2.4GHzと5.8GHzの両方に対応していますが、日本国内では2.4GHzのみが利用可能で、切り替えはできないようになっています。そのため、陸上無線技士の資格がなくてもDJI Mini2ドローンを飛ばせます。
しかし、コエテコドローンで数々のドローンスクールを取材させていただくうちに、あることに気づきました。
ドローンスクールの方々から頂いた名刺を見ると、無線免許の記載があることが多いんです!
ちなみに産業用ドローンの活用においては、第三級陸上特殊無線技士で充分です。ただ、難易度があまり変わらないということで、わたしは思い切って第二級に挑戦しました!
陸上特殊無線技士資格の取得方法
陸上特殊無線技士の資格取得は2通りある① 独学で国家資格を受験
→合格率70%~程度
② 講習センターで受講し当日に試験
→合格率は99%
第一級は別にして、第三級〜第二級の陸上特殊無線技士の国家資格は難易度が非常に高いわけではないので、独学でも資格取得は可能です。しかし、総務大臣が認める養成過程を修了(いわゆる講習会)に参加すれば、ほぼ全員が資格を取得できます。
陸上特殊無線技士は国家資格です。過去問を購入し、ひとりでしっかり学ぶ自信もありません……。心配性のわたしは、講習を受けて合格率が高い2番目の方法を選択しました!
※大学や高校で総務省が認めるカリキュラムを履修し卒業する、または陸上以外の無線従事者資格を持っていて定められた業務に従事するなど条件を満たした場合にも一部の陸上無線技士資格が取得可能です。
【陸上無線技士資格取得の体験談】講習を受ける養成所選び
さて、わたしが養成課程を受けたのがこちら、「一般社団法人 無線従事者養成センター」です。
一般社団法人 無線従事者養成センターを選んだ理由
- 料金が安い
→受験料は2万円〜2万5千円が相場ですが、ここは1万5千円(第三級の場合) - 知識や経験豊富な講師陣
→代表理事が元総務省の関東総合通信局電波監理部部長、講師陣も元海上保安庁職員、JAL、ドコモ、警察庁OBなど、経験も豊富で安心 - わかりやすいテキスト
→ポイントが簡潔にまとめられ、試験に必要な範囲をしっかりと暗記できる。
第一に惹かれたのは、正直に言うと料金の安さです。しかし、講義を受けた後に思ったのは「しっかりした講師がいるところを選んで大正解!」ということ。
初めて聞くような言葉ばかりが出てくるので、丁寧に解説してくださる授業で良かったと思いました。
【陸上無線技士資格取得の体験談】法規と無線工学を学ぶ
今回の受講者はわたしを含めて3名です。ひとりは不動産関係の仕事をされており「ドローン活用が増えてきたので予備知識として学んでおきたい」と申し込まれたそう。
講習は「法規」と「無線工学」の2分野になります。わたしの場合は第二級取得なので1日半のスケジュールですが、第三級であれば1日ですべて修了します。
朝9時から昼休みをはさんで17時半まで、みっちりと講義が続きます。聞き慣れない単語が多く、それらを覚えるのがなかなか大変です。最初は膨大な量に戸惑いましたが、ポイントをおさえて教えてくださるので助かりました!
講師の方の解説は非常にわかりやすいので、まったく無線について知らなくても心配いりません。こちらの養成センターではときおり雑談もまじえて、とても楽しく授業を進めてくれるので、女性の方も安心して参加できます。
子どもの頃よく聞いていたラジオの「AMとFM」は周波の出し方によって区別されていることがわかり、なるほど~!と思いました。電波はわたし達の生活にとても身近なものなんですね。
試験範囲についても詳しく教えてくれたので、前日の夜に自宅で復習することもできました。そのため、実際の試験はそれほど難しくは感じなかったです。もちろん、試験は合格です!
「99%は合格」とは聞いていても、最後までほんのちょっぴり心配でした〜。よかった!
自動車免許みたいですね。会社にお願いして、新しい名刺の肩書には「第二級陸上特殊無線技士」も入れてもらいます!!!
コエテコ編集部・高橋のドローン挑戦は続く
これでドローン操縦の幅を広げるために必要な資格を得られました。今後はぜひ、産業用ドローンなども飛ばしてみたいですね。
コエテコドローン担当として、ドローンの知識も技術も兼ね添えたい、そして
「わたしの名刺にすべてのドローン資格を載せてみせる!」
これが、ひそかな目標です。これからも、少しでも皆さんの参考となるようリアルな体験談をお伝えして参ります!
今回私が受講した「無線従事者養成センター」はこちら!
ここからは、コエテコ編集部でドローンを担当しているわたしが……
講習を受けて、第二級陸上特殊無線技士の資格を取得した体験談をお話しますね!