(取材)ドローンショーを日常のエンタメに。国内最大級のドローンショー運営会社レッドクリフ代表・佐々木孔明氏

ドローンショーを日常のエンタメに。国内最大級のドローンショー運営会社 株式会社レッドクリフ 佐々木孔明さん
空撮や物流など業務ツールとしてのイメージが強いドローンですが、近年ではスポーツイベントや花火大会などに華を添えるドローンショーに注目が集まっています。東京オリンピックの開会式で、無数のドローンが光り輝きながら図形や文字を描くショーを目にした方も多いのではないでしょうか。

東京オリンピックでの撮影にも参画していたのが、日本最大級のドローンショー運営会社・レッドクリフ代表取締役の佐々木孔明さんです。「ドローンショーを日常のエンターテインメントにしたい」と考える佐々木さんに、レッドクリフ創業の経緯やドローンショーの持つ可能性などについてお話をうかがいました。

株式会社レッドクリフ代表取締役 佐々木孔明さん

人生を変えた、ドローンの可能性

ー佐々木さんがドローン事業に参入しようと考えたきっかけを教えてください。

世界最大手ドローンメーカーDJIの認定ストアの日本一号店でオープニングスタッフとして働いた経験が、業界参入のきっかけになりました。れまでは趣味として楽しんでいたドローンに対して、ビジネスとしての大きな可能性を感じたんです。

事業としてドローンに携わるきっかけとなったのはDJIでの経験でしたが、ドローン自体に興味を持ったのは、それより2年前の2014年です。当時は大学で建築士を目指して学んでいましたが「社会人になったらできないこと、学生だからこそできる挑戦をしたい」と考えるようになり、2年間休学をして海外で遊学することにしました。

その際に何か面白い記録を残したくて、最適なガジェットを探すなかで出会ったのがドローンです。SNSで見つけた“空飛ぶカメラ”というワードに強く惹かれて、自分が見る景色とは違う視点で世界を記録できるドローンと一緒に世界一周しようと決めました。案外操作も簡単で、思ったとおりの面白い記録が録れました。

世界一周中の佐々木さん。グランドキャニオンにて


1年半ほど海外で過ごして帰国し「残り半年の休学期間中に、建築士以外の仕事を経験しておきたい」と考えたときに、ドローンに関する仕事がしたいと思いつきました。ちょうどそのタイミングでDJIが日本でのオープニングスタッフを募集していて、当時使っていたドローンもDJIだったので運命的なものを感じましたね

実際にドローンを飛ばした経験がある方は少なかったようで、すぐに採用していただけました。

ーDJIのスタッフを半年経験したあとは、大学に復学されたのでしょうか?

結果的に大学は辞めて、DJI認定ストアに就職しました。 スタッフとして働くなかでドローン業界に大きな波が来ているのを感じて、今後どんどんドローン業界は発展していくのに、復学して2年後に卒業してから戻るのでは遅いと思ったんです。

DJIは日本国内の名だたる企業や海外からの顧客も多く、農業用や測量用、赤外線搭載のドローンが新たに開発されるなど、さまざまな業界や分野にドローンの活用が拡大していく様子を見て、大きな可能性を感じました

DJI認定ストアスタッフ時代の佐々木さん


DJI認定ストアでは空撮業務をメインに、ドローン導入のサポートやインストラクターを担当し、約2年間にわたってさまざまな業務に携わりました。ほどドローンが一般的ではなかった段階で、70%以上のシェアを誇る業界最大手メーカーで働けたことは、貴重な経験だったと思っています。ドローン全体の知識を幅広く身につけたうえで、自分に一番合っていると感じた空撮に特化した事業で独立することを決意し、レッドクリフを創業しました。

ドローンショーは「新たな広告媒体」

ー空撮をメインにした会社から、国内最大級のドローンショー運営会社に転身した理由とは?

新たな広告媒体として、ドローンショーには大きなビジネスチャンスがあると感じたためです。

起業当初はゴルフ場のコース撮影、テレビ番組の撮影などをおこなっていたのですが、2019年におこなわれた東京モーターショーで初めてドローンショーに携わりました。そこで500台のドローンが一斉にコントロールされ、観る人に感動を与えるショーを見て「事業のサポート的な役割を担うドローンが、主役になれるエンタメがあったのか!」と感銘を受けたんです。

ただ、そのときはビジネスとしてドローンショーをやろうとまでは思いませんでした。それまでにも東京モーターショーのような大きなイベントのオープニングでドローンショーを開催する事例はありましたが、世界的にもまだドローンショー自体が珍しい状況でしたし、費用も数千万単位でかかります。開催できても年に数回だろうと考えると、ビジネスに繋げるのは難しいだろうと判断したのです。

しかし、2020年の年末に行ったドバイの商業施設で、ドローンショーの新たな可能性に気づきました。

ドバイのドローンショー


商業施設という人が集まる場所で、何の予告もなく自然な流れで始まり、企業のロゴや立体的なアニメーションが次々と映し出されていました。しかもそれが1ヶ月間、毎日開催されるんです。ドローンショーが人々の日常に溶け込んでいる様子を見て、エンタメ要素だけでなく、広告媒体としての大きな可能性を感じました

当時、海外ではドローンショーがスタンダードになってきていましたが、日本ではまだまだという状況でした。参入するならば早いほうがいいと考え、ドローンショー運営事業を開始したのが2021年の10月です。

ー当時、日本でドローンショーがあまり開催されていなかった理由とは?

コロナ禍だったこともあり、大規模なイベントが自粛されていたのが大きな理由のひとつだと思っています。世界的には”3密を避けたエンタメ”として、コロナ禍においてもドローンショーの需要は高まっていましたが、日本では伸び悩んでいた印象です。

また、多くのドローン機体を保有する会社が少なく、物理的に開催が難しい側面もありました。ロゴやQRコード、アニメーションなどを高いクオリティで表現するには、技術だけでなく圧倒的な機体の数が重要です。そこで弊社では300機という日本最大級の機体を確保し、ドローンショー運営事業に参入しました


ーそれだけ多くの機体を一気に飛ばすには、何名のドローン操縦者が必要なのでしょうか?

もちろんショー全体の運営はチームを組んで取り組みますが、ドローンを飛ばすために必要な人員としては、ドローンショーオペレーターと呼ばれる1名だけです。事前に飛行データをプログラミングしておいて、当日はパソコンからドローンへ指示を出すだけなので、500機でも700機でもひとりで飛ばせます

花火はライバルじゃない?ドローンショーの弱みと強み

ードローンショーを安全に開催するために、気をつけていることや心がけていることを教えてください。

まずは当たり前ですが、航空法や小型無人機等飛行禁止法といった法律の遵守です。人口密集地でも事前に許可を取得すればショーの開催は可能ですが、ドローンに飛行指示を出すための電波帯は2.4GHzで、これはスマホやWi-Fiの電波帯と同じなので、多くの人が集まるイベントではドローンの周囲に電波を遮断するフェンスを設置して対処しています。

また、ドローンは飛ばす高さによって観客の立ち入りを規制する保安距離が変わるため、イベントの趣旨や会場の規模に合わせてショーをプログラムします。会場に合わせるとは言っても限界はあるので、広い敷地が確保しづらい都内近郊でのショーはハードルが高いですね。

レッドクリフでは国立競技場や横浜など都内近郊でのショー開催経験もあり、ノウハウがあるので、開催を検討されている方はご相談いただければと思います。


花火大会とコラボしたドローンショーも開催されていますが、今後はドローン単独のショーが増えていくのでしょうか

花火大会とは相性がいいので、今後も機会があれば共催していきたいです。花火にも安全に打ち上げるための保安距離があるので観客の立ち入り規制もスムーズですし、ドローンに足りない部分を補ってくれる要素もたくさんあります。例えばドローンは音がしないので、人や車が多い場所では騒音にかき消され、ショーが始まっても気づいてもらえない可能性が高いんです。しかし花火であれば、遠くで打ち上げても爆発的な輝きと音でアピールできます。

花火をきっかけに空を見上げてもらい、企業ロゴやQRコード、3Dのアニメーションなどを映し出すときには、花火よりも鮮明で空中で静止できるドローンの強みが役立ちます。花火に取って代わるのではなく、補完し合って共存していけたら嬉しいですね

広告媒体×エンタメ。ドローンショーの活用シーンを拡大する

ー国内最大の運営会社として、今後のドローンショー業界にどのように貢献していきたいと考えていらっしゃいますか?

現在はお客様からドローンショーをしたいと要望を受けて開催するパターンが多いのですが、広告媒体としての活用シーンをもっと増やしたいと考えています。話題性もあり、SNSなどでの拡散も期待できるので、スポーツイベントやお祭りなどでショーを開催する機会を拡大できれば、業界全体の発展にも繋がるでしょう。

また、ドバイで観たように商業施設や道路沿いで毎日ショーをおこなうなどの、仕組みづくりにも取り組んでいきたいです。

「毎週何曜日の何時からショーがあるから、あのお店でご飯食べよう」という感じで、ごく自然な日常のエンターテインメントとして、ドローンショーが社会に根付いていったら嬉しいです

株式会社レッドクリフ - 日本最大のドローンショー

株式会社レッドクリフは、国内最大1,000機のドローンショー運営会社です。「ポケモン GOスペシャルドローンショー」「第41横浜開港祭ドローンショー 」など実績多数!各種イベントや広告・プロモーションに幅広くご活用いただけ、人々に感動を与えることができます。ドローンショーの開催実績、料金などの詳しい情報はコチラから。

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