ドローン測量とは?メリットやデメリット、資格も解説

ドローン測量とは?メリットやデメリット、資格も解説
土地の面積や境界線、状態調査などの目的で行われる測量。最近では土木や建設現場、農業といった現場で導入が進んでいるドローンが注目されており、ドローン測量の需要も高まっています。

そこで今回は、ドローン測量の概要や手順、メリット・デメリットなどを詳しくご紹介します。ドローンの導入を考えている方は、ぜひ最後までご覧くださいね。

ドローン測量とは?

ドローン測量とは、ドローンを使用して空中から測量を行う新技術のこと。政府はドローンの利活用や技術開発を推進しており、建設や土木現場、農業、点検、災害調査、物流などあらゆる分野で続々と導入されています。

ドローン測量は、従来の測量方法に比べて精度の高さや手軽さ、効率の良さといったメリットに注目が集まっています。なお、ドローン測量の種類は以下の3つ。

  • 写真測量
  • レーザー測量
  • グリーンレーザー測量

カメラで撮影する写真測量、より精度の高いレーザー測量、川底の状況を調査できるグリーンレーザー測量の3種類を必要に応じて使い分ける必要があります。

ドローン測量の手順

ドローン測量の手順は以下の通り。

1.現地調査を行い、飛行ルートを設定する
2. 基準点を設置する
3. ドローン測量を行う
4. 測量データをソフトで解析する

では、それぞれの方法について詳しく解説していきます。

1.現地調査を行い、飛行ルートを設定する

事前に実際に足を運び、飛行エリアを確認する「踏査」を行います。特に障害物の有無や通信状況の確認は重要なポイントで、エリアによってはドローンの性能に関わらず測量できない場合があります。

ドローンを扱う際は、「飛行禁止区域だった」「飛行許可申請が必要だった」というトラブルを必ず避けなくてはなりません。地域によっては法律で飛行を厳しく取り締まられているため、闇雲にドローンを飛ばすのではなく、事前の知識習得や法律の確認が欠かせません。
出典:「航空安全:無人航空機の飛行禁止空域と飛行の方法」国土交通省

現地調査が完了したら自動操縦アプリでルートや飛行速度、高度などを設定しておきます。

2.基準点(標定点)を設置する

ドローン測量の前に、予めGCP(Ground Control Point)と呼ばれる基準点(標定点)を、地上に設置します。基準点を設置することで点群データを作成した際に相互性や誤差を確認でき、取得した情報の精度が高まります。

基準点は基本的に白黒の対空標識を用いて、測量範囲を囲むように設置します。基準点の設置数や設置場所は測量範囲や高低差によって異なるので、現地調査を行ったうえで判断しなくてはなりません。

3.ドローン測量を行う

自動飛行設定や標定点の設置などの準備が完了したら、ドローンを飛ばして上空撮影を行います。

ドローン測量では地上を連続撮影したものを繋ぎ合わせて画像処理を行います。空撮後は撮影漏れやピンボケなどが無いか、必ず確認しておきましょう。

4.測量データをソフトで解析する

測量データをソフトで解析し、撮影した写真を繋ぎ合わせて3次元点群モデルを作成します。空中写真はどうしても歪みが発生してしまうため、接合部分のズレを修正する細かい作業も大切な工程です。

納品の際は測量範囲の面積や距離、角度など必要なデータをまとめて納品します。ドローン測量後は品質や精度の検証を行い、次の測量に活かす意識も重要でしょう

ドローン測量のメリット

ドローン測量のメリットは以下の3つ。

  • 広範囲を測量できる
  • 測量にかかる時間を減らせる
  • 価格が安い
では、それぞれのメリットについて詳しく解説していきます。

広範囲を測量できる

ドローン測量なら広範囲のデータを集められます。道を選ばないので、従来は測量士が直接入れなかった場所でも安全に測量できる点も大きなメリット。飛行距離は機体の性能や障害物の多さ、バッテリーによって異なりますが、ドローンを導入すれば短時間で広範囲を測量できるようになります。

測量にかかる時間を減らせる

ドローン測量であれば短時間で測量できるため、手動の測量に比べて稼働日数を大幅にカットできます。そもそも従来は測量機器を用いて二人一組で行うことが多く、数日から数週間かけて測量した場合、長期の人材確保を要する点がデメリットでした。

ドローンを導入することでデジタルデータが抽出され、パソコン上の処理もスピーディーになります。従来のやり方に比べて圧倒的な作業効率が良くなるだけでなく、精度も高い点もメリットといえるでしょう。

価格が安い

ドローン測量を導入すると測量の自動化が可能になり、手動で測量する場合に比べて人件費を省くことができます

写真測量を行うドローン機体の価格相場は20~30万円ほどで、レーザー測量の場合は80~250万円ほどと幅広いモデルから選べます。作業効率のメリットも考慮すると、従来に比べて格安で高クオリティの測量ができると考えても良いでしょう。

ドローン測量のデメリット

ドローン測量のデメリットは以下の2つです。

  • 場所によっては撮影できない場合もある
  • バッテリーが切れたら使えない

場所によっては撮影できない場合もある

ドローンの飛行許可がない場所では撮影ができません

また、地面が樹木に覆われている場所は上空からの撮影でデータを取得するのが難しいため、あらかじめ現地に赴いて撮影できない場所を特定しておく作業が必須となります。

バッテリーが切れたら使えない

ドローン測量は機体のバッテリーが保持できる範囲でしか測量ができません。機体のバッテリー対応時間を超えて広い範囲を空撮する場合は途中でバッテリー交換を行うのも手ですが、その分手間がかかってしまいます。ドローン測量は、場合によっては大規模な撮影や地図作成には向いていないと考えられるでしょう。

なお、将来的にドローンの需要が高まるにつれ、機体自体のバッテリー機能が向上する可能性も大いに期待されます。

測量は、ドローン導入で圧倒的に効率化できる!

ドローン測量を導入することで人件費や手間を減らし、手動よりも圧倒的にスピーディーに測量できます。測量はもちろんあらゆる分野分野で広く導入化が進んでおり、一部の企業ではドローンの資格取得を推進して企業戦略を図っているケースもあるようです。

今後さらに将来性が期待されるドローン。測量を現在よりも効率化したい方は、ぜひドローン導入を検討してみてくださいね。
参考:ドローン国家資格について
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    答え 2023年現在では、ドローンを飛行させるために取得が義務付けられている免許・資格はありません。ただし、レベル4飛行(有人地帯の上空を補助者なしで目視外飛行)の際は国家資格が必要となります。

    ドローンの大きさ、飛行禁止空域などの飛行場所によっては、飛行の際に許可承認が必要となります。資格取得に向けて勉強することにより、ドローンの飛行ルール、安全運航に必要な知識が体系的に身につき、安心して利用できるようになるでしょう。詳しくはこちらの記事をご確認ください。

  • 質問 ドローンスクールに通うメリットは?

    答え ドローンスクールに通うと、ドローンの高い操縦技能や、安全運航に必要な実技の知識が身につきます。

    ドローンスクールのなかには、操縦技術を証明するための資格が取得できるものもあり、取得によって就職、転職やビジネスなどに活かせます。また、検定に向けて勉強することにより法律、気象学、力学、物理学、専門知識など、運航に必要な知識を習得できます。さらに飛行練習が10時間以上のスクールの場合、地方航空局長や空港事務所長に飛行許可を申請する際に手続きが簡略化され、飛行許可申請の一部が免除となるなどのメリットがあります。

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    具体的には、空港周辺、人口集中地区、地上150m以上の空域で飛ばすには、特別な許可が必要となります。また、仮に許可のある場合でも、緊急用務空域での飛行は規制されています。

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  • 質問 ドローンの資格にはどのようなものがありますか?

    答え 民間によるドローンの認定資格では、ドローンや飛行に必要な法律、気象などに関する基礎知識、操縦技術、安全運航に必要な知識などを試験によって認定しています。

    ドローンの資格には、実技/座学に関するものがあり、実技では、中国のドローンメーカーによる認定資格DJI、日本全国にありもっとも古くから存在するJUIDA、JUIDAに次いで認定スクールの多いDPAの3つが主要資格です。座学では、ドローン検定がもっとも有名です。それぞれの資格を取得するためには特定のカリキュラムを修了するか、テキストを読み込んで知識を身につけ、認定試験に合格する必要があります。

  • 質問 100g未満のドローンなら、どこでも飛ばしてOKなのですか?

    答え 100g未満を含むドローンは、航空法により飛行禁止区域が定められています。100g未満のドローン飛行には、民法や道路交通法、公園条例、重要文化財保護法などの適用を受けるため、それらの法律に沿って飛行させる必要があり、どこでも飛ばすことはできません。

    ドローン飛行の際には、飛行してもよいエリアかどうか事前に確認しておく必要があります。もし、飛行禁止区域かわからない場合は、警察署へ事前に通報書を届け出ることでドローン飛行の可否が確認できますので、ぜひお試しください。

  • 質問 子どもが通えるドローンスクールはありますか?

    答え 近年では、子ども向けのドローンスクールも増えています。

    子ども向けのスクールでは、安全のために常にメガネを着用したり、ドローンの中でも小型で、ビギナーでも操縦しやすいトイドローンを利用したり、1回あたり1人のみが飛ばす(同時に何台も飛ばないようコントロールする)など、安全性への配慮が徹底されているため、安心して学ぶことができます。

    また、子ども向けのドローンスクールの中には、プログラミング授業と組み合わせて学べる「ドローンプログラミング教室」などのスクールもあります。