ドローンの国家資格・免許制度とは?取得にかかる費用やどれがいいのか解説

2022年にドローンの国家資格が認定されました。これにより、日本のドローン産業はますます発展するとともに、民間資格の在り方も変化しています。

今回はドローン国家資格や免許について詳しく解説します。ドローンを操縦したことが無い人やドローンの資格でどれがいいのか悩んでいる人はぜひ最後までご覧ください。

2022年の12月よりドローンの免許は国家資格へ

国土交通省 今後の進め方の図
出典:国土交通省「レベル4の実現に向けた新たな制度整備等」

2022年12月5日より、ドローンの国家資格制度が開始されました。それまでドローンの資格は民間資格のみでしたが、国家資格導入以降はドローン操縦のための操縦ライセンスや機体認証が必要になりました。新たな資格や基準を設け、「有人地帯(第三者上空)での補助者なし目視外飛行(レベル4飛行)」が解禁されています。

さらに以下のような共通運行ルールも重要視されるようになります。
  • 飛行計画の通報
  • 飛行日誌の作成
  • 事故報告の義務
  • 救護義務
  • 運航形態に応じた安全対策、保険への加入を確認(レベル4飛行)
ドローンの飛行はレベル1からレベル4までの規定があり、ルールの整備によって年々ドローンの活動範囲が広がっています。日本はドローン産業発展を推進しており、身近な分野でドローンが幅広く活用されるようになりました。

参考:首相官邸 小型無人機に係る環境整備に向けた官民協議会(第17回)
出典:国土交通省 航空法改正案

9月に国土交通省より
「無人航空機操縦者技能証明に関する法体系」が公開

2022年9月に国土交通省は無人航空機操縦者技能証明に関する法体系を公開した後、2022年12月5日に航空法改正が施行されました。

無人航空機操縦者の技能を証明する国家資格の試験内容や教則の具体案は2022年7月に公開されており、2022年9月から登録講習機関の事前登録申請受付が開始しました。

参考:国土交通省(無人航空機操縦者技能証明に関する法体系 )

ドローンの国家資格導入、民間資格はどうなった?

国が認定する民間資格を取得することで国土交通省への許可申請が一部免除され、スムーズに飛行許可を取得できるようになりました。また国家資格ができたからといって、民間資格が廃止になることはないでしょう。国の登録を受けた民間団体の技能証明を修了している場合、国家資格取得に必要な実地試験が免除可能になることがメリットです。

免許・国家資格取得までの流れ

ドローンの国家資格は座学と技能証明の試験によって取得することができます。
  • 学科・実地講習(登録講習機関にて)
  • 指定試験機関で身体検査、学科試験、実地試験
  • 技能証明書交付
学科と実地講習は民間団体が運営するドローンスクールのうち国が認めたスクールでの講習が対象です。講習を受講したあとに学科試験と実地試験を行います。すでに技能講習を受けている人は実地試験が免除されるため、予約が殺到する前に技能講習を受けておくのもおすすめです。


試験内容 受験必要時間
1等無人航空機操縦士 ・70問(操縦者の行動規範、関連規則、運航、安全管理体制、限定に係る知識) 初学者:78時間以上
経験者:26時間以上
2等無人航空機操縦士 ・50問(1等よりも難易度は低め) 初学者:25時間以上
経験者:9時間以上

国家取得に必要な費用・料金

ドローンスクールによって必要な費用は異なりますが、1等無人航空機操縦士の相場は70~115万円、2等無人航空機操縦士は30~50万円ほどとなっています。

また、既に民間資格を持っている経験者は、有資格者料金の対象になるため、1等無人航空機操縦士では40万円前後、2等無人航空機操縦士では15万円前後で受講できるスクールもあります。

ドローン操縦ライセンス制度創設の背景

出典:国土交通省
国土交通省の調べにもある通り、ドローンの飛行許可申請は年々増加傾向となっています。多岐に渡りドローンを活用できる環境を整備するために、ドローン操縦ライセンス制度は創設されました。

ライセンスを取得することで、これまでには飛行できなかった「高リスク飛行」が可能となることが特徴です。それに伴い、大規模なイベントやスタジアムのスポーツ中継、山間部での食料品の配送プロジェクトなども積極的に行われています。
参考:PR TIMES

ドローンを飛ばすためには必ず免許や資格が必要なわけではない

ドローンを飛ばしたいと考えている方は、必ず免許や資格が必要になるのか、気になりますよね。ここでは、ドローンを飛ばすためのルールや免許・資格について紹介します。

飛行が規制された領域でドローンを飛ばす場合は国土交通省の飛行許可が必要

ドローンを飛ばす際に免許や資格は必要ありません。運行ルールに従って個人でドローンを飛ばすことは許可されています。しかしドローンの飛行には法律や条例で定められた細かいルールがあるため、飛行が規制された領域でドローンを飛ばす際は国土交通省の飛行許可が必要です。このとき国が認定する民間団体の検定や資格に合格している場合は飛行許可手続きが簡素化されます。
コエテコドローンで取材した、バウンダリ行政書士法人代表の佐々木氏も以下のように仰っています。
行政書士としていろいろな相談を受けていると、街中や夜に飛ばしてはいけないことを知らない人が結構な数でいらっしゃることに気づきます。

これら(※飛行規制区域)の場所や方法でドローンを飛行させたい場合には、国交省へ飛行申請を行い、許可を得ることが必要になります。なので、ドローンを飛ばしたいと思ったときは、まず飛ばしたい場所が許可を必要とする場所なのかを調べなければならないというわけです。

バウンダリ行政書士法人代表 佐々木慎太郎氏

出典:(専門家が解説)航空法改正、ドローンは登録必須に!注意したいポイントを専門家が解説

民間団体が発行するライセンスを保有する場合はレベル3の飛行まで可能

ドローンは飛行方法や飛行場所に応じて、以下のように飛行レベルが定められています。民間団体が独自のライセンスを発行している資格を保有している場合は、従来通りレベル3までの飛行は可能となります。

レベル1 目視内での操縦飛行(マニュアル操作)
レベル2 目視内での自動・自律飛行(オートパイロット)
レベル3 無人地帯での目視外飛行(補助者の配置なし)
レベル4 有人地帯(第三者上空)での目視外飛行(補助者の配置なし)

出典:国土交通省

ドローンの免許・国家資格制度導入による影響

ドローンに免許や国家資格制度が導入されることで、どのような影響があるのか疑問に思うパイロットもいるでしょう。ここでは、ドローンの免許や国家資格制度が導入されたことによる影響について詳しく解説します。

ドローン免許保有者のみレベル4飛行が可能

ドローン免許におけるレベル4とは、有人地帯の上空を補助者なしで目視外飛行することを指します。2022年9月時点では、日本でレベル4のドローン飛行を行えません。そこで、レベル4飛行できるドローンパイロットの育成を目指し、操縦ライセンスが国家資格化されることとなりました。

ドローン資格が国家資格化されることで、ビジネスシーンにおけるスキルの証明となります。そのため、ビジネスシーンでドローンを活用したい場合は、国家資格の取得を目指したいですね。さらに、国土交通省の許可申請が一部省略できるなどのメリットもあります。
参考:PR TIMES

国の登録を受けた「登録講習機関」でのみ技能証明を受けられる

制度改正が行われると、国の登録を受けた「登録講習機関」でのみ技能証明が受けられるようになります。登録講習機関の知識講習や技能講習は、国によって厳しく管理されるようになることが予定されています。

さらに、試験の内容も国が指定した法人が作成した問題に統一されることが決められています。なお、学科試験の問題数は「一等操縦ライセンス」が70問、「二等操縦ライセンス」が50問です。

ドローンの技能証明を目指しドローンスクールに入会する場合には、登録講習機関であるかを確認することが重要です。
参考:PR TIMES

ドローンの国家資格を取得する方法・取り方

出典:無人航空機操縦士試験
ドローンの国家資格は、指定試験機関に試験を受けに行くか登録講習機関で講習を受けた後に試験を受ける2通りの方法があります。イメージとしては、自動車の運転免許を取得する方法と似ているといえるでしょう。

指定試験機関とは、「一般財団法人 日本海事協会」を指します。指定試験機関では学科試験・実地試験・身体検査(視力・色覚・聴力検査等)の3つが実施されますが、登録講習機関で講習を受けた修了生は実地試験を免除されることがポイントです。

なお、試験科目は以下の4種類となっています。
  • 昼間飛行+目視内飛行
  • 最大離陸重量25kg以上の無人航空機
  • 夜間飛行
  • 目視外飛行

学科試験は三肢択一式となっており、一等資格が70問、二等資格が50問出題されます。スムーズにドローンの国家資格を取得しやすいのは、登録講習機関を利用する方法です。
参考:ドローンキャンプ

民間のドローン免許・認定資格を取得する方法・取り方

ここでは、ドローン免許・認定資格を取得するための3つのステップを紹介します。

取得希望のドローンスクール・認定校を探す

取得したいドローン資格が決まったら、資格を取得できるコースがあるスクール・認定校を探してみましょう。受講料や自宅からのアクセスなどを比較し、通いやすいドローンスクールを見つけたいですね。説明会や無料体験などを利用すると、校舎や授業内容などの雰囲気をつかみやすいでしょう。

講座を受講し知識や技術を身につける

通いやすいドローンスクールが見つかったら、講座を受講してドローンを飛行させるための知識や技術を学習します。「〇〇の機体を所持していること」「〇〇の資格を有していること」など、講座によっては受講対象が定められているため、注意したいですね。授業は、座学講習と実技講習を数日間かけて行われることが一般的です。

検定試験を受ける

講習を修了すると、検定試験が実施されます。試験では、筆記試験やデモフライトなどが行われます。多くのスクールでは講座の直後に試験が行われるため、学習した内容をしっかりと身に付けておきたいですね。 

ドローン操縦に関連する民間資格はどれがいい?

民間団体によるドローン関連の検定や資格を紹介します。続々とドローンにまつわる法整備が進められているなか、ドローンの民間団体やスクールの需要も高まっています。趣味でドローンを飛ばしたいという人にもおすすめです。

試験概要や費用などを比較して、目的に合った検定を受験しましょう。

ドローン検定

一般社団法人 日本ドローン協会(JDA)は教育や防災、スポーツや映像編集など幅広い分野でドローンの活用を支援している団体です。国土交通省の認定内容に沿ったカリキュラムをベースに以下の技能認定を行っています。
  • UAV 3級操縦士技能証明(国交省認定資格)
  • UAV 2級操縦士技能証明(国交省認定資格)
  • UAV 1級操縦士技能証明(国交省認定資格)
  • JDAインストラクター証明(JDA認定資格)
UAVは原則3級から受講可能で、2級・3級では学科・実技の両方で講座が行われています。3級の費用は88,000円で、学科のみであれば22,000円でオンライン受講が可能です。他にもドローンの操縦体験会やドローンレンタルも行っているので、未経験者の方でも挑戦しやすいでしょう。

学科 料金 (実技+学科) 料金 (実技のみ)
UAV 3級操縦士 88,000円
UAV 2級操縦士 110,000円 88,000円
UAV 1級操縦士 88,000円
JDAインストラクター 165,000円
学科のみ 22,000円 

DJI CAMPスペシャリスト

DJI CAMPスペシャリストはドローンの大手メーカーDJI JAPANが認定している民間資格です。DJI製ドローンをより適切に操縦するパイロットを認定する企業向けプログラムで、10時間以上の飛行経験があることが受講条件です。DJI CAMP認定資格を取得すると「DJI無償付帯賠償責任保険」や「DJI賠償責任保険」などのDJI公認ドローン保険が割引きになるメリットがあります。

受講費用はキャンパスによって異なりますが、55,000~110,000円が目安です。2日間にわたる座学講義・筆記試験・実技試験が行われます。

項目 費用
基本受講費 66,000円(税込)
オプション受講費 33,000円〜66,000円(税込)
テキスト代 3,300円(税込)
認定証・カード発行料 16,500円(税込)
受講期間 2日間
認定書発行費用 16,500円(税込)
資格更新料 有償化予定
受講条件 ドローンの飛行経験が10時間以上ある方
※受講費用は各キャンパスにより変動あり

IAU無人航空機技能認証

最先端の国産AIドローン及び講習プランの開発を行っている一般社団法人国際無人航空機協議会(IAU)では、以下の資格を認定しています。
  • 無人航空機操縦技能認証
  • 無人航空機安全運航管理責任者認証
無人航空機操縦技能認証は認定スクールを修了していることが条件で、合格後は18歳以上であれば無人航空機安全運航管理責任者認証を申請することができます。認定スクールのNBドローンスクールの場合、ビジネスコース(免許発行コース)の費用は一括払いで248,000円です。カリキュラムではオンラインの座学と2日間の実技フライトを受講します

受講コース 料金
ビジネスコース (免許発行コース) 248,000円(税込・一括払い)
※分割は21,000円(税込)×12回払い
受講期間 2日間
認定書発行費用 調査中
資格更新料 調査中
受講条件 操縦技能認証:16歳以上、IAU認定スクール修了者
安全運航管理責任者認証:18歳以上、操縦技能認証資格保有者であること
※『無人航空機安全運航管理責任者認証』は操縦技能認証資格保有者かつ18歳以上であれば発行可能。(IAU認定スクール修了1か月以内)

無人航空機操縦技能証明証

一般社団法人日本UAS産業振興協議会(JUIDA)は2015年に日本ではじめて安全運航管理者養成の認定スクール制度を開始しました。
  • 無人航空機操縦技能証明証
  • 安全運航管理者証明証
  • 無人航空機安全運航管理者証明証
認定スクールを修了すると無人航空機操縦技能証明証を取得することができ、高度な講習の受講や飛行業務の履歴がある場合は安全運航管理者証明証の取得も可能です。安全運航管理の知識やリスクアセスメントを習得している操縦士は無人航空機安全運航管理者証明証の申請をすることでより専門性を高めることができます。

費用は認定スクールによりますが全国平均では250,000円前後です。JUIDAへ資格申請をする場合は別途入会金や講習費用が必要です。

項目 料金
JUIDA認定スクールの受講費用 200,000円~250,000円(税込)
資格申請費用 22,000円(税込)
年会費 5,000円(税込)
受講期間 4日間
受講条件 16歳以上(未成年者は親権者の同意書が必要)
※上級の講習修了により、安全運航管理者証明証の取得が可能。

DPA(一般社団法人ドローン操縦士協会)

ドローン操縦にまつわる知識の普及や調査研究を行っている一般社団法人ドローン操縦士協会(DPA)では以下の資格を認定しています。
  • ドローン操縦士 回転翼3級
  • ドローン操縦士 回転翼3級 インストラクター
産業利用を前提としたDPA独自のカリキュラムで、高度な操縦技能を習得することができます。技能講習は少人数制で、バック円形飛行など高度な技術を含む訓練を行います。常設の施設があるため天候に関わらず受験することができるのも人気の理由の一つでしょう。

費用は各地の認定校によって異なります。ドローンスクール東京 お台場本校の場合「回転翼3級コース」の受講でかかる費用は275,000円で、受講修了までの最短日数は3日です。

項目 料金
スクール講習 175,000円(税込)~275,000円(税込)
技能認定料 25,000円(税込)
技能会員証発行手数料 12,000円(税込)
コース ・ドローン操縦士回転翼3級
・ドローン操縦士回転翼3級インストラクター
受講期間 3日間
受講条件 ・ドローン操縦士回転翼3級:15歳以上、視力、色覚、身体要件あり
・ドローン操縦士回転翼3級インストラクター:18歳以上、視力、色覚、身体要件あり
※講習費はスクールによって異なる

JUIDA操縦士技能

一般社団法人日本UAS産業振興協議会が認定しているのは、JUIDA操縦士技能です。資格には、以下の2種類があります。
  • 無人航空機操縦技能証明証
  • 無人航空機安全運航管理者証明証
上記の資格は、JUIDA認定スクールの科目を修了した操縦士のみが取得できます。JUIDA認定スクールは全国に300校以上開校しているため、幅広い地域で取得しやすいドローン資格の1つです。

証明証は交付日から2年後に失効するため、更新を忘れないようにしましょう。国家ライセンス施行後は、「JUIDAライセンス」を保有していることで「国土交通省への飛行許可・承認」に利用できることがメリットです。

項目 料金
スクール講習
200,000~250,000円
技能認定料
22,000円
技能会員証発行手数料
5,000円
コース
・無人航空機操縦技能
・無人航空機安全運航管理者
受講期間
3~4日間
受講条件
・無韻航空機操縦技能:16歳以上
・無人航空機安全運航管理者:18歳以上、操縦技能証明証保持者
※講習費はスクールによって異なる

ドローン操縦に関連する民間資格の取得にかかる費用相場

ドローンの民間資格の取得にかかる費用相場は、200,000円前後といわれています。初心者向けの資格では10,000~150,000円、上級者向けでは250,000~350,000円ほどが費用相場だといえるでしょう。

格安で受講できるスクールもありますが、「実際に受講したら、お試しコースのみ」というケースもあるため注意したいですね。なお、安さで資格を選択するのではなく、目的やビジネス用途などに合わせて選ぶことがポイントです。

ドローンの民間資格を取得するメリット

ドローンの民間資格を取得するメリットは、以下の通りです。
  • 国土交通省への航空法飛行禁止区域での飛行許可・申請を受けやすい
  • ドローンに関する法律の正しい知識・技術を習得できる
  • 10時間以上の飛行経験ができる
上記のほかにも、ドローンを安全に運航できる技能を有する証明にもなります。そのため、ビジネスシーンでドローンを飛ばしたい場合には、民間資格を取得しておくことでクライアントにアピールすることも可能です。

ドローンの民間資格を取得するデメリット

ドローンの民間資格を取得するデメリットは、以下の通りです。
  • 高額な費用がかかる
  • 資格を取得しても仕事につながるとは限らない
  • 飛行する範囲や目的によって国家資格が必要になるケースがある
なお、国家資格においては、25kg以上の機体・夜間飛行・目視外飛行などが限定項目となっています。そのため、夜間飛行や目視外飛行などを目的に資格を取得するなら、国家資格の取得を目指した方が賢明でしょう。

25kg以上の機体は、運送や農業などで活用されることが一般的です。25kg以上の機体は安全性を確保することが難しく、事故につながる可能性が高いため国家資格の限定項目になっています。

資格・免許制度開始前にドローンスクールにてライセンスを取得することもおすすめ

2022年12月に開始される国家資格・免許制度までにドローンスクールでライセンスを取得しておくのもおすすめです。ここでは、ドローンスクールについてや、ドローンスクールで取得できるライセンスについて解説します。

ドローンスクールとは

ドローンスクールは民間団体が運営するもので公的な資格ではありませんが、国土交通省の飛行許可を取得したい場合や初心者がはじめて操縦する場合はスクールを利用して操縦ルールを把握しておきましょう。資格によっては座学と実技の両方を受講する必要がありますが、コースによっては短期間または週末のみなど、生活スタイルに合った方法でカリキュラムを修了できます。

ドローンスクールでは受講者のレベルに合ったコースを用意している場合もあるため、初心者向けやビジネス向けなど自分の目的に合ったカリキュラムを選択しましょう。いずれの場合もさまざまな法令や条例を網羅的に理解しておくことで事故や違反を防ぐことができます。またスクールが発行している合格証やバッジを所持することで周辺の理解を得やすくなるというメリットもあります。

ドローンの民間ライセンスを更新することで国家資格への移行が可能

ドローンスクールで取得した民間ライセンスは、更新することで国家資格に移行することが可能です。国家資格化される前にドローンライセンスを取得していれば、国家資格となった後に試験及び講習の一部免除が受けられます

つまり、ドローンの民間ライセンスを取得している人にとっては、低コストで国家資格を受講できることがメリットだと言えるでしょう。

ドローン関連の仕事

ドローンに関する仕事に携わりたいなら、ドローン関連の仕事内容を理解しておきたいですね。ここでは、ドローンの操縦や開発に関わる仕事について詳しく説明します。

ドローンを操縦する仕事

ドローンを操縦する仕事には、以下のような種類があります。
  • ドローン測量技術者
  • 農業用ドローン操縦士
  • 水中ドローン操縦士
  • 空撮カメラマン
  • インフラ・建物点検操縦士
  • ドローンスクールの講師

それぞれの業務によって必要となる飛行スキルは異なりますが、年収は300~600万円前後となることが一般的です。空撮カメラマンの場合は、撮影した映像の編集までを担うケースもあります。

ドローンの開発に関わる仕事

ドローン開発に関わる仕事は、ドローンエンジニアが担います。ドローンエンジニアはドローンの制御プログラムや機体部分を開発し、実装・検証までを行います。自律飛行を行う場合は、飛行中の挙動をプログラミングすることもあります。

ドローンエンジニアの人手は不足しており、今後も需要が高まる分野の1つであると予測されています。
参考:DORONE SCHOOL NAVI

ドローン飛行にかかる法規制一覧

ここでは、ドローン飛行にかかる法規制を解説します。ドローン運航時に必要となる知識であるため、必ず抑えておきたいですね。

航空法

航空法では、ドローンの飛行禁止空域や飛行方法などを定めています。航空法に違反すると、50万円以下の罰金となるため注意が必要です。2022年6月20日より、規制対象は100g以上に変更されています。

ドローン飛行禁止空域は、以下の通りです。
  • 150メートル以上の高さの空域
  • 空港周辺の空域
  • 緊急用務空域
  • 人または家屋の密集している地域
上記の空域でドローンを飛行させるためには、国土交通大臣の許可が必要です。人口集中空域を調べる際には、国土地理院の「地理院地図」を参考にすると良いでしょう。
参考:国土地理院

小型無人機等飛行禁止法

小型無人機等飛行禁止法は、国会議事堂や原子力事業所などの重要施設の周辺地域を飛行禁止空域と定めている法律です。ドローンのほかにも、ラジコン飛行機や気球、ハンググライダーなどが規制の対象となります。

重要施設だけではなく、米国大統領の来日時のイベントなどが催される際には、大統領の宿泊施設周辺が飛行禁止エリアとなるケースもあります。小型無人機等飛行禁止法に違反すると、1年以下の懲役または50万円以下の罰金に処せられます。

民法

民法では、他人の土地におけるドローンの飛行について定めていることが特徴です。所有地のなかには山林や神社仏閣、観光地などが含まれます。 所有地の上空をドローンで無許可で侵入してしまうことは、民法第709条の不法行為にあたります。

所有地でドローンを無許可で運航させた場合、損害賠償請求を受けるケースがあります。そのため、所有地でドローンを飛行させる際には、事前に承諾を得ることが重要です。

電波法

電波法では、ドローン運航における「技適マークの有無」と「使われている周波数帯」について定めています。技適マークとは、日本国内の電波法に適合したことを証明するマークを指します。技適マークのない機体は、海外から輸入したドローンに多くみられます。

ドローンに使われている一般的な無線電波帯は、以下の通りです。
  • 2.4Ghz帯
  • 5.7Ghz帯
  • 5.8Ghz帯
2.4Ghz帯では許可が必要ありませんが、5.7Ghz帯と5.8Ghz帯では無線局の開局手続きと資格が必要です。5.7Ghz帯は運送や農業などの大型の作業用ドローンなどで用いられ、5.8Ghz帯はドローンレースで多く利用されます。

産業向け5.7Ghz帯なら「第三級陸上特殊無線技士」が必要となり、FPV向け5.8Ghz帯では「第四級アマチュア無線技士」の資格が必要です。

道路交通法

道路交通法76条では、ドローンに関連する法律が定められています。まず、道路を占領してドローンを飛行させるためのセッティングを行う行為は道路交通法違反となります。ほかにも、道路でドローンを離発着させるために半径5m以上にわたり道路を占領する行為や、道路上の4.1m以下で飛行する行為も違反に含まれます。

歩道や路肩をドローンの離発着に利用したい際には、道路使用許可の申請を行うようにしましょう。また、高速道路の上空や交通量の多い幹線道路なども、ドローンが落下するトラブルを考慮して飛行させないよう注意が必要です。

都道府県・市町村条例

都道府県や市町村条例は、それぞれの地域によって異なるため、ドローンを飛行させる前に必ず確認しましょう。特に、市町村や都道府県が管理する場所でドローン運航したい場合は、許可を取る必要があるかチェックしておきたいですね。

ドローンの資格・免許を取得して操縦士としての市場価値を高めよう

ドローンの資格取得は必須ではありませんが、取得することで飛行許可申請を簡素化したり本格的な実技訓練を受けることができたりといったメリットがあります。ドローンの操縦スキルをビジネスで運用していきたいという場合は、資格証があることで周辺住民や営業先の理解を得やすくなります。

また2022年以降はドローンの操縦における国家資格制度が発足する見込みです。民間資格の取得によって国家資格に必要な講座が一部免除されるため、今のうちから民間資格を取得しておくのも良いでしょう。スクールや資格によって費用や期間が異なるため、自分に合ったカリキュラムを選ぶことが大切です。
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  • 質問 ドローンを操縦するには、資格が必要ですか?

    答え 2023年現在では、ドローンを飛行させるために取得が義務付けられている免許・資格はありません。ただし、レベル4飛行(有人地帯の上空を補助者なしで目視外飛行)の際は国家資格が必要となります。

    ドローンの大きさ、飛行禁止空域などの飛行場所によっては、飛行の際に許可承認が必要となります。資格取得に向けて勉強することにより、ドローンの飛行ルール、安全運航に必要な知識が体系的に身につき、安心して利用できるようになるでしょう。詳しくはこちらの記事をご確認ください。

  • 質問 ドローンスクールに通うメリットは?

    答え ドローンスクールに通うと、ドローンの高い操縦技能や、安全運航に必要な実技の知識が身につきます。

    ドローンスクールのなかには、操縦技術を証明するための資格が取得できるものもあり、取得によって就職、転職やビジネスなどに活かせます。また、検定に向けて勉強することにより法律、気象学、力学、物理学、専門知識など、運航に必要な知識を習得できます。さらに飛行練習が10時間以上のスクールの場合、地方航空局長や空港事務所長に飛行許可を申請する際に手続きが簡略化され、飛行許可申請の一部が免除となるなどのメリットがあります。

  • 質問 ドローンを飛ばすには、どのような許可が必要ですか?

    答え ドローンの飛行許可は、100g以上の場合は航空法が適用されます。
    具体的には、空港周辺、人口集中地区、地上150m以上の空域で飛ばすには、特別な許可が必要となります。また、仮に許可のある場合でも、緊急用務空域での飛行は規制されています。

    さらに、(A)夜間飛行、(B)目視外飛行(操縦者がドローンを目視できない状況での飛行)、(C)30m未満の飛行、(D)イベント上空飛行、(E)危険物輸送、(F)物体投下を行うには、地方航空局長の承認を受ける必要があります。

  • 質問 ドローンの資格にはどのようなものがありますか?

    答え 民間によるドローンの認定資格では、ドローンや飛行に必要な法律、気象などに関する基礎知識、操縦技術、安全運航に必要な知識などを試験によって認定しています。

    ドローンの資格には、実技/座学に関するものがあり、実技では、中国のドローンメーカーによる認定資格DJI、日本全国にありもっとも古くから存在するJUIDA、JUIDAに次いで認定スクールの多いDPAの3つが主要資格です。座学では、ドローン検定がもっとも有名です。それぞれの資格を取得するためには特定のカリキュラムを修了するか、テキストを読み込んで知識を身につけ、認定試験に合格する必要があります。

  • 質問 200g未満のドローンなら、どこでも飛ばしてOKなのですか?

    答え 200g未満を含むドローンは、航空法により飛行禁止区域が定められています。200g未満のドローン飛行には、民法や道路交通法、公園条例、重要文化財保護法などの適用を受けるため、それらの法律に沿って飛行させる必要があり、どこでも飛ばすことはできません。

    ドローン飛行の際には、飛行してもよいエリアかどうか事前に確認しておく必要があります。もし、飛行禁止区域かわからない場合は、警察署へ事前に通報書を届け出ることでドローン飛行の可否が確認できますので、ぜひお試しください。

  • 質問 子どもが通えるドローンスクールはありますか?

    答え 近年では、子ども向けのドローンスクールも増えています。

    子ども向けのスクールでは、安全のために常にメガネを着用したり、ドローンの中でも小型で、ビギナーでも操縦しやすいトイドローンを利用したり、1回あたり1人のみが飛ばす(同時に何台も飛ばないようコントロールする)など、安全性への配慮が徹底されているため、安心して学ぶことができます。

    また、子ども向けのドローンスクールの中には、プログラミング授業と組み合わせて学べる「ドローンプログラミング教室」などのスクールもあります。