建物におけるタイルの浮きやひび割れの点検でドローンを導入するメリットとデメリットとは?

建物におけるタイルの浮きやひび割れの点検でドローンを導入するメリットとデメリットとは?
建物の外壁点検にドローンを導入することで、数多くのメリットがあります。ドローンスクールでは、外壁調査に特化したコースを用意しているスクールもあるため、外壁点検の事業でドローンを導入したい方はチェックしておきたいですね。

また、外壁調査でドローンを活用する際のメリットやデメリットなどを把握しておくことも重要です。この記事では、建物の外壁点検の方法やドローンを導入するメリット・デメリットなどについてわかりやすく紹介します。

建物のタイルの浮きやひび割れの原因

外壁調査に携わる際には、まずは建物のタイルの浮きやひび割れの原因を抑えておきたいですね。建物のタイルの浮きやひび割れの原因は、以下の通りです。

  • 地震による建物の変形
  • 基礎の沈下や外壁の傾き
  • 下地のモルタルや躯体コンクリートの膨張や収縮
  • 鉄筋のサビ
  • 雨や紫外線による経年劣化
  • タイルの施工不良
  • タイル・コンクリート・シーリングの温度差
  • タイル・ひび割れの凍結・融解
  • 外壁表面への強い衝撃

上記のように、経年劣化や自然災害によって外壁タイルはひび割れが生じやすいものだといえます。なお、施工5年以内ならタイルの浮きや滑落は0%、5年超10年以内なら3%以上、10年超15年以内では5%以上といわれています。

そのため、建物の管理者にとって定期的に建物の外壁調査を行うことは、重要な業務の1つだといえるでしょう。

外壁調査に関する法律

外装仕上げ材等におけるタイル、石貼り、モルタル等の劣化及び損傷箇所の外壁調査に関しては、平成20年に定められた建築基準法第12条で以下のように定められています。
おおむね6ヶ月から3年以内に一度の手の届く範囲の打診等に加え、おおむね10年に一度、落下により歩行者等に危害を加えるおそれのある部分の全面的な打診等を行うこととされています。

引用:国土交通省
上記の調査対象には、タイル貼りや石貼り、ラスモルタルなどが含まれます。なお、全面打診調査を行うべき範囲は、「落下により歩行者等に危害を加えるおそれのある部分」とされています。

具体的には、当該壁面の前面かつ当該壁面高さ概ね2分の1の水平面内に、公道、不特定または多数の人が通行する私道、構内道路、広場を有する箇所を指します。

外壁調査を実施する重要性

外壁調査を行う最たる目的は、事故の未然予防が挙げられます。高層マンションから外壁タイルが落下すれば、人身事故が起こる恐れもあります。定期的に外壁調査を行っていれば、このような事故を防げる点がメリットだといえるでしょう。

外壁調査の実施結果と報告書は、事故が起こってしまった際の重要な資料となります。また、建設基準法第101条では、「適切なタイミングで外壁調査を行わなければ100万円以下の罰金に処する」と定められています。

建物のタイルの浮きやひび割れの調査方法

建物のタイルの浮きやひび割れの調査には、大きく分けて打診調査と赤外線調査の2種類があります。ここでは、打診調査と赤外線調査の特徴をそれぞれ解説します。

打診調査

打診調査とは、テストハンマーで直接壁を叩いて音を聞き分け状況を調査する方法を意味します。打診した際の音の高低で、壁の浮いている箇所や損傷箇所を発見することができます。調査員が目視しながら触診と打診を行うことで、腕前次第では精度が高い調査を行うことが可能です。

ドローンによる赤外線調査

ドローンによる赤外線調査では、外壁タイルやモルタルが浮いている箇所を赤外線サーモグラフィで測定して調査を行います。赤外線サーモグラフィを活用することで、目視ではわからない外壁タイルの浮きを早期に発見できます。その結果、建物の修繕を早期に行うことが可能になります。

建物の外壁調査にドローンを活用するメリット

ここでは、建物の外壁調査にドローンを活用するメリット4選を解説します。

調査の時間短縮

外壁全面の打診調査を行った場合、一般的には半月から1カ月程度かかることが一般的ですが、ドローンの赤外線カメラによる調査では1日以内に調査を終えることが可能です。人員を最小限に抑えて効率的に調査できるため、ドローンは外壁調査に広く導入されるようになりました。

コストの大幅削減

ドローンを外壁調査に活用することで、足場の設置やゴンドラの組み立ては不要になります。人員コストも削減できるため、外壁調査のコストを大幅に削減させることが可能です。ドローンを利用すれば、外壁調査は一平米あたり150~450円程度で調査できます。

安全性の向上

高所作業が不要となるため、作業員の安全を確保できることがメリットの1つです。高所作業では転落事故のリスクが伴いますが、ドローンを活用することでリスクを最小限に抑えることが可能になります。ドローンを飛行させる際には飛行範囲に人が立ち入らないようにすることで、さらに安全運用できるでしょう。

壁面や入居者への負担を最小限にできる

打診調査を行えば、壁面に多少のダメージを与えることは避けられません。劣化が進行していれば、打診の影響によりタイルが剥がれ落ちてしまうケースも。その点、ドローンを活用すれば壁面にダメージを与えることなく調査することができます。また、短時間で調査を終えられることで、入居者への負担も最小限にできる点がメリットです。 

建物の外壁調査にドローンを活用するデメリット

ここでは、建物の外壁調査にドローンを活用するデメリット3選について解説します。

温度変化がない場合はタイルの浮きを判別できない

赤外線カメラを利用した外壁調査では、温度の違いによって外壁の異常を探すことが特徴です。そのため、温度変化がない環境下やまったく日が当たらない壁面では、外壁調査を行えないケースもあります。適切に外壁調査を行うためには、天候や立地、環境条件などの専門知識を有する専門スタッフが必要となります。

天候に左右されやすい

外壁は乾いていないと調査することはできず、ドローンは雨天や強風時では飛行できません。そのため、ドローンによる赤外線調査は天候に左右されやすい点がデメリットだといえます。天候や風速を踏まえたうえで、適格にスケジューリングを行うことが重要です。

建物の立地によっては飛行できない

100g以上のドローンは小型無人機等飛行禁止法によって、国会議事堂や原子力事業所、国の重要な施設などの周辺では飛行させることが禁じられています。また、航空法においては、人口集中地域や空港等の周辺、地表面から150m以上の高さを飛行させる際には、事前に申請の許可を得る必要があります。

外壁調査のスキルが習得できるドローンスクール

ここでは、コエテコが厳選する外壁調査のスキルが習得できるドローンスクールについて紹介します。

Drone Biz School東京校

出典:Drone Biz School東京校
完全マンツーマンでドローンのスキルが習得しやすいのは、Drone Biz School東京校です。国土交通省認定のカリキュラムが採用されているから、ドローンの最新知識とスキルを身に付けられることがメリット。

就活バックアップも手厚いため、外壁調査の案件を取得したい方に向いています。2021年に「外壁調査基礎コース」が設立され、ドローンによる外壁調査のノウハウを学習できます。授業のなかでは現場でも導入されているDJI製 Matrice 210を導入しているため、現場で活かせるスキルを身に付けられます。

外壁調査基礎コースは受講期間が2日間で、受講料は330,000円(税込)となっています。なお、ドローン操縦士回転翼3級か他ドローン団体発行の資格を有していることが受講資格となっているため注意したいですね。
Drone Biz School東京校はこちら

ハミングバード

出典:ハミングバード
外壁調査などのビジネススペシャリストコースが充実しているのは、ハミングバードです。ビジネススペシャリストコースには、外壁調査コースや屋根点検コース、空撮コースなどがあります。これらのコースは、回転翼3級コースとセットで受講することが可能です。

外壁調査コースでは、回転翼3級コース修了者と建物点検業務を実施したい個人・法人が対象となっています。受講期間は2日間で、受講費用は165,000円(税込)です。座学と実地訓練により、外壁調査で必要となるドローンの操縦スキルを学習できます。

授業では、ドローンに搭載された赤外線および可視光カメラで実際に外壁調査を行います。高さ100m以上の高層ビルで外壁調査を行う場合は、併せて高高度飛行コースも受講したいですね。
ハミングバードはこちら

SKY STAGE

出典:SKY STAGE
業務特化型のドローンパイロットの育成に力を注いでいるのは、SKY STAGEです。SKY STAGEの「JOB PILOT養成コース」は建物赤外線診断コース、測量コース、撮影・編集コースの3種類から選べます。

建物赤外線診断コースの受講期間は4日間で、受講料は385,000円(税込)となっています。カリキュラムを修了することで、国土交通省認可ライセンスカードが取得可能です。プロ講師が指導するため、現場目線のスキルを習得できることがメリット。

カリキュラムの内容が気になる場合は、ドローン体験会に参加することをおすすめします。
SKY STAGEはこちら

ドローンで外壁調査を安心・安全に行おう

事業でドローンを活用した外壁調査を行う場合は、操縦スキルだけではなくドローン運航に関連する法律を抑えておくことが大切。ドローンスクールを利用することで、ドローンに関連した法律や現場で活かせる操縦スキルを身に付けることが可能です。

ドローンスクールを選ぶ際には、ドローンで外壁調査を行った経験があるプロが講師を務めているかもチェックしておきたいですね。ドローンスクールで無料体験会がある場合は、積極的に参加することをおすすめします。
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