(取材)SORABOT代表 奥村英樹|遠隔操縦&自動充電ドローンポート「DroneNest」で点検業務をDX

点検業務に革命を起こす | 遠隔操縦&自動充電ドローンポート 「DroneNest」で点検業務をDX
2017年、ドローン黎明期から技術営業に携わり、ドローンによるソリューションを必要とする現場の声に触れてきた奥村英樹さん。2022年9月には、企業のドローン活用における課題をサポートし、自動充電ドローンポートの販売を基幹事業とする合同会社SORABOTを設立しました。

同社が提供する自動充電ドローンポート「DroneNest」は、点検や農業、災害調査など、ドローン活用現場での人手不足を補うソリューションとして期待されています。


今回は、将来のドローンが自由に飛び交う世界を見据えたドローンの利活用とドローンポートの役割について、奥村さんにお話をうかがいました。

合同会社SORABOT代表 奥村英樹氏

ドローンビジネスの悩みに全て応える「ドローンアドバイザー」として

__奥村さんは2022年9月に合同会社SORABOTを設立されたとのことですが、創業時にはどのようなビジョンがあったのでしょうか?

当時はドローン運用面でのお客様の負担を軽減し、ドローンをもっと簡単・便利に使っていただきたい想いがありました。私は2017年から約6年間、技術営業やドローンを運営する社内組織づくりの責任者としてドローン事業に関わっており、お客様や社内の現場から「ドローンは便利だけれど運用が面倒くさい」というお話をよく伺っていました。

社員のリソースをドローン操作や運用の訓練に使ってしまう、法律自体が複雑で理解が及ばず、コンプライアンスリスクを抱えてしまうなど、ドローンをビジネスに活用するうえではまだまだ課題が山積しています。

そこで、いわゆる顧問弁護士のように、我々が「ドローンアドバイザー」となってお客様に解決策を提案していけば、ドローンの利活用が進んでいくのではと考えたことが創業のきっかけです。

さまざまな現場でのドローン利活用を進め、将来的には現場に行かずに遠隔操作でパソコンの前からドローンを飛ばしたり、遠隔操縦により複数のドローンを一人で操作・管理したりする未来を目指し、この会社を立ち上げました。


__当時のドローンビジネスには、具体的にどのような課題があったのでしょうか?

まずは、ドローン業務が属人化していて、マニュアルなど引き継ぎできる環境が整備されていないことが挙げられます。そのため現在の担当者が辞めると、業務が停止してしまうのです。

担当者が辞めてしまったからといって、すぐに新しい担当者に業務を任せるわけにはいきません。操縦スキルはすぐに身につくものではありませんし、今後は国家ライセンスの有無を事業での活用の前提にする企業・団体も出てくるかもしれません。

そういった操縦スキルやドローンの法律などについて、社内で教育できる仕組みが整っておらず、困った際に相談できる専門家もいないという問題もあります。

これは創業当時に限らず、今でも続いている課題だといえるでしょう。

__ドローン普及への課題に対し、御社ではどのようなサービスを提供されていますか?

弊社では、お客様のドローン活用における課題を一括してご相談いただけるよう、新規事業立案からドローン活用顧問、現場責任者まで、幅広いサポートを提供しています。

ドローンは空撮、物流、点検、測量から農業、災害調査など、幅広いビジネスで利活用が期待されています。そのため、お客様の業種によって、どのようなサポートを必要とされているのかは違うでしょう。この課題についてはA社に、こちらの課題はB社にと、一つの会社に複数のドローン事業者が関わることも少なくありません。

そこで、弊社がお客様のドローン利活用に関するお悩み窓口の役割を果たし、弊社で対応できないものは専門業者をご紹介するというサービスを提供しています。

弊社には全国に提携しているドローン事業者がおりますので、遠方からのご依頼でも対応可能です。また、私自身6年間ドローン事業に関わってきて、幅広い業種に対するサポート経験がありますので、業種や業界にとらわれず柔軟に解決策をご提案できます。


__場所や業種に関わらず、ワンストップで対応いただけるのですね。

はい。また、現在弊社が基幹事業としているサービスに、自動充電ドローンポート「DroneNest」の提供があります。これは、ドローンの利活用に人員を割かなければならないことに課題を抱えるお客様が多いことから事業化を決めました。

現場の未来を変える、自動充電ドローンポート「DroneNest」

__自動充電ドローンポートというのは、どういったものですか?

お掃除ロボットの「ルンバ」をイメージしていただくとわかりやすいかと思います。ルンバには充電ステーションがあって、時間になったら自動的に掃除をし、充電が必要になると勝手に基地に戻ります。

このルンバの基地の役割を、自動充電ドローンポートが果たします。ボタン一つでドローンが充電ポートから飛び立ち、仕事をして戻ってくるという仕組みで、基地に戻ったドローンは自動で格納され、再び充電されます。

現在のドローンでは人の操作が必要ですが、パソコン上のアプリケーションから遠隔操作が可能なので、遠方にいるドローンパイロットが現場のドローンを操縦することもできます。そのため、たとえば社内にドローンパイロットがいなくても、私が自宅にいながらパソコン操作で現地のドローンを飛ばすことも可能となります。

こういったドローンポートは海外では設備点検や巡回監視、工事現場での測量業務にも既に導入されています。

自動充電ドローンポート「DroneNest」


__御社が取り扱うDroneNestは、他のドローンポートと比べてどのような強みがあるのでしょうか?

最も大きな特長は、対応するドローンに汎用性があることでしょう。通常のドローンポートは、特定のドローンメーカーの特定の型式にしか対応していません。そのため、同じメーカーでも型式が変わると対応できず、ドローンを変えるときには一緒にドローンポートも変えなければなりません。

DroneNestは、ドローンメーカーの最大手であるDJI製のドローンに対応しておりますが、機体のモデルが新しくなってもサイズが同程度であれば仕様調整にて対応するため、充電ポートを買い替える必要はありません。

また、DroneNestは他のドローンポートと比較して価格も安く、設置工事も簡単です。

__DroneNestは、実際にどのような現場からの需要が多いのでしょうか?

人が行くのが困難な場所や、危険を伴う現場からの需要が多いですね。たとえば電力会社では広い設備を持っており、定期点検が欠かせません。また、河川管理や山間部の土砂崩れなど、災害時に人がいけない場所にドローンポートがあれば、自動で現場の情報を取得できるでしょう。果樹園などの農業でも、野生動物を追い払うためにドローンを使いたいというお声をいただいています。

日本の空を、遠隔操作によりドローンが自由に飛び交う未来へ

__これまでのどのようなご経験から、ドローンポートの提供事業に至ったのでしょうか?

私は以前、日本の大手ドローンメーカーでドローンの技術営業として従事しており、いくつかの物流実験に関わる機会がありました。そこで目視外の遠隔操作を経験し、飛行時の判断やリスク管理の重要さ、そして何よりも遠隔操作や運航管理による自動航行の重要性を知ったのです。

現在でも発電所や電力会社、鉄道会社や警備会社など、さまざまなクライアントとお話をするなかで、「データの分析は自動でできるのに、なぜドローンを飛ばすのにはまだ人の手が必要なんだ」という声をよく耳にします。

ドローンが勝手に飛んで行って、勝手にデータを取って、勝手に分析してくれる。これが現場が最も望んでいることなんです。

今はSFの話のように聞こえますが、DroneNestであれば近い将来、その期待に応えていけるのではないかと思っています。


__今後どのように、御社のビジネスを成長させていきたいとお考えでしょうか?

現在日本では、弊社以外にもドローンポートを扱う業者が増えてきています。ドローンポートはそれだけ需要が高く、将来性もあるのでしょう。

弊社がドローンポートの第一人者になりたい想いはもちろんあります。しかし今はそれ以上に、自動充電ドローンポートという構想を日本で広げていきたい想いの方が強いんです。

日本中の空を遠隔操作のドローンが飛び交い、それぞれの仕事を終えてどこかのドローンポートへ帰っていく。そんな世界をつくりたいと思っています。そのなかで、数あるドローンポートのなかでDroneNestが最も採用されている、というのが理想ですね。
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