「コエテコドローンスクールEXPO2023(1日目)」レポート|ドローンのレベル4飛行で何が変わる?ドローンスクールの取り組みや運営・集客ノウハウまで

「コエテコドローンスクールEXPO2023(1日目)」レポート|ドローンのレベル4飛行で何が変わる?ドローンスクールの取り組みや運営・集客ノウハウまで
2023年7月20・21日の2日間、「コエテコ byGMO」はドローン市場の現状やドローンスクール立ち上げ・運営の課題解決などのノウハウが集結するオンライン展示会「コエテコドローンスクールEXPO2023」を開催しました。

本セミナーは、業界団体や有識者、ドローンスクール運営者から官公庁などのプロフェッショナルにご講演いただくことで、ドローン市場を盛り上げ業界のさらなる発展を促すものです。

1日目となる20日には、国土交通省 勝間 裕章氏airWorkドローンアカデミー 冨士原 美千代氏JUAVACドローンエキスパートアカデミー栃木校 印南 瑛子氏株式会社Five Star Group 大原 大氏/増尾 ふゆの氏HDL合同会社 吉田 公衛氏株式会社WorldLink&Company 西村 啓司氏の合わせて6社7名が登壇しました。

モデレーターは「コエテコドローンスクールEXPO2023」責任者 高橋 範恵が担当。ドローン操縦の国家ライセンス化、ドローン活用事例からユニークな取り組みで集客するスクールの運営ノウハウまで、幅広いテーマの講演が行われました。

(国土交通省)無人航空機に係る制度整備とドローンスクールへの期待


国土交通省の勝間 裕章さんからは、2022年12月にレベル4飛行を可能とするライセンスや機体認証制度が導入されたことなど、無人航空機に係る制度整備の歩みとドローンスクールへ期待することについてお話がありました。

無人航空機に関する航空法の改正は、これまで大きく分けて3段階で進められてきています。

第1段階では、2015年に許可・承認制度が創設され、一定の区域、飛行方法で無人航空機を飛行させる場合は、飛行ごとに国土交通大臣の許可承認が必要になりました。

第2段階では、2022年6月に施行された登録制度の創設。無人航空機を飛行させる場合には、所有者等の登録と登録記号の表示が必要になり、登録記号の表示方法としてリモートIDの搭載も原則義務づけられました。

第3段階は、2022年12月に施行された機体認証・技能証明制度の創設です。機体認証、技能証明を得て、運行ルールを遵守し国土交通大臣の許可・承認を得れば、レベル4の飛行が可能になりました。

さらに、レベル4以外の個別に許可承認を取っていた飛行についても、機体認証と技能証明を取得すれば、原則として許可承認を取ることなく飛行を可能にするという規制の合理化も行いました。

無人航空機の飛行レベルはレベル1から4まであり、「操縦か自動・自律か」「目視内か目視外か」「無人地帯か有人地帯か」という切り口で区分けされています。
  • レベル1:操縦者から無人航空機を目視できる範囲内で飛ばす飛行形態
  • レベル2:自動・自律での目視内飛行(農薬散布や土木測量など)
  • レベル3:無人地帯における目視外飛行(補助者なし)
  • レベル4:有人地帯における目視外飛行で、最もリスクが高い飛行形態

2023年の3月には、レベル4の初飛行が実現しました。東京都奥多摩町で、日本郵便が実証実験として郵便局から個人宅への荷物の配送を行っています。改正航空法に基づき、一等操縦ライセンスを持つ操縦士第一種機体認証を受けた機体を使用する飛行でした。

国土交通省が作成している「空の産業革命に向けたロードマップ」によれば、今後はレベル4飛行を段階的に人口密度の高いエリアへ拡大していくべく、さまざまな取り組みが進められていくようです。

最後に勝間さんは個人的見解として、ドローンスクールに期待することを3つ挙げ、講演を締めくくりました。

  • ①許可・承認不要特定飛行の運用
今回の法改正では、レベル4が可能になったことに加え、機体認証とライセンスがあれば、特定飛行の個別の許可・承認が不要になりました。それは、これまで許可・承認で国土交通省の航空局が審査していた立入管理措置を、自己の判断で行えるようになったことを意味します。

安全性が損なわれる恐れ、航空法違反の恐れもあるので、「ドローンスクールの皆様には、受講生が適切に立入管理措置を講じられるよう、指導していただきたい」とのお話がありました。具体的には、これまで個別に許可・承認を取っていた時と同じように飛行マニュアルを定めて安全に飛行できる体制を整え、それを遵守して飛行することが重要とのことです。

  • ②無人航空機の世界における安全管理
無人航空機の安全管理体制はまだ発展途上のため、登録講習機関向けの教則には、航空業界における「ヒューマンファクター(システムに影響を及ぼす人間の行動特性)」などの考えも一部取り入れられているそうです。

「ドローンスクールの皆様には、有人機の安全確保の考え方も取り入れつつ、ドローンの安全確保が自発的に発展していく業界風土の醸成に結びつく講習を期待しています」と、勝間さんは語ります。

  • ③無人航空機操縦者技能証明の意義
一等無人航空機操縦者技能証明は業務独占資格であり、持っていなければレベル4飛行はできません。しかし、二等はこの資格がないとドローンが操縦できないわけではなく、他には例がない位置付けの資格です。

「これから社会的な位置付けが定まっていく中で、ドローンスクールの皆様には、無人航空機操縦者技能証明の社会的な位置付けを高め、創り上げていく役割を期待しています」とのコメントがありました。

(airWorkドローンアカデミー)ドローンJUIDA資格卒業生1,500名以上!プロ講師陣が多数在籍のスクールだからこそできる、1等国家資格実施の取り組み


airWorkドローンアカデミーの冨士原 美千代さんからは、講師の育成において心がけたことや、受講生の信頼を得るための取り組みなど、7年間で培った運営ノウハウについてお話しいただきました。

2016年にJUIDAライセンス認定校として設立されたairWorkドローンアカデミー(旧:アマナドローンスクール)は、公共測量を主に行っている株式会社GEOソリューションズが運営するスクールです。2023年2月からは国家資格の講習も開始し、すでに87名の卒業生を輩出しています。順調に見えるスクール運営ですが、「airWorkドローンアカデミーの7年間の歩みは、勉強することばかりだった」と冨士原さんは振り返ります。

7年間スクールを運営して実感しているのは「教育はお金儲けではない」ということ。だからこそ「何をやりがいとするのか?どんなスクールにしたいのか?」を明確にすることが大切だと感じているとのことでした。冨士原さんは「教育は1日にしてならず。試行錯誤、継続、我慢、の繰り返しです」と強調します。


試行錯誤の中で学んだこととして、以下3つのポイントを挙げました。

1つ目は「信頼される教育機関であるために、スクールは受講生を育てると同時に講師も育てなければいけない」ということ。講師がスクールの要であると強く感じているとのことでした。

2つ目は「ビジネスとして成功するために、スクールはサービス産業であると常に意識」すること。教育はお金儲けではないといっても、受講生に来てもらえなければスクールは成り立ちません。受講生に選んでもらうためには、まず見るべきなのは受講生の満足度だと冨士原さんは話します。受講後にアンケートを取り、少しでも満足していない点があれば改善を地道に繰り返したそうです。

3つ目は「安定した教育組織であるために、スクールは合理的な組織運営をする」こと。スクールは理想だけでは運営ができません。合理的な組織を作るためには、役割分担が重要だといいます。営業チームと講師の役割を分け、それぞれの役割をリレーションをとりながら進めていくことで、組織運営がしやすくなったとのことでした。

また、安定した組織運営のために構築すべきポイントについて、内的要因と外的要因の面から解説しました。
【内的要因(育成/運営)】

  • 講師の育成(プレイヤー)
    授業内容はもちろん、教育への姿勢、意欲、倫理観なども重要
  • スクール運営(マネジメント)
    会場の確保、講師のスケジュール調整、申し込みの手順など
    申し込み〜講習終了までアクシデントがないように常に事務局がサポート
  • コンプライアンス
    講師へ…法令遵守、SNSの発信、個人情報の取り扱いなど
    受講生へ…講習中の肖像権の取り扱いなどの注意点
  • 講習環境の構築
    講習に集中できる環境づくり
    大事なポイントは「管理者」。管理者によって安全性が違うので必ず確認
  • 講習団体としての危機管理
    人身事故や個人情報漏洩などのリスクに備える
    緊急時対応のマニュアル化、保険の加入など
【外的要因(マーケティング/営業)】

  • 情報収集、発信
    ホームページ、Web、SNS
  • イベント(セミナー、説明会)
    参加者にどんな人がいるのか、アンケートで名簿拡充
  • B2Bのリレーション
    営業がいないため、外部のチャネルを利用
  • 商品作り
    導入支援などに講習を加えた商品作りで、講習をフル活用→効率化
次に、airWorkドローンアカデミーで提供している、国家資格一等無人航空機操縦士講習についてのお話がありました。

国家資格講習を実施すべきか迷っているスクールもあるかと思いますが、airWorkドローンアカデミーでは、まずは市場調査を行い、資源の確認、投資効果の検証、スタート時期の検討を行った結果、実施を決めたといいます。

講師の育成が最重要事項と認識し、講習内容のシミュレーションを何度も行ったそうです。そして、2023年5月に一等国家資格講習をスタートさせました。

「国家資格はビジネスになるか?」という疑問については、レベル4の活用の環境が整備されてくれば一定の量を見込めると判断。「2024年には駆け込み需要があるのではないかという話もあるが、一過性のものなので冷静に対処していく」とのことでした。

最後に冨士原さんは、今後のスクールの役割について「安全な空の産業革命を推進するのは人であり、ドローン産業を支える要となるのはスクールであると思う」と述べ、講演を締めくくりました。

(JUAVACドローンエキスパートアカデミー栃木校)『女性×ドローン×農業』の新時代へ。女性が変える未来の農業


JUAVACドローンエキスパートアカデミー栃木校の教官を務める印南 瑛子さんからは、後継者不足が問題となっている農業において女性が活躍することについてお話しいただきました。

農業従事者は全体の69%が65歳以上となっており、今後ますます農業の後継者が不足すると懸念されています。一方、女性の農業従事者は徐々に増えてきており、JUAVACドローンエキスパートアカデミー栃木校でも女性の受講生が増えていると印南さんは話します。

しかし、女性の受講生が農業に不安を感じる点もあると言います。
  • 体力面での不安
  • 情報共有できるコミュニティ作り
  • 思うように時間が取れない
印南さんは、こういった不安を解消し「農業を、楽に楽しく続けてほしい」という想いから、国産農業用ドローンの「飛助(とびすけ)」を紹介しました。

飛助の特徴は、操作性」「コンパクト」「安価の3つ。女性でも扱いやすい大きさ、重さであることが大きなメリットだと言います。

また、ドローンを選ぶ際には「耕地面積に合わせて選ぶのがポイント」とのこと。小回りのきくコンパクトな機体である飛助は、耕地面積が小さい圃場に適しているそうです。栃木県内の圃場は全国的に見ても大きくはないため、小回りの利く農業用ドローンのニーズが高いとのことでした。

講演の中では、実際の女性受講者の事例も紹介されました。
  • 事例① 実家の農家を継ぐ予定の20代女性
現在は埼玉県で会社員として勤務。実家の農家を継ぐため来年より本格的に就農予定。
除草剤、消毒などをドローンで行うことで作業の効率化と肉体労働を減らしたい。
実家ではトウモロコシを栽培。トウモロコシは背が高いため、農薬散布の際に自分にかかってしまうこともあるが、ドローンを使うことで安全に農薬散布できる。

  • 事例② 未経験から新規就農するご夫婦
未経験から新規就農し、農薬散布請負業も計画している。
ドローンはこれからの時代に必須になる分野だと思いドローンを導入。
機械に慣れていなくても操作しやすいコンパクトな機体を選択。
JUAVACドローンエキスパートアカデミー栃木校では、卒業した後の支援機能も用意しています。

卒業後、ドローンを飛ばすまでに時間が開いてしまい、設定や操作方法を忘れてしまった場合は、現地へ出向き使い方の再確認やフライトをサポート。

また「情報共有できるコミュニティ作り」の一環として、スクールの公式LINEアカウントから情報発信を行うほか、グループコミュニケーションアプリ「BAND」内で情報共有、意見交換をすることもできます。


こうしたコミュニティ機能はトラブルが生まれる可能性といったデメリットもありますが、スクールが招待した人のみ参加でき、場合によっては運営側から退会処理ができるので、現時点でトラブルが起こったことはないとのことでした。

印南さんは「農業、空中散布を少しでも楽に、楽しく感じてもらえるようにこれからも頑張っていきたい」と意気込みを語りました。

(株式会社Five Star Group)現役のエアラインパイロットが解説!航空業界で活用される「CRM(クルー・リソース・マネジメント)」とは?〜次世代の航空安全に向けた人材育成について〜


現役のエアラインパイロットが講師として集結したNEXAIRS DRONE ACADEMYを運営する、株式会社Five Star Groupの大原大さん、増尾ふゆのさん。お二人とも、現役のエアラインパイロットです。
この講演では、航空業界で広く導入されている安全管理スキル「CRM(Crew Resource Management)」の重要性と、CRMスキルを基にした安全対策と事故防止に向けた活動についてお話しいただきました。

CRMとは「安全で効率的な運航や業務を達成するために、利用可能な全てのリソース(人、機器、情報など)を有効かつ効果的に活用する」ことを指します。

航空機を操縦する際に必要な安全管理の意識であるCRMは、無人航空機であるドローンにおいても共通点が多く、ドローンを操縦する機会のある全ての方に必要な安全管理の意識です。大原さんは、CRMスキルのひとつ、情報伝達(コミュニケーション)について紹介しました。

航空機は1つのコミュニケーションエラーが大きな事故につながる可能性がありますが、ドローンもレベル4の解禁により住宅の上を飛行するようになると、怪我や死亡事故につながるリスクがあります。

国土交通省航空局は、国家資格である無人航空機の操縦士に対して2022年より「CRMの理解」を求めています。なぜなら、無人航空機の事故も7割以上が人的要因に起因するためです。

航空会社では、以下の内容でCRM訓練を行っているとのことでした。
【航空会社におけるCRM訓練】
  • 座学
    CRMとは何か?を学ぶ
  • 実技
    学んだ知識を実技で生かせるように
    実際に起きた事故、ヒヤリハット事例事例、重大インシデントの模擬(どうしたら防げたのか?)
  • 毎年
    訓練は1回で終わりではなく、毎年必ず受けるルールになっている
無人航空機も有人航空機と同様にCRM訓練は重要と考え、NEXAIRS DRONE ACADEMYでは、CRM訓練を提供しています。有人航空機のCRM訓練の内容と同じように、「座学テキスト」「CRM訓練用機体」を用意し、定期開催しているとのことです。

増尾さんからは、CRM訓練ロールプレイングの一例が紹介されました。以下のようなシーンを想定し「どういった知識、スキルを使えば事故を防げるのか」について受講生が考察します。



ベテランの方でも、急いでる時や1人で操縦している場合に、確認がおろそかになることはあります。また、上下関係がある関係性の中では特に「相手は慣れているから大丈夫だろう」「報告してもまた大丈夫だと言われるから黙っておこう」ということが起こりやすい傾向があると、増尾さんは指摘します。

「安全に対する投資効果は目に見えづらい」とした上で、大原さんは安全対策の費用対効果が約2.7倍であるという中央災害防止協会のデータを紹介しました。

万が一事故を起こした場合、信頼回復までの道のりは長く、ローン業界全体の信頼にも影響し、社会受容性の低下も懸念されます。

特に、登録講習機関の卒業生である国家ライセンスを持った操縦士が事故を起こした場合の影響は計り知れません。大原さんは「事故防止の意識向上、CRMの訓練導入の重要性を伝えていきたい」と語りました。

(HDL合同会社)「ドローンで学ぶプログラミング教室事業」ドローンスクール事業のその先を目指すあなたへ。


HDL合同会社では、子どもたちがドローンを使って楽しみながらプログラミングを学ぶ教材、ドローンの販売、大会、イベント、塾や学習の場などの環境を整える活動をしています。吉田 公衛さんからは、ドローンとプログラミング教育というテーマでお話しいただきました。

ドローンビジネスの市場規模が拡大し続ける中、子ども向けプログラミング教育の市場規模も、右肩上がりの成長を遂げています。コエテコ byGMOと船井総合研究所の『2023年 プログラミング教育市場規模調査』 によると、2023年度のプログラミング教育市場規模は、前年比111.4%の221億7千万円。2025年度入試における教科「情報」の導入により、2030年までには1,000億円を超える市場に急成長する可能性があると言われています。

ドローンとプログラミングを組み合わせたスクールのメリットについて、吉田さんは「安定収入」「既存事業のPR」「将来への投資」の3点を挙げました。
  • 安定収入
    ドローンスクールは1回の受講で終わることが多く、2回目に習うのはハードルが高い。プログラミングスクールの場合、月謝として収入を得られるので事業基盤が安定する。
  • 既存事業のPR
    プログラミングスクールの生徒のご両親に対して、ドローンスクールやドローンの仕事(映像制作)をPRできる。
  • 将来への投資
    プログラミングスクールに通っていた生徒が将来的にドローンスクールに通ったり、自社で採用したりすることが可能になるかもしれない。
また、プログラミングスクールに参入するドローン事業者には強みがあると吉田さんは話します。

1つ目は「ドローンの知識が豊富なので生徒に魅力を伝えられる」こと。ドローンを現場でどのように取り扱うのか、どんな注意点があるのか、どういった未来が予想されているのか、などを語れるのはドローン事業者ならではの強みだと言います。

2つ目は「学校での体験授業ができる」こと。ドローン事業者が「ドローンを活用したプログラミング体験授業を無料で提供したい」と学校側にお話すると、まず喜んで受け入れてもらえるとのことでした。

3つ目は「飛行場所があるので多くの生徒を受け入れ可能」なこと。広い屋内飛行場があれば、そのぶん多くの生徒を受け入れることができます。

吉田さんは特に「学校での体験授業による集客効果が大きい」と感じているそうです。ドローンを活用したプログラミングの体験授業を無料で提供し、その際にプログラミング教室の宣伝をすることで効果的に集客できるとのことでした。


同社のプログラミング教室では、自社で開発した「コドロンアイランド」というeラーニング動画教材を用いて、ストーリー形式で楽しみながら学べるのが特徴です。

吉田さんによると、こうしたプログラミングスクールは初期費用があまりかからず始められるとのこと。突発的に何百万、何千万という収入にはならないものの、毎月安定した収入となります。「人、時間、お金を適切に投資すれば、うまくいく可能性は高い。片手間じゃなく、もしやってみたい方がいたらぜひチャレンジしてみては」と話しました。

(株式会社WorldLink&Company)稼ぎながら学べる! 農業用ドローンによる農薬散布請負事業 新規参入者向けビジネススクール


株式会社WorldLink&Companyが運営するSkyLink Japanは、ドローンを活用して農薬散布事業に参入したい方向けのビジネススクールとして、今年3月に開校されました。一般的なドローンスクールとは異なり、実務として収入を得るようになるまでのノウハウを半年間かけてじっくり学ぶスタイルが話題になっています。この講演では西村 啓司さんより、農薬散布請負事業の始め方SkyLink Japanのカリキュラムの特徴についてお話しいただきました。

農業従事者の高齢化、減少が加速し、日本の農業は危機的な状況に置かれています。耕作放棄地が増え、地域の景観を損なったり、不法投棄を誘引したり、副次的な問題も引き起こしています。

農業従事者が減少した原因の一つは、従来型の農業が重労働だからだと、西村さんは指摘しました。国もこの状況を把握し、さまざまな取り組みをしています。その一つが先端技術を用いる「スマート農業」の推進であり、ドローンの農業活用です。

農家の方がドローンを使用して農薬を散布する場合、3つの方法があります。
  • 農家がドローンを購入して自身で圃場(ほじょう)に散布する
    ドローンを購入する資金があること、ドローンを操縦するスキルを身に付けることが大きな条件となる。高齢者がこれから操縦スキルを身に付けるのは難しい場合も。
  • 農家がドローンをレンタルして自身で圃場に散布する
    ドローンを購入する資金は不要になるが、スキルを身に付けることは必要。
  • 専門の散布事業者に散布を依頼する
    スキルを身に付けることが難しい場合、専門の事業者に依頼。西村さんによれば、現在8割の農家は散布事業者に依頼をしている印象とのこと。
未経験から農薬散布請負事業を始める場合、ドローンを購入して操縦スキルを身に付ければ事業ができるかというと、実際は難しいケースが多いそう。


一般的なドローンスクールの農薬散布講習であれば、講習期間3〜4日で学科と実技を行う場合がほとんどです。しかし、ドローンの操縦ができるようになったものの、いざ事業を始めてみると散布実績もない中で依頼をいただくことはなかなか難しいのが現状です。

SkyLink Japanは、3つの大きな特徴で未経験からの事業参入をサポートしています。
  • 半年(3月〜8月)という類を見ない長期スクール
  • スクール期間中に実際の散布作業を紹介します
  • 実散布前に、実践形式の散布研修を行います
1つ目の特徴は「期間」。3月〜8月までという約6ヶ月の長期スクールで、操縦方法や法律などの知識だけではなく、より実践的な研修プログラムを用意しています。

2つ目の特徴は「実際の散布作業の紹介」。スクールの受講期間中に、実際の散布作業を受講生に紹介します。一定の技量に達していれば、スクールが散布を請け負っている圃場にて実際に謝礼を得ながら散布業務ができます。

3つ目の特徴は「実践形式の散布研修」。初めて散布するとなれば、緊張や戸惑いもあります。安心して初めての圃場に臨めるように、実際の散布形式を模した研修プログラムも用意しています。

このようなカリキュラムにより「スクールを卒業する頃には確実に業務遂行能力が身に付き、単独で散布業務を実施できるようになる」と西村さんは話します。

受講生は、事業者として起業したい、副業したい、収入確保したい、事業拡大したい、あるいは地方に定住したいといったさまざまな事情で入学します。「そういった受講生の助けになりたい」と話す西村さん。また、受講生の農薬散布請負事業がうまくいくことで農家の方が助かり、耕作放棄地が減ることにより環境保全や地域活性化にも繋がれば、と想いを語りました。

まとめ|コエテコドローンスクールEXPO2023 1日目

「コエテコドローンスクールEXPO2023」1日目となる7月20日は、6社7名の方々にご登壇いただき、ドローンの本格的な産業活用を促すための法整備や、ドローンスクール運営のポイント、安全性の考え方などをお話いただきました。

2022年12月にレベル4飛行が実現し、一等無人航空機操縦士という国家ライセンスが新設され、今後ますますドローンの利活用は拡大していくことでしょう。

一方で、安全に飛行するための意識をどのように伝えていくか、より実践に近い状況でさまざまなリスクに対応できる操縦士をどのように養成するかなど、ドローンスクールはまだまだ模索の最中です。いかに安全性を確保しながらドローンで社会問題を解決できるかが求められています。

今回ご登壇いただいたドローンスクールの方からは、そうした安全意識の醸成についてのお話や、受講生の信頼を得る方法、強みを活かした集客方法といったお話もありました。ドローンスクールの開校に興味がある方、すでに開校しているけど思うように受講生が増えないとお悩みの方の参考になれば幸いです。
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