この記事では「ドローン操縦士は本当に仕事がないの?」といった疑問に答えつつ、ドローンの仕事はないと言われている理由や将来性について、徹底解説していきます。
ドローン操縦士は本当に仕事がないの?需要は?
結論として、ドローン操縦士(パイロット)は十分な需要のある職業です。その一つの理由として「有効求人倍率」の高さが挙げられます。厚生労働省の職業情報サイト「jobtag」によれば、令和4年度のドローンパイロットの有効求人倍率は「4.21」でした。ちなみに、有効求人倍率は「求人数に対する求職者の割合」を示しています。
ドローン操縦士の有効求人倍率は1よりも圧倒的に大きくなっていることから「求人はたくさんあるのに応募者がまだまだ足りていない」という実情が読み取れます。ここ数年で注目され始めたニッチな職業であるため、参入者も少ないのではないでしょうか。
- 有効求人倍率>1:求人数の方が多い
- 有効求人倍率<1:求職者の方が多い
これらのことより「ドローン操縦士は仕事がない」という噂は、必ずしも本当ではないということが分かります。「やってみたい」という気持ちがあるのであれば、挑戦してみる価値は十分にあるでしょう。
「ドローンの仕事はない」と言われている理由
ドローンの仕事(求人数)は多く、むしろ応募者の数が足りていない状況であることは先述した通り。にもかかわらず「ドローンの仕事はない」と言われている理由にはどのようなものがあるのでしょうか。- 法律や条例による縛りが厳しい
- 活用できる業界がまだ限定的
法律や条例による縛りが厳しい
ドローンは人や建物の上空で利用する機器ということもあり、危険がないようにさまざまな法律によって制限が設けられています。例を挙げると以下の通り。- 航空法
- 小型無人機等飛行禁止法
- 道路交通法
- 民法
- 電波法 etc...
特に航空法は厳しく「空港周辺」「150m以上の上空」「人口集中地区」といった危険の伴う場所での飛行の際は、適切な申請手続きを踏んで許可をもらわなければいけません。そのほかにも、都道府県・市区町村独自で条例を設けて、ドローンの飛行を縛っていることもままあります。東京都の「都立公園条例/都立海上公園条例」等が代表的。
このように、ドローンを飛行させるためのハードルが想像以上に高いものであることから「制限が厳しくて仕事にならない」というイメージにつながっていると考えられます。
活用できる業界がまだ限定的
ドローンが活用される機会は日を追うごとに増加していますが、それでもまだまだ限定的。以下に示すような一部の業界でしか、ドローンは利用されていない状況です。- 農業(農薬散布など)
- 建設業(測量・点検作業など)
- マスコミ(立ち入り困難箇所の撮影など) etc…
活躍の場が狭く、まだまだドローンの活用が浸透していないことも「仕事がない」と言われている一つの要因と言えます。
ドローンの仕事の将来性
「現状それなりに仕事があるとしても、今後どうなるのか?」といった将来性の面も、不安なところかと思います。ここからは中長期的な視点でドローンの仕事を見ていきましょう。インプレス総合研究所がまとめた「ドローンビジネス調査報告書2023」によれば、2022年にドローンのレベル4飛行※が解禁されたことで、ドローンビジネス市場規模は今後益々拡大していくとのこと。※ドローンの飛行レベル2022年度時点で3086億円だった市場規模は、年々右肩上がりで成長し、2028年度は9000億円超まで伸びると予測されています。この伸び率は2022年度以前と比べ物にならない程であることから、ドローンの仕事はこれからより一層需要を増していくと考えて差し支えないでしょう。参照:国土交通省|無人航空機レベル4飛行ポータルサイト
- レベル1 目視内での操縦飛行(マニュアル操作)
- レベル2 目視内での自動・自律飛行(オートパイロット)
- レベル3 無人地帯での目視外飛行(補助者の配置なし)
- レベル4 有人地帯(第三者上空)での目視外飛行(補助者の配置なし)
ドローンの仕事の年収相場【どのくらい稼げる?】
ドローン操縦士として働いた場合、どの程度の年収が期待できるのでしょうか。ここでも、厚生労働省の「jobtag」にまとめられたデータを参照していきます。令和4年度におけるドローンパイロットの年収(全国平均)は「453.8万円」、月額にして「22万円」となっていました。国税庁の「民間給与実態統計調査」によれば、令和5年9月時点における日本の平均給与は458万円とのこと。ドローン操縦士の年収は平均と同水準程度であることが分かります。少なくとも現時点においては、年収900万・1000万と大きく稼げる職業ではないようです。
ただし、一口にドローンパイロットといっても「測量をするか」「空撮をするか」「農薬散布をするか」など業務内容によっても年収は変わってきます。ましてやこれからさらなる需要の伸びも期待されていますので、今後年収の平均値がグッと上がることも考えられるでしょう。あくまで一つの参考情報として捉えてみてください。
ドローン国家資格を持っていると仕事や案件の窓口も広がるでしょう。
まとめ
当記事では「ドローン操縦士が気になっているけど、仕事がないって本当…?」と不安を感じている方に向けて、本当に仕事がないのか、その理由を将来性等を踏まえて詳細に解説してきました。ドローンはまだまだニッチな分野であり、活用される機会が少ないことは否めません。一方で、2022年に国家資格が制定されたり、それに伴って飛行可能エリアが広がったりと、着実に活用の下準備が進んでいることは間違いないでしょう。
今後は需要が大幅に拡大していくとの予測データも出ており、益々活躍が期待されるドローン。現状でも少なからず仕事・求人は存在しているので、心配せずにドローン操縦士としてのキャリアを歩んでみてください。