そんななか、業界最大級の女性コミュニティをうたうドローンジョプラスでは、ドローンの魅力発信や定期的な講習会などを実践。ドローンを通じた女性のキャリア支援を行っています。
ドローンジョプラスを運営する株式会社Kanatta代表・井口 恵氏に、ドローンジョプラスの沿革やサポート内容等を伺いました。
ドローンジョプラス | ドローン業界最大級の女性コミュニティ
ドローンを趣味に、仕事に!映える空撮映像や写真、レースを楽しむためのおすすめ情報も満載!初心者でも安心のドローン勉強会やドローン女子会などのイベントに関する情報も資格・免許・規制に関する情報も盛りだくさんのドローン情報サイトのドローンジョプラス
この記事をdrone-girls.com で読む >「メンバーの9割がいなくなった」危機を乗り越えコミュニティを拡大
――ドローンジョプラスさんの発足のきっかけと目的について教えてください。井口:
ドローンジョプラスの立ち上げは、私自身のキャリア経験が原点です。公認会計士として男性中心の職場で働いた際、意見が通りにくかったり昇進の機会が限られたりと、女性であることによる不利益を痛感しました。
その後、ファッション業界に転職しましたが、従業員の8割が女性でも役員はほぼ男性という状況を目の当たりにし、女性のキャリア構築の難しさを改めて実感したんです。
この経験から、「自分が感じている課題を解決する会社を作りたい」という強い思いが芽生え、2016年に自社を立ち上げました。
当時、ドローン産業はまだ黎明期で、私自身もほとんど知識がありませんでした。
しかし、海外市場の動向を見て、確実に成長すると確信しました。業界の9割以上が男性だったことから、「これから確実に成長する産業で女性があまり活躍していないのはもったいない」と強く感じ、ドローンジョプラスを設立しました。
女性にドローンの魅力を知ってもらい、男女差なく活躍できる場を提供することが私たちの大きな目的です。
――「業界最大数の女性コミュニティ」として事業を展開されていますが、最初から多くのメンバーがいたのでしょうか?
井口:
メンバー数の推移は波乱万丈でした。最初は2人から始まり、友人や知人を含めた5人程度でスタートしました。「本当にこれでうまくいくのだろうか」という不安もありましたが、諦めずに地道な活動を続けました。
初めの頃は、ガジェット好きの方に向けて「ガジェット飲み会」を毎月開催し、その中で誘ったり、居酒屋で隣から「ドローン」と聞こえれば、「今、ドローンって言いましたか?」と声をかけたり(笑)。とにかく泥臭く、ドローンジョプラスの存在をアピールしていました。
こうした活動が実を結び、約2年でコミュニティが100名まで増加しました。そんななか、AKB48の新曲PV撮影の仕事を獲得したことで、さらに大きくなりました。
しかし、2018年末に主要メンバーの1人が方向性の違いで卒業することになり、その影響で9割のメンバーが同時に辞めてしまったんです。100人が一気に10人になるという衝撃的な出来事で、「ここまでか」と思うほどの危機感を感じました。
クリスマスイブや年末年始も返上で今後の方向性を議論し、ドローン事業自体をやめる話も出ました。しかし、残った10名のメンバーが「ドローンジョプラスが好きだから立て直したい」と言ってくれたんです。
この言葉に励まされ、再スタートを切りました。この経験から、特定の個人に依存しない組織づくりの重要性を学び、現在の運営に活かしています。
多彩な仕事を通じてキャリア形成への自信を醸成
――波乱を乗り越え、現在のメンバー構成はどのようになっていますか?井口:
現在は約100名のメンバーがいます。本業としてドローンに携わる人は少なく、ほとんどが副業や趣味として活動している方ですね。半分以上は初心者からスタートした方々で、「私にもできるかも」と思ってチャレンジしてくれました。
年齢層は20代から70代まで幅広く、例えば定年退職後の第二の人生としてドローンを始めた方もいます。この多様性がドローンジョプラスの強みとなり、メンバー同士が刺激し合える環境を作っています。
最近では、ライセンス取得者の参加も増えてきました。「資格は取得したものの、実際の仕事につなげる方法がわからない」という方がドローンジョプラスに活路を見出す事が多いです。
特筆すべきは、全体の2割ほどを専業主婦層が占めていることです。子育てや家事の合間を縫って活動している彼女たちにとって、「家庭と両立しながら新しいスキルを身につけられる」ことは大きな魅力になっています。
収入としてはまだ、月10万円に満たない程度の方も多いですが、「自分の力で稼いだお金」という自信と誇りにつながっています。
――ドローンジョプラスでは、どのようなお仕事が多いのでしょうか。
井口:
多様な仕事を受注していますが、現在もっとも力を入れているのはお子さん向けの操縦体験会です。小学校でのプログラミング必修化に伴い、ドローンを使った授業のサポートも行っています。
これは、理系分野に興味を持ってもらうことも含めた、キャリア教育の一環としての側面が大きいですね。生徒さんからは「女性の先生だったから、怖がらずにドローンを操縦できた」という感想をよくいただきます。
これらの多様な仕事を通じて、メンバーたちは着実にスキルアップし、新しいキャリアを築いています。
特に印象に残っているのは、ドローンを使った物流の実証実験での地元住民向け体験会です。発注元が地元住民の理解を得るというハードルを越えるために、子供やお年寄りに安心してドローンを学んでもらうべく「あえて女性の講師を希望した」点が印象的でした。女性ならではの視点や接し方が新技術の普及に貢献できると実感しましたね。
イベント関連でいえば、Instagramでの発信も業務の1つです。現在、ドローンジョプラスの公式アカウントでは約5,500名のフォロワーがいるのですが、これは業界内ではかなり多い方です。
クライアントのイベントに参加し、その様子をInstagramで伝えてほしいというご依頼をいただくこともありますね。また最近では農薬散布の依頼も多く、メンバーは操縦技術だけでなく農薬の知識や安全管理も学んでいます。
屋根の点検業務も増えています。世の中には「点検」をうたってわざと屋根を壊して、修理が必要だと言ってくるグループもいるそうで、優良な事業者様が、「本来の点検ですら敬遠される」「とくに女性がお住まいのお宅だと、普通の営業活動も怖がられてしまう」と悩まれるケースが増えています。
こうした場面でも女性が訪問することで安心感を与えられますし、ドローンを使用すれば、屋根に登らずとも実際の映像をお見せしながら状況をご説明できます。このような背景から、女性ドローンパイロットを求める事業者様が増えているのです。
――お仕事の機会が増えるなか、メンバーに向けて、どのようなサポートを行っているのでしょうか。
井口:
ドローンジョプラスではメンバーの成長を全面的にサポートするため、さまざまな取り組みを行っています。たとえば月に1〜2回行われる実技講習会では、ドローンジョプラスのアドバイザーから直接指導を受けられます。
初心者には基本的な操縦技術から安全管理まで、経験者にはより高度な操縦テクニックや撮影技術を教えています。実技講習は有償ですが、丸一日で5000円と、手が届く価格に設定しています。これにより、できるだけ多くのメンバーに参加してもらえるよう配慮しています。
座学では、月1回のメンバーミーティングで業界の最前線でドローンを活用されている方々から学ぶ機会を設けています。具体的には、実際に特殊な環境でドローンを飛ばす際に実施するメンテナンスの講座や、災害支援経験者からドローンの社会貢献について話を聞いたりといった活動です。
赤外線を使った外壁調査など、新しい分野のスキル習得につながる無料講座も定期的に開講していますので、スキルアップの機会は常に提供されています。
他にもビジネス面のサポートとして、案件参加時の注意点や契約書の見方、価格設定など実務的なアドバイスを個別に実施しています。LINEのオープンチャットを活用した情報共有や相互サポートなど、コミュニティの絆を深める取り組みも行っていますよ。
未経験でも「これまで培ってきた知識」を活かした仕事ができる
――ドローンジョプラスとして、どのような方の入会を歓迎していますか?井口:
特に歓迎したいのは、ドローンのライセンスを取得したものの、それを生かせていない方々です。
最近では、50〜60代の方で定年後の第二の仕事としてドローンを考えている方々も増えていますが、これらの方々に共通するのは「せっかく取得したライセンスを活かしたい」という思いです。
ドローンジョプラスではそういった方々に向け、実技講習会での操縦スキル向上、セルフブランディングのためのSNSノウハウ習得、実際の仕事案件への参加機会提供などを通じた、総合的な成長をサポートしています。
また、ドローンに興味はあるけれど、どこから始めればいいかわからない初心者の方も大歓迎です。
「女性だから」「年齢的に無理かも」といった不安を持つ方も多いのですが、20代の学生から70代のシニアまで幅広い年齢層のメンバーが活躍している実例を見て、「自分にもできるかもしれない」という希望を持ってもらえます。
さらに、ドローンそのものには詳しくなくても、写真編集やマーケティング、法律知識などドローンに関連する知識やスキルを持つ方々の参加も歓迎しています。
多様な背景を持つ方々の知識や経験が、ドローンジョプラスの活動をより豊かにし、メンバー全体のスキルアップにつながっているのです。
――ドローン業界における女性の活躍について、どのようにお考えですか?
井口:
ドローン業界における女性の活躍は、まだまだ伸びしろがあると強く感じています。たとえば、農業用ドローンの操縦では、トイレの問題や虫の多さなど、男性中心の環境では見落とされがちな点があります。
私自身、農薬散布の講習で山奥に行った際にこういった課題に直面し、女性の視点からの解決策が業界全体の環境改善につながると実感しました。
また、ドローンを使った撮影や点検作業では、女性ならではの細やかな視点や安心感が高く評価されています。結婚式の空撮では女性カメラマンの方が花嫁の緊張をほぐしやすかったり、不動産空撮では女性視点での「住みやすさ」をより魅力的に表現できたりします。
一方で、「ドローン=男性の仕事」というイメージや技術面での不安から、女性が参入を躊躇するケースも多いのが現状です。
しかし、これらの課題は決して乗り越えられないものではなく、むしろ女性ならではの視点や感性を活かすことで、新たな価値を生み出せると確信しています。
――最後に、これからドローン業界に挑戦しようと考えている方々へメッセージをお願いします。
井口:
ドローンジョプラスは、本当に幅広い方が活躍できるコミュニティです。私個人のビジョンとして、ドローン業界のジェンダーバランスを5対5にしたいと考えています。これは決して夢物語ではありません。
ドローン業界はまだ小さいので、今のうちに女性の参入を増やせば、このビジョンは実現可能だと確信しています。
ドローン業界は日々進化しており、新しい可能性が次々と生まれています。あなたがこれまで培ってきた経験や知識が、思わぬ形でドローン業界で活かせる可能性があるのです。
例えば、建築知識が測量業務に、農業知識が農薬散布に、映像制作スキルがエンターテインメント分野で活かせます。災害支援活動や環境保護調査など、ドローンを通じて社会貢献できる機会も多くあります。
「女性だから」「年齢的に」といった不安があるかもしれませんが、実際に活動を始めると「想像以上に楽しい」「やりがいがある」と感じる方がほとんどです。
ドローンジョプラスで、新しい自分を発見し、夢を実現させましょう。あなたの参加を心よりお待ちしています。
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