ドローンショー・ジャパン|夜空を無限のキャンバスとして彩る、新時代のエンターテインメント

ドローンショー・ジャパン|夜空を無限のキャンバスとして彩る、新時代のエンターテインメント
エンターテインメントの世界で、新たな表現手段として注目を集めるドローンショー。夜空を自由自在に彩るドローンの光は、従来のエンターテインメントの枠を超えた新しい表現方法として広がりを見せています。

日本国内でもさまざまなテーマパークやイベントにてドローンショーを開催するところが増えています

伝統的な花火やプロジェクションマッピングとは異なる特性を持つドローンショーの特色や、同社で開発した国産機「DSJ MODEL-X」の特徴などについて、株式会社ドローンショー・ジャパンの山本雄貴社長に取材しました。

株式会社ドローンショー・ジャパン 代表 山本 雄貴氏

東京オリンピックを機にドローンショーの認知が急拡大

――ドローンショー業界の最近の動向について、市場規模の拡大や新規参入の状況を含めて教えていただけますか。

山本:

ドローンショーの需要は2023年と比較して2倍以上に拡大しており、当社も毎週どこかでショーを実施するようなペースになっています。これまでドローンショーを手がける国内事業者は当社を含め2社ほどというスモールマーケットでしたが、今年に入って新規参入が相次いでいます。

当社開発のドローンを購入して事業を開始する事業者さまも出てきており、マーケットとしての成熟度が増してきたと実感していますね。


市場拡大の転換点は2021年の東京オリンピックです。ここでドローンショーの認知度が一気に上がりました。その後、2022年の夏にコロナ関連の規制が緩和されたことが追い風となり、ドローンショーの実施に関する問い合わせが増加してきたのです。

市場の成長期においては、参入企業が多いほど市場の広がりが爆発的に拡大するため、業界全体としてより多くの事業者が参入することは歓迎すべき状況だととらえています。


――従来の空のエンターテインメントである花火と比較して、ドローンショーにはどのような特徴や優位性がありますか。

山本:

大きなポイントとしては、目新しさと話題性による集客効果が挙げられますね。またドローンショーは開催できる場所にも柔軟性があることも特徴の1つです。

打ち上げ花火の場合は火を使うため、実施場所が河川や海上に限られます。一方でドローンショーは、飛行エリアを封鎖する必要があるなど一定の制限はありますが、観光地や史跡でも実施可能です。実際に、先日は姫路城の敷地内でショーを実施しました。

演出面では幾何学的な形状はもちろん、文字やロゴ、二次元コードまで表現できる柔軟性があります。二次元コードを表示してスマートフォンで読み取り、直接ウェブサイトへアクセスさせる事も可能なので、アイデア次第で表現の可能性が広がるのも他のエンタメにはない要素ですね。

信頼性と使いやすさを両立した「現場目線」の国産機体

――業界の課題について、規制面や技術面でのハードルをどのように克服してこられましたか。

山本:

最初の大きな課題は、ドローン飛行に対する規制と一般的な理解でした。2015年の首相官邸へのドローン落下事件以降は規制が厳格化されたのです。

多くの方が「ドローン」という言葉に否定的な反応を示し、さらに新しいエンターテインメントのドローンショーに適した法制度がない中で、航空法に則った適切な届け出や警察への計画提出により、合法的に実施可能であることを啓蒙していきました。

価格面でも参入障壁が下がっています。我々の参入当初は100機規模のショーの提供価格は1000万円以上となっていましたが、現在ではオープンソースAPIが充実したことで、開発製造コストが大幅に削減でき、提供価格も低下しているのです。

現在はこれらの課題を乗り越えたことで各地での実施事例が増え、それを見た新たなお客さまから沢山の問い合わせに繋がっています。

――そうした背景のもと、国産機体「DSJ MODEL-X」の開発に着手された経緯を詳しく教えてください。

山本:

当初は中国製ドローンを購入しショー運営をスタートしましたが、その当時は信頼性に大きな課題がありました。テスト飛行時は100機飛ばせば1機は落下するような状況が当たり前だったんです。これは当社に限らず、業界全体の課題でした。
転機となったのは、ドローンの自作に取り組む日本人エンジニアとの出会いです。それまではドローンが自作可能だということすら知りませんでしたが、詳しく話を聞くうちに実現可能性が見えてきました。

初期開発と製造に必要な予算を見積もった結果、資金調達さえできれば自社開発への移行が可能だと判断し、大きな方針転換を決断しました。

――DSJ MODEL-Xの特徴について、運用面での工夫も含めて具体的に教えていただけますか。

山本:

海外製ドローンは実際のドローンショーではオーバースペックな機体が多く、価格も高い点が市場拡大の大きな課題と捉え、当社はショーに必要なスペックを十分に持ち「誰でも安全に扱える使いやすさ」と「手の届きやすい価格帯」の2点を重視しました。

具体的な機能としては、飛行時間とのバランスを考慮しながらより光の強い演出を実現できるよう調整したLEDライトや、多少の雨天でも安全に飛行ができるよう、NTTアドバンステクノロジー社に協力をいただき実現した撥水加工などを搭載しています。

運用面では、機体の小型化により離発着スペースを最小限に抑えるだけでなく、機体を縦方向に積み重ねられるスタッキング設計を採用し、一度に5機から10機程度を運ぶこともできます。


さらに25機収納可能な専用ボックスは一般的な宅配便の規格に収まるサイズなので、コンビニからでも発送可能です。

コンパクトさを追求した結果、ハイエース1台で500機のドローンを運搬できるという、世界でも類を見ない運用の効率性を実現できたのは他社との大きな違いだと思いますね。

またドローンは10~15分程度の飛行ニーズが最も高いため、最大20分の稼働が可能なバッテリーも搭載しています。これからも現場目線で「かゆいところに手が届く」ような改良を続けていきたいですね。

キャラクターライセンス×新技術で「世界をエンタメ化」

――印象に残っているイベントや、版権を持つキャラクターの活用について教えてください。

山本:

八景島シーパラダイス(神奈川県)でのイベント「STARDANCE(スターダンス)」が特に印象深いです。このイベントには実行委員会として参加し、多くの方にご観覧いただきました。

現場ではウルトラマンやエヴァンゲリオン、鬼滅の刃のキャラクターライセンスを預かり、花火やプロジェクションマッピング、音楽、声優のボイスを組み合わせたエンターテインメントショーを開催しました。

特にエヴァンゲリオンのドローンショーは中国のSNS「微博(ウェイボー)」でトレンド1位を獲得するなど、国際的な反響もありましたね。ライセンスホルダーからの信頼も徐々に得られており、漫画やアニメ、プロスポーツなどの問い合わせも増えています。


――今後の展望をお聞かせください。

山本:

企業ミッションとして掲げる「世界をエンタメ化する」の実現に向けて、まずはドローンショーの定番化を目指しています。最近では遊園地などのリピートも多く、今後は常設公演に向けてお話しを進めています。

ドローンショーの制作は映像作品の制作に似た側面があります。私たち制作側としても、一度完成した作品を1回だけで終わらせるのではなく、繰り返し何度も公演していただける方がコスト効率が良くなりますし、主催者側にとってもメリットが大きいと考えています。

技術面では様々な新しい技術を積極的にドローンショーのエンターテインメントに取り入れていく予定です。また、東京本社も開設しましたので、積極的にプロフェッショナル人材を採用し事業拡大を進めるとともに、石川本社ではドローン製造による雇用創出で、地域経済や地方創生にも貢献したいと考えています。

もちろん機体開発による優位性を追求し東南アジアなど海外市場も開拓していきたいです。


ドローン領域の企業間競争を日本国内にとどめず、海外市場にまで発展させることで「ジャパンクオリティ」の向上につながると信じています。これからもさまざまなユースケースを蓄積しつつ、新たな技術をエンタメ領域に投下していきたいですね。
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