もうスキル競争に巻き込まれない!在宅フリーランスが強みを最大化するには

もうスキル競争に巻き込まれない!在宅フリーランスが強みを最大化するには
在宅フリーランスとして働く人は近年急増しており、エンジニア、デザイナー、動画編集者、ライター、Webマーケターなど、その職種は多岐にわたります。

リモートワークの普及や副業解禁などの影響もあり在宅ワークを選ぶ人が増えていますが、同時に参入者の増加により「スキル競争」や「価格競争」が激化しているのも事実です。自分の強みを明確にしてクライアントに伝える作業が苦手なフリーランスの場合、これからの働き方が厳しくなる可能性もあります。

フリーランスのリアルに迫る連載「在宅ワークのその先へ!フリーランスが語る生存戦略」。前回は在宅ワークの課題の一つである孤立感について、コミュニティや情報交流がキャリアに与える影響を探りました。

今回は、在宅フリーランスが直面する「スキル競争」に焦点を当て、自分だけの強みを見つける方法や、強味をどのように伝えて価格競争を回避するかを具体的に解説していきます。

\前回の記事はこちら/
在宅フリーランスの孤立感を乗り越える|自由と安定を叶えるヒント【体験談あり】

在宅フリーランスの生存戦略をひも解くシリーズ「現代の在宅フリーランス事情」、今回は在宅フリーランスの「孤立感」についてです。この記事では、在宅フリーランスが感じる孤立感や背景を掘り下げるとともに、課題解決のための具体的な方法をリサーチしました。在宅フリーランスを長く続けたい方やこれから独立を考えている方にとって「つながり」を見つけるヒントになれば幸いです。

在宅フリーランスの孤立感を乗り越える|自由と安定を叶えるヒント【体験談あり】
浜本
浜本

2024/12/26 12:01

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本業および副業フリーランス人口は320万人超え

近年、フリーランスの人口は増加の一途をたどっています。リクルートワークス研究所の調査によれば、本業および副業フリーランスの人口規模は2023年時点で320万人に達し、就業者全体に占める割合も拡大傾向にあると報告されています。

出典:リクルートワークス研究所「全国就業実態パネル調査」

フリーランス市場の拡大を支える要因として、クラウドソーシングサイトや副業マッチングサービスの普及が挙げられます。国内大手のサービス「CrowdWorks.jp」では毎月3万人が新規登録しており、2024年には累計ユーザー数が600万人を突破したとのことです。

加えて、オンライン学習プラットフォームの台頭もフリーランス市場を後押ししています。たとえば、オンライン講座を提供するプラットフォーム「Udemy」ではグローバルで年間約1億人の登録者が増加し、日本でも副業やスキルアップを目指す層から注目されています。
コエテコライター・浜本
コエテコライター・浜本

私もネットの情報を頼りにフリーランスになった一人です。ここ数年、制作ノウハウの発信者もグッと増えてきたように思います。

市場の広がりによって、フリーランスとして独立しやすい環境が整いつつあります。しかし、気軽に参入できることが競合の増加を招き、在宅フリーランスにとってスキル競争の厳しさが課題となっています。今、フリーランスにとって、差別化の重要性がこれまで以上に高まっているといえるでしょう。

参考:株式会社クラウドワークス

差別化できなければ価格競争へ……

自分の強みや独自性を打ち出せないと、激化する価格競争に巻き込まれてしまうことが多くなります。

特に、汎用的なスキルセットで対応可能な分野では、競合が増えることで報酬単価が下がる傾向が見られるでしょう。たとえば、クラウドソーシングサイトで新規に募集されるロゴデザイン案件は、1案件数千円〜数万円と幅広い価格帯が存在します。

出典:クラウドワークス

さらに、現場によっては「そこそこの成果物を安く依頼したい」のようなニーズも一定数あります。特にプロとアマチュアが混在するスキルシェア系プラットフォームでは、安価な案件が優先されやすい傾向があります。実力があるプロであっても、自分の強みや差別化ポイントがクライアントに伝わらなければ低価格での受注が続き、フリーランスとしての成長が停滞するリスクを抱えることになります。
コエテコライター・浜本
コエテコライター・浜本

差別化や専門性が明確でないまま案件に応募すると、どうしても価格だけで比較されがちです。

差別化の壁に直面するフリーランスたちの声

フリーランスで働き続ける場合、まずは実績や評価を蓄積しつつ、ポートフォリオやSNS発信などを通じて積極的に強みをPRすることが重要です。

一方で、自分の「強み」がわからず、差別化について悩む声も多く聞かれます。筆者が周囲のフリーランサーにヒアリングをおこなったところ、以下のようなリアルな意見が寄せられました。
Aさん
Aさん

自分の強みが見つけられず、在宅フリーランス界隈での競争に疲れてしまいました。子どもが大きくなったらフルリモートの正社員として働くことも視野に入れています。

Bさん
Bさん

明確な依頼がない限り、自分の名義で制作したと公言できない仕事が多いのが現実です。だからこそ、突出して面白いコンテンツを制作できるスキルを持ったり、ファンを増やしたりすることが大事かもしれません。「この人にしか発信できない」と認知されることが、ステップアップの一つの道になりそうですが、それを実現するのは簡単なことではありませんよね。

Cさん
Cさん

フリーランスとして働いていることを知人たちに伝えたところ、さまざまな仕事を依頼される機会が増えました。

ただ、その中には学生アルバイトのような案件も含まれており、何でも屋さんのようになってしまうこともあります。「誰でもできる」「人手が足りない」仕事が増えると、低価格案件を引き受けるモデルに陥りがちだと感じています。

フリーランスの悩みに共通する「差別化の難しさ」。クライアントが求める明確な強みや専門性を示せないと、報酬が下がってしまったり、思うように案件を獲得できなかったりする現実があります。自分だけの強みを武器にして新たな価値を提供するか、差別化できないまま価格競争に巻き込まれるか……多くの在宅フリーランサーが厳しい選択を迫られているのです。

https://coeteco.jp/articles/1280 >

自分らしさを強みに変える方法|スイートスポットを見つけたEさんの体験談

在宅フリーランスとして活動する中で、「自分にしかできない仕事」を見つけるのは簡単ではありません。しかし、過去の経験を活かして新たな可能性を切り開いた例もあります。ここでは、元広報担当からフリーランスに転身し、ライティング未経験ながら高単価の取材記事制作案件を獲得したEさんの体験談をご紹介します。

Eさんのキャリアのあゆみ

Q:フリーランスになる前は新卒から正社員として働いていたとお聞きしましたが?

新卒で入社したのは、大型商業施設の広報部門でした。そこでは10年近く勤務し、施設のイベント運営やPR活動、メディア対応など幅広い業務を担当しました。当時は企業向けだけでなく一般のお客様向けの業務も多く、人とコミュニケーションをとる機会が非常に多かったです。イベントの企画段階から実施までを総合的に管理する力が身についたと思います。


その後、フリーランスとして独立しました。広報時代に培った経験が役立つ場面が多く、比較的スムーズに仕事を見つけられました。人と直接関わる仕事が好きだったので、自分らしさを感じながら働けていたと思います。

Q:ライティング未経験で、どうして取材記事の案件を引き受けることになったのでしょうか?

知人の紹介がきっかけでした。「人手が足りなくて困っている」と打診されたのが取材記事制作の案件です。当時はイベントの接客や結婚式の司会など、さまざまな業務を受けていたところでした。

もちろんライティング未経験です。しかし、広報時代にインタビューや情報収集を通じて相手の話を深掘りする経験があったので、取材そのものには抵抗がありませんでした。また、知人の紹介だったので、事前に私の性格や活動内容が伝わっていたことも安心材料だったと思います。

Q:プロフィール提示や実績アピールはどのように取り組まれていましたか?

普段から「フリーランスとして活動している」ことを多くの人に伝えていました。

たとえばInstagramのフリーランス用アカウントは、リアルの知人にもフォローしてもらい、顔出しで活動内容や日々の仕事について発信していました。プロフィール欄には自分の肩書きを明記し、投稿にも過去の経験やスキルを織り交ぜて、自分の得意分野をアピールしていましたね。


私は普段外で働くことが多いですが、これらの取り組みは在宅フリーランスにも応用可能かもしれません。自分の活動をフリーランスではない人にもわかりやすく伝えることで、キャラクターを確立し、思わぬチャンスを生むきっかけにつながるかもしれません。
編集
コエテコライター・浜本

Eさんが受けた依頼は、1記事数万円の高単価案件だったそう。取材現場では相手の熱意や魅力を自然に引き出すスキルが求められるため、未経験の新人ライターではなかなか手にしにくい条件です。自分の強みを活かせる案件は、結果的に高単価につながることが多いですね。

「明るい性格」や「コミュニケーションスキル」といった強みは一見、「ありがち」に思えるかもしれませんが、能力を活かした実績をしっかり提示できることで仕事につながる強みになります。

また、ジャンルが異なっていても、自分の得意分野を軸に仕事を続けることで、結果的に一貫性を生むこともあるでしょう。Eさんのように、広報時代に培ったスキルをライティングに掛け合わせた例は、在宅フリーランスとして差別化を図る一つの戦略と言えます。得意分野を活かしながら新しい可能性を模索する姿勢こそが、在宅フリーランスとしての強みを育てる道筋となるようです。

「強みがはっきりとわかる人」になる自己開示方法とは

自分の強みをどのように伝えるかは、在宅フリーランスにとって非常に重要なスキルです。AIが活用される時代において、専門分野がはっきりしている人がAIと対等に渡り合えるといった声もあります。

先ほど紹介したEさんも、フリーランスをやっていることや人とのやりとりが得意であることをオープンにし続けた発注につながりました。

しかし、リモートワークでは伝わりにくいスキルもあります。たとえば、「コミュニケーション能力の高さ」や「勘所の良さ」「やり抜く力」のような強みはクライアントにとってわかりにくい傾向があるでしょう。さらに「いろいろな分野を経験してきたから専門性を絞るのが難しい」「そもそも自己開示が苦手」と思う人もいるかもしれません。

ここでは在宅フリーランスでも「強みがはっきりとわかる人」になるための自己開示のポイントを2つご紹介します。

  • 成果を数字で可視化する
  • 掛け合わせで唯一無二のポジションを作る

自分の強みをどのように伝えればいいか悩んでいる人は、ぜひ試してみてください。

成果を数字で可視化する

リモートワークでは成果が見えづらいことが多いため、スキルや強みを「数字」で伝える方法が効果的です。

たとえば、「3ヶ月で10本の記事を納品」「継続案件でクライアント満足度90%以上」というように、実績を具体的な数字で示すことで、相手に自分の能力をしっかりと伝えることができます。

さらに、性格や内面的なスキルを数字に結びつける例としては、「短いリードタイムで複数案件を同時進行」「コミュニケーションスキルを活かしてリピート案件率95%」といった成果を示すのも効果的です。実績を数字で表現することで、抽象的な特性を具体的で説得力のある形に変えられます。

掛け合わせで唯一無二のポジションを作る

「1つのスキル」だけに注目するのではなく、複数のスキルや経験を掛け合わせることで独自の強みを生み出す方法もおすすめです。

スキル掛け合わせの例として、「過去の職歴+得意なコミュニケーション手法+新たに学んだスキル」を掛け合わせることで、他にはないオンリーワンのポジションを確立するきっかけになります。複数の専門性を組み合わせることで、競争が激しい市場でも「その人にしか頼めない」存在感を発揮できるでしょう。

スキル掛け合わせの例

・動画編集×農業知識×SNSマーケティング
→地域の農家向けプロモーション動画制作やSNS活用に特化したクリエイター

・デザイン×心理学×データ分析
→ ユーザー心理をデータで解析し、効果的なUIデザインを提案するデザイナー

掛け合わせのジャンルが離れていればいるほどニッチなポジションを狙いやすくなるようです。まずは自分のキャリアを一度棚卸しして、異なるスキルや経験を組み合わせて「自分らしさ」を武器に変える戦略を取り入れてみましょう。
編集
コエテコライター・浜本

発注側から、「プロジェクトマネジメントができる人はあまりいない。前さばきができる人は相当重宝される。」といった声を聞いたこともあります。みなさんが現在お持ちのスキルに「プロジェクトマネジメントスキル」を掛け合わせるだけでも、競争が激しい市場で存在感を発揮できそうです。

また、ニッチな専門性を持つ特化型フリーランスが依頼されやすい意見がある一方で、柔軟性が求められる現場では、逆に幅広いスキルを持つことがプラスになるケースもあります。

まずは自分が属する現場でどのようなスキルが重視されているかを見極め、ニーズに合わせた強みを磨くことが依頼獲得に近づく大切なステップであることも覚えておきたいポイントです。

エージェント活用でキャリアアップを実現

在宅フリーランスとして働く中で、自己開示を通じて自分の強みを伝えることは大切です。しかし、在宅環境では、自分自身を客観的に評価するのが難しい場面も少なくありません。そこで役立つのが、フリーランスエージェントの活用です。

フリーランス協会が実施した調査「フリーランス白書2024」によると、フリーランスが最も収入を得られる仕事獲得経路として、「過去・現在の取引先」「人脈」「エージェントサービス」が上位に挙げられており、この3つで全体の3/4を占めています。

出典:フリーランス協会「フリーランス白書2024」

安定的な収入を得るには、信頼関係やネットワークの構築が重要であることがうかがえます。

さらに、フリーランスエージェントは案件獲得のサポートだけでなく、「このスキルを伸ばせば高単価案件につながる」といった具体的なアドバイスを提供してくれる点からもキャリア形成において心強い味方と言えます。外部からの視点を取り入れることで、自分では気づけなかった強みや可能性を発見するきっかけになるでしょう。

コエテコ編集部によるフリーランスエージェントへのインタビューでは、フリーランス支援について以下のように語られています。
専任のフォロー担当者を配置し、稼働中の案件に関するサポートだけでなく、今後のキャリア形成に向けたアドバイスも提供しています。一般的に、営業担当者は新規契約の獲得に注力しがちですが、弊社ではクライアント様やユーザー様に価値を感じていただくことを最優先と考え、アフターケア専門部署を設置しています。この部署には多くの人員を配置し、きめ細やかなフォローアップを実現しています。

引用:コエテコキャリア「ランサーズエージェントに突撃取材!高単価案件を獲得するフリーランスエンジニアの特徴に迫る」
以前、別のエージェント経由で参画していた案件が途中終了になってしまったため、急ぎで案件を探しているフリーランスエンジニアの方がいました。我々もスピード感を持ってご対応するべく、登録面談でスキルや希望条件を具体的にうかがって、その場でマッチする案件を探し出してご提案。結果、その面談から2営業日ほどで案件獲得が決まりました。

引用:コエテコキャリア「活躍するフリーランスエンジニアの特徴は?フリーランスエージェント「toiroフリーランス」に取材」
一人ひとりの強みを丁寧に掘り下げ、適切なキャリアプランを提案するフリーランスエージェントでは、「市場ではどのスキルが有利か」「自分は何を学べばいいのか」といった固定観念にとらわれず、まずは気軽に相談できる環境が整っている点も魅力的です。

スキル競争が激化しているとはいえ、業界全体では依然として人手不足が続いており、適切に探せば自分に合った仕事を見つける可能性は十分にあります。フリーランスとして収入を増やしたい人、新しい分野に挑戦したい人、これからフリーランスを目指す人にとって、フリーランスエージェントは大きな支えとなるでしょう。

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フリーランスエージェントおすすめ一覧【2024年最新版比較】

この記事では、おすすめのフリーランスエージェントを分かりやすく一覧で比較しています。週3日〜稼働、リモートワークなど、自由な働き方を実現。利用者別のおすすめやフリーランスエージェントを使うメリット・デメリット、よくある質問もまとめました。

フリーランスエージェントおすすめ一覧【2024年最新版比較】
コエテコキャリア編集部
コエテコキャリア編集部

2025/01/01 01:03

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自分らしい武器を磨き、在宅フリーランスとして未来を切り開く

在宅フリーランスが増加する中、スキル競争は激しさを増しています。しかし、新しい技術を追い続けるだけではなく過去の経験を活かし、自分にしかできない強みを磨くことで、価格競争から抜け出すチャンスは十分にあります。

まずは自分のスキルを棚卸しして、掛け合わせのヒントをノートに書き出してみてください。数字で可視化できそうな実績があれば、プロフィールやSNSに追記してみるのもおすすめです。

また、フリーランスエージェントを活用して市場価値を客観的に確認し、差別化につながるスキルを磨き続ける方法もおすすめです。自分だけの強みを明確にして効果的にアピールすることで、競争の激しい市場でも安定したキャリアを築けます。在宅フリーランスとして一歩先に進むために、これまでの経験を見直してみましょう。

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