AZAX DRONE SCHOOL卒業生インタビュー|ドローンの「実践的な学び」で実現した事業転換
導入メリットの多いドローンだけに、新規事業の開拓や既存事業からの転換を図る企業も少なくありません。
ビル清掃を行う株式会社テックビルケアでは、事業承継を機に、ドローンを活用した防災事業ならびに設備メンテナンス事業へと転換しました。
事業転換の経緯やスクールでの学び、今後の展望などについて、AZAX DRONE SCHOOLの卒業生でもある株式会社テックビルケア・代表取締役の茶橋昭夫氏、AZAX DRONE SCHOOL・ドローン点検調査部に在籍する坂口美樹氏に話を伺いました。

株式会社テックビルケア 代表取締役 茶橋 昭夫氏
AZAX DRONE SCHOOLは、大阪府豊中市で回転翼3級を取得できるドローンスクールです。ドローンの安全飛行に欠かせない知識や技術を、安心・安全な個別指導でしっかりと習得できます。さらに、資格取得の先にある、ビジネス活用を見据えたレッスンや手厚い卒業後のサポートも大きな魅力です。今回は、AZAX DRONE SCHOOLのインストラクター2名の方に、お話を伺いました。
2024/04/25 19:14
AZAX DRONE SCHOOLは、関西エリアでドローン空撮・点検・測量などを手掛ける株式会社AZAXが直接運営・指導を行っているスクール。初心者でも最短3日間でライセンスを取得でき、卒業後もドローンビジネスに必要な技術・知識を学べます。今回は同スクールのインストラクターにスクールの魅力を聞きました。
2024/07/06 00:01
事業転換の目的は「究極の労働集約型産業」からの脱却
――まず、御社の沿革についてお聞かせください。茶橋:
当社はもともと現会長である父が創業した会社で、私が2代目になります。創業当初はビルメンテナンス、特に清掃事業がメインだったのですが、私が入社するタイミングで社名を変更して事業の方向性を転換することにしました。
私は以前から清掃事業の将来性に懸念を持っており、新しい事業の知見を外部で学んでから戻ってくる必要があると考えていたのです。そこで、複数の企業で経験を積んだ上で当社に入り、清掃事業主体のビルメンテナンス企業から、防災設備や設備メンテナンスを中心とする事業へとシフトを図りました。
――清掃事業の将来性に懸念があったとのことですが、具体的にはどのような点を不安視されていたのでしょうか。
茶橋:
清掃事業はどうしても労働集約型産業を抜け出せない面があります。つまり、特別な知識や資格・ノウハウというよりも、いかに人を効率的に配置して現場を回していくかがビジネスの中心になるのです。
しかし、労働人口の減少が進む中で、このビジネスモデルを維持しながら成長を続けていくのは非常に困難だと考えました。実際に業界全体で人手不足が深刻化しており、懸念は現実のものとなりつつあります。
もちろん清掃事業を主軸として成功されている企業も多くありますが、私たちの場合は早めの事業転換を選択したことで、現在の状況にうまく対応できたと考えています。
――そうした状況の中で、防災事業を選択された理由について教えてください。
茶橋:
実は父が清掃事業を営んでいた頃から、小規模ながら消防設備の仕事も手がけていたんです。私の代で事業転換を考えたとき、この消防設備分野にシフトしていくのが最も可能性が高いと感じたのが理由です。災害大国である日本は防災意識も高く、また法定点検という安定した需要がありますから、防災設備のメンテナンス事業にはとくに大きな可能性があると判断しました。
現在では消防設備点検と12条点検という二本柱で事業を展開しており、特に12条点検の分野で大きな成長を遂げています。
この記事では、ドローンを活用した12条点検のメリットについて詳しく解説し、従来の方法との比較や具体的な利点をご紹介します。ドローンを導入することで、コスト削減、安全性の向上、点検時間の短縮など、建物管理における新たな可能性が広がります。
2024/11/08 15:18
――防災事業にシフトする際に、ドローンの活用を決意された理由は何だったのでしょうか。
茶橋:
活用のきっかけは、12条点検における外壁調査にありました。従来は足場を組んで外壁点検を行っていましたが、これには多大な時間とコストがかかっていたのです。

数年前からドローンによる外壁調査の可能性に注目していましたが、当時は技術的な信頼性や法的な位置づけが曖昧でした。しかし、2023年に国がドローンによる建物外壁調査を正式に認可したため、私自身がAZAXドローンスクールに通って操縦技術を習得することにしたのです。
当社は大規模な企業ではないので、経営者自身が実際にやっている姿を見せなければ社内に浸透しません。そういった意味で自ら操縦するためにドローンを学ぶ必要があったのと、現場から離れることに少し寂しさも感じていたことが、資格取得を決意した理由です。
現在では事業再構築補助金を活用してドローンと地上型赤外線カメラを導入し、本格的な事業展開への準備を整えることができました。
実践重視のカリキュラムで、資格取得後の現場でも使える学びを提供
――ドローンスクールでの学習について、どのような形で座学や演習を行いましたか?茶橋:
スクール選びではまず地理的なアクセスのしやすさを重視しましたが、単なる資格取得ではなく、実際のビジネスで活用できる技術を身につけることを重視しました。
AZAXでは実務での活用を重視したカリキュラムを提供しており、資格取得だけでなく、実際のビジネスで使える操縦技術やノウハウを提供してくれる点に強く惹かれましたね。
初めて本格的なドローンを操縦したときは、純粋に興奮しました。特にATTIモードでの操縦は難しい挑戦でしたが、インストラクターの先生が個々の習熟度に応じて丁寧に指導してくれました。
座学では、覚えることが非常に多い航空法関連の学習に苦労しました。法律関連の内容は一般的に覚えにくいものですが、インストラクターが「ここだけは必ず押さえておいてください」というポイントを明確に示してくれたことで、効率的に学習を進めることができました。
とくにドローンの飛行禁止エリアなど、実務で絶対に押さえておかなければならない内容については、試験のためだけでなく「継続的な実務において重要な知識」として教えていただきました。
現場でドローンを飛ばすにあたって、このような実践的な視点での指導はとても有益だったと感じています。
――スクールの設備や学習環境はいかがでしたか。
茶橋:
屋内施設での練習環境が最も印象に残っていますね。外部環境の影響を受けにくい安定した環境で練習できることは、初心者にとっては安心して技術を磨けるという非常に大きなメリットがあります。
またマンツーマンでの指導体制により、常に見守られているという安心感がありました。インストラクターが一人一人の習熟度に合わせて指導方法を調整してくれたことで、効率的に学習を進めることができましたね。

資格試験では運転免許の試験と同じような緊張感がありましたが、スクールでの丁寧な指導のおかげで、1度で合格することができました。これは日々の練習の積み重ねと、実践的な指導があってこそだと感じています。
講師と一緒に点検業務を行うなど、卒業後のアフターサポートも充実
――事業再構築補助金の活用について、詳しくお聞かせください。茶橋:
事業再構築補助金は、コロナ禍で影響を受けた企業が新しい事業展開を図る際の支援制度です。たとえば飲食店がデリバリーサービスを始める際の支援など、既存事業からの展開が対象となります。
私たちの場合は既存のメンテナンス事業から、ドローンを活用した外壁調査という新規事業への展開として申請しました。
ドローンの購入には約300万円という高額な投資が必要でしたが、補助金を活用することで、ドローンと地上型赤外線カメラを一括で導入することができましたね。
――実業務においては、AZAXの講師と共に調査をされたと伺いました。
茶橋:
AZAX社の監修のもとでマンション外壁の赤外線調査を実施したのですが、楽しく、かつ学びの多い経験でしたね。インストラクターの大西さんが現場で丁寧にサポートしてくださったので、実践的な技術を身につけることができたと感じています。
パイロットとして資格を持っているだけでは実務での活用は難しいため、AZAX DRONE SCHOOLでは資格取得後のアフターサポートに特に力を入れています。
実際の現場に指導員が同行し、点検の具体的な方法や注意点を指導するというサポート体制も当スクールの特徴の1つです。これは特別なサービスではなく、実践的なパイロットを育成するための当然のプロセスとして位置づけています。
茶橋:
当社は既に定期報告の12条点検で、47都道府県すべてに顧客を持っています。この基盤を活かし、ドローン点検事業も全国展開していきたいと考えています。
物流・インフラや点検事業をはじめ、ドローン技術を活用できる産業の裾野は非常に広いので、常にアンテナを張っていきたいですね。
ドローンの技術と専門的な知見で他社との差別化を図りながら、新しい事業機会を探っていきたいと思います。
とくに建設やメンテナンスといった若者から敬遠されがちな業種においては、ドローン技術という新しい要素を加えることで、業界のイメージを刷新できる可能性を感じます。
海外に目を向けると、最近ではインドのドローン市場にも注目しています。以前はDJI製ドローンの持ち込みが制限されていましたが、規制が緩和されたことで新たな可能性が開けてきました。
日本で培った技術と経験を活かし、グローバルな展開も視野に入れています。建物点検という専門性と、ドローン技術という革新性を組み合わせることで、独自の価値を提供していきたいと考えています。
ドローンの操縦技術があるだけでは、ビジネスとして成功することは難しいです。茶橋さんのように、市場を見据えた戦略的な展開が重要です。
我々としても、単なる資格取得に留まらず、ドローンビジネスの発展に貢献できる人材の育成を目指しています。
ドローン産業の未来は、技術と事業戦略をバランスよく備えた実践者たちが作っていきます。当校も、そうした人材の育成・輩出を通じて業界全体に貢献してまいります!
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空撮を目指す方と点検業務を目指す方では必要なスキルが異なりますので、当スクールでは、それぞれに適した指導を心がけています。
たとえば「空撮技術の習得を目指す方には、撮影テクニックに時間を使う」といった形で、柔軟に対応しています。